今日は、久々にあの人と会う日。
いつもならとっても嬉しいのに、今日はなんだか会うのが怖い。
昨日あんなことが無ければそんな風に思うことも無かったのに・・・




betray……?



『はぁ〜〜い、今夜も始まっちゃいましたぁっ!『桜井あさひのハートフルカフェ』っ!』
『あさひは今夜も頑張っちゃうので、みんなも頑張って聴いてね♪』

台本を読んだ偽りの私、ホントじゃない私。
それでもこの仕事が好きだから続けてる。

『さてさてぇ、今日の一枚目のおはがきはぁ、船橋市にお住まいの碧雅さんからで〜〜す☆』

『あさひちゃん、こんにちわぁっ!』
『は〜い、でもこの時間は『こんばんわ』だよぉ〜〜っ!』

『今日は、あさひちゃんに相談があってペンを取りました。・・・私、好きな人が出来たんですけれど、
その人とは話したことはほとんどありません。私はお客として、あの人は作家として話す程度です。
でも、彼のひたむきな姿を見て、なんだか好きになっちゃったんです。
その人を初めて見たのは、今年の春のこみパ。初参加らしく、その人はおぼつかない手つきで本を売っていました。 作品の方はというと、何か荒ぽっかたけど、何か、感じるものがありました。
それからというもの、毎月こみパに通うようになって、あの人を陰ながら応援するようになりました。』

(ふふっ、私と似てるなぁ・・・)

『"頑張れ"が"好き"に変わるのはそんなに時間はかかりませんでした。でも、あの人の周りにはいつも私よりキレイな女の子がいっぱいいます。』

(・・・え、まさか・・・)

『最近は本のほうも順調に売れて、今では大手サークルにまでなりました。私みたいな一般人では好きになってはいけないような存在になってしまったような気がして・・・。あさひちゃん、私、どうしたらいいんでしょうか?』

(どうしよう・・・。まさかあの人だなんて・・・)

『え、えっと、わ、私は、が、が、頑張って、こ、こ、告白しちゃった方が・・・いいんじゃないかと思うよ・・・』
『あ、あ、あぁ、あさひもダンゼン応援しちゃいます・・・
『さ、さてぇ、次のおはがきは、東京都の本名OK、九品仏大志君から・・・・・・』






・・・なんてことがあったからなぁ・・・。
まさか、ファンの子が和樹さんのことを好きだったなんて・・・
和樹さんのことは私も好きだから、譲る気は無いけど、ファンの子にもなんか悪いような気もするし・・・。
あ〜〜〜っ!どうしたら良いんだろー−−っ!

「ど、どうしたの!?あさひちゃん・・・。」

「え?か、か、か、和樹さん!? い、い、いつからそこに!?」

「さっきからずっと。あさひちゃんがボ〜〜ッとしたり、急に悩み出したりした時から・・・」

「み、み、み、見てたんですか!?」

「あぁ、なんとなく、声をかけちゃいけないような気がして・・・」

「あ、あはは・・・」

私たちは公園のベンチで何気ない一時を過ごしていた。
その時でも私は彼の言うことは上の空であの子のことを考えていた・・・

(あの子、私が和樹さんと付き合ってることを知ったらどう思うかな・・・)
(やっぱり、私のこと軽蔑するかな・・・)
(はぁ〜〜、あんなこと言わなけりゃ良かったかなぁ・・・)


「・・・。やっぱり今日のあさひちゃんはおかしいよ。」

「え、ど、どうしてですか?」

「何か、別のことを考えてるようにしか見えないから。」

「・・・。やっぱりそう見えますか・・・」

「俺が何とかできるとは思えないけど、あさひちゃんが苦しむ顔を見たくないから、俺に話してみない?すっきりするかもよ?」

「和樹さん・・・」

「あ、嫌ならいいんだよ、嫌なら。」

「いえ、チョット聞いてほしいことが・・・」

「こ、この前の放送って聴きましたか?」

「あぁ、聴いたけど。それが?」

「そ、そこで女の子からのはがきがありましたよね」

「あぁ、好きな人が出来たって話だったよねぇ、それが何か?」

「あぁあぁあ、あの子の好きな人って和樹さんのことなんですよ・・・」

「えぇっ!まっさか〜〜〜!・・・って、ホントなの?」

「は、はい。ど、同人作家を始めてたった1年で大手までなったって書いてありましたよね。」

「そういえば、そんなことを放送で言ってたっけ・・・。でもそんな人、他にも・・・いないか・・・ここ1年では。」

「は、はい。それなのに、私達、付き合ってるのに、ラジオで『応援しちゃう』なんて言ったりして・・・」
「なんだか、その子のことを騙してるようで・・・。いえ、実際騙してしまっているかと思うと・・・・・・」

「そっか。そういう事だったんだ・・・」

「私達が付き合ってることを知ったら、あの子はやっぱり私を嫌うでしょうか?やっぱり、私のことを裏切り者と思うでしょうか?」

「・・・あさひちゃんは優しいね」
と言って、彼は私の頭を優しく撫でてくれた。

「え?え?そんなことないです・・・」

「でも、だからと言って、あさひちゃんは俺を諦められる?俺はあさひちゃんを諦められない。」

「私も・・・、私も、和樹さんを諦めることは出来ません・・・」

「そっか・・・、それなら答えは一つだね」
といって、彼は私をそっと抱き寄せた。

「か、和樹さん!?」

「・・・恋愛はね、あさひちゃん。誰かが喜ぶと必ず誰かが泣くことになってしまうんだよ。」
「でも、それで終わりにしちゃいけない。その人の為にも絶対2人は幸せにならなきゃいけないんだ。」
「その人から祝福されるぐらいに、ね」
といって、彼はまた私の頭を優しく撫でてくれた。

「あさひちゃん。」
その後、彼は私の前を向いて、
「ずっと、永遠に、世界が滅びようとも、俺は君のことを愛しつづけるよ・・・」
「・・・!和樹さん・・・。わ、私も、私も和樹さんのことをずっとず〜〜っと愛します・・・」
私達の影は公園に長く伸び、やがてその影は絡み合うように一つになっていきました・・・。





********************あとがき********************
ど〜も〜、ずいぶん前にHiroさんから寄贈SSを頂いたのにお返しがここまで遅れてしまいましたm(_ _)m
いかがだったでしょうか?
今回(って、次回はあるのか!?)はあさひちゃんの『恋人とファンとの葛藤』を描いてみようかなぁ・・・。
と思ったんですが、どうでしたか?オイラ的にはなんとも言えないですねぇ。まず、量的にもチョット少なかったし・・・。なんか、SSS(ショート・サイド・ストーリー)ってカンジでしたね(^ ^;
プロの人の表現方法をチョット使わせてもらったところもあったのでねぇ・・・(わかる人にはわかるでしょう。結構有名な作家です) 100%自分の作品とは言い難いからですかねぇ。
次はチョット新しいことに挑戦してみようと思います(そんなに大層なもんじゃないですけどね(汗)
感想なんかがおありでしたらオイラのページの掲示板かHiroさんのところの掲示板か、
メールなんか頂けたら幸いです。 あ、苦情とか、不満点も受け付けてますので〜〜(^ ^;
ではでは〜〜(^ ^)/~~~~~


11月9日展盛


 毎度!! Hiroです。
 とっても可愛い&優しいあさひちゃんにメロメロ状態(^▽^)
 そして、展盛さんの着眼点の良さに脱帽。
 アイドルだったら、実際にこんなこともあるかもしれないなぁ、と妙に納得してしまいました。
 “次回”にも期待大ですねぇ( ̄ー ̄)b

 ちなみにタイトルの『betray』とは『裏切る』という意味です。……念のため(^ ^;;

 展盛さん、本当にありがとうございました!!



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