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 禁漁直前釣行第2弾 FLY FISHING in 湯川(栃木県)

 9月24日(金)、昨日天候悪化で達成できなかった「赤沼前〜青木橋間の流域把握釣行」の続きを敢行すべく、いつもより早めの10:00に妻の実家を出発した。今日は昨日断念したポイント以降の流域把握と欲張りにも湯の湖イブニングを計画している。実は湯の湖では翌日の釣納め大会に備え、大量放流を行うという情報を聞きつけたのだ。前回の湯の湖釣行でも同じ様な状況で自然湖沼初のトラウトを手にすることができた良い記憶が残っている。1日で河川と湖沼の釣りを楽しめる、奥日光はすばらしいフィールドだ。

赤沼茶屋向いの駐車場には釣り人のものと思わしき車が2〜3台駐車されていた。やっぱり平日は少ないな。
 いつものように釣券を購入し、身支度を整え、「左岸立ち入り禁止看板」目指して遊歩道を歩いた。遊歩道を歩いていていつも思うのだが、すれ違うハイカーは妙な格好をした釣り人をどう思っているのだろうか?夫婦のハイカーとすれ違った後には、たいてい旦那の方が奥さんに「こうやって竿を振って釣りをするんだ」というような身振りをして説明している。「こうやって」か、よく考えると自分のキャスティングフォームを自分で見たことがない。一度ビデオに撮って見てみたいものだ。自分では雑誌とかに出てくるキャスターと同じように振っているつもりだが実際は???かな。
 遊歩道から川を見ると、先行者に英国の鱒釣りを気取った、ツウィードのジャケットを羽織り、ショルダーバックをたすき掛けに掛けてバンブーでニンフフィッシングをしている人がいたが、まさに歴史ある湯川、周りの風景にとけ込んでいる感じがした。(ちなみにバックを持っていてもC&R主義者だった)

昨日断念したポイントから再び流れを確認しつつ藪こぎしながら上流へ向かった。獣道ならぬ釣道は結構河岸ギリギリを通っており、所々「沈」した後だと思われる穴が開いていた。ディジタルカメラを携行しているので気を付けなければ。もし「沈」してカメラが壊れても今の財政では新調できそうにない。防水機能付き小型デジカメが発売されたら今の奴を下取りに出して購入したい(計画段階)。また話が逸れてしまった。
 しばらくは川幅も狭く水深もあり、案外流れも急なので竿を出すには岸からしかない。また周辺は胸ぐらいまである草木が生えているのでショートレンジを狙って釣るしかなさそうだ。ここでも数匹のブルックがユラユラと泳いでいたが釣れそうもなかったので先へ進んだ。
 さらにしばらく進むと川幅が少し広くなり水深も浅くなったのでウェーディングして竿を出した。狙うはポイントは上流に向かって右岸寄りの朽ちた倒木の脇の流れ筋だ。何がハッチがしているか分からなかったのでバカの1つ覚えのE.H.C.#16をティペットに結んでアップクロス気味にポイント上流部にフライを落とした。「来るか来るか・・・」うーん来ない。もう少し外側を再度流してみる。倒木によって流れが外に逸れ、メインの流れとぶつかるそこでフライが水中に消えた。本日1匹目のブルックだ。今日は釣れなくてもいいと思っていたので嬉しい1匹となった。

本日最初ののブルック・チャー
本日最初のブルック・チャー
霧に浮かぶ男体山
霧に浮かぶ男体山

 この辺りに来たときにどこからともなく霧が発生してきた。おまけに雲行きも怪しくなってきた。まずいなと思った10分後、にわかに雨が降り出してしまった。高山気候とは言え、数回しか来ていない奥日光で90%の確率で雨に遭っている。相性が悪いのかと思ってしまう。
 ここから先は左岸を行くことになるが「左岸立ち入り禁止」看板を無視することになってしまう。一応気に掛かったのでできるだけ左岸には上陸せず、ウェーディングして行くことにした。川幅もさらに広くなり、所によってはチャラ瀬ののような流れもあり対岸へ歩いて渡れる程度の深さとなった。川通しで歩いていると川底の妙な感覚が足裏に伝わってきた。初めのうちは石か何かと思っていたがどうやら違うようだ。石らしき突起とそうでない場所の落差が大きく、危うく足を踏み外して「沈」するところだった。よく見ると直径10cmぐらいの木の切り株があちこちにあった。どういう経緯でこうなったかは知らないが湯川は不思議な所だ。

ここで事件は起きた。雨足が強くなったため、戦場ヶ原湿原はあっという間に本当の「湿原」に変わってしまった。 川から岸に上がろうと足を踏みだし地面に踏ん張った瞬間、太股の付け根まで「ズブズブゥゥゥゥ」、抜こうとしてもう片方の足も足場を確認して踏ん張るとまた「ズブズブゥゥゥゥ」。動けば動くほどはまっていくまさに「あり地獄」状態、もうどうにも動けない。これが噂の「泥沈」か!湯川釣行3日目にして体験してしまった。 幸い、後追いの人に助けてもらったが、もし誰も来なかったらと思うとゾッする。 やはりいろいろな意味で単独釣行は危険だと感じた。

それから先は竿も出さず、ただ流れに沿って、ときには川通しで、ときには岸に上陸して何とか青木橋のたもとまで行き着くことができた。赤沼前〜青木橋間の流域を把握するのが目的だったが、途中から自分のいる場所が把握できないという本末転倒な結果に終わってしまった。しかし目をつぶって思い出すと何となくだが風景と流れが浮かんでくる。とりあえずはこんなものだろう。来シーズンも何回か行けばイメージがしっかりと焼き付けられるはずだ。2日合わせての釣果も13匹と満足のいくものだった。来シーズンも良い釣りができることを願いつつ湯川を後にした。
 この後湯の湖に行く計画だったが雨にくじけて断念してしまった。ということで今シーズンの釣行はこれで終了となった。シーズンオフにはキャスティング練習、フライタイイング、管理釣り場通いなど別な意味で一年中楽しめるのがフライフィッシングの良さだ。さらに今年はロッドビルディングにもチャレンジすべくパーツを物色中で、楽しみがまた一つ増える。フライフィッシングの世界にますますはまっていきそうな予感がする。


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