/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 第七話、居場所げっと /_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ キ〜ソコ〜ソカ〜ソコ〜〜〜〜ソ♪ 「な、なんだ今のチャイムか?」 聞きなれたようで全く別のチャイムに驚いてガタンと席を立つフェイ。 「おいそこ、うるさいぞ〜」 あまりにも騒がしい生徒に教師が注意をする。 フェイの所為で授業が中断してしまったが、それを機に終了する。 『ありがとうございました』 その声と同時に教室があわただしくなる。 皆が待ちに待っている専門用語で放課後というヤツである。 そこで金色の髪をした少年、バルトがフェイに近づいてくる。 「さっきはなに驚いてたんだ?」 バルトは事もなさげに話しかける。 「いや、だっていまキソコソカソコソって。普通は…いや、むしろキンコンカンコンだろ?」 「なにいつも以上に馬鹿言ってんだ?もしかしてチャイムの事か?普通じゃねぇか」 「いや、まさにそれこそ不埒な行いにイコールで……」 ゴズッ! なにかイヤな音がするや否や、フェイががっくりと机にうつぶせる。 「なに放課後に入った瞬間サカリ立ってんのよ!部活行くわよ!ちんたらしてたら殴るわよ」 その正体は長い栗色をした少女、エリィであった。 もはやフェイには声が届いてなかろう……。 そんな事はお構いなしにフェイの首元を引きずっていく。 やはりそんな情景に無反応のバルトもエリィについていく。 いつも通りの生活にフェイは満足……なわけないか。 「はっ!」 エリィに引きずられて校庭に出て、数秒してからフェイの意識が戻る。 当人自身なぜここにいるかわかっていないが。 「気がついたようね。教室でいきなり倒れたと聞いた時は少し驚いたけどね」 なんともさっきと打って変わってさわやかに、そしてやさしくフェイに話しかける。 もちろんこの場合の方が作ってる方なのだが。 しかも『聞いた時』とはいってもフェイと同じくクラスだったりする。 頭を押さえると辺りを見まわすフェイ。 「ここは校庭か…ってなんで倒れて校庭に連れてこられなきゃいけないんだ?」 「ちっ、気がついたわね……」 「ちッ、ってヲイ……」 「集合しろ!」 そんなフェイとエリィの掛け合い?をよそに別の声が辺りに響く。 フェイがその方向を見ると、ビックなガタイをしたピ○コロのような緑色の皮膚をした男がいた。 体育教師のリコである。 どこをどうやったらそんな皮膚の色になるのかは一切の不明だが、腕力はバツグンだと聞いている。 実際フェイが見るのは始めてだった。 「新入りは俺の事を知らないだろう。説明してやる」 リコはフェイの方を向くとなぜか睨み付ける。 「先生、『そんな事』よりいうべき事があるでしょう」 教師に向かって恐れ多い事をいって放ったのは、誰ともないエリィだった。 彼女は生徒、教師に対してもかなり強い立場にいるのだろう。というより支配してる感じだが。 「あ、ああ。そうだな。今年もまたサッカー大激戦大会が始まろうとしている!」 「サッカー大激戦大会?」 フェイは近くにいる青年に声をかける。 くそ暑い中を長いローブを身にまとっている美青年、ビリーだ。 ちなみに五年で風紀委員だ。 「そうか、先輩は知らないんですね。うちの学校で毎年開かれている運動会の競技の一つですよ。  一番盛り上がってるから目がいきそうなだけなんです」 「そんな他人行儀な話し方しなくてもいいよ。気楽にしてくれ」 ンなこと言っても所詮他人だぞ、フェイ。 運動会か…それは楽しみだな。フェイは誰にも声が届かないように心で思った。 口に出すと何されるかわからない事を知っているからだ。 「去年はヤツらにやられたが、今年は取るぞ!気合い入れろ!」 『オォォォォォ!』 なにやらイヤに気合いが入っている。青春というものだろうか……。 なんとも時期的に早い青春だ。 「おい、新入り。手なんて抜いたら殺すぞ。…じゃ練習がんばれ。俺はまだ職務があるからな」 なにやら恐ろしい事を言って去っていくリコ先生だった。 手抜きに新入りも何もないと思うのだが。 「は〜やれやれ」 大きく背伸びをするとフェイはグラウンドを去ろうとする。 「ぐぇ」 カエルが踏み潰されたような声を出したのは、誰でもないフェイだ。 なぜかと言うと、エリィがフェイの首元を掴んでいるからだ。 「なにしてんのよ。これから練習よ」 「わ、わかったから放せ……」 すると大人しくてを放すエリィ。 「ところで去年の優勝校はどこなんだ?たしかこの辺りには他に学校がなかったはずだけど」 「だったらここに決まってるでしょ」 「はぁ?」 エリィが何を言ったかよくわからなかった。 「エリィ、仕方ねぇさ。フェイは今年、と言うかついこの間来たばっかだからわかんねぇよ。  うちの学校、ゼノギアス附属小学校は二つの学校がくっついてできてるんだ。  ユグドラ小学校とソラリス小学校の二つだ。でもソラリスの方は生徒数が少なかったから  融合って形になったけどな」 「ふ〜ん」 「納得してないで早く練習するわよ。時間は大事に使わないと」 というわけで集まった連中で練習を始めた。 始めは軽く体操。どんなスポーツもそうだがきちんと体を動かしてないと いざと言う時動けなくなったり、怪我をしたりするものだ。 次にしたのは二人で軽くパス出し。基本だがその基本なくしては他の事はできない。 運が悪かったのか、フェイはエリィと組む事になってしまった。 ぼむ。エリィがフェイにボールを蹴る。それを止めてまたエリィに蹴り返す。 「結構うまいじゃない。スポーツ得意なの?」 ぼむ。エリィがフェイに蹴る。 「体を動かすのが得意なんだ」 ぼむ。 「それならがんばってもらわないとね。去年はやられちゃったから」 ぼむ。 「相手は強いのか?」 ぼむ。 「去年はほぼ互角。一昨年もね。だから期待してるわよ」 ぼむ。 めちゃくちゃにいじめといて期待も何もないだろう。 臆病なフェイは口に出せなかった。 「それじゃあシュート練習……じゃなくて集合」 パスをしていた部員がエリィを中心として集まる。エリィはこの指止まれの格好をしているが。 「よく考えたらみんなのこと知らなかったわね。とりあえず事故紹介を」 「何を紹介する気だ……」 「そりゃフェイの周りで起こった不幸な事。他人の不幸は蜜の味って言ってね♪」 『……………』 「冗談よ」 うそだ、誰もがそう思っていた。 「私とバルトの事は別にいいわね。じゃあまずはビリーから」 呼ばれたビリーが立ち上がる。 「ボクはビリー・リー・ブラック。ビリーと呼んでください。五年です。  ポジションは主に左のMF(ミッドフィルダー)です。スルーパスを得意としてます。  別名フィールドのガンマンと呼ばれています」 「じゃあ次はマリア」 「始めまして。私はマリア・バルタザール。マリアと呼んでください。四年生です。  ポジションは同じくMFですが、レギュラーではありません」 「面倒だから各自言っていって」 「じゃあ私…。エメラダ。三年。  左のDF(ディフェンダー)。得意技はオーバーラップ」 技じゃねえだろ、それは……。 「久しぶりだな。フェイ兄ちゃん。忘れちゃいけないのが三年の大将、ダン様だ。  FW(フォワード)をこなすぜ。俺のヘッドは世界一だ」 キリがないので省略。 「というわけよ」 「略されてどう理解しろと…」 「うだうだいってると殴るわよ」 「………」 「で、あなたのポジションなんだけど、空いてるのはCF(センターフォワード)なの。  この場所はそれなりにキック力がないとやっていけないから、あなたの力を見たいの」 「いいけど」 部員達はゴールの前に集まる。 「PK戦をするわ。十球中、一球でも入れる事ができれば合格ね」 「一球でいいのか?」 「彼から点を取れるのはそういないもの」 そう言ってゴールを指差す。 ゴールにはバルトがキーパーグローブを付けて立っていた。 紹介するの忘れたけど彼はGK(ゴールキーパー)だ。 「俺から点を取れるものなら取ってみろ」 気合い十分のバルト。 「っしゃぁ、来いや!」 構えるバルト。 そしてエリィはボールを置く。 「がんばって」 「ああ」 「行くぞバルト!」 一球目、ゴール上部右隅に狙ったボールはバルトにキャッチされる。 二球目、三球目、四球目もバルトに阻止される。 「フェイ、そんな勢いのシュートならサルの方がマシだわ。もっと強く蹴らないとダメよ」 (俺はサル以下なのか) バカなフェイはさらに出ることのない深みにはまっていく。 「コントロールは良い方ですね」 それを見ているマリアが、エリィに言う。 「そうね。でもCFにもっとも必要なのはシュート力よ。コントロールだけならビリー方が良いし。  おかしいわねぇ。もっと力があると思ったんだけど」 「そう悲観する事でもないですよ」 横からビリーが声をかける。 「一球一球シュート力が強くなっていってますよ。バルトの顔も険しくなってきたみたいだし。  フェイは相当の実力を持ってますよ」 バシィ。 九球目、ゴール左隅ギリギリを狙ったボールは空しくバルトに弾かれる。 「はぁはぁはぁ、あと一球だぜフェイ!」 (ちくしょう、負けたくない。せっかく見つけた俺の居場所。こんな形で失いたくない) 言いたいことはわかるが、さすがにそれは寂しいぞ。 エリィを含め皆が静まる。と言ってもほとんど誰も会話してなかったけど。 最後の一球を置き、距離を取るフェイ。 「行くぞバルト!」 「来い、フェイ!」 この十回の中で一番緊張した瞬間だった。確かに自分の存在が誇示できるかできないかの瞬間だからだ。 そのため、いくぞ、と言った物のなかなか決心がつかない。 その時誰かがフェイに話し掛けてきた。 (何をしてるんだ?) 「な、なんだ?」 辺りを見まわすフェイ。だが周りには部員達が固まっている以外何もない。 その姿を見て不審に思う部員達。明らかに奇異の目でだ。 「どうしたフェイ、怖気づいたのか!?」 バルトがはやし立てる。 (俺に任せろ。俺がやってやるよ……) 何事もなかったかのように距離をとるフェイ。 「…………………なんでもない」 ザシュッ! 「な……」 その場にいた全ての部員が目を丸くしていた。 フェイが蹴った十球目のシュート、誰の目にもとまらずにゴールに突き刺さったからだ。 バルトは微動だにできていなかった。 「ふっ、これで文句ないだろう」 「え、ええ、ないけど…」 フェイは振り向いてグラウンドを出ていく。 「ど、どこへ行く気だ!」 バルトが叫ぶ。 「疲れたんだ。悪いが帰らせてもらう。明日からきちんとやる」 フェイは振り向きもせずに去っていった。 一体どうなったかは読者には一目瞭然だ。まあ何はともあれフェイの居場所は確保できたのであった。 その一部始終を窓からそっと見ていた人物は、深いため息をつきながら眼鏡をそっと上げた。 「できればこのまま人として過ごせればよかったのだが……」 ―――――――――――――――――腐れあとがき――――――――――――――――― まあなんて言うか、いわゆるサッカーネタです。 なんか突然書きたくなったわけであるわけなのである。 このサッカーネタはうたまろさんの所のユグドラ学園サッカー部の設定を一部って言うか ほとんど選手の特徴を使っています。一応きちんと許可取ってます(笑) でもうたまろさんの方は高校生なんだよね(核爆)←うちは小学生 この小説でも出てきましたが、元ソラリス小学校の生徒はドミニア達です(笑) どう考えても名のあるキャラが少ないソラリス。だからユグドラ小学校と合わせました。 そうでもしないとソラリス廃校だもん(大笑) しかしこのネタのおかげでようやくラムサス閣下とかランツとか出てくるでしょう。 ミクロ隊長とかね。このネタ尽きないよな〜。 このサッカーネタは結構続きそうです。 でもそればかりではなく、普通のネタもはさみますよ。 しかし…どう考えても運動会の時期に間に合わないだろう…。 がんばれフェイ、負けるなフェイ。負ければ間違いなくお前は用済みだ。 まあ、エリィの憂さ晴らしの道具になるだけだろうけど(笑)