前世が王子のバルト様
「おい、転校生。な〜に暗い顔してんだ。・・・はぁ〜、なに考えてんだろうね〜」
授業が終わって、始まる前の休み時間、そういって転校生の机の前に立つ。
鮮やかな金色の髪を持ち、左目に眼帯をしている男であった。
転校生とはウォン・フェイウォンのことである。
「・・・誰だ?あんたは。・・・あんたには関係ないだろ」
フェイは話し掛けてきた男の方を見向きもせず、窓の外を見ながら言い放つ。
さすがにこの行為にカチンときたのだろう。
男はフェイの胸倉を掴む。
「なにすかしてんだ、このバルト様をなめんじゃねえぜ。その暗い顔を明るくしてやろうとしてんのに」
「誰も頼んでない。ほっといてくれないか・・・」
そういってフェイはバルトの手を振りほどく。
そしてまた窓の外を見はじめた。
「何だよ、おまえは。ほんとに暗いやつだな・・・」
バルトは頭を掻きながら自分の席に戻る。
その後バルトの席に向かう生徒がいた。クラス委員長である。
「どう?バルト。彼の様子は」
そう言いながらバルトの前の席に座る。
「どうもこうもねえよ、こっちまで暗いのが移っちまうよ」
「バルトでもそう思う?私もよ。何とかして彼を更正しないと」
言っとくがフェイは別に悪いことはしていない。
「何とかならない?」
「かなり難しいな」
バルトとエリィは大きくため息をつく。
『き〜んこ〜んか〜んこ〜〜〜〜ん』
次の授業の始まりのチャイムが鳴る。
「バルト、お昼休みに屋上にきて。対策会議よ」
「おう、じゃな」
エリィも自分の席に戻る。
彼らの話の中心人物はまだ窓の外を見ていた・・・
「うお〜、なんか今日寒くねぇか?」
ちなみに今は秋、われわれが10月と呼んでいる時期だ。
ゼノギアス付属小学校は世界でも稀な、冬でも暖かいことで有名である。
いったいこの小学校がどこにあるのかはめんどくさいのでしない。
「あいつの影響だろうな」
そしてこの小学校は生徒の気分で気候が変わるという恐ろしい場所なのだ。
今、寒いということは誰かの気分が寒いということである。
言うまでもなくフェイが原因である。
「エリィ、俺考えたんだが、この件は俺一人に任せてくれないか?」
「どう言うこと?」
「言い方がまずかったかな。俺達に任せてくれ」
はて、俺達とは?
「・・・そうね、男のことは男に任せようかな。じゃあ、がんばってね」
エリィは誰かわかってるらしい。そして二人はその後、迫りくる昼休み終了のチャイムに間に合うようにがつがつと弁当を食べ出した。
ついでに言うが、何で小学校に給食がないのかという低俗な質問は私は嫌う。(笑)
さてさて一体バルトはどうするつもりだろうか。
話は変わって放課後。
「祐○、放課後だよ〜。部活にいくよ〜」
「俺は帰宅部だぞ。名○も大変だな。まあ、がんばれよ」
「うん、じゃあね」
「アイスクリーム食べにいきましょう」
「うぐぅ、今日も探し物・・・」
「そうしよ。ぴろも行くよね」
「・・・かなり嫌いじゃない」
「あはは〜っ」
「浩○、かえろ〜」
「今日は部活はないのか?」
「うん、だから商店街でなにか食べてからかえろ」
「山菜堂のワッフルがいいです」
「みゅ〜」
『あそこのワッフルはおいしいなの』
「いいな〜私もいきたいよ。でも今日は遠慮しとくよ」
「ってぎゃ〜〜〜〜〜!!」
「・・・・・なんか俺達出てくる場面違うことないか?」
・・・・そういうわけで放課後だ。
バルトは帰ろうとするフェイを止める。
「おい、ちょっと顔かせ」
「断る」
即断である。
「教頭が呼んでんだよ。いいから早く来い」
フェイはあまり気乗りではないが教頭のお呼びだから仕方なくバルトについって行った。
「ここだ。早く入れよ」
「何でそんなに威張ってるんだ?バルト」
「うるさい何だっていいだろ。さあ、入った入った」
なんだかんだいいながらフェイは教頭室に入った。
バルトを先頭に・・・
「おい爺、入るぞ!」
バタンと大きな音を立てながらずかずかと教頭室に入っていく。
教頭は驚いた様子もなく、書類から目を離した。
「今日はなんでございましょう、若」
若、明らかにバルトに言った言葉である。
フェイは不思議そうな顔をしている。
「簡単な話だ。こいつに説教でもしてくれ。この暗い転校生にな」
「ほっとけ!」
そう言った後フェイは今の自分のいる場所を思い出した。
「あなたは今日転校されてきたフェイ様ですね?どうせまた若に強引に連れてこられたんでしょう」
「い、いや、教頭先生が呼んでるって聞いたんですけど・・・」
教頭はバルトの方を見向いた。明らかに呆れた顔だった。
「まあ、そんな顔すんなよ、爺。ちょいと頼みごとがあるんだ。こいつ見ての通り暗いだろ。そいつを何とかしてくれねぇか?」
教頭は大きくため息をついた。
「またですか、たまには御自分で何とかしてくださいまし。仮にもファティマ家の祖先なんですから」
とりあえず今日はここまで!
さて、一体どこが前世は王子のバルト様だったのだろうか。最後だけだ。
とりあえず前編ということにしておこう。
次回は後編「お前は一体何者だ?」をお送りします。
なんとなく題名は逆にした方がよかったかもしれない・・・