『名雪ちゃんは甘えん坊』 第1話「ウソを吐いちゃダメなんだよー」

「祐一のうそつき」  扉の向こう側から、名雪の拗ねた声が聞こえてきた。 「あのなぁ〜。別にウソを吐いているわけじゃないだろうが」 「…………だって、いつだってそばにいてくれるって言ったのに……」 「だ〜か〜ら〜」 「…………うそつき」  『平行線』  今の俺たちの状態は、まさにこの一言に尽きる。  先程から、この様な会話が15分以上も続いていた。 「…………絶対に離れないって言ったのに」 「それとこれとは……」 「…………うそつき」  ダメだこりゃ。何を言っても聞きやしない。  ……ったく、仕方ねーな。  俺は覚悟を決めた。 「わかった。入る。入るよ」 「ホント?」 「ああ。だけど、本当にいいんだな?」 「いいに決まってるよ。それよりも、早く早くぅ」 「はいはい」  俺は、苦笑を浮かべながら、扉を開けて中に入っていった。
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「あ〜、気持ちよかった」 「…………そっか。良かったな」 「ん? 祐一は気持ちよくなかったの?」 「気持ちよかったさ。だけどな……」 「だけど?」 「…………やっぱり、『風呂』にはひとりで入った方がいいと思うぞ」 「ええぇぇぇっっっっ!? なんでぇぇぇっっっ!?」  なんでぇぇぇっっっ、じゃねーだろ。 「祐一は、わたしとお風呂に入るのイヤなの?」 「イヤじゃねーけど……」  それどころか、どちらかと言えば嬉しい。目の保養にもなるし。  だけど……だけどなぁ。 「こんなこと、秋子さんにバレたらやばいだろ?」 「そうかなぁ?」 「そうだって」 「でも…………もう、手遅れみたいだよ」  そう言って、にっこりと微笑む名雪。  なんだよ、手遅れって。  ま、まさか……。  俺は、恐る恐る振り返った。すると、そこには……満面の笑みを浮かべた秋子さんが立っていた。 「了承」 「…………は?」 「祐一さん、これからも名雪のことをよろしくお願いしますね」 「え? …………は、はい。もちろんです」  俺の答えを聞くと、秋子さんは満足そうな顔をして、その場から立ち去っていった。 「うふふ。これでお母さん公認だね」 「…………あぁ、そうだな」 「えへへ〜。明日からも毎日いっしょにお風呂に入ろうね」  …………なんか、はめられた気がするぞ。  もしかして、名雪と秋子さん…………共犯? 「これからも、ずっっっとそばにいてね、祐一♪」  こうして、俺の苦悩の日々が始まったのである。  『甘々ラブラブべたべた』という理性との戦いの日々が……。 ―――――――――――――――――― つづく ――――――――――――――――――  ☆ あとがき ☆  どもども、Hiroです(^ ^ゞ  甘えん坊の名雪ちゃん。前々から書きたかったネタです。  これから、この掲示板で不定期(笑)連載しますので、どうかお付き合い下さいね。  でも、ちゃんと連載できるのか?(^ ^;  あうーっ、頑張りま〜す。  ではでは、また次の作品でお会いしましょう\(>w<)/



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