私立了承学園

第425話『小さな恋の物語』
書いた人:禍音

 相沢家リビング・・・

 そこに、『彼』は丸まっていました。

「うなぁ〜」

 沢渡真琴ちゃんに拾われ、相沢家クラスの飼い猫となったピロシキ君。

 通称『ぴろ』君、その(ひと) です。

「にゃ〜(今日は天気が良いですね〜)」

 おやおや・・・すっかり寛いでますね。

 その所為で、彼はすっかり失念していたようです・・・。

 この家に棲む彼の『天敵』の存在を・・・。

「ニャッ!?(殺気!?)」

 一声鳴くが速いか、ぴろ君はその場から飛ぶ様にして後ずさりました。

「ねぇぇぇこぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 ズン!!

 今までぴろ君が寝ていた場所に、名雪さんが降って来ました。

「にゃにゃ!?(何故あんな所から!?)」

「天井に張り付いて、隙を窺ってたんだお〜」

 ・・・説明的な台詞をありがとうございます。

 しかし・・・『猫を狙って天井に張り付く女子高生』・・・イヤ過ぎ。


「なんだなんだ?」

 今の音を聞きつけて祐一君が出てきました。 

「ゲッ!ぴろと名雪!?」

「ウフフフ・・・・猫〜猫〜♥」

「チィ!」

  ガシッ!!

「あ、祐一何するんだお〜」

 祐一君は名雪さんを羽交い絞めにしながら叫びました。

「此処は俺が抑える!早く逃げろ!ぴろ!!」

「うなぁ〜(祐一さん・・・感謝します)」

「あ。離して祐一〜」

 ゲシッ!

 名雪さんのエルボーがクリーンヒット!

「ぐはっ!」

「ニャ!(祐一さん!)」

 ぴろ君は思わず立ち止まり振り替えりました。 

「何をしている!早く行けェ!俺の・・・俺の屍を超えて行けェェェ!!!」

 ぴろ君は祐一君の断末魔(違)を背に受け、何とか脱出する事に成功したようです。









「ニャ〜・・・(ふぅ、酷い目に会いました・・・)」

 ぴろ君がいつもの散歩コースを歩いていると・・・。

「・・・にゃ」

「うにゃ?(声?)」

 何処からか声が聞こえてきました。

 興味を引かれたぴろ君は声のする方へと駆け出していきました。



「ガルルルル・・・(兄貴ィ!骨が折れちまったよ〜)」

「グルル・・・(テメェ・・・。どう落とし前つけてくれるんだ!!)」

「ニャニャ!!(そっちが先にブツかって来たのニャ!)」

 其処には、2匹の野良犬と、一匹の猫がいました。

「にゃ!!(止めろ!)」

 元々正義感の強いぴろ君です。

 黙って見過ごすわけはありません。

「ガウ!(何だテメェは!)」

「グルル・・・(コイツまさか・・・兄貴!ヤバイですぜ)」

「ガルル(何でぃ!?)」

「ガゥ(コイツ多分ピロシキですぜ!!)」

「ガル!?(『屍断ちのぴろ』か!?)」

 ・・・ぴろ君って、有名なんですね。

「ガゥゥゥ(チッ!相手が悪過ぎらぁ)」

「キャインキャイン!(畜生!覚えてやがれ!!)」

 陳腐な捨て台詞を残して、野良犬たちは逃げていきました。

「うにゃ〜(大丈夫ですか?)」

「ニャ!(平気ニャ)」

「ニャニャ!(あんな奴らこのたまが本気を出せばちょちょいのちょいニャ!)」

「にゃ〜(あはは・・・・)」

 強気な態度に苦笑するしかないぴろ君です。

「・・・ニャ、ニャ〜(でも・・・助けてくれてありがとニャ)」

 そう言って、たまさんはニッコリ笑いました。

  ドキ♥

(・・・なんだろう?発情期でもないのに・・・胸がドキドキする・・・)

 初めての経験にぴろ君は少し混乱状態です。

「ニャン?(どうかしたのかニャ?)」

「うにゃにゃ(いえ・・・大丈夫です)」

「にゃ〜・・(あの・・・たまさん・・・)」

「ニャ?(なんニャ?)」

 混乱状態のぴろ君はこんな事を口走ってました。

「にゃ・・・にゃにゃ(あの・・・僕の子供を産んで・・・)」

「たまさ〜ん御飯ですよ〜」

「あうー、ぴろ何処ォ?」


「・・・・」

「・・・・」

「ニャン(どうやらお互い呼ばれてるみたいだニャ)」

「うな〜(・・・そうみたいですね)」

(どうして僕はあんな事を言おうとしたんだろ?)

 たまさんは、悪戯っぽく笑い、

 ペロ!

「!!」

 ぴろ君の唇を軽く舐め、器用にウィンクして、

「ニャ!(またニャ!)」

 と言って、走って行きました。

「にゃ・・・(たまさん・・・)」

 ぴろ君は知っているだろうか?

 今の行為が、人間で言う所の「キス」に順ずる行為であることを・・・

「ア!ぴろ!こんな所にいたんだ。御飯だから一緒に帰ろ」

 真琴さんはひょいっとぴろ君を頭に乗せ、相沢家へと歩いていきました。

「うにゃ〜(きっとまた・・・逢えますよね?たまさん)」







 ・・・後日、2匹の関係がルミラさんにバレ、更に真琴さん達にもバレてからかわれ続けたのは、また別のお話です・・・。


痕書きもどき(笑)

え〜と・・・。
了承学園初体験の破壊神禍音です。
今回はほのぼの路線で行ったみたつもりなんですが・・・
どうだったでしょうか?
ほのぼの出来ました?(笑)
コレを読んで下さった方が暖かい気持ちになれば、嬉しいです。

 ☆ コメント ☆ 綾香 :「…………。『屍断ちのぴろ』って」(−−; セリオ:「危険な通り名ですねぇ」(−−; 綾香 :「あの細目ネコ。裏で何をやってるのやら」(−−; セリオ:「困ったものです」(−−; 綾香 :「ホントよねぇ。ふぅ〜」(−−; セリオ:「もっとも、わたしのすぐ近くにも危険な通り名を持ってる人はいますけど」(;^_^A 綾香 :「……………………。      なんとなーく見当付くけど……それって誰のことよ?」(¬_¬)ジトー セリオ:「綾香さん」(^0^) 綾香 :「にこやかにキッパリハッキリ言うんじゃない!      まあ、それはさておき……あたしはどんな通り名で呼ばれてるの?」(−−; セリオ:「『リーサルウエポン』ですとか『汎用人型決戦兵器』ですとか『天然危険物』ですとか、      それからそれから……」(^^) 綾香 :「もういいわよ!      ……ったく、いったいどこの誰がそんな事を言ってるのやら……ブツブツ……」(ーーメ セリオ:「それはもちろん…………い、いえ……なんでもないです」( ̄▽ ̄; 綾香 :「……………まさか…………」(ーーメ セリオ:「し、知らないです。わたしが言い広めているとか、新しい通り名を考案中だとか……      そんなの全然知らないです〜っ!」(@@; 綾香 :「……やっぱりあんたかい」(ーーメ セリオ:「わっ。なんでばれたんでしょう?」(@@;;; 綾香 :「……………………」凸(ーーメ セリオ:「……………………」(@@;;;;;



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