『正しいアルコールの摂取法』



 眠る前に軽く……のつもりだった。

 しかし、

「かーっ! うめーっ!」

「うんうん。五臓六腑に染みわたるってやつやな」

 俺と委員長が軽くで済むはずもなく、気が付けば、部屋中にビールやサワーの空き缶が散乱していた。

 それにしても、委員長は相変わらず酒に強い。
 結構な量を飲んでいるにも関わらず、その事を殆ど感じさせない。
 多少、頬が色付いているくらいだ。

 まあ、その『ほんのり』さが、そこはかとなく色気を漂わせていて非常にグッドなんだが。

 薄いピンクに染められた顔やうなじを見ていると、思わず押し倒してむしゃぶりつきたくなる欲求がムラムラと沸き上がってきてどうにもこうにも……。

 ……………………。

 ああっ。
 俺って奴はどうしていつも『そっち方面』に思考が行っちまうんだ?
 我ながら、ちょっとだけ哀しくなったぞ。

 ……だからといって、直す気は全くないけど。

「ところでさ、何かツマミが欲しくならないか? 酒だけだと流石にちょっと味気ないよな」

 気を取り直そうと、俺は委員長に話を振った。
 何かを話して意識を紛らわせていないと、欲望が暴走してバーストしそうだからという意味も込められているが。

「味気ない? それやったら……」

 そう言うと、委員長は一口酒を含んで、

「え? いいんちょ…………んぐっ」

 俺の顔を両手でしっかりと固定して、口内の液体を流し込んできた。

「……ぷはっ! い、委員長……いったい何を……」

「どや? 味気ないの解消されたやろ?」

 問い掛けようとした俺を、委員長が悪戯っぽい口調で遮った。

「……………………あ、ああ」

 酔ってる。
 委員長、何気に酔ってるな。
 外見上に大きな変化が出ていなかったから気が付かなかったが、実は、委員長は既に立派に出来上がっていたらしい。
 そうでなければ、あの委員長が自分から口移しなんかしてくるはずがない。

 でも……

 何というか……良い。すっごく良い。
 はっきり言って萌えた。激萌え。

 酒の味も、いつもに比べて8割増し(当社比)で美味く感じられた。
 もちろん、委員長の言うとおり、味気なさなんてどこかに吹っ飛んでいた。

「サンキュ、委員長。ナイスなサービスだぜ。
 では……俺からもご返杯を……」

 酒を注がれたら注ぎ返すのがマナー。

「……うん。頂戴

 どことなくエッチな催促の仕方をする委員長に、俺は思わず押し倒したくなるのを……(以下略)。

 とにかく、今度は俺から委員長の口に酒を流し込んだ。
 もちろん、舌をたっぷり使って、委員長の口内で激しくシェイクさせることも忘れない。

「……んんっ……んふっ……」

 口の中の至る所に舌技を受けて、鼻にかかった甘え声を洩らす委員長。
 そんなリビドーを刺激するような可愛い声を聞かされて、俺は思わ(以下略)。





 その後も、俺たちは何度も何度も交互に酒を注ぎ続けた。



 今夜の酒は、とっても美味しゅうございました。










 ―――で、そんな事をしていれば、当然気持ちが盛り上がってくるわけで……



 自慢じゃないが、俺は、あんまり我慢が出来る方じゃないわけで……



 となれば、当然○○○な展開に流れ込んじゃうわけだ。










 てなわけで……










 委員長もとっても美味しゅうございました。












 次の日。

 委員長は昼過ぎ頃までベッドから起きあがってこなかった。

「昨晩飲み過ぎたからな。きっと二日酔いなんだよ」

 俺はそう説明したが、あかりたちは『やれやれ』とか『まあ、いつもの事だしねぇ』などと言わんばかりに呆れた顔でため息を吐くだけだった。



 ……こいつら、俺の言葉を全く信じてないし。





 日頃の行いって大事だね、いやホント。





 そんなことを強く実感した今日の良き日。





< おわり >





 ☆ あとがき ☆


 取り敢えず……お酒は20歳から(^ ^;



 しっかし、『翌朝、ベッドから起きあがれない』ってオチが多いなぁ。

 そろそろ、新しいパターンも作らないと( ̄▽ ̄;





戻る