ナレーション原稿・今橋担当ぶん20020209
●44・銀河(→うしろへ移動)
M31アンドロメダ銀河
M31アンドロメダ銀河
M104ソンブレロ銀河
M101銀河
M83銀河
M51子持ち銀河
×M100銀河
×NGC4414銀河
衝突する銀河
車輪銀河
銀河系の中心方向
天の川と流星群
深宇宙の銀河群
星座の中のM31(送ります。少々お待ちを。)
(ナレ)
「我々の太陽系は、銀河系と呼ばれる星の大集団の中にあります。宇宙には同じような大集団がたくさんあり、それらは銀河と呼ばれています。」
(解説)
我々は、約2000億の恒星が直径約10万光年の範囲に円盤状に集まった星の集団の中にいます。この集団は「銀河系」と呼ばれます。銀河系は、中心部は分厚く、周縁部は薄く、ちょうどドラ焼き、または目玉焼きを背中合わせにしたもののような形になっています。太陽系は、銀河系の中心から3万光年ほど離れた薄い部分にあります。円盤を内側から見ているのが「天の川」です。
同じような集団はたくさんあり、それらは「銀河」と呼ばれます。(すなわち、「銀河系」は固有名詞、「銀河」は一般名詞です)
M31銀河はアンドロメダ座の方向に見えるため「アンドロメダ銀河」とも呼ばれます。銀河系から約200万光年の距離にある隣の銀河で、銀河系より少し大きく、形はよく似ていると考えられています。条件のよいところ(空気がきれいで、町の明かりなどにじゃまされないところ)では肉眼でも見えますので、機会があったら探してみてください。周囲の星と違って、少しぼやけたように見えます。
M104は同様な銀河を「真横」からみる位置関係になっているもの、M101、M83、M51はほぼ「真上」から見る位置関係になっているものです。よく見ると周縁部は渦巻き状になっていることがわかります。そこで、(我々の銀河系を含めて)これらの銀河は「渦巻き銀河」と呼ばれます。
渦巻き銀河のほかに、渦巻き状の腕を持たない「楕円銀河」、腕が長く伸びたような「棒渦巻き銀河」、不規則な形をした「不規則銀河」などがあります。
銀河系の中心は、いて座の方向にあります。夏の夜空で、天の川がひときわ太く濃い部分です。銀河面(ドラ焼きの合わせ目に当たる部分)にはチリや低温のガスなど光を吸収する物質も多いため、天の川は2すじに分かれて見えます。
銀河は恒星やチリ、ガスなどが重力で引き合ってまとまっているものですが、銀河どうしも重力で引き合い、「銀河団」と呼ばれる集団を作っています。我々は「局部銀河団」と呼ばれる集団にいます。
銀河と銀河の衝突も珍しいことではないようです。銀河は天体の集団とはいえ「隙間」が多いので互いにすり抜けて行くのですが、それぞれの天体の重力によって形が大きく乱れます。「車輪銀河」はそのような衝突の結果としてできたものと考えられています。我々の銀河系も、今から数十億年後にM31と衝突すると予測されています。
「深宇宙の銀河群」は、ハッブル宇宙望遠鏡が10日ほどかけて撮影したもので、この中には約100億光年彼方の銀河も写っているものと考えられています。このことは、宇宙にはたくさん銀河があることのほか、かなり早い時期(おそらく宇宙が始まって10億年ぐらい後)にはすでに銀河が存在したことを示しています。
「M××」は「メシエ番号」と呼ばれるものです。18世紀フランスの天文学者メシエがつけた整理番号ですが、彼の目的は彗星発見でした。彗星は銀河や散光星雲と同様にぼやけて見えるため、まぎらわしい天体をあらかじめリストアップしたのです。
(用語集へ)
銀河、銀河系、恒星、光年、銀河団、ハッブル宇宙望遠鏡、メシエ
□・星の一生
写真が輪になってるやつ
(ナレ)
「宇宙空間の物質が集まって星ができます。星を作っていた物質は、星の寿命が尽きるときに再び宇宙空間へ放出されます。」
(解説)
ほとんど真空の宇宙ですが、ところどころガスやチリが集まっているところがあり、「星間雲」と呼ばれます。
星間雲のガスやチリが重力で収縮し、高温になった中心部で核反応が始まると恒星として輝き始めることになります。
安定して輝いている恒星は「主系列星」と呼ばれます。
恒星はしばらく主系列星として輝いたのち大きく膨らみはじめ、低温で明るい「赤色巨星」になります。
あまり質量の大きくない恒星は、外層部のガスを放出したのち芯が収縮して「白色わい星」になりますが、質量の大きな恒星は最後に「超新星爆発」と呼ばれる大爆発を起こします。
こうして放出されたガスやチリは再び星間雲になり、新しい星を作る材料になります。我々の太陽や地球を作った材料も、こうしてばらまかれた星の残骸です。
(用語集へ)
星間雲、主系列星、赤色巨星、白色わい星、
4・星の一生
ガスが集まってから超新星爆発までのアニメ
ナレ「恒星の内部では、核反応で新しい原子が作られます。それらは、星の一生の最後に宇宙空間に放出されます。」
(解説)
宇宙に最も多い元素は水素です。当然、恒星の主成分も水素で、そのほかの元素が少し含まれます。
これらの材料物質が重力で引き合って収縮すると、中心部は圧縮されて高温になります。高温の気体は膨張しようとしますが、重力の方が強ければ収縮は続きます。そして中心部の温度が1000万度を超えると、水素の核反応が始まり、恒星の誕生となります。
水素の核反応でできたヘリウムは「燃えかす」として恒星の中心にたまって行き、その外で水素は核反応を続けます。しかしやがて、核反応が続けられなくなるとエネルギーの発生が止まるため、芯は収縮します。すると収縮した芯の中心が高温になり、ヘリウムが核反応を始めます。
ヘリウムが核反応をするようになると、水素の時代よりも恒星は膨張し、赤色巨星になります。
やがてヘリウムの核反応も終わりますが、その後も同様に何段階かの核反応が起こり、中心には新しい「燃えかす」がたまります。
中心に鉄の芯ができると、その後は新しい核反応は起こらなくなります。質量の大きな恒星の場合、収縮した鉄の芯の中心部は数十億度にもなり、大爆発を起こして恒星は一生を終わります。
水素とヘリウムの2つの元素は、宇宙が始まったときから存在しました。それ以外の元素は、このようにして恒星の内部で作られ、ばらまかれたものです。
太陽の現在の組成は原子数比(モル比)で約90%が水素、残り10%はほとんどがヘリウムですが、それ以外の元素も含まれていることがわかっています。また、地球に酸素、炭素、鉄などが存在します。これらは、我々の太陽系が「星の灰」でできていることの証拠です。
我々生物の体も地球上の物質を材料にしてできています。我々も「星の灰」でできているのです。
超新星爆発にいたるのは質量の大きな恒星の場合です。あまり質量の大きくない恒星の場合、核反応は鉄まで進まず、超新星爆発も起こしません。たとえば我々の太陽の場合、珪素(Si)の芯ができるところまでで核反応は終わり、収縮した芯は白色わい星になると考えられています。
(用語集へ)
水素、ヘリウム、核反応、珪素、超新星爆発
5 ・6 ・「星間雲」
散光星雲(NGC2237ばら星雲)
散光星雲(NGC7000北アメリカ星雲)
散光星雲(NGC1499カリフォルニア星雲)
散光星雲(M8干潟星雲)
暗黒星雲(IC134馬頭星雲)
暗黒星雲(IC134馬頭星雲)
暗黒星雲(IC134馬頭星雲)
暗黒星雲(M20三裂星雲)
(ナレ)
A案「宇宙空間で、ガスや塵(ちり)が濃く集まっているところを星間雲といいます。」
B案「宇宙空間で、ガスや塵が濃く集まっているところを星間雲といいます。明るいものを散光星雲、暗いものを暗黒星雲といいます。」
ほとんど真空の宇宙ですが、ところどころガスやチリが集まっているところがあり、「星間雲」と呼ばれます。星間雲は、温度が高かったり、近くの星の光を受けていたりすると明るく見えて「散光星雲」と呼ばれます。逆に低温で照らす星もない場合には、光を吸収して背後の天体を隠すため「暗黒星雲」と呼ばれます。
ふつうの宇宙空間には、1cm3あたり0.1個程度の原子しかありませんが、星間雲ではその100倍程度の密度になっています。また、特に濃い(1cm3あたり10000原子程度)部分では原子どうしが衝突し、分子ができていることがわかっています(このような部分を「分子雲」と呼びます)。
散光星雲が「近くの星の光を受けて輝く」場合には、単純に光を反射する場合のほかに、紫外線で水素原子が励起されて可視光線を放射する場合があります。この場合には水素原子特有の赤い光(Hα線)を出します。
水素原子以外の物質も、それぞれに特有の波長の電磁波(光や電波)を出すため、この電磁波を手がかりに、そこに存在する物質を知ることができます。そのようにして、分子雲の中にはメタンやアルコールなど、簡単な有機物も含まれていることがわかっています。
「M××」は「銀河」のページにも出てきたメシエのカタログ番号、「NGC××」「IC×× 」は19世紀から20世紀にかけてイギリスのドライヤーが作ったカタログの番号です。NGCは「New General Catalogue」、ICは「Index Catalogue」の頭文字です。
(用語集へ)
星間雲、散光星雲、暗黒星雲、分子雲、有機物、メシエ、ドライヤー
7 ・星の卵
わし星雲(へび座M16)
わし星雲
わし星雲
わし星雲
(ナレ)
「星雲の特に濃いところでは、ガスや塵が重力で収縮し、新しい星ができます。」
(解説)
写真はいずれも、へび座にある星間雲M16(通称「わし星雲」)です。わし星雲の中心部には暗黒星雲があり、ここで今まさに新しい星が誕生しつつあります。2枚目の写真で茶色い雲の一部が細く突き出した部分がいくつも見られますが、ここが、ガスが重力で収縮し、新しい星が誕生しようとしている現場です。
星間雲が収縮して星になるためには、重力による収縮が温度による膨張に打ち勝つ必要があります。そのため、星が誕生する主な舞台は低温の暗黒星雲であると考えられてきました。
わし星雲の拡大写真2枚はハッブル宇宙望遠鏡が撮ったもので、この鮮明な、地上の天文台ではあり得ない写真によってその考えが裏付けられました。
ガスが収縮して星になるためには、単純に重力で収縮するほか、近くで超新星爆発があった場合などに重力波の影響で圧縮が進み、核反応が始まる場合などがあると考えられています。
「銀河」の項目に、「車輪銀河」の写真がありました。その「車輪」部分に青い明るい星がたくさんあることがわかります。これらは皆、若い星です。つまり、この部分では、最近次々と新しい星が誕生したことになります。これは当然、銀河の衝突と関係があるものと考えられます。
(用語集へ)
ハッブル宇宙望遠鏡、超新星爆発、重力波、核反応
8 ・星の誕生
M42オリオン星雲
×M42オリオン星雲中心部
M42中心部
http://www.janis.or.jp/users/kitahara/trp-94.jpg.html
(http://www.janis.or.jp/users/kitahara/index.html北原天文台)
M42中心部(可視光画像)
http://imgsrc.hubblesite.org/hu/db/2000/19/images/c/formats/full_jpg.jpg
M42中心部(赤外線画像)
http://imgsrc.hubblesite.org/hu/db/2000/19/images/b/formats/full_jpg.jpg赤外線
(http://hubblesite.org/newscenter/archive/2000/19/上記2枚の説明)
ちりとガスの円盤
http://imgsrc.hubblesite.org/hu/db/1995/45/images/b/formats/web_print.jpg
(http://hubblesite.org/newscenter/archive/1995/45/説明)
オリオン座
(ナレ)
「ガスのかたまりが重力で収縮し、中心部の温度が1000万(いっせんまん)度を超えると核反応が始まり、恒星として輝き始めます。」
(解説)
星間雲のガスやチリが重力で収縮すると、中心部は圧縮されて高温になり、赤外線を出すようになります。さらに圧縮されて、中心部の温度が1000万度を超えると水素が核反応を始めます。このときが恒星の誕生のときです。
前の項目にあった「わし星雲」の写真でもわかるように、ひとつの星雲の中でいくつもの恒星がほぼ同時に誕生します。
オリオン座にある星間雲M42(通称「オリオン大星雲」)は次々と恒星が誕生する場になっています。M42の中心部には「トラペジウム」と呼ばれる4つの明るい星があることが以前から知られており、これは同時に誕生したばかりの恒星と考えられています。
また、オリオン座の恒星の多くは、同様にここで誕生し移動していった若い恒星です。
明るい星が長方形状に並んだオリオン座の中央部、オリオンのベルトにあたる部分が「三ツ星」ですが、三ツ星の南(「下」)にはオリオンの剣にあたる「小三ツ星」があります。小三ツ星の中央がM42です。肉眼でも、他の星と違って少しぼやけて見えるはずです。
M42は写真では半円形、もしくは鳥が翼を広げたような形に見えます。散光星雲の手前に暗黒星雲があり、散光星雲の一部を隠すことでこのような形になっています。
ハッブル宇宙望遠鏡の観測で、ここではトラペジウムの他にもたくさんの恒星が誕生しつつあることが明らかになりました。
また、いくつかの新しい恒星の周囲に、ガスとチリの円盤が見つかりました。低温のガスやチリが背景の星雲の光を遮っているため暗く見えます。太陽系の惑星は、このような円盤のガスやチリが集まってできたものと考えられています。
(用語集へ)
核反応、トラペジウム、
9 ・若い星
M45プレアデス星団
星座の中のM45
(ナレ)
「恒星が輝き始めると、周囲に残っていたガスは吹き飛ばされてしまいます。プレアデス星団の星がにじんだように見えるのは、まだ少し、周囲にガスが残っているためです。」
(解説)
核反応が始まると、恒星は明るく輝き始めます。そのため、重力で強く引きつけられている部分を残して、周囲のガスは吹き飛ばされてしまいます。こうして、M45のような「散開星団」が誕生します。この兄弟星たちは、やがて、互いの重力で振り回され、離ればなれになってゆきます。
なお、M45は、西洋では「プレアデス星団」、日本では「すばるぼし」「むつらぼし(六連星)」などと呼ばれてきました。
(用語集へ)
散開星団
10・主系列星
おおくま座http://www.ne.jp/asahi/stellar/scenes/seiza/uma.jpg
しし座http://www.ne.jp/asahi/stellar/scenes/seiza/leo.jpg
こと座http://www.ne.jp/asahi/stellar/scenes/seiza/lyr.jpg
はくちょう座http://www.ne.jp/asahi/stellar/scenes/seiza/cyg.jpg
いるか座http://www.ne.jp/asahi/stellar/scenes/seiza/del.jpg
アンドロメダ座http://www.ne.jp/asahi/stellar/scenes/seiza/and.jpg
おうし座http://www.ne.jp/asahi/stellar/scenes/seiza/tau.html
ぎょしゃ座http://www.ne.jp/asahi/stellar/scenes/seiza/aur.jpg
オリオン座の星
冬の大三角形
夏の大三角形
HR図
(ナレ)
A案「安定して輝いている恒星を主系列星といいます。」
B案「安定して輝いている恒星を主系列星といいます。主系列星は、質量が大きいほど表面温度が高く、また明るく輝きます。」
(解説)
中心部で水素の核反応が続く間、恒星は安定して輝き続けます。たくさんの材料を集めてできた、質量の大きい星は核反応がさかんなため明るく輝き、また表面温度が高くなります。
写真には色とりどりの星が写っていますが(主系列星でない星も写っています)、恒星の色は表面温度で決まります。青い星が温度が高い星で、白、黄色、だいだい色と順次温度が低い星になり、赤い星は特に温度が低い星(それでも約3000度)です。
星の明るさと表面温度の関係をあらわしたものがHR図です。縦軸は恒星が出す光の強さで、上に行くほど明るくなっています。横軸は温度で、左ほど高くなっています。すると大部分の恒星は左上から右下へほぼ一列に並びます。このグループの恒星が主系列星です。
我々の太陽は、HR図上では主系列のほぼ中央に位置します。
HR図の縦軸に「絶対等級」と書いてあります。これは、その恒星を32.6光年の距離から眺めた時の実視等級です。32.6光年とは半端に見えますが、実は「10パーセク」というキリのいい距離です。
HR図の横軸は表面温度にすることもありますし、色にすることもあります。また、「スペクトル型」にすることもありますが、これは光の色を分析して決めるものです。当然ながら、いずれの場合も(多少の伸び縮みがありますが)ほぼ同じ図ができあがります。
HR図は「ヘルツシュプルング・ラッセル図」とも言います。この名は、この図を作った二人の天文学者の名に由来します。ヘルツシュプルングとラッセルは、当初独立にこの研究をしていましたが、途中から共同で研究を進め、恒星が「主系列星」「赤色巨星」「白色わい星」に分類できることを発見しました。
(用語集へ)
主系列星、スペクトル型、HR図、光年、パーセク、実視等級、絶対等級、赤色巨星、白色わい星
11・原始太陽系星雲形成過程
アニメーション(雲→円盤→太陽系)
(ナレ)
「今から46億年ほど前、太陽系が誕生しました。ガスや塵が回転しながら円盤状に集まり、中心に太陽が、周辺部に惑星ができたと考えられています。」
(解説)
我々の太陽系も、他の恒星の場合と同じようにガスやチリが集まってできました。集合以前のガスやチリが静止していたわけではないので、簡単に一点に集まることはできず、回転する雲のような形になったと考えられます。この雲は次第に円盤状になりました。
チリやガスのうち、特にガス成分は粘性によって次第に減速されるため、中央部に集まります。こうして大きな塊ができ、やがて核反応を起こすようになって太陽になりました。
一方、周辺部ではチリが集まって塊(微惑星)になり、微惑星がぶつかりあって合体し、大きな塊に成長してゆきました。これが惑星です。木星や土星は質量が大きく、重力が強いため、固体の芯の周囲に大量のガスを引きつけた巨大惑星になりました。
輝き始めた太陽によって、円盤のガスは吹き払われます。太陽誕生から約1000万年で円盤は消失し、9つの惑星といくつかの衛星、惑星になり損なった岩石片(小惑星)などが残って現在の太陽系の原型ができあがったと考えられています。
「星の誕生」の項目に写真を出しましたが、新しい恒星の周囲には、ガスやチリの円盤がごく普通に存在するものと考えられるようになってきています。
太陽系の場合、太陽の質量の100分の1程度の質量の円盤が存在したと考えられています。これは、現在観測されている他の恒星の場合と比較すると、ごく平均的な量です。その大部分は水素とヘリウムで、固体成分(チリ)は1%程度でした。
円盤内でチリの濃さにムラができます。すると濃いところのチリは重力で集まって1km〜10km程度の塊になりました。これが微惑星です。微惑星どうしが互いの重力で軌道を乱しあい、ぶつかりあって惑星になりました。
こうしてできた塊が、地球の10倍程度の質量があればガスを引きつけて木星型惑星になることができます。円盤のガス成分のうち10%程度がこうして残り、90%程度は太陽に吹き払われて散逸しました。
新しい恒星が、2方向に「ジェット」と呼ばれるガスの流れを噴出しているものがいくつも見つかっています。これは、核反応が始まって放出される恒星外層部のガスが、吹き出しやすい方向、つまり円盤面に垂直な方向に吹き出しているものと考えられます。
(用語集へ)
微惑星、小惑星、木星型惑星
12・核反応
アニメーション(水素の核反応)
(ナレ)
「太陽の中心部では、水素の核反応がおきています。水素の原子核4個がヘリウムの原子核1個に変化し、そのときに出るエネルギーで太陽が輝いています。」
(解説)
中学校や高校では「化学反応」について勉強します。化学反応は原子の組み合わせが変わる現象で、原子そのものは変化しません。それに対し、核反応は原子が別の原子に(正確には「原子核が別の原子核に」)変わってしまう反応です。
太陽のような主系列星の中心部では、水素原子(原子核)4個がヘリウム原子(原子核)1個に変わる反応が起きています。このとき莫大なエネルギーが放出されます。これが太陽の光の源になっているのです。
太陽の中心部の温度は1600万度と推定されています。核反応はそのような条件下で原子核が激しくぶつかりあって起きる反応です。
この場合のように、複数の原子核が一つの原子核に変化する核反応は「核融合反応」と呼ばれます。逆に一つの原子核が複数の原子核に変化する「核分裂反応」もあります。
実用化されている原子炉は、ウランやプルトニウムの核分裂反応を利用したものです。核融合反応のほうは、核兵器(水素爆弾)に利用(という言葉が適切かどうか微妙なところですが)されているだけです。これらの応用例からわかる通り、核反応は化学反応に比べて大きなエネルギーを取り出すことができます。
水素の核融合反応では、まず1H(普通の水素。軽水素ともいう)原子核2個が衝突・合体して2H(重水素。デューテリウムとも言う)原子核になり、さらに水素原子核が衝突・合体して3He原子核になります。この3He原子核どうしが衝突・合体し、4He(普通のヘリウム)原子核1個と普通の水素原子核2個になります。この各段階でエネルギーが放出されます。
(用語集へ)
核反応、化学反応、水素、重水素、ヘリウム、原子核、核融合反応、核分裂反応
13・ヘリウム以降の核反応
アニメーション(どんどん新しいのができる)
(ナレ)
「年老いた恒星の中ではヘリウムが核反応を起こし、炭素の原子核ができます。その炭素がさらに核反応を起こし、最終的には鉄の原子核ができます。」
(解説)
恒星が年老いて水素の核反応が終わったあと、「燃えかす」であったヘリウムの核反応が始まります。ヘリウム(He)原子(正確には原子核)3個が炭素(C)原子(原子核)1個に変わります。さらに、この炭素原子(原子核)とヘリウム原子(原子核)から酸素(O)原子(原子核)ができる反応も起こります。
ヘリウムの核反応が終わった後、今度は炭素が核反応を起こします。炭素原子(原子核)2個からネオン(Ne)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)等の原子(原子核)ができ、さらにいろいろな核反応がおきてケイ素(Si)、鉄(Fe)などの原子(原子核)ができます。
あとになってできる原子(原子核)ほど重いので中心にたまり、年老いた恒星の内部は、鉄を中心に何層かの層状になるものと考えられています。
恒星の内部で一つの核反応が終わり、熱の発生がなくなると恒星の芯は収縮します。収縮すると温度が上がり、次の核反応が始まります。新しい核反応が始まるためには、以前のものよりもより高い温度が必要です。
太陽の場合、珪素の芯ができたあたりで核反応が止まると考えられています。質量があまり大きくないため、芯が収縮しても次の核反応を起こすだけの条件にならないのです。
(用語集へ)
核反応
14・化学反応
アニメーション(二酸化炭素)
ナレ「化学反応のときには原子の組み合わせが変わります。原子そのものは変化しません。」
太陽の中心部は温度が1600万度と推定されています。核反応は、そのような条件で水素原子(原子核)が激しくぶつかりあって起きる反応であり、地球上の常識的な条件は起きません。
それに対し、化学反応は地球上の常識的な条件で起きる反応です。ここでは「炭素の燃焼」をアニメーションにしてみましたが、原子の組み合わせが変わるだけで、原子そのものは変化しません。
核反応と化学反応、しっかり区別をつけるようにしましょう。
(用語集へ)
化学反応、核反応
15・赤色巨星
オリオン座の星
さそり座
http://www.ne.jp/asahi/stellar/scenes/seiza/sco.jpg
さそり座と火星
HR図
(ナレ)
A案「年老いた恒星は赤色巨星になります。」
B案「寿命が近づき、ヘリウムの核反応が始まった恒星は赤色巨星になります。激しい核反応のため明るく輝きますが、表面積が大きいため表面温度は低く、赤い光を出します。」
(解説)
恒星の中心部で水素の核反応が終わったあと、ヘリウムの核反応、さらに炭素の核反応が起きます。これらの核反応では水素の核反応よりも大きなエネルギーが放出されるので、恒星は明るさを増します。しかし同時に膨張するため表面積が大きくなり、表面温度は下がります。こうして、年老いた恒星は明るくて表面温度が低い星、すなわち赤色巨星になるのです。
オリオン座のベテルギウスと、さそり座のアンタレスは、それぞれ冬と夏の夜空の代表的な赤色巨星です。
ベテルギウスは鼓型のオリオン座の「左上」(北東)にある星で、三ツ星をはさんで向き合う青いリゲルと好対照です。昔の日本では、リゲルを「源氏星」、ベテルギウスを「平家星」と呼んでいました。
また、アンタレスは「さそりの心臓」の位置にある星で、その名は「火星(アーレス)に対抗するもの(英語式に言えばアンチ・アーレス)」に由来します。
これらの星の色は素人目にもはっきりわかります。条件のよいところ(空気がきれいで、町の明かりなどにじゃまされないところ)で星を見る機会があったら、ぜひ色の違いを見て下さい。
HR図で右上に位置する恒星が赤色巨星です。ぎょしゃ座のカペラやりゅうこつ座のカノープスは、主系列星から赤色巨星になりかけている星です。
アンタレスの直径は太陽の約200倍、ベテルギウスにいたっては太陽の800倍もあり、これはほぼ木星の軌道に相当します。なお、リゲルの直径は太陽の約30倍です。
(用語集へ)
赤色巨星、
●16・リング星雲(18と統合)
M57リング星雲
M57リング星雲
白色わい星
HR図
(ナレ)
「赤色巨星になるとき、外層部のガスの一部は宇宙空間に放出されます。球殻状に広がったガスは、リング星雲として観察されます。」
(解説)
新しい核反応が始まるとき、恒星外層部のガスは急激に膨張します。そして一部は、そのまま宇宙空間へ放出されます。こうしてシャボン玉のような形になったガスがリング星雲です。
我々の太陽も、数十億年後にはガスを放出してリング星雲をつくり、最後に残った芯は白色わい星になるものと考えられています。
M57の場合、中心の星はすでに白色わい星になっています。高温の白色わい星から放出される紫外線をうけてリング星雲のガスが励起され、輝いています。
(用語集へ)
リング星雲、
●18・白色わい星(16と統合)
M4の白色わい星群(HST)
シリウスA・B(X線画像)
http://chandra.harvard.edu/photo/cycle1/0065/0065_xray.jpg
(http://chandra.harvard.edu/photo/cycle1/0065/index.html説明)
(http://chandra.harvard.edu/photo/image_use.html使用について)
(ナレ)
「寿命が尽き、核反応を起こさなくなった恒星の芯は収縮し、白色わい星(はくしょくわいせい)になります。」
(解説)
太陽の約4倍以上の質量がある恒星の場合、寿命の最後には、後の項目にあるように超新星爆発を起こします。それだけの質量がない恒星の場合、新しい核反応を起こせなくなった芯は静かに収縮して行きます。
核反応を起こさなくなったとはいえ、しばらくは余熱があるため、収縮して表面積が小さくなると表面温度は高くなります。こうしてできた、高温で暗い星が白色わい星です。
白色わい星は太陽程度の質量のもので地球程度の直径です。別の言い方をすると、1cm3あたり1トン前後の密度になります。
白色わい星はやがて温度が下がり、光を発しない「黒色わい星」になります。
最初に発見された白色わい星は「シリウスB」です。シリウスはおおいぬ座のα星ですが、19世紀の精密な位置観測の結果、楕円を描くようにふらついていることが発見されました。このことから、何か暗い天体が強力な重力を及ぼしていることが予想されていましたが、1862年にその天体が発見されました。
この新発見の天体が「シリウスB」で、重力の大きさから計算される質量、明るさなどから白色わい星であることがわかりました。なお、従来から知られていた方の天体は「シリウスA」と呼ばれることになりました。
シリウスのように、複数の恒星が回り合っているものを「連星」といいます。現在調べられている恒星のうち、約3分の2は連星で、我々の太陽のような単独の恒星はむしろ少数派です。シリウスのように2つの恒星が連星系をつくっているものの他、3つや4つの恒星が連星系を作っているものもあります。
(用語集へ)
白色わい星、黒色わい星、α星、連星
新16・18 リング星雲
M57リング星雲
M57リング星雲
M4の白色わい星群(HST)
シリウスA・B(X線画像)
http://chandra.harvard.edu/photo/cycle1/0065/0065_xray.jpg
(http://chandra.harvard.edu/photo/cycle1/0065/index.html説明)
(http://chandra.harvard.edu/photo/image_use.html使用について)
HR図
(ナレ)
「赤色巨星になるとき、外層部のガスの一部は宇宙空間に放出されます。球殻状に広がったガスは、リング星雲として観察されます。」
(解説)
新しい核反応が始まるとき、恒星外層部のガスは急激に膨張します。そして一部は、そのまま宇宙空間へ放出されます。こうしてシャボン玉のような形になったガスがリング星雲です。
太陽の約4倍以上の質量がある恒星の場合、寿命の最後には、後の項目にあるように超新星爆発を起こします。それだけの質量がない恒星の場合、新しい核反応を起こせなくなった芯は白色わい星になります。
核反応を起こさなくなった芯は静かに収縮して行きます。しかし、しばらくは余熱があるため、収縮して表面積が小さくなると表面温度は高くなります。こうしてできた、高温で暗い星が白色わい星です。M57の中心にも白色わい星があります。
白色わい星は太陽程度の質量のもので地球程度の直径です。別の言い方をすると、1cm3あたり1トン前後の密度になります。
我々の太陽も、数十億年後にはガスを放出してリング星雲をつくり、最後に残った芯は白色わい星になるものと考えられています。
最初に発見された白色わい星は「シリウスB」です。シリウスはおおいぬ座のα星ですが、精密な位置観測の結果、楕円を描くようにふらついていることが発見されました。このことから、何か暗い天体が強力な重力を及ぼしていることが予想されていましたが、1862年にその天体が発見されました。
この新発見の天体が「シリウスB」で、重力の大きさから計算される質量、明るさなどから白色わい星であることがわかりました。なお、従来から知られていた方の天体は「シリウスA」と呼ばれることになりました。
M57が輝いているのは、高温の白色わい星から放出される紫外線をうけてリング星雲のガスが励起されているためです。
白色わい星はやがて温度が下がり、光を発しない「黒色わい星」になります。
シリウスのように、複数の恒星が回り合っているものを「連星」といいます。現在調べられている恒星のうち、約3分の2は連星で、我々の太陽のような単独の恒星はむしろ少数派です。シリウスのように2つの恒星が連星系をつくっているものの他、3つや4つの恒星が連星系を作っているものもあります。
(用語集へ)
リング星雲、
白色わい星、黒色わい星、α星、連星
19・超新星爆発
超新星1987A
M1かに星雲
M1かに星雲
NGC6992網状星雲
NGC6992網状星雲
スーパーカミオカンデ
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/doc/sk/photo/sk_build44.jpg
スーパーカミオカンデ
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/doc/sk/photo/sk_build01.jpg
建設途中のスーパーカミオカンデ
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/doc/sk/photo/sk_build19.jpg
(権利等http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/doc/sk/photo/normal_j.html)
(ナレ)
「質量の大きな恒星は、最後に大爆発を起こし、物質を宇宙空間に撒き散らします。」
(解説)
太陽の4倍以上の質量がある恒星は、最後に大爆発をおこします。
何段階かの核反応で鉄ができたあと、恒星の芯はそれまでと同様に収縮しますが、もはや新たな核反応は起こりません。じつは、鉄はこの世で一番安定な元素です。芯はひたすら収縮し、中心の温度はひたすら上昇します。
中心の温度が数十億度に達したところで鉄の原子核が潰れて中性子の塊に変わります。中心部が潰れるため、その周囲にあった物質は急激に中心へ落ち込み、衝撃波が発生して大爆発を起こします。これが超新星爆発です。
超新星爆発のあとには中性子の塊だけが残ります。これは中性子星と呼ばれます。そのほかの物質は吹き飛ばされ、宇宙空間にまき散らされます。
M1(通称「かに星雲」)は、おうし座にある散光星雲です。11世紀に同じ場所で超新星爆発が観測されており、そのときにまき散らされた物質であると考えられています。現在も膨張を続けています。
NGC6992ははくちょう座にある散光星雲で、M1のような星雲がさらに膨張を続けてできたものです。
超新星爆発の時には、普段とは違う核反応が起こり、恒星内部では作られなかった元素が作られます。
鉄は地球上に大量に存在し、安価な金属として利用されています。炭素や酸素も大量に存在します。これらは恒星内部の核反応でごく普通に作られる元素だからです。金や銀、ウランなどはわずかしか存在しません。これらは超新星爆発のときだけに作られる元素だからです。
M1のもとになった超新星爆発が観測されたのは1054年で、中国と日本の古文書(藤原定家「名月記」など)に記録が残っています。この星雲は1758年、フランスのメシエが発見しました。
超新星爆発を起こすのは、核反応を起こしたり「燃えかす」がたまったりしている芯の質量が、太陽全体の質量の1.46倍以上の恒星です。それだけの芯を持つ恒星は、全体の質量が太陽の4倍程度になります。
上に書いたストーリーは、実は太陽の10倍程度以上の質量を持つ恒星の場合で、それより小さい恒星の場合は少し異なります。炭素の核反応の暴走で超新星爆発が起こり、星全体が吹き飛んであとには何も残らない場合や、マグネシウムの芯が潰れて中性子塊になり、超新星爆発が起きる場合などがあると考えられています。
1987年2月、16万光年離れたところで起きた超新星爆発が観測されました。このときに放出されたニュートリノが、東京大学が岐阜県の地下に作った観測装置「カミオカンデ」で観測されました。
2002年、東京大学の小柴昌俊名誉教授が受賞したノーベル物理学賞は、このカミオカンデの建設とそれを使った研究によるものです。現在、より大型で高性能の「スーパーカミオカンデ」が建設され、研究に使われています。
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中性子、中性子星、超新星爆発、ニュートリノ、カミオカンデ
17・網状星雲
(超新星爆発に統合)
44・銀河(←前のほうから移動)
M31アンドロメダ銀河
M31アンドロメダ銀河
M104ソンブレロ銀河
M101銀河
M83銀河
M51子持ち銀河
×M100銀河
×NGC4414銀河
衝突する銀河
車輪銀河
銀河系の中心方向
天の川と流星群
深宇宙の銀河群
星座の中のM31(送ります。少々お待ちを。)
(ナレ)
「我々の太陽系は、銀河系と呼ばれる星の大集団の中にあります。宇宙には同じような大集団がたくさんあり、それらは銀河と呼ばれています。」
(解説)
我々は、約2000億の恒星が直径約10万光年の範囲に円盤状に集まった星の集団の中にいます。この集団は「銀河系」と呼ばれます。銀河系は、中心部は分厚く、周縁部は薄く、ちょうどドラ焼き、または目玉焼きを背中合わせにしたもののような形になっています。太陽系は、銀河系の中心から3万光年ほど離れた薄い部分にあります。円盤を内側から見ているのが「天の川」です。
同じような集団はたくさんあり、それらは「銀河」と呼ばれます。(すなわち、「銀河系」は固有名詞、「銀河」は一般名詞です)
M31銀河はアンドロメダ座の方向に見えるため「アンドロメダ銀河」とも呼ばれます。銀河系から約200万光年の距離にある隣の銀河で、銀河系より少し大きく、形はよく似ていると考えられています。条件のよいところ(空気がきれいで、町の明かりなどにじゃまされないところ)では肉眼でも見えますので、機会があったら探してみてください。周囲の星と違って、少しぼやけたように見えます。
M104は同様な銀河を「真横」からみる位置関係になっているもの、M101、M83、M51はほぼ「真上」から見る位置関係になっているものです。よく見ると周縁部は渦巻き状になっていることがわかります。そこで、(我々の銀河系を含めて)これらの銀河は「渦巻き銀河」と呼ばれます。
渦巻き銀河のほかに、渦巻き状の腕を持たない「楕円銀河」、腕が長く伸びたような「棒渦巻き銀河」、不規則な形をした「不規則銀河」などがあります。
銀河系の中心は、いて座の方向にあります。夏の夜空で、天の川がひときわ太く濃い部分です。銀河面(ドラ焼きの合わせ目に当たる部分)にはチリや低温のガスなど光を吸収する物質も多いため、天の川は2すじに分かれて見えます。
銀河は恒星やチリ、ガスなどが重力で引き合ってまとまっているものですが、銀河どうしも重力で引き合い、「銀河団」と呼ばれる集団を作っています。我々は「局部銀河団」と呼ばれる集団にいます。
銀河と銀河の衝突も珍しいことではないようです。銀河は天体の集団とはいえ「隙間」が多いので互いにすり抜けて行くのですが、それぞれの天体の重力によって形が大きく乱れます。「車輪銀河」はそのような衝突の結果としてできたものと考えられています。我々の銀河系も、今から数十億年後にM31と衝突すると予測されています。
「深宇宙の銀河群」は、ハッブル宇宙望遠鏡が10日ほどかけて撮影したもので、この中には約100億光年彼方の銀河も写っているものと考えられています。このことは、宇宙にはたくさん銀河があることのほか、かなり早い時期(おそらく宇宙が始まって10億年ぐらい後)にはすでに銀河が存在したことを示しています。
「M××」は「メシエ番号」と呼ばれるものです。18世紀フランスの天文学者メシエがつけた整理番号ですが、彼の目的は彗星発見でした。彗星は銀河や散光星雲と同様にぼやけて見えるため、まぎらわしい天体をあらかじめリストアップしたのです。
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銀河、銀河系、恒星、光年、銀河団、ハッブル宇宙望遠鏡、メシエ
20・現在の太陽系
(ナレ)
「太陽系です。太陽と、その周りを回る9個の惑星、惑星の周りを回る衛星、小惑星、彗星などからなる集団です。」
(解説)
太陽系は、太陽を中心とした天体の集団です。
水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星・冥王星の9つの惑星のほか、大小さまざまな岩石片である小惑星や、氷の塊である彗星などが太陽の重力に引きつけられ、周りを回っています。
水星・金星以外の惑星はその周りを衛星が回っていますが、惑星が衛星を引きつけている力はやはり重力です。
太陽から冥王星までは光の速さで約6時間、「彗星の故郷」と考えられている「オールトの雲」の外側までは光の速さで約1.5年の距離です。なお、一番近い恒星までは光の速さで4.3年です。
このアニメーションでは、惑星の大きさは太陽よりも大きめにあらわしてあります。また、惑星どうしの大きさの比率も実際とは違います。惑星間の公転速度の比率、自転速度の比率はほぼ実際通りですが、各惑星の公転速度と自転速度の比率は合っていません(つまり、地球が1回公転する間に365回自転するようにはなっていません)。
惑星や小惑星、彗星はすべて、「太陽を一方の焦点とする楕円軌道」上を運動しています。これは17世紀の天文学者ケプラーが発見したことです(ケプラーの第一法則「楕円軌道の法則」)。のちにニュートンが現れ、太陽の重力(正確には「太陽とその惑星の間の万有引力」)による運動であることを明らかにしました。
惑星が軌道上を遠日点から近日点へ向かうとき、太陽の重力は、進行方向の斜め前方から惑星に作用します。そのため惑星は徐々に加速します。近日点を過ぎると重力が斜め後方から作用するため、惑星は徐々に減速します(ケプラーの第二法則「面積速度一定の法則」)。
重力の大きさは距離に反比例するので、太陽に近い惑星ほど速く公転し、重力と遠心力の釣り合いを保っています(ケプラーの第三法則「調和の法則」)。
惑星に何らかの力が働いて公転速度が遅くなったらどうなるでしょう?…その惑星は今までの軌道よりも内側に入り込み、太陽に近づいて行きます。すると太陽の重力で以前よりもかえって加速されます。そして、その速度で釣り合いがとれる軌道に落ちつきます。新しい軌道の半径は、もとの軌道よりも小さくなります。
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惑星、彗星、小惑星、衛星、オールトの雲、ケプラー
21・太陽
X線で見た太陽
黒点
Hα線で見た太陽
太陽のコロナ
(ナレ)
「太陽は、太陽系の唯一の恒星です。直径は地球の約100倍、表面温度は約6000度です。」
(解説)
太陽の主成分は水素で、中心部では水素が核反応でヘリウムに変わっています。この反応で放出されるエネルギーで太陽は輝いています。表面温度は6000度ですが、中心部の温度は約1600万度と推定されています。
表面には黒点と呼ばれる暗い部分がありますが、ここは温度が低い部分です(約4000度)。また、紅炎またはプロミネンスと呼ばれる炎が立ち上がったような部分や、フレアと呼ばれる爆発が見られることがあります。
太陽の直径は140万kmあり、これは地球の109倍です。したがって体積は地球の130万倍ですが、質量は地球の33万倍しかありません。
太陽の本体部分の表面を「光球面」と呼びます。その外には薄い水素からなる「彩層」(厚さ約3000km)があります。さらにその外には高温(200万度)でプラズマになった物質が取り巻いていて「コロナ」と呼ばれています。コロナの一部は宇宙空間へ向かって流れ出していて、この流れは「太陽風」と呼ばれます。
高温の物体はすべて連続スペクトルの光(正確には電磁波)を出します。その波長分布は温度で決まるので、物体の表面温度を知ることができます。太陽の表面温度は、正確には5800Kです。
また、高温の物質はそれぞれ特有の色の光(特有の波長の電磁波)を出します。こちらは線スペクトルになります。Hα線は高温の水素が出す赤い光です。逆に、低温の物質は同じ波長の光(電磁波)を吸収するので、吸収する波長と吸収の強さから成分を知ることができます。
黒点・紅炎・フレアなどの活動にはすべて磁気が関係していることがわかっています。これらの活動に伴ってX線や大量の荷電粒子が放射されるため、活動が盛んなときには地球でも電波通信に障害が起きるなどの影響が出ることがあります。
太陽の黒点数は約11年周期で増減することがわかっています。すなわち、太陽活動は11年周期で消長を繰り返しています。現在(2003年)は極大期を過ぎ、極小期へ向かっているところです。
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黒点、紅炎、プロミネンス、フレア、コロナ、プラズマ、太陽風、スペクトル、
●22・水星
水星のモザイク写真
水星のモザイク写真
水星の表面
水星の長い一日
(ナレ)
「水星は一番太陽に近い惑星です。表面の様子は月に似ています。」
(解説)
水星の直径は地球の3分の1ほどで、月よりも少し大きい程度です。表面に水はなく、大気も事実上ありません(ごく微量=地球の1000兆分の1)。そのため昼夜の温度差が激しく、たくさんのクレーターに覆われているところもよく似ています。
1973年にアメリカからマリナー10号が打ち上げられ、3回にわたって水星に接近して写真撮影を行いました。2004年にはアメリカから「メッセンジャー」が打ち上げられ、磁気などの観測を行う予定です。
(用語集へ)
●23・水星の公転周期
アニメーション(長い一日)
(ナレ)
「水星の一昼夜は176日もあります。昼と夜が長く、また大気がないせいもあって、表面温度は最低で-180度、最高で400度になります。」
(解説)
水星の自転周期は59日(地球時間)、公転周期は88日です。水星表面のある場所で、夜が明けてから次に夜が明けるまでの「一日」の長さは実に176日にもなります。この場所は88日の間太陽の光を受け続け、次の88日は太陽の光を受けない事になります。また温度変化をやわらげる大気や水もないので、表面温度は+400℃〜-160℃と大きく変化します。
自転周期と一日の長さは一致しません。たとえば地球の自転周期は23時間56分、一日の長さは24時間です。
地球上のある場所で、ある日太陽が南中した瞬間を基準とすると、地球が360゜自転するのは23時間56分後です。しかし、この間に地球は約1゜(360゜/365日)公転しています。太陽が南中するまでにはあと約1゜自転する必要があります。これに4分を要するのです。
新22・23・水星
(ナレ)
「水星は一番太陽に近い惑星です。表面の様子は月に似ています。水星の一昼夜は176日もあります。昼と夜が長く、また大気がないせいもあって、表面温度は最低で-180度、最高で400度になります。」
(解説)
水星の直径は地球の3分の1ほどで、月よりも少し大きい程度です。表面に水はなく、大気も事実上ありません(ごく微量=地球の1000兆分の1)。そのため昼夜の温度差が激しく、たくさんのクレーターに覆われているところもよく似ています。
水星の自転周期は59日(地球時間)、公転周期は88日です。水星表面のある場所で、夜が明けてから次に夜が明けるまでの「一日」の長さは実に176日にもなります。この場所は88日の間太陽の光を受け続け、次の88日は太陽の光を受けない事になります。また温度変化をやわらげる大気や水もないので、表面温度は+400℃〜-180℃と大きく変化します。
1973年にアメリカからマリナー10号が打ち上げられ、3回にわたって水星に接近して写真撮影を行いました。2004年にはアメリカから「メッセンジャー」が打ち上げられ、磁気などの観測を行う予定です。
自転周期と一日の長さは一致しません。たとえば地球の自転周期は23時間56分、一日の長さは24時間です。
地球上のある場所で、ある日太陽が南中した瞬間を基準とすると、地球が360゜自転するのは23時間56分後です。しかし、この間に地球は約1゜(360゜/365日)公転しています。太陽が南中するまでにはあと約1゜自転する必要があります。これに4分を要するのです。
(用語集へ)
自転、公転、
24・金星
雲に覆われた金星
最初の金星風景写真
金星の風景写真
北極から見た地形
南極から見た地形
CG地形
CG地形
CG地形
(ナレ)
「金星は厚い大気に覆われています。大気の主成分は二酸化炭素で、硫酸の雲が浮かんでいます。」
(解説)
金星は地球とほぼ同じ大きさの惑星です。金星は全体が常に雲に覆われているため、望遠鏡で表面の様子を見ることはできません。そのため、19世紀頃には温暖で湿潤な、生物の生存に適した環境だろうと考える科学者もいました。
現在は、とても生物が住める環境ではないことがわかっています。大気の96.5%は二酸化炭素で、地表の大気圧は地球の90倍、地表付近の大気の密度は地球の50倍もあります。この大気の温室効果のために、金星の表面温度は平均464℃にもなります。また、雲の主成分は硫酸です。
1961年〜1981年にかけて、旧ソ連からベネラ1〜16号が打ち上げられました。1970年に打ち上げられた7号は金星表面への着陸に成功し、表面の写真などを地球に送信しました。以後の8号〜14号も着陸して写真撮影や大気の観測等を行いましたが、いずれも高温のため着陸後30分〜1時間半で活動が止まっています(これでも設計通り、もしくはそれ以上でした)。
アメリカからは1978年にパイオニア・ビーナスが打ち上げられ、小型観測器を大気圏に投下して大気の成分などの測定を行いました。また、1989年に打ち上げられたマゼランは、金星の衛星軌道を回りながらレーダーで地形の観測を行い、金星全体の地図を作成しました。
(用語集へ)
温室効果、
25・地球
宇宙船から見た地球
欠けて見える地球
宇宙飛行士と地球
宇宙から見た日の出
(ナレ)
「我々が住む地球は、いまのところ唯一、生命の存在が確認されている天体です。」
(解説)
地球は直径約13000km、赤道方向にわずかに膨らんだ回転楕円体です。表面には大気があるため、写真では輪郭がぼやけて写ります。大気の成分は窒素78%、酸素21%、二酸化炭素0.03%などで、上空へ行くほど薄くなり、高さ100km付近でほとんどなくなります。
液体の水が大量にあることも特徴です。このことは生命の存在の重要な条件です。
大気や水の存在は、温度変化をやわらげる効果があります。また、二酸化炭素や水蒸気には温室効果があります。現在の地球表面の平均温度は15℃ですが、温室効果がなければ-18℃になっていたはずです。
われわれ生物の体には水溶液が詰まっています。また、あとの項目にあるように、初期の生命は水中で誕生したと考えられています。液体の水の存在は、生命が存在するための重要な条件です。液体の水が存在するためには、表面温度が適当な範囲にあることが必要です。また、ある程度重力が大きくないと、蒸発した水が散逸してしまいます。幸い地球は、その両方の条件を満たしています。
水は比熱が大きく、また状態変化のときに潜熱を吸収・放出するので温度変化をやわらげる効果があります。また、水や大気が循環することで温度の地域較差が減少しています。
大気があるために、地球は隕石の直撃を受けにくくなっています。また、磁気があるために、宇宙からの放射線が地表に届きにくくなっています。地球は、生命の存在に適した条件が揃った惑星です。
(用語集へ)
温室効果、比熱、潜熱
26・月
満月
上弦の月
月の西半球
月の東半球
月と地球
月と地球
月食
地球照
http://nssdc.gsfc.nasa.gov/imgcat/hires/a11_h_40_5878.gif 宇宙飛行士の足跡
http://nssdc.gsfc.nasa.gov/imgcat/hires/a11_h_40_5875.gif 飛行士と星条旗
http://nssdc.gsfc.nasa.gov/imgcat/hires/a11_h_40_5947.gif 作業する飛行士
http://nssdc.gsfc.nasa.gov/imgcat/hires/a11_h_44_6642.gif 月面を離れたアポロ11号
(ナレ)
「月は地球の衛星です。自転周期と公転周期が一致しているため、常に同じ面を地球に向けています。」
(解説)
月の直径は約3500kmで、地球の4分の1ほどです。表面に大気や水はなく、クレーターで覆われています。
黒く見える部分は「海」と呼ばれ、隕石の衝突によってできた巨大なクレーターを、噴出した玄武岩が埋め尽くしてできたと考えられています。海にも水はありませんが、クレーターが少なく、平坦な見た目からそのように名付けられました。白く見える部分は「高地」と呼ばれます。この部分は斜長岩と呼ばれる白っぽい岩石でできています。
海がつくる模様は地域によってウサギやカニなどに見立てられていますが、この部分は常に地球の方を向いています。このようになるのは、月の自転周期と公転周期が正確に一致しているためです。自転周期・公転周期は27.3日です。
月の満ち欠けの周期は29.5日になります。昔の人は、これを「1カ月」という区切りにしました。また、潮の満ち引きは月の重力によって引き起こされています。このように、月は地球の人々や生物に大きな影響を及ぼしています。
1969年、アメリカから打ち上げられたアポロ11号が月に着陸しました。以後17号まで6回にわたってのべ12人の宇宙飛行士が月面に降り立ち、調査を行っています(13号は事故のため着陸せずに帰還)。
「西半球」の写真は、右半分が地球から見える部分、左半分が見えない部分です。「東半球」の写真は、右半分が地球から見えない部分です。これらの写真から、月の裏側には海が少ないことがわかります。
自転周期と公転周期が一致しているのは偶然ではありません。斜長岩よりも玄武岩の方が密度が大きいため地球の重力で強く引かれます。そのため、何億年ものあいだに海の多い面が地球に向くようになったのです。
公転周期と満ち欠けの周期が一致しないのは、水星の項目で説明したように、地球が公転しているためです。新月になるのは太陽−月−地球が一直線に並ぶときですが、次に同じようになるまでには360゜よりも少し余分に公転する必要があります。
昔の人は、月が見えなくなったときを「新月」と呼び、新しい1カ月の始まりとしました。3日の夜に見える月が三日月、15日の夜が十五夜です。そして29日(小の月)または30日(大の月)で1カ月が終わり、新しい月が始まりました。季節のずれを調整するためには「うるう月」を入れました。
あとの項目で出てきますが、月は地球の一部が分裂してできたと考えられています。
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クレーター、海、高地、
27・火星
火星
春の火星
マリネリス峡谷
マリネリス峡谷
最初の火星風景写真
火星風景パノラマ写真
火星風景パノラマ写真
火星風景パノラマ写真
水が流れたような地形
火星の雲
衛星フォボス
衛星ダイモス
(ナレ)
「火星には、二酸化炭素を主成分とする薄い大気があります。過去には大量の水が存在した時期があると考えられています。」
(解説)
火星の直径は地球の半分強です。また、密度が3.9g/cm3と小さいこともあって、表面の重力は地球の4割弱です。二酸化炭素を主成分とする大気がありますが、薄い(表面の大気圧は地球の150分の1)ため温室効果は弱く、表面温度は平均で-63゜です。北極および南極地方には「極冠」と呼ばれる白い部分があり、これはおもにドライアイス(低温で固体になった二酸化炭素)です。
大気中にはわずかながら水があり、雲や霜をつくっています。水が流れたような地形があることから、過去には大量の水が存在した時代があると考えられています。この水が現在も地下に氷として存在しているという説もあります。
火星が赤い色をしているのは、地表の岩石に酸化鉄が多く含まれているためです。
火星には衛星が2つあり、フォボスとダイモスと名づけられています。いずれもいびつな形をした小さな衛星で、小惑星が火星の重力に捕らえられたものと考えられています。
地上からの観測で、火星の表面には明るい部分と暗い部分があり、ときおり砂嵐が吹き荒れて明暗の模様がかすんだようになることが知られていました。すなわち、火星に大気があることが古くから知られていました。
1877年、イタリアのスキャパレリが、この模様が筋のように見えたことを「火星には溝のような地形がある」と発表しましたが、これが「運河がある」と誤って英訳され、これがきっかけになって一時は火星人の存在が本気で議論されたこともありました。スキャパレリ以外にも筋状の地形を記録している天文学者がいますが、現在の観測では、筋やそれに似たものはなく、何が見間違えられたのかは謎です。
1975年にアメリカからバイキング1・2号が打ち上げられ、翌年火星に着陸して気象や岩石の成分などの調査を行いました。その結果、火星の地表の岩石には有機物はごくわずかしか含まれておらず、生物が存在を示すものは見つかりませんでした。
また、マーズ・パス・ファインダーが1996年に打ち上げられ、1997年に着陸しました。この探査機はパラシュートとエアバッグで着陸し、小型の探査車で広い範囲の岩石の化学分析を行いました。「太陽系探査」の項目に、エアバッグの試験風景の動画があります。
同じく1996年に打ち上げられ、1997年に火星の人工衛星となったマーズ・グローバル・サーベイヤーは地形の観測などを現在(2003年)も続けています。水が流れてつくったと考えられる地形が多数見つかり、過去に生命が存在しうる環境の時代があったことは確実と考えられるようになっています。過去の生命の痕跡、あるいは生き残りを探す研究に注目が集まっています。
日本から1998年に打ち上げられた「のぞみ」も火星へ向けて飛行中です。2004年1月に火星に到着し、人工衛星になる予定です。
(用語集へ)
スキャパレリ、
28・火星の衛星(27に統合?)
「火星には2個の衛星があります。いずれも小さく、いびつな形をしています。」
29・地球型惑星と木星型惑星
アニメ(比較)
(ナレ)
「地球や火星などは主に岩石でできていて、地球型惑星と呼ばれます。木星や土星などは主に水素でできていて、木星型惑星と呼ばれます。」
(解説)
水星・金星・地球・火星の4つの惑星は、いずれもおもに岩石でできています。中心部には金属(主に鉄)でできた核があると考えられています。このグループは「地球型惑星」と呼ばれます。
木星・土星・天王星・海王星は巨大な惑星です。これらの惑星は中心に岩石と金属でできた核をもっていて、氷や水素が核を分厚く覆っているものと考えられています。
これらの惑星は大きさの他に、地球型惑星に比べて密度が小さく、輪を持つなどの共通の特徴があります。このグループは「木星型惑星」と呼ばれます。
冥王星はどちらのグループとも特徴が一致しないので、地球型惑星にも木星型惑星にも含めません。
チリやガスの円盤から惑星が形成された当時、太陽から離れたところでは多くのチリが集まって大きな惑星ができました。このあたりには氷がたくさん存在していたので一緒に取り込まれ、岩石と氷の惑星である天王星・海王星ができました。木星や土星は、同様のものが核になり、強力な重力でガスを集めてできたものと考えられています。天王星と海王星のガス成分が少ないのは成長に時間がかかったためで、すでに円盤のガスが少なくなっていたものと考えられています。
冥王星は、氷の塊に近い天体と考えられています。これは、あとの項目で出てくるカイパーベルト天体に似ています。
(用語集へ)
地球型惑星、木星型惑星、
30・木星
木星
大赤斑
木星のオーロラ
ボイジャー、木星に接近
木星の輪
ガリレオ衛星
衛星イオ
イオの火山
衛星ガニメデ
衛星カリスト
衛星エウロパ
エウロパの内部構造
(ナレ)
「木星は太陽系で最大の惑星です。表面は水素を主成分とする厚い大気で覆われています。」
(解説)
木星は地球の11.3倍の直径をもつ、太陽系最大の惑星です。体積では地球の1300倍になります。木星の「表面」とされている部分は分厚い大気の上面です。大気は90%が水素、10%がヘリウムで、メタンやアンモニアなどがわずかに含まれています。
木星の表面には赤道と平行に縞模様が見えますが、これは色の異なる雲の帯です。その中に大赤斑と呼ばれる楕円形の赤い雲の塊がありますが、これは長径が5万km(地球の直径の4倍)ほどの雲の渦です。大赤斑は17世紀に発見されたもので、実に300年以上もの間存在し続けていることになります。
木星の衛星のうち大きなもの4つは、17世紀にガリレオ・ガリレイが発見しました。そこで、この4つをまとめて「ガリレオ衛星」と呼びます。双眼鏡や小型の望遠鏡で見えますので、機会があったら探してみてください。現在では実に39個もの衛星があることがわかっています。また、土星同様に輪があることもわかっています。
木星の大気の厚さは約1000km、その下は深さ2万kmまで液体水素になっていると考えられています。さらに下では水素が高圧のため金属状態になっていると考えられています。
1972年と1973年に打ち上げられたパイオニア10号・11号が1974年に、1977年に打ち上げられたボイジャー1・2号が1979年にそれぞれ木星に接近し、写真撮影などの観測を行いました。その結果、木星にも細いながら輪があること、地球からの観測では発見されなかった小さな衛星がたくさんあることなどがわかりました。
ガリレオ衛星については、イオに現在も活動中の火山があること(地球以外では初めて確認された)、エウロパの表面が氷で覆われ、その下には液体の水がある可能性が高いことなどがわかりました。エウロパの氷の厚さは数kmで、その下に数十kmの深さの水があると推定されています。
また、1989年に打ち上げられた探査機ガリレオは1995年に木星の大気に観測装置を投下し、大気や磁気などの詳しい測定を行いました。
エウロパに生命が存在できる可能性があるため、2008年にエウロパへ向けて探査機が打ち上げられ、氷やその下の水について詳しく調べる予定になっています。
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大赤斑、ガリレオ・ガリレイ、ガリレオ衛星、エウロパ、ボイジャー
31・木星の衛星(30に統合?)
「木星の衛星のうち大きなもの4個は、17世紀にガリレオ・ガリレイに発見されました。現在では大小あわせて39個の衛星が見つかっています。」
32・土星
土星
土星のオーロラ
三日月型の土星
輪の開閉
土星の輪
土星の衛星
テチスとディオネ
衛星テチス
衛星ディオネ
衛星エンケラドス
衛星ティタン
ティタンの大気層
(ナレ)
「土星は、木星に次いで大きな惑星です。自転が速いため潰れた形をしています。」
(解説)
土星は、地球の9倍の直径があり、密度が0.7g/cm3と小さいのが特徴です。また、木星同様、水素を主成分とする分厚い大気で覆われています。
土星には輪があることが古くから知られていました。この輪は、岩石や氷のかけらが列をなして回っているものです。ボイジャーの観測によって、たくさんの細い輪に分かれていることが明らかになりました。
土星には、パイオニア11号(1979年)とボイジャー1・2号(1980,81年)が木星に引き続いて接近し、観測を行いました。
土星の内部は、木星同様、外から順に気体の水素、液体水素、金属水素、岩石や氷の核という構造になっていると考えられています。
土星の輪はガリレオ・ガリレイも見ていました。しかしそれが輪であるとはわからなかったらしく、「土星には耳がある」と記録しています。ボイジャーの観測で多数の細い輪に分かれていることが明らかになりましたが、それが近くを回る衛星(「羊飼い衛星(シェパード・ムーン)」と呼ばれることになった)の重力の影響を受けていることなどもわかりました。
土星最大の衛星ティタンには窒素とメタンを主成分とする大気があることがわかっています。1997年に打ち上げられ2004年に土星到着予定の探査機カッシーニには、ティタンの大気を調べるための観測器「ハイゲンス」が積み込まれています。ハイゲンスはパラシュートで降下しながらティタンの大気や気象について調べる予定です。
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33・土星の衛星(32に統合?)
「土星にも、木星同様たくさんの衛星があることがわかっています。」
34・天王星
天王星
天王星の輪
天王星の輪
天王星の輪
衛星オベロン
衛星チタニア
衛星ウンブリエル
衛星アリエル
衛星ミランダ
(ナレ)
「天王星の直径は地球の約4倍です。内部は、岩石の芯の周りを分厚い氷がとりまき、さらに気体がとりまいていると考えられています。また、自転軸がほぼ横倒しになっていることも特徴です。」
(解説)
天王星の直径は地球の約4倍です。木星や土星ほど大きくはありませんが、内部構造などは共通部分が多くなっています。大気はやはり水素とヘリウムが主成分ですが、メタンがやや多く(2.3%)含まれています。
天王星へは1986年にボイジャー2号が接近し、観測を行いました。はじめて鮮明な写真が撮られたほか、輪の存在なども明らかになりました。
水星・金星・火星・木星・土星の5つは肉眼で見えるため、昔から存在が知られていました。そして西洋では神話の神様の名前、東洋では陰陽五行説の「木火土金水」を当てはめた名で呼んでいました。
天王星は1781年に発見され、「ウラーヌス(Uranus)」と名づけられました。「天王星」はその訳語です。余談ながら、1789年に発見された新元素は、この惑星にちなんでウラン(ウラニウム)と命名されました。
天王星や海王星は、木星や土星に比べるとガス成分が少なく、小さな惑星です。これは固体の核が成長するのに時間がかかったためと考えられています。核が成長したときにはすでに周囲のガスが少なくなっていたのです。
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陰陽五行説
35・海王星
海王星
大暗斑
大気上層の雲
海王星の輪
海王星の輪
衛星トリトン
海王星とトリトン
衛星1989N1
(ナレ)
「海王星の直径は地球の約4倍です。内部は、岩石の芯の周りを分厚い氷がとりまき、さらに気体がとりまいていると考えられています。」
(解説)
海王星の直径は地球の約4倍です。木星や土星ほど大きくはありませんが、内部構造などは共通部分が多くなっています。大気はやはり水素とヘリウムが主成分ですが、メタンがやや多く(1.5%)含まれています。
天王星の発見後、天王星の運動に未知の天体の重力が影響を及ぼしていることがわかりました。その天体を探した結果、1846年に発見されたのが海王星です。青い色から、海の神様の名をとってネプチューン(Neptune)と名づけられました。
余談ながら、1939年に発見(人工的に合成)された93番元素ネプツニウムの名はこの惑星にちなんでつけられらました。92番が天王星にちなんだ「ウラニウム」なので、93番はその次の海王星、ということです。
海王星へも1989年にボイジャー2号が接近し、観測を行いました。天王星同様に海王星にも輪が発見され、輪が木星型惑星に共通の特徴であることがわかりました。
海王星の衛星トリトンには水やメタンの氷、さらに窒素を主成分とするごく薄い大気があることがわかっています。
36・冥王星
冥王星
冥王星と衛星カロン
(ナレ)
「冥王星は、太陽系の、現在知られている最も外側の惑星です。軌道の傾斜が大きいことや太陽からの距離の変化が大きいことなど、ほかの惑星と比べると奇妙な特徴があります。」
(解説)
冥王星は直径が2300km程しかなく、地球の月よりも小さな惑星です。1.75g/cm3という密度や、反射率が大きいこと(0.4〜0.6。地球は0.30、火星は0.25)などから、岩石の小さな核を氷がとりまいているような天体と考えられています。
冥王星には、軌道が円から大きくはずれた楕円形になっていることや、軌道の傾斜が大きい(17.2゜。2番目に大きい水星が5.0゜)ことなど、他の太陽系の惑星とは大きく異なる特徴があります。現在では、あとの項目で出てくるカイパーベルト天体の大きなものであると考えられるようになっています。
海王星の運動の観測から、第9の惑星の存在と位置が予想されていました。計算に基づいて新惑星の発見をめざした天文学者のひとりにパーシバル・ローウェル(Percival Lowel)がいました。冥王星の発見は彼の死後のことですが、新惑星は彼のイニシャルにちなんでプルート(Pluto)と名づけられました。「冥王星」はこれの訳語です。
ただし、現在ではこの計算に誤りがあったことがわかっています。冥王星は偶然発見されたのです。
余談ながら、1940年に発見(人工的に合成)された94番元素プルトニウムの名はこの惑星にちなんでつけられました。93番が海王星にちなんだ「ネプツニウム」なので、94番はその次の冥王星、ということです。
冥王星は太陽から遠いので弱い光しか届きません。また地球からも遠いので、最近まで詳しいことはほとんどわかっていませんでした。冥王星に接近した探査機もありません。
ハッブル宇宙望遠鏡の登場でいくぶん鮮明な写真が撮れるようになり、表面に明るい部分と暗い部分があることや、自転周期が6.4日であることなどがわかりました。1枚目の写真は、上がハッブル宇宙望遠鏡が撮った写真、下はそれをコンピューターで解析してつくった図です。左右2枚の写真は表と裏です。
冥王星には衛星があり、カロンと名づけられています。直径が冥王星の約半分もある大きな衛星ですが、冥王星から2万kmしか離れていないため、1978年まで発見されませんでした。
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冥王星、カイパーベルト、
38・小惑星
ガスプラ
アイダと衛星
アイダ
ベスタ
マチルダ
ダクティル
(ナレ)
「数多くの、直径数メートルから1000(せん)キロメートル程度の岩石が、太陽の周りを回っています。これらは、何らかの理由で惑星になりきれなかった物質と考えられます。」
(解説)
火星の軌道と木星の軌道の間は広くあいています。ここにはたくさんの小天体があり、惑星同様に太陽の周りを公転しています。最大のものは1801年に発見されたセレスで、直径は1000km弱のほぼ球形です。大半は数km程度の大きさで、いびつな形をしています。
小惑星の軌道は円形から大きくずれた楕円形になっているものも多く、地球に接近してくるものもあります。6500万年前、中生代末に起きた大絶滅は、このような小惑星のひとつが隕石として衝突したことが原因になったと考えられています。
太陽系形成のとき、チリとガスの円盤の中でチリが集まり、微惑星ができました。この微惑星が衝突・合体して惑星になったと考えられていますが、なんらかの理由で惑星になり損なったものが小惑星です。
いくつかの小惑星探査計画がありますが、これによって太陽系の起源や地球の歴史を知る手がかりが得ることが期待されています。
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隕石、微惑星、小惑星、
37・その他の物質
カイパーベルト天体
カイパーベルト天体1998W31
カイパーベルト、オールトの雲説明図
(ナレ)
「冥王星よりもさらに外には、塵や氷が集まっている場所があると考えられています。ここにあるものは太陽系を作った物質の残りと考えられています。」
(解説)
あとの項目で出て着る通り、彗星はチリと氷の塊のような天体です。
彗星の多くは冥王星の軌道付近から来ることがわかっています。そこで、そのあたりに「彗星の卵」が多数公転しているものと考えられています。この部分はエッジワース・カイパーベルトまたは単にカイパーベルトと呼ばれます。
また、一部の彗星はさらに遠くから来ている事がわかっています。そのような彗星のはあらゆる方向から来るため、「彗星の巣」が太陽系の外側を球殻状にとりまいているものと考えられています。この部分は「オールトの雲」と呼ばれます。
ほとんどが小さな天体で、また、そのあたりまで届く太陽の光はごく弱いため、これらの天体はほとんど見えませんが、何らかの理由で軌道を乱され、太陽に接近してくると彗星として観察されます。
彗星の軌道計算の結果、彗星の多くは30〜50天文単位付近、すなわち冥王星軌道付近に遠日点を持つことがわかりました。このことからカイパーベルトの存在が考えられました。現在では、冥王星自体が「カイパーベルト天体の大きなもの」と考えられています。
また、遠日点が1万〜10万天文単位の彗星もあります。このような彗星の遠日点は太陽を立体的にとりまくようになっています。オールトの雲の天体密度は、カイパーベルトよりもかなり小さいようです。
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カイパーベルト、オールトの雲、遠日点
39・彗星
ハレー彗星
ハレー彗星の核
百武彗星
百武彗星
ヘール・ボップ彗星
ヘール・ボップ彗星
ヘール・ボップ彗星
ヘール・ボップ彗星
SL9彗星
SL9彗星の衝突
SL9彗星の衝突痕
SL9彗星の衝突痕
(ナレ)
「彗星の正体は、氷と塵が固まった、汚れた雪だるまのようなものです。太陽に近づくと融けて蒸発し、太陽の反対側に尾を引いたようになります。」
(解説)
彗星は、チリと氷が固まった「汚れた雪だるま」のような天体です。太陽に近づくと融けて蒸発し、吹き流されて長い尾ができ、いわゆる「ほうき星」になります。本体は、大きいものでも直径10km程度の小さな天体ですが、尾は、ときには1万km以上にも延びることがあります。
ヘール・ボップ彗星の写真によく表れていますが、彗星の尾は「ガスの尾」と「チリの尾」があります。ガス成分はすばやく吹き流されるので太陽の反対側にまっすぐ伸びる尾をつくりますが、チリはやや遅れるため、彗星の進行方向後方に曲がった形になります。写真で青く写っているのがガスの尾、黄色く写っているのがチリの尾です。あとの項目に出てくる流星群は、こうしてまき散らされたチリが大気圏に飛び込んで光るものです。
前の項目に出てきたように、彗星は細長い楕円軌道を描き、太陽系の辺境にある「彗星の巣」からやってきます。木星軌道付近までやってくると蒸発し始め、地球の観測者に発見されることになります。
さらに近づくと尾を引くようになりますが、尾は常に太陽の反対側にできます。したがって、近日点通過後は彗星の前方に尾がのびることになります。また、太陽に近いほど蒸発や吹き流しが盛んなので長い立派な尾ができることになります。
チリやガスを吹き流して尾にするのは、ひとつは太陽からのガスや荷電粒子の流れである太陽風、もう一つは光が直接物質を押し流す光圧という現象です。
2枚目の写真はハレー彗星の核です。1986年の接近のときに合計6台の探査機が打ち上げられました。そのうちの1台、アメリカのジオットが撮影したもので、核が融けて蒸発し、吹き出している様子がはっきり捉らえられています。
8枚目の写真は「シューメーカー・レビー第9彗星」です。この彗星は木星に近づいたために木星の重力(潮汐力)でバラバラになり、木星に衝突しました。
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汚れた雪だるま、
40・隕石と流星
アニメーション(流星)
(ナレ)
「流星は、塵や岩石が大気圏に飛び込んで来たため、摩擦で高温になって光るものです。途中で蒸発しきれず、地表まで落ちてきたものが隕石です。」
(解説)
流星(ながれ星)は、大気中の現象です。
太陽系空間のチリなどが大気中に飛び込んでくると、摩擦で高温になって輝きます。ほとんどはあっというまに蒸発してしまいますが、大きな岩石片の場合には蒸発しきれず、地表に落下してくることがあります。これが隕石です。
流星になるチリの多くは彗星が持ち込んでまき散らしたもの、隕石になるような岩石片は小惑星やその断片です。
宇宙船が帰還するとき、ほぼ第一宇宙速度(7.9km/秒)で大気圏に突入してきます。このとき大気との摩擦で大変な高温になるため、宇宙船には特別な耐熱装備がされています。
流星の場合も同様です。地球もチリもケプラーの法則に従って運動しているため、相対速度は数km〜数十km/秒になります。これが高さ100km付近で大気圏に突入すると高温になり、周囲の空気をプラズマ化して発光させます。
流星は夜半過ぎに多く見られるようになります。これは、観測地点が公転する地球の前面になるためです。
(用語集へ)
第一宇宙速度
41・隕石(太田?)
アエンデ隕石(メキシコ)
ブレメルフォルデ隕石(ドイツ)
ミルビリリー隕石(オーストラリア)
ナクラ隕石(エジプト)
イミラク隕石(チリ)
ギベオン隕石(ナミビア)
バリンジャークレーター
(ナレ)
「隕石の大半は、小惑星や、そのカケラと考えられています。」
(解説)
流星が、大気中で蒸発しきれずに地表に落下してきた隕石です。
隕石になるような大きな岩石片は、ほとんどが小惑星やその断片であると考えられています。小惑星は、太陽系形成時にできた微惑星が、惑星になり損ねたまま公転しているものです。そのため、隕石は太陽系形成当時の様子を探るための重要な資料となっています。
隕石の多くは主成分が鉄です。岩石を主成分とするものに比べて蒸発しにくいためです。また、地球の岩石と見分けが尽きやすく、発見されやすいというためでもあります。
ギベオン隕石は、そのような鉄隕石です。磨かれた断面には格子状の模様が見えますが、これはウィドマンステッテン模様と呼ばれ、隕石に特有の模様です。ウィドマンステッテン模様は惑星内部の温度・圧力条件でできるものであることがわかっているので、この隕石は破壊された惑星の核の断片であろうと考えられます。
イミラク隕石は鉄の中にカンラン石がまだらに入っています。カンラン石はマントルの主成分なので、この隕石は破壊された惑星の核とマントル部分が混じり合ったものと考えられます。
世界最多の隕石保有国は日本で、その多くは南極で採取されたものです。日本隊の調査地域にある「やまと山脈」に、落下したあと氷床に乗って運ばれた隕石が集まる場所があるのです。
月面などに多いクレーターは、隕石が衝突してできたものです。バリンジャークレーターはアリゾナにあり、直径1.3kmあります。これは49000年前の隕石の衝突痕です。また、中生代末の大絶滅は隕石の衝突がきっかけになったという説が有力です。
地球にクレーターが少ないのは、大気があるため大きな隕石の衝突が少なく、また大気と水の侵食でクレーターが残りにくいためです。
(用語集へ)
小惑星、ウィドマンステッテン模様、かんらん石、マントル、核
42・流星群
ナレ「たくさんの塵が平行に大気圏に突入した場合、地表から見ると、空の一点から放射状に流星が飛ぶように見えます。」
(解説)
たくさんのチリが平行に大気圏に突入してくると、地上からは放射状にたくさんの流星が飛ぶように見えます。これが流星群です。放射状に広がる中心を輻射点と呼びます。
自分の顔に向けてシャワーを噴射した場合を想像して下さい。水は実際にはほぼ平行に飛んでいるのですが、放射状に広がって行くように見えます。また、雨の日に自転車に乗りながら空を見上げると、雨粒は前上方を中心に放射状に広がるように見えます。(実験する場合、安全には十分注意して下さい)
彗星が撒き散らしたチリは、もとの彗星の軌道に沿って列をなして公転を続けます。この列に地球が出会うと流星群になるのです。つまり、地球が彗星の軌道を横切るときに流星群が見られます。そのため、毎年同じ時期に流星群が見られることになります。
彗星が融けてチリが放出されると、前方に放出されたものはもとの彗星よりもやや速い速度で公転し、後方に放出されたものはやや遅い速度で公転することになります。そのため、チリは軌道に沿って帯状に分布するようになります。
新しい彗星では彗星本体の前後にチリが多く分布しているため流星群の「あたり年」「はずれ年」の差がありますが、古い彗星では満遍なくチリが分布するようになります。彗星本体が蒸発しつくし、チリの帯だけが残っている場合もあります。
過去数年、しし座流星群が話題になりましたが、流星群はほかにもあります。観察しやすいところでは、7月下旬〜8月上旬の「みずがめ座流星群」、8月上旬〜中旬の「ペルセウス座流星群」などがあります。
チリの分布を観測することはできないため、どのぐらいの流星が出現するかは事前にはわかりません。
(用語集へ)
流星群、輻射点、
43・流星群写真
ししざ流星群
冬銀河と流星群
(ナレ)
「獅子座流星群の写真です。獅子座から、空全体へ流星が飛んでいるように見えます。」
(解説)
しし座流星群は、しし座にある輻射点から、空全体へ向かって流星が飛ぶように見えます。
33年周期で大量の流星が出現することで知られていますが、これはチリを撒き散らした彗星の公転周期が33年で、その彗星の前後に多くのチリが集中しているためです。
45・太陽系探査
アポロ(月へ)
すいせい(ハレー彗星へ)
マゼラン(金星へ)
×バイキング(火星へ)
マーズパスファインダー(火星へ)
MPFソジャーナ
×マーズグローバルサーベイヤー
のぞみ(火星へ飛行中)
ガリレオ(木星へ飛行中)
カッシーニ(土星へ飛行中)
ボイジャー(木星等へ)
宇宙人へのメッセージ(ボイジャー)
家族の肖像(ボイジャー)
http://nssdc.gsfc.nasa.gov/image/planetary/solar_system/solar_family.jpg
太陽系の惑星
http://nssdc.gsfc.nasa.gov/image/planetary/solar_system/family_portraits.jpg
(ナレ)
「月にはアポロ宇宙船が着陸し、宇宙飛行士が降り立って調査を行いました。そのほかの天体にも無人の探査機が送り込まれ、調査が進められています。」
(解説)
20世紀後半、ロケットという道具を手に入れた人類は、宇宙の探査に力を入れてきました。これは、我々が住む地球についてより深く知るためであり、ひいては地球に暮らす我々についてより深く知るためです。
木星の探査を行ったパイオニア10号、木星と土星の探査を行ったパイオニア11号とボイジャー1号、木星・土星・天王星・海王星の探査を行ったボイジャー2号の4台は、現在太陽系の外へ向かって飛行中です。他の恒星に近づく予定はありませんが、もしかしたら、旅行中の宇宙人に出会うことはあるかもしれません。
パイオニア10号と11号には、地球人の姿と、この探査機の出身地が地球であることを表す図を彫り込んだ金属板がとりつけられています。ボイジャー1,2号には、同様な金属板と、地球の音や様々な言語での挨拶などを吹き込んだレコード盤が積み込まれています。いずれも、宇宙人に拾われる可能性を考えてのことです。
ボイジャー1,2号は、現在も太陽風の観測などを続けています。1990年2月、ボイジャー1号はカメラのスイッチを切る前に、後ろを振り返るようにして撮った写真を送ってきました。人類が初めて見た、外から見た太陽系の姿です。
約60億km離れて見た地球は、カメラ内部の反射でできた光の帯の中の小さな点にすぎません。水星は太陽の光にまぎれて見えず、冥王星は暗すぎて見えません。太陽の光もかなり弱まっていますが、それでも夜空で一番明るい星の800万倍の明るさです。
冥王星の軌道半径は39.5天文単位(約60億km)です。隣の恒星までは4.3光年(約41兆km)です。そしてその間には、ほとんど何もない空間が広がっています。
(用語集へ)
火星・土星・天王星の密度に単位。天王星、海王星に名前の由来追加。水星「マリナー」関連の記述を後段へ。火星に「のぞみ」の記述を追加。