『微睡』



 とある休日の午後。
 俺と綾香は、撮りだめしてあったドラマのビデオを一緒に観ていた。
 こういうのは、時間がある時に消化しておかないと、いつまで経っても減らないからな。

 ―――で、120分テープを1本こなして、ちょっと一息つこうかと思った時、

 ぽてっ。

 ……なんて擬音をさせながら、唐突に綾香が俺にもたれ掛かってきた。

「ん?」

 どうしたんだろうと思って視線を向けると……綾香は瞼を閉じて、口からは規則正しい吐息を零していた。

「ありゃ。寝ちまったのか」

 ま、気持ちは分かるけどな。
 陽気は良いし、窓からは心地よい風が吹き込んでくる。それに加えてマッタリとしたのんびりな空気。
 これだけの好条件が揃っていれば誰だって眠くなるだろう。

 しかし、それ以上に……

「もしかしたら、疲れがたまってるのかもな」

 俺は、そう思った。
 何故なら、思い当たる事があったからだ。

 それは……



 A:綾香のヤツ、何でも頑張りすぎるからな

 B:やっぱり、昨日の夜はちょっちやりすぎたかも







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