さる1月27日(土)、宮城県庁にて開催された東北地方初となる『東北の川 ワークショップ』に参加してきた。
参加者は釣り仲間の川崎さん、船津さん、細田さん、そして私の4名で、当日は雪の降る中、発表団体以外にも結構人が集まり、県庁の講堂はほぼ満員状態だった。
このワークショップの主旨は、福島、山形、宮城で河川に関する環境保全活動を行っている市民団体、NPO法人、そして行政が自らの活動内容を報告し、審査員がその活動を審査するというものだ。
初日27日は第1次審査としてA〜Dのグループに分かれプレゼンを行い、各グループから優秀な活動団体を選出、第2次審査として2日目の28日に再度プレゼンを行い入賞団体を決定する。
フライフィッシャーとして河川環境問題に感心にある我々にとって、現在どのような団体が実際にどのような活動を行っているのか、また彼らの考える良い川とはどういう川なのか知る上で、また行政側がどの程度河川環境問題を把握し、どのような環境保護活動を行っているのか、民間団体との協力体制などを知る上で非常に参考になった。
主に聞いたプレゼンは広瀬川の河川環境保護についての市民団体活動報告、七北田川についてのNPO法人の自然保護活動報告と宮城県行政の河川開発計画の3件である。
上の3件の活動報告を聞いた感想としては、「本当の意味での河川環境保護とは一体なんぞや?」ということだ。
七北田川についてのNPO法人の自然保護活動報告が最も川のこと、川の周りの自然のことを考えた活動を行っていた。
その活動は「昔からのありのままの河川環境を残したい」ということ目的として行われている。
水質調査から鳥の営巣場所の保護巡る活動など、本当に自然を守るという意志が伝わってきた。
また、古くから活動していることもあり、行政側とのやりとりにおける問題点や、人手不足などの問題も聞くことができたので大変参考になった。
その中で最も印象的だった言葉は「個人の声は行政に反映されない。同じ意志を持った個々が集う団体の声は力を持つ」
説得力のある、なるほどと思わせる言葉だった。
広瀬川の河川環境保護についての市民団体活動は自然保護というよりは自然と人の共生の重点を置いた活動で、仙台市民が親しみやすい広瀬川を目指しての活動だった。
自然保護を唱っているものの、「下流から上流部まで川辺を散策できる遊歩道の設置や危険区域を護岸して・・・」など今ある川に手を加えて人の生活にを中心にした活動を行っていきたいとのこと。
なんか矛盾しているように思える。
確かに人口が増え、河岸まで宅地造成された様子を見るとそうせざるを得ないのかなと思うところもあるが、「親しみやすい=人間が近づきやすい=きっちり整備された河岸」という図式が頭に浮かんでしまう。
しかし、これも大人口を抱える都市河川の現代の1つ在り方であるし、市民団体の活動自体はすばらしいものだと思う。
そして最後に聞いたのが宮城県仙台東土木事務所の七北田川河川開発計画についてのプレゼンで、ここでは私の質問に対して興味深い回答を得ることができた。
プレゼン自体は七北田川の中・下流域の河川改修計画に基づく親水公園の設置や人に優しい河川環境の整備、カワセミの営巣地の設置等で、行政側もいろいろ考えてやっているんだな、と感じた。
ここで私は今回のワークショップで気になっていた@源流及び上流部の開発計画とA河川のゾーニング(流域別河川利用法?)について質問にしてみた。
@については河川改修計画の範囲は七北田公園より下流で、源流部及び上流部はほとんど手つかずで管理していない。
河川氾濫や土砂崩れによる災害復旧工事を行っているのみとのこと。
確かに上流部は幸いにしてというか護岸されている部分も少なく自然の姿を目にすることができるが、逆を言えば全く管理されていない状態だ。
七北田川も比較的大きな川なので全域を管理するのは非常に大変案ことだとは思うが、自然が豊富で水がきれいな上流部あっての中・下流部だと思うので、本当に川のことを考えたら上流部の管理の重要性を把握して計画的に管理してほしいと感じた。
またAは@に関連する質問というか意見で、行政側の今後の河川管理の在り方を私一個人の希望として述べさせてもらった。
その内容は流域別の河川の利用法を分けるという河川のゾーニングについてで、例えば上流部は自然、そして生態系を守るような管理を行い、中・下流域では川の自然を身近に感じられるように親しみながら遊べるような施設の設置など、目的に応じた河川管理を行えば良いのでは、ということだ。
質問@にもあったが行政側は河川を部分部分でしか捉えておらず、その河川全域の管理は頭にないようだ。
重機で自然を破壊し人間の住みやすい環境を作るのは簡単だが、一度壊した自然を元に戻すにはそれこそ何十年もの時間を必要とするはずだ。
自然保護が重要視される今だからこそ、行政側も予算が余ったから河川工事をするなどといった馬鹿げたことはやめて、河川とその周りの自然のことを考えた河川管理を行ってほしいものだ。
今回このようなワークショップに参加して、先にも述べたように他団体の考えと活動、そして行政側の考えを一部ではあるが把握できた。
しかし何かちょっと違いような・・・、より良い川って一体何??という疑問は最後まで消えなかった。
フライフィッシャーとして上流部の河川保護の在り方や漁協の放流事業についての発表も期待していたがそのような発表はなかったのが残念だ。
しかしこのような議論の場が設けられれば直接話を聞き、意見を交わすことができる機会もあるだろう。
実際に川に足を浸して、底石をひっくり返して水生昆虫を観察して釣りをする我々フライフィッシャーにとって河川環境問題はとても身近であり、河川環境を守るには何ができるのかを考える必要があると思う。
河川環境保護やキャッチ&リリース活動を念頭に置いたフィッシィングクラブを興そうとしている我々の活動内容というか、進むべき道が明確になった今回のワークショップに感謝したい。 by BUN
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