栄養素として馴染みのあるタンパク質だが、生命科学者は「精密機械」と考えている。 タンパク質はスゴイ…かもしれない。 これからの内容は大学3年生ぐらいの内容も一部含んでいる。また、まだ誰にも解明されていない内容も含んでいる。 タンパク質の話に入る前に、まずDNAのハナシ ・DNAは長い鎖で、2本鎖になっている ・2本の鎖の間にA,T,G,C…これが遺伝暗号になっている。 この2点を頭に入れておいてクダサイ。 DNA複製のしくみ
この情報が具体化するしくみ
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アミノ酸が並んでタンパク質になると、勝手に、特定のカタチになる!←これ重要
遺伝子の指令によって、決まった順序でアミノ酸が並ぶ その結果 タンパク質は決まった形になる さらにその結果 ある特定の機能をもつようになる
というわけで、タンパク質は栄養になるだけではない タンパク質のさまざまな機能 ・細胞の中で化学反応を行う 「唾液の酵素がでんぷんを分解する」などというのは細胞の外で行う化学反応。 細胞の中ではもっとすごいことをやっている。 ・DNA、RNA、タンパク質をつくる 必要なときに必要なところで、必要なだけ ・細胞を分裂させ、細胞の形を変える 分裂のときにはDNAをつくらないといけない。細胞質のタンパク質もつくらないと いけない。そういうものをつくるのもタンパク質の役目。 ・外界のシグナル(ホルモンの指令など)を細胞内に伝える ひとつの細胞内には2万〜5万種類のタンパク質がある。 つまり、それだけの遺伝子がある。 →ほとんどすべての生命活動はタンパク質がやっている。 いいことばかりではない。病気を起こしたりもする O−157 菌が出す毒素が病気を起こす。毒素はタンパク質。 ウイルス 本体はDNAだが、カラはタンパク質。 遺伝病 たとえば鎌状赤血球貧血 (ヘモグロビンは普通は水溶性で、それが赤血球の中に入っている。 ヘモグロビンに関するDNAが一つだけ(「バリン6」というヤツ)が 違うために非水溶性の針状結晶になり、赤血球を壊して流出してしまう) 癌 完全にはわかっていないが、遺伝子が少しだけ変わってしまって細胞分裂の 調整がおかしくなる病気。 狂牛病 「タンパク質が感染」しておきる病気。 誰もがもっている「プリオン」…なにをやっているタンパク質かはよくわからない…の異常。 本来螺旋形のヘリックスが伸びてしまうと狂牛病になるらしい(なぜ伸びるかはわからない)。 伸びたヤツが体に入ってくると、他の正常なヤツも伸びてしまうらしい。それがさらに他の ヘリックスを伸ばしててしまう。脳に達すると発病。(脳に達するまで数年かかる) 利用 酵素 洗濯洗剤に入れて、汚れのタンパク質や脂肪を分解する プラスチックをつくる アクリルの原料をつくる(すでに実用化) 塩素を使わずに神を白くする(ぼちぼち実用化) 黄色みの元「キシラン」を壊す酵素をつかう 抗ガン剤がつくれるかも(動物実験段階) 癌細胞にあつまる「スーパーオキサイド ディスミューターゼ」というタンパク質がある。 また「スーパーオキサイド…」のところへあつまり、活性酸素を発生する薬がある。 この2つを組み合わせると、ガン細胞だけを効果的に壊せるはずだ |
研究の方法…遺伝子操作 わかっていないこと なぜ決まった形をとるのか。 それがわかれば、目的の性質をもつ酵素を作れるかもしれない。 現在はいわば「狩猟」の時代。「栽培」の時代がくるかもしれない。 |
山岸先生の最近の研究 質問タイム 田中さんの研究について 田中さんはタンパク質の分析装置をつくってくれた。これはうれしい。 取り出したタンパク質をひとつ選んで田中さんの装置にかけると 1・タンパク質の大きさがわかる 2・タンパク質をレーザーで壊して装置にかけると、その断片の正体が同定できる 大腸菌に増やさせる方法は? 「ラクトース」を分解する酵素をつくる遺伝子に、実験用の断片を組み込む。 ラクトースを食わせてやると、大腸菌はその遺伝子を一生懸命はたらかせてくれる。 |