ポツポツ……、ポツポツ……

 雨……

 そういえば、あのときも雨が降っていたっけ……

 こんな、冷たい雨が……





 〜アトラク=ナクア〜






「そろそろ終わりにさせていただくわ、銀。申し訳ないけど、あなたの児戯にこれ以上付き合ってはいられないから」

「ほう?」


 殺気のこもった姉様の言葉を、軽く受け流す銀。

 楽しんでいる。

 肉を裂くことを……血を流すことを……


「私はね。まだ、あなたほど生に退屈はしていないの」


 しかし、そのことを意にも介さない姉様。

 楽しんでいるのは、姉様も同じだから……


「ならば、わしを討つか? ぬしに討てるのか? のう、初音よ」

「討つ? そんな大袈裟なものではないわ。…………潰すだけよ」

「なるほどな。……初音よ、やはりぬしは面白い。わしにとって、最高の玩具だ」

「お褒めいただき光栄だわ。では、あなたの玩具からの奉公よ。この世での最後の享楽、堪能させてあげるわ」

「最後になればいいがな」

「心配は無用よ」



 そして……両者が動いた。




 その間のことはまるで覚えていない。

 数瞬の出来事だったのか、数時間が経過しているのか……

 気が付いたときには、そこには……

 彫像の様に立ち尽くす、ふたりの姿があった。


「まさか……ぬしにな……」

「言ったでしょ。心配は無用だって」


 姉様の右腕が銀の胸を貫いていた。

 素人の私にも分かった。

 致命傷だ。


「……まあよい。これもまた一興」

「そう。楽しんでいただけたようで何よりだわ」

「この面白さ。ぬしにもいずれ分かる時が来る。いずれ……な」


 それが、銀の最後の言葉だった。

 そして、辺りは静寂に包まれた。




「かなこ。あなた、まだ贄になりたいと思う?」


 静寂を破ったのは、姉様からの唐突な問い掛けだった。

 私は……


「はい。私は姉様の贄になりたいです。姉様の所有物(もの)になりたいです」


 迷うことなく、躊躇うことなく、キッパリと答えた。

 姉様は、暫し考えに沈んだ後……


「……やはり、贄には出来ないわね。かなこは贄には相応しくないもの」

「……………………姉様」

「だから…………あなたは、蜘蛛にしてあげる」




 その日、私は人であることを捨てた。

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 そう、あの日も、こんな雨が降っていたっけ。

 あの日も……

 もう、百年以上も昔の話。

 残酷で美しい物語。



「さあ、かなこ。そろそろ遊びましょうか」

「そうですね。私からの最後のご奉公です」




 物語は繰り返される。




 配役を替えて繰り返される。




 今日から、姉様の役は私の物。




 物語は繰り返される。

      







あとがき

注意!!

 ここから先は原作の雰囲気を台無しにしています(^ ^;;
 そういうのが許せない方は読まない方がいいかと思います。
 それでも大丈夫、全然OK!! という方だけお進み下さい。

 ちなみに……長いです(^ ^;;





















沙千保「この度は」

つぐみ「『廻』をお読みいただき」

奏子「ありがとうございました」

鷹弘「心より感謝しております」

和久「……う〜〜〜ん」

つぐみ「……? なに?」

沙千保「どうかしたんですか?」

和久「よし!! これや!!」

奏子「きゃっ!!」

鷹弘「なんだなんだ!?」

和久「いやな。さっきから、俺らのグループ名を考えとったんやけどな……」

鷹弘「グループ名?」

奏子「(なにもこんな時に……)」

和久「めっちゃいいのが思い浮かんだんや」

つぐみ「なになに? どういうの?」

和久「フッフッフ。聞いて驚け。その名も……」

沙千保「その名も?」

和久「『姉様戦隊ニエレンジャー』や!!」

沙千保「……………………え?」

つぐみ「……………………は?」

鷹弘「冗談……だろ?」

奏子「いえ。たぶん、本気だと思います」

和久「俺らの人数は5人。そして、5人といえば、太古の昔から戦隊物と相場が決まっとるんや!!」

沙千保「そうなの? 知らなかった」

つぐみ「沙千保姉、信じちゃダメ!!」

和久「完璧!! 完璧や!! くぅ〜〜〜、かっこ良すぎる〜〜〜」

 どだだだだだだだだだだだだだだだだだだだ!!

初音「かっこいいこと、あるかーーーーーーーーーっっ!!」

 めぎょっ!!

和久「ごひぇぇぇぇ!!」

鷹弘「し、真空飛び膝蹴り」

つぐみ「うっわー、顔面にモロ」

奏子「痛そう」

和久「痛そうじゃなくて、ごっつ、痛いわ!! 膝は堪忍やで、姐さん」

 ずぶしゅ!!

初音「姐さんって言うな!!」

沙千保「わ、凄い。爪が貫通してる」

鷹弘「……死んだな」

初音「ぜーはーぜーはー」

奏子「お、お、落ち着いて下さい。姉様」

初音「落ち着いてるわよ!! 山よりも広く、海よりも高く落ち着いてるわよーーー!!」

つぐみ「全然、落ち着いて……むぐぐ!!」

鷹弘「余計なことは言うな。和久の二の舞になるぞ」

つぐみ「(こくこく!!)」

初音「そんなことよりも、なんなのよ、このSSは!!」

奏子「え? (そんな、唐突に本題に入られても……)」

初音「内容は薄っぺらだし、中途半端だし、妙に短いし」

沙千保「短いのには、一応理由があるんですよ」

初音「どんな?」

沙千保「いかに少ない文字数でシリアスが書けるかの実験らしいです」

初音「無謀ね。実力の無い奴がそんなことするんじゃないわよ。身の程知らずもいいとこだわ」

つぐみ「まったくもって、その通りですね」

鷹弘「異議無し」

沙千保「あ、あの、少しはフォローしてあげても……」

初音「必要無し!!」

沙千保「そ、そうですか(汗)」

初音「そもそも、私が一番頭にきてるのは……奏子!! よっくも、私に楯突いてくれたわね!! 覚悟は出来てるんでしょうね!?」

奏子「ち、ちょっと待って下さい!! あれは、台本通りに演じただけです!! 仕方なくやったんです!! 断じて私の本心じゃありません!!」

初音「本当?」

奏子「はい!! 私は、身も心も全て姉様の物です。姉様に逆らうなんて、とてもとても……」

初音「そう。よく分かったわ。ごめんなさいね、奏子。あなたを疑ってしまって」

奏子「い、いえ、そんな……」

初音「これは、そのお詫びと……あなたの名演技に対するご褒美よ」

奏子「えっ? あっ、姉様。……そんな……あ……こ、こんなところで……」

初音「可愛いわよ、奏子」

奏子「あ、あん!! ね、姉様……ダメ……あっ」

つぐみ「うわー(どきどき)」

鷹弘「こらこら。見るんじゃありません!! 沙千保からも言ってやって……どわっ!!」

沙千保「ねぇ〜ん、鷹弘。抱いて〜。ねぇ、いいでしょ〜〜〜」

鷹弘「い、淫乱モード(別名:萌え萌えモード)になってるーーー!!」

沙千保「ねぇ〜ってば〜〜〜」

つぐみ「あっ、沙千保姉ずるい!! 私も〜〜〜!!」

鷹弘「つ、つ、つぐみまで!!」

和久「なんやなんや、騒がしいな。……って、おわっ!! なにしとんねん、お前ら!?」

初音「げっ!! 生きてたの〜?」

和久「うっわー。きっついわー、その言い方。こんな死ねん体にしたんは姐さんやんか」

初音「そ、そうだけどさ〜〜〜(だから、姐さんって言うな!!)」

和久「体中弄くり回して、お婿に行けん様な体にしたんは姐さんやんかーーー!!」

初音「誤解を招く様な言い方をするなーーーーーー!!」

 ごしゅ!! ずびゃ!! ぼぎゅ!! びじゃ!!

つぐみ「え、えっぐー」

沙千保「お、おかげで正気に戻っちゃいました」

鷹弘「ふたりとも、見ちゃいけません!!」

奏子「…………ナム」









 −−− 3時間後 −−−

 とてとてとて……

燐「すみませーーーん。遅れちゃいました……って、あれ? 誰もいない」

燐「えっ!? もう、皆さんお帰りになってしまったのですか!?」

燐「はい? せっかく来たんだから、お前がこの場を締めろ、ですか? は、はい!! 頑張ります!!」

燐「えっと、本日は『廻』をお読みいただき、ありがとうございました。次は、私が主役のSS『燐ちゃん奮戦記 巫女は辛いよ』でお会いしましょう!!」

―――お、おい!! 待てこら!! 勝手に変な予告をするんじゃなーーーい!!

燐「お楽しみに!!」

―――待てや!! 書かないぞ!! そんなの絶対に書かないぞ!!

燐「それじゃあ、失礼しまーす」

―――こら!! 訂正していけ!! こらーーーーーー!!






 あうーっ(T-T)
 あとがきをキャラ任せにすると、とんでもない目に遭うというのを痛感したHiroでした。
 ではでは、次の作品で、またお会いしましょう。



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