天文の部・用語集 (あ) α星【あるふぁせい】 星座の中で最も実視光度が大きい星。2番目以下はβ星、γ星…となる。ただし、若干混乱している場合もあり、たとえばふたご座では1.6等のカストルがα星、1.2等のポルックスがβ星になっている。 暗黒星雲【あんこくせいうん】 星間雲のうち、背後の天体を隠すもの。 隕石【いんせき】 宇宙空間から飛来し、地表に落下した岩石片。 ウィドマンステッテン模様【うぃどまんすてってんもよう】 鉄隕石に特有の、格子状の組織。 海【うみ】 月面の黒っぽい色の部分。比較的クレーターが少なく、平坦なところからこう呼ばれるようになった。(関連:高地) 衛星【えいせい】 惑星の周りを公転する天体。(関連:人工衛星) エウロパ【えうろぱ】 木星の衛星のひとつ。表面が氷で覆われ、その下には液体の水があると考えられている。 エッジワース・カイパーベルト【えっじわーす・かいぱーべると】 冥王星軌道付近の、主に氷からなる小天体が多数存在している部分。単にカイパーベルトともいう。外側では天体の存在密度が小さくなり、オールトの雲につながっていると考えられている。 HR図【えいちあーるず】 恒星を、絶対光度と表面温度で分類した図。(関連:主系列星、赤色巨星、白色わい星) エドウィン・ハッブル【えどうぃん・はっぶる】 →ハッブル 遠日点【えんじつてん(えんにちてん)】 惑星の楕円軌道上の、最も太陽から遠ざかる地点。(関連:近日点) オールトの雲【おーるとのくも】 約1万〜10万天文単位の範囲で太陽系を球殻状に取り囲む、主に氷からなる小天体が多数存在している部分。(関連:エッジワース・カイパーベルト) オリンポス山【おりんぽすさん】 火星にある火山の名。太陽系最大の火山で、高さは約24km。 温室効果【おんしつこうか】 大気中の二酸化炭素などが赤外線を吸収・再放出することにより、惑星の表面温度が高く保たれる効果。 陰陽五行説【いんようごぎょうせつ】 古い中国の哲学の一つ。万物は「木・火・土・金・水(もくかどごんすい)」の五つの組み合わせでできている、と考える。 (か) 海王星【かいおうせい】 太陽系の惑星のひとつ。英語名ネプチューン(Neptune)。 カイパーベルト【かいぱーべると】 →「エッジワース・カイパーベルト」 化学反応【かがくはんのう】 原子の組み合わせが変わり、物質が別の物質に変わる現象。 核【かく】 (1)原子核。 (2)地球型惑星の中心部にある、金属の部分。 (3)木星型惑星の中心部にある、固体(金属・岩石・氷)の部分。 核反応【かくはんのう】 核分裂反応と核融合反応を合わせて呼ぶことば。 核分裂反応【かくぶんれつはんのう】 一つの原子核が複数の原子核に変わる現象。(関連:核反応、核融合反応) 核融合反応【かくゆうごうはんのう】 複数の原子核が衝突・合体し、一つの原子核に変わる現象。(関連:核反応、核分裂反応) 下弦【かげん】 月例22前後に、太陽−地球−月がなす角度が直角になる瞬間。または、そのころ見られる半月。月の公転軌道が楕円であるため公転角速度は一定ではなく、そのため下弦の月齢は一定ではない。(関連:上弦、新月、満月) 火星【かせい】 太陽系の惑星のひとつ。英語名マーズ(Mars)。 カミオカンデ【かみおかんで】 岐阜県神岡の地下に設置されたニュートリノ観測装置の名。 ガリレオ衛星【がりれおえいせい】 木星の衛星のうち大きいもの4つの総称。1610年にガリレオ・ガリレイが発見したためこう呼ばれる。 ガリレオ・ガリレイ【がりれお・がりれい】 16〜17世紀のイタリアの科学者。振り子や落下の研究のほか、望遠鏡を初めて天体へ向けた事でも知られる。(関連:ガリレオ衛星) カンラン石【かんらんせき】 造岩鉱物6種のうちのひとつ。塩基性岩、超塩基性岩に含まれる。 球状星団【きゅうじょうせいだん】 数万あるいはそれ以上の恒星からなる集団で、球状の形をしているもの。散開星団よりも天体の存在密度が大きい。 銀河【ぎんが】 数千億の恒星からなる集団。英語ではgalaxy。(関連:銀河系) 銀河系【ぎんがけい】 我々の太陽系が属している銀河。英語ではGalaxyまたはthe Galaxy。 銀河団【ぎんがだん】 数十個〜数万個の銀河からなる集団。 金星【きんせい】 太陽系の惑星のひとつ。英語名マーキュリー(Mercury)。 近日点【きんじつてん(きんにちてん)】 惑星の楕円軌道上の、最も太陽に近づく地点。(関連:遠日点) クレーター【くれーたー】 月面などに多く見られる、隕石の衝突でできた、丸くくぼんだ地形。英語のcraterは火山のカルデラなどもふくめ、丸くくぼんだ地形一般を示す。 珪素【けいそ】 原子番号14の元素。二酸化珪素(SiO2)として、岩石中に多く含まれる。 月齢【げつれい】 新月からの経過日数。太陽・地球・月の位置関係を表すために使われる。(関連:上弦、下弦) ケプラー【ケプラー】 16〜17世紀の天文学者。ドイツ生まれ。ティコ・ブラーエの観測結果を整理し、惑星の運動に関する「ケプラーの法則」を発見した。(関連:ティコ・ブラーエ) ケプラーの法則【けぷらーのほうそく】 ケプラーが発表した、惑星の運動に関する法則。 第一法則「楕円軌道の法則」(1609年):惑星は、太陽を一方の焦点とする楕円軌道上を運動する。 第二法則「面積速度一定の法則」(1609年):一定時間内に惑星が掃く面積は一定である。 第三法則「調和の法則」(1619年):公転周期の二乗は平均軌道半径の三乗に比例する。 原子核【げんしかく】 原子の中心部にある粒子。原子番号に等しい数の陽子といくつかの中性子からなり、原子の質量の大部分と、+の電荷のすべてを持つ。 顕熱【けんねつ】 温度変化を伴って出入りする熱。 紅炎【こうえん】 太陽表面から高温のガスが吹き上がる現象。プロミネンスともいう。 恒星【こうせい】 自ら光を発する星。 公転【こうてん】 天体が、他の天体の周囲をまわる運動。 光度【こうど】 明るさ。「光度が大きい」とは「明るい」ということ。 高地【こうち】 月面の白っぽい色の部分。クレーターが多い。「海」に対して、こう呼ばれるようになった。 光年【こうねん】 天文学で使う距離の単位のひとつ。1光年は光が1年間に進む距離で、9.5兆km。(関連:天文単位、パーセク) 黒点【こくてん】 太陽表面にある、斑点状の暗い部分。周囲よりも温度が低い。 黒色わい星【こくしょくわいせい】 白色わい星が冷えて光を発しなくなったもの。(関連:白色わい星) コロナ【ころな】 太陽をとりまく薄い大気。高温のプラズマでできている。 (さ) 散開星団【さんかいせいだん】 数十〜数千の恒星の集団で、特定の形を持たないもの。(関連:球状星団) 散光星雲【さんこういせいうん】 星間雲のうち、明るく見えるもの。(関連:暗黒星雲) 実視等級【じつしとうきゅう】 天体の、地球で観測した明るさを等級で表したもの。「みかけの等級」ともいう。(関連:絶対等級) 獅子座流星群【ししざりゅうせいぐん】 しし座に輻射点をもつ流星群。毎年11月19日前後にみられ、33年周期で大出現することで知られる。 自転【じてん】 天体が、天体内部を通る軸を中心にコマのように回転する運動。(関連:公転) シャルル・メシエ【しゃるる・めしえ】 →メシエ 重力波【重力波】 超新星爆発や、質量の大きい天体の運動によって生じる空間のゆがみが波動として空間を伝わるもの。ごくわずかな重力の変化として観測できると考えられている。 主系列星【しゅけいれつせい】 HR図上で、左上から右下への帯状の部分に位置する恒星。 上弦【じょうげん】 月例7前後に、太陽−地球−月がなす角度が直角になる瞬間。または、そのころ見られる半月。月の公転軌道が楕円であるため公転角速度は一定ではなく、そのため上弦の月齢は一定ではない。(関連:下弦、新月、満月) 小惑星【しょうわくせい】 太陽の周囲を公転する、岩石や金属からなる小天体。 ジョバンニ・スキャパレリ【じょばんに・すきゃぱれり】 →スキャパレリ シリウス【しりうす】 おおいぬ座のα星。太陽以外の恒星で、実視等級がもっとも小さい(-1.5等)。 新月【しんげつ】 太陽−月−地球がほぼ一直線になる瞬間。このときを月齢0.0と定める。または、そのころ見られる、ほぼ見えない月。(関連:上弦、下弦、満月) 人工衛星【じんこうえいせい】 人工の衛星。 水星【すいせい】 太陽系の惑星のひとつ。英語名マーキュリー(Mercury)。 彗星【すいせい】 太陽の周囲を公転する、おもに氷からなる小天体。太陽に近づくと融けて蒸発し、ほうき星として観測される。 水素【すいそ】 原子番号1の元素。1個の陽子と1個の電子からなる最も単純な元素であり、宇宙で最も多い元素でもある。 スキャパレリ【すきゃぱれり】 19世紀のイタリアの天文学者。火星の観測に力を入れ、表面のスケッチを多数残した。 スペクトル【すぺくとる】 電磁波を波長によって分けたもの。太陽のスペクトルが見える自然現象が虹である。 スペクトル型【すぺくとるがた】 恒星のスペクトルを、線スペクトル(輝線および暗線)の特徴によって分類したもの。表面温度の高い方から順に、O,B,A,F,G,K,Mの各型に分けられ、さらに数字で細分される。太陽はG5型である。 星間雲【せいかんうん】 宇宙空間で、チリやガスが濃く集まっている部分。明るく見える散光星雲と、暗い暗黒星雲がある。 赤色巨星【せきしょくきょせい】 HR図上で、主系列からはずれた右上に位置する恒星。 絶対等級【ぜったいとうきゅう】 天体32.6光年(10パーセク)の距離で見たときの光度を等級で表したもの。 潜熱【せんねつ】 物質の状態変化に関連して、温度変化を伴わずに出入りする熱。(関連:顕熱) 素粒子【そりゅうし】 物質を構成する最小の粒子。陽子・中性子を構成するクオーク、電子の仲間レプトンの総称。 (た) 第一宇宙速度【だいいちうちゅうそくど】 ある天体の周囲を、重力と遠心力がつりあって公転するために必要な速度。地球の場合は約7.9km/(高度によってやや異なる)。 第二宇宙速度【だいにうちゅうそくど】 ある点綴の重力を振り切り、脱出するために必要な速度。地球の場合は約11.2km/。 大赤飯【だいせきはん】 木星表面に見られる、赤い雲が楕円形に集まった部分。 太陽【たいよう】 太陽系の唯一の恒星。客観的には平凡な主系列星である。 太陽系【たいようけい】 太陽と、その重力に捕らえられている天体の総称。 太陽風【たいようふう】 太陽をとりまくコロナの一部が周囲へ流れ出しているもの。 地球【ちきゅう】 太陽系の惑星のひとつ。英語名アース(Earth)。 地球照【ちきゅうしょう】 地球が反射した太陽光線によって、月面の、太陽に向いていない面が照らされる現象。 地球型惑星【ちきゅうがたわくせい】 水星・金星・地球・火星の総称。(関連:木星型惑星) 中性子【ちゅうせいし】 原子を構成する粒子のひとつ。質量は陽子とほぼ同じで、電荷はもたない。(関連:電子、陽子) 中性子星【ちゅうせいしせい】 超新星爆発のあとに残される、ほとんど中性子ばかりでできた天体。 超新星【ちょうしんせい】 超新星爆発にともなって観測される、明るく輝く恒星。 超新星爆発【ちょうしんせいばくはつ】 質量の大きな恒星が、一生の最後に起こす大爆発。 潮汐【ちょうせき】 潮の満ち引き。月の潮汐力により、月に近い部分の海水が強く引かれるために起きる現象。 潮汐力【ちょうせきりょく】 天体の重力が、周囲の物体を引き延ばそうとする力。 月【つき】 (1)地球の唯一の天然衛星。英語名ムーン(Moon)。(2)一般的に、衛星。 ティタン【てぃたん】 土星の衛星の一つ。窒素を主成分とする大気がある。 天文単位【てんもんたんい】 天文学で使う距離の単位のひとつ。1天文単位は太陽と地球の平均距離で、1.5億km。英語の「Astronomy Unit」の頭文字で「AU」と略すこともある。(関連:光年、パーセク) 天王星【てんのうせい】 太陽系の惑星のひとつ。英語名ウラーヌス(Uranus)。 電子【でんし】 原子を構成する粒子のひとつ。質量は陽子の約1800分の1で、−の電荷を持つ。(関連:中性子、陽子) 等級【とうきゅう】 天体の光度を表す単位。1等級小さくなるごとに、光度は約2.5倍になり、5等級で100倍の明るさになる。 土星【どせい】 太陽系の惑星のひとつ。英語名サターン(Saturn)。 ドライヤー【どらいやー】 デンマークの天文学者。1888年に、7840個の星雲・星団・銀河を集めた「新一般カタログ(New General Catarogue)」を発表した。 トラペジウム【とらぺじうむ】 M42(オリオン大星雲)の中心部にある、4つの新しい恒星。 (な) ニュートリノ【にゅーとりの】 素粒子レプトンうち、電荷を持たないもの。 (は) パーセク【ぱーせく】 天文学で使う距離の単位のひとつ。年周視差が1"になる距離で、3.26光年。(関連:光年、天文単位) 白色わい星【はくしょくわいせい】 HR図上で、主系列からはずれた左下に位置する恒星。 ハッブル【はっぶる】 アメリカの天文学者。1929年、宇宙が膨張していることを発見した。 ハッブル宇宙望遠鏡【はっぶるうちゅうぼうえんきょう】 1990年に打ち上げられた人工衛星。大気のゆらぎや濁りに影響されない、鮮明な写真を撮ることを目的にしており、人工衛星全体が望遠鏡になっている。(関連:ハッブル) 微惑星【びわくせい】 チリとガスの円盤の中で惑星が形成される過程でできた、1km〜10km程度の大きさの岩石塊。 比熱【ひねつ】 物質1gの温度を1℃上昇させるために必要な熱量。 輻射点【ふくしゃてん】 流星群において、流星の経路の延長線が収束するところ。 プラズマ【ぷらずま】 物質が高温になり、高度に電離した状態になったもの。 フレア【ふれあ】 太陽表面で見られる爆発現象。強い電磁波や大量の荷電粒子を放出するため、地球上でも電波障害などが起きることがある。 プロミネンス【ぷろみねんす】 →紅炎 分子雲【ぶんしうん】 星間雲の特に濃い部分。原子が衝突し、分子が発生している。 ヘリウム【へりうむ】 原子番号2の元素。水素とともに、宇宙開びゃく当時から存在していた。 ヘルツシュプルング・ラッセル図【へるつしゅぷるんぐ・らっせるず】 →HR図 ボイジャー【ぼいじゃー】 1977年に打ち上げられた、アメリカの惑星探査機。1号は木星と土星、2号は木星・土星・天王星・海王星に接近し、写真撮影などを行った。 (ま) マリネリス峡谷【まりねりすきょうこく】 火星の低緯度地方にある地形の名。長さ4000kmにおよぶ谷で、水が流れてつくったと考えられている。 満月【まんげつ】 月齢15ごろ、太陽−地球−月がほぼ一直線になる瞬間。または、そのころ見られる丸い月。月の公転軌道が楕円であるため公転角速度は一定ではなく、そのため満月の月齢は一定ではない。(関連:上弦、下弦、新月) マントル【まんとる】 地球型惑星で、金属の核をとりまく岩石質の部分。 冥王星【めいおうせい】 太陽系の惑星のひとつ。英語名プルート(Pluto)。 メシエ【めしえ】 18世紀フランスの天文学者。彗星を数多く発見した。(関連:メシエカタログ) メシエカタログ【めしえかたろぐ】 メシエが1771年に発表した星雲・星団・銀河のカタログ。死後に追加されたものを含め、110個の天体が登録されている。 木星【もくせい】 太陽系の惑星のひとつ。英語名ジュピター(Jupiter)。 木星型惑星【もくせいがたわくせい】 木星・土星・天王星・海王星の総称。(関連:地球型惑星) (や) 有機物【ゆうきぶつ】 炭素を含む複雑な分子。生命体の主な材料になっている。 陽子【ようし】 原子を構成する粒子のひとつ。質量は中性子とほぼ同じで、電子と同じ強さの+の電荷を持つ。(関連:電子、中性子) ヨハネス・ケプラー【よはねす・けぷらー】 →ケプラー (ら) 流星【りゅうせい】 太陽系空間のチリが大気中に突入して発光する現象。ながれ星。 流星群【りゅうせいぐん】 多数の流星が、空の一点から放射状に飛ぶように見える現象。 リング星雲【りんぐせいうん】 球殻状に広がったガスが輝いている散光星雲。 連星【れんせい】 複数の恒星が、共通重心の周りを公転しているもの。