私立了承学園第444話
「My master」
(作:阿黒)




 窓の外から小鳥の囀りが聞こえてくる。
 昨夜は少し冷え込んだか、やや肌寒さを感じる。だが、こんな時に温かな寝床で眠りを貪ることくらい、至福と呼べる時間はそうそうないのではなかろうか。
 まだ起きるには少々早すぎる時間。感覚的にそう判断する。まだ完全には覚めていないにも関わらず、やけに冷静にそんなことを分析している自分に苦笑しながらも、柳川はまどろみから完全に抜け出さずにその夢うつつの状態を楽しんでいた。ただ、油断するとそのまま本当にもう一度寝入ってしまい、校門までダッシュするということにもなりかねない危険を孕んではいるが。
「………」
 自分の左脇で、小柄な少女が僅かに身じろぎした。自分の腕を枕にしている緑色の頭に、首は動かさず視線だけを向けて、柳川は具合がいいように、少し腕を広げてやる。
「…ン…」
 その動きに起きそうな気配を見せて、しかし結局更に自分の胸に頭をもたれかけて昏々と眠るマインの寝顔を、柳川はしばらく微笑ましい気分で見つめていた。
 ……。
 …………。
 ………………。
 …………………………………………。
「……って、ちょっと待てええええええええええええええっ!!!?」
 一瞬で完璧に覚めた頭が通常の思考能力を回復し、反射的に柳川は上半身だけ起き上がった。だが、はずみで腕枕を外されたマインは、それでも即座に反応はしてこなかった。
 薄いピンク地に襟と袖だけ赤をあしらったシンプルなパジャマ姿のマインは、僅かに瞼を開いたものの、胎児のように身体を丸めて再び眠りに――
「寝るなっ!」
「ふわ!?」
 耳元で怒鳴られて、バネ仕掛けのようにマインは跳ね起きた。ベッドの上に座り込み、キョロキョロと辺りを見回すと、こちらに顔をむけてくる。
 ほんの僅か、柳川の顔を見つめ。
「…おはようございます、ご主人様…」
 一瞬、何か耐えがたい事があったように柳川の顔が赤くなったが、ともかく。
「うむ。聞きたいことはたくさんあるが、とにかくおはよう」
「それでは、おやすみなさい…」
「だからなんでそこで寝るっ!寝ぼけてるのかお前はっ!?」
 力尽きたようにまた横になるマインに、そうわめきかけて、柳川は何か違和感を覚えて首を傾げた。変といえば確かに奇矯な振舞いだが、しかしそれ以外に、いつものマインとは何か違うものがあるように感じられる。それが何なのか、はっきりとはわからなかったが…。
「…よし。事情はよくわからんが、間違いは犯してないよな…?」
 自分の下半身を覗き込み、男に特有の、『撃った』感触はないことを確かめて、柳川はとりあえず最悪の事態にだけは陥ってないことに安堵した。
「しかし…やっぱりこれは…あの女の入れ知恵なんだろうな…」

  ********

「というわけで、即座に死ねいっ!」
「んきょっ!?」
 がすっっっ!!
 柳川のいきなりのハイキックに、決して曲がってはいけない方向に首の曲がったメイフィアは壊れた人形のようにあっさり飛んだ。咄嗟に助手の舞奈が開けた窓から空の彼方へ消えていく。
「アアアアアアッ!?メイフィア様ッ!!」
 主を無くした保健室で、マインが悲鳴を上げる。そんな元同僚の肩を叩きながら、舞奈は、言った。
「第一部・完」
「舞奈サン!!!!!」
「かくして悪は滅んだ。しかし、あれが最後の腐れ魔女とは限らない。第二、第三の腐れ魔女が現れたとき、我々はどうしたらいいんだろう…まあ、その時はとりあえず殴るが」
「殴ラナイデ下サイ!!」
 爽やかに極悪無情なことを言っている友人と主人に、泣き出しそうな心境で――実際には泣けないのではあるが――マインは頭を抱えた。
「まったくよ。人のトコ来るなり蹴るなんて、一体どういうつもり!?」
「―――!?」
 いきなり生えた、としか表現できない。まるで何事もなかったかのように自分の背後でそうのたまうメイフィアに、マインは硬直してしまった。
「…相変わらず物理法則無視しまくりだな、お前は」
「なにいってんのよ、ちょっと空間転移してきただけじゃない。…ああ、痛い。まったく本気で蹴るんだから、もう少しレディに対してそれなりの礼儀は払えないの?」
 流石に全く無傷というわけでもなく、痛そうに首を抑えながら口を尖らせるメイフィアである。
「…礼儀か」
「そーよ。大体、あたしみたいな美女を平気で殴れるなんて、あんたどういう神経してるわけ?」
「いや、今のは蹴ったんだが」
「柳川様…ソウイウ問題デハナイト思ウノデスガ」
「わかった。いきなりは無作法だというんだな?」
「あ。ちょっと待って、なんかヤな予感」
「メイフィア!」
「な…なに?」
「殴るから歯ぁ喰いしばれ!!」
「いいいいいいいいいいいいいいっ!!?」
 ぼきゃすっっっ!!!
 顔面にまともに鬼の鉄拳を喰らい、これまた手際よく舞奈が開けた別の窓から再びメイフィアは空に輝くお星様となった。
「第二部・完」
「舞奈サン――――――!!?」
「うーむ。今のは流石に、俺もちょっとヒドいと思うな、こやつは」
「…舞奈、あんた実は主人に対する忠節とか無いでしょ限りなく全然」
 凹んだ顔面を指でつまんでポン!と元に戻しながら、メイフィアはぼやいた。
「メイフィア…お前、だんだん大志みたくなってきたな」
「うっ…!」
 何やらひどくダメージを受けたように汗を流して苦悩しているメイフィアを冷たく見据えながら、柳川はワキワキと指をうごめかせた。
「よーし、今日はもうとことんまでやってやる。体中の関節を外されて第三部・完となってもまだ再生できるかどうか、試してやろうじゃないか」
「関節外されて…身動きできない女をとことんまでヤルだなんて…なんて危なくてイヤラシイ趣味してんのよアンタ…」
「誤解を招くような言い方をするなっ!」
「デモ、ドッチニシテモ柳川様ラシク残虐非道デスヨネ」
「…………」
 主人のために抗弁しようとして、しかし舞奈に何も言えないマインだった。
「あ〜、とにかくちょっと待ってよ。一体なんだってのよ?幾らなんでも理由もなしにそんな風にヤラれるのはあたしとしてもチョットだけ嫌なんだけど」
「「「チョットだけかい(デスカ)!!!?」」」
 顔を顰めながらもほんのり頬を染めているメイフィアに、三人がトリプル突込みを入れた。こころもち、引いてしまっているが。
 それでもとにかく気を取り直し、柳川はメイフィアに今朝の顛末を説明した。
「…なーる。要するに、マインが寝ぼけてアンタの布団の中に潜り込んだと」
「モ、申シ訳ゴザイマセン…私、全然覚エテイナイノデスガ…」
 僅かに顔を赤くして俯くマインを見ながら、柳川は苦い顔をした。
「しかし…よく考えてみると妙な話なんだがな」
「なにが?寝ぼけて突拍子もないことやっちゃうのって、確かにそうそうあることじゃないけど」
「いや、そうじゃなくて…ロボットのマインが寝ぼける、っていうのがそもそも変なんだが」
 メイドロボにとって「睡眠」は二種類ある。一つは充電及びデータチェックを行うメンテナンス・モード。これはメイドロボにとっては「食事」も兼ねているため、一日にニ、三度は必ず行うものであるが、一度このモードに入ると、作業が完全に終了するか中断するまで再起動は出来ない。
 そしてもう一つが長時間の待機中に消費電力を抑えるため、最小限の機能だけを残し表面上の活動を休止させるスリープ・モードである。こちらは呼びかけや身体に触れる程度の外部刺激で容易に「目覚める」ため、より人間の睡眠に近いといえよう。だが、それでも「寝ぼけて勝手に動き回る」などということは、普通ない。バッテリーの電力低下を抑えるためのスリープ・モードの目的を考えると、そんなことは出来ないようになっているのだから。
「…つまりは誤作動、ということになるわけだが」
「マインサン、故障?」
 舞奈の問いかけに俯いてしまうマインを見ながら、メイフィアは眉を顰めた。
「それはそれで問題だけど…だからってなんでアタシが殴られなきゃいけないわけ?」
「勝手に人の寝床に忍んでくるような誤作動、お前が余計なことを教えた結果に決まってるからだろうがっ!!」
「むぅ…一応もっともらしそうな見解…」
「ア、デモデモ」
 柳川にゆっくりと首を絞められているメイフィアを見ながら、至極なんでもなさそうに舞奈が言った。ヴン、とデータロードを行って。
「…私も寝ぼけてメカ英二お兄ちゃんの所に潜り込んだこと、ありますよ」
 不審そうに、二人が揃って舞奈に視線を向ける。
「で?どうなったんだ?」
「それはもう、据え膳食わぬはなんとやら、若い二人は自らの情欲の赴くまま熱く激しく淫らな一夜を」
「うぉいっ!!?」
「ちょ、ちょっと舞奈!?あたしそれ聞いてないんだけど!!?」
 思わず争うのを止めて詰め寄ってきた二人に、一旦舞奈は口を閉じたが。
「…最後には私、はしたなくもまき散らしながら…イッちゃったんです…」
「なにをだ―――!!?って、うわ、マイン!?なんでいきなり気絶してる!!!?」
「よーし、よくやった舞奈!それでこそアタシの助手!!」
「…ちなみにマリナさんもついうっかり雪音さんのベッドに潜り込んでしまったばっかりに、手折られてしまったそうですが」
「よーしよしよし、やっぱそうでなくっちゃねぇ」
 ウンウンと頷きながら、メイフィアは意識を失っているマインを抱きかかえている柳川に意味ありげな視線を送った。
「…そんなおいしい状況で手を出さないなんて…あんた不能?それともやっぱり本当は同性にしか興味持てないんじゃないの?」
「…人として良識ある選択だろうが!!」
「ちーきんチキン、腰抜け、祖チンの甲斐性無し〜」
「カイショナシ〜」
 即興で妙な節までつけて踊る悪の魔女&その手下を見ながら、柳川はゆっくりとマインを備え付けのベッドに横たえた。そして、堅く、堅く拳を握り締める。

 第三部・二人まとめて完。


  ********

「実は、数は少ないのですが既にこちらでも幾つかそういった症例の報告は受けています」
 ロボットらんど責任者であり来栖川EM了承分室のチーフでもある小野寺は、そう言いながら柳川に手近な椅子を勧めた。それに頷きながらも、柳川は視線を固定したまま、動かない。
 小野寺もその視線を追う。…ちょっとしたスタジオを思わせるモニター室の窓越しに、特別調整室の整備用ベッドに固定された、オーバーホール状態のマイン。その彼女にニ、三人のスタッフが取り付いている。白いアンダーウェア姿であちこちにケーブルを接続され、各所パネルを開き内部機構を露出させているマインは、正しくロボットとしか形容できない姿を晒していた。
 自分に故障があるのなら、徹底的に調べて欲しい。
 本人の強い希望でここに連れてきたのだが…。
「ああいうのを見て、痛ましいと思ってしまうのは、人間の勝手なエゴだよな」
 主電源をカットされた今のマインに意識は無い。苦痛も何も感じてはいない。そもそも、月に一度はこのようなメンテナンスを学園のメイドロボは受けている。だからこそ何の不安もなく機動できるのだ。
「人間は結局、感情的な生き物ですよ。確かにエゴかもしれませんが、それがどうしたと、割り切れるような人は感受性と想像力が低い人だと思います」
 紙コップのコーヒーを勧めながら、小野寺は自らもコーヒーを一口、飲んだ。
「もし、自分が同じ立場だったら。そんな風に他人のことを思いやり、想像してみることができる生物は人間だけです。それが人間が人間たる由縁じゃないですか?」
 柳川は黙ってコーヒーを一口啜った。と、僅かに顔を顰めてそのまま紙コップを手近なモニターの傍に置く。
「ははは。まあ不味いコーヒーですが、慣れればこんなものでも結構おいしく感じられるものですよ」
「…どうも最近、舌が肥えてしまったようで。食い物の論評なんて、昔は馬鹿馬鹿しいと思っていたんですが」
「人生、そういう楽しみがあることを知るのはいいことですよ。少なくとも食事を楽しみではなく単なる栄養補給としか捉えられない人生なんて、いささか侘しすぎるんじゃないでしょうか」
 その言葉とは裏腹に、不味いコーヒーを事もなげに飲む小野寺をしばらく柳川は見つめていたが、軽く息をつくと本題に入ることにした。
「…で、原因は?既に分かっているのか?」
「いえ。…なにせ、まだとりかかったばかりですから。それに報告も現段階では少なすぎて。マインさんの件を入れても、まだ一桁なんですから」
 学園所属のHMシリーズは約20万。それを考えれば、この誤作動が起こる確率は非常に低いものなのかもしれない。楽観はできないが。
「ですが、大したことではなく数も少ないからといっておろそかな対応はできませんよ。来栖川の製品に対する信頼を損なうことになります。ただでさえメイドロボには倫理問題がつきまとうというのに、ここで今まで営々と積み重ねてきた信頼を失うわけにはいきません。信頼は、金で買えるものじゃないですからね。長い時間をかけて、良いものを真摯に世に送り出す。その実績があってこそ培えるのですから」
 フランケンシュタイン・コンプレックス。
 被創造物による、創造者への反抗。
 ロボットという概念を人間が想像した時、同時にその想像力はロボットの反乱という事態をも予想した。だがそれは、人間が持って生まれた性なのかもしれない。だからこそ、メイドロボが商品として世に送り出されるためには、過剰な程の安全対策が必要とされた。
 人間に逆らわず、危害を加えず、従順であること。
 同時に、いくら機械とはいえ、人と同じ姿をもったメイドロボを商品とすることには、どうしても人身売買等の暗いイメージが連想された。それに伴い、青少年に対する悪影響も当然のように懸念されている。金銭で売買され、下僕として無下に扱われる人がいる、ということを人とロボットの区別がつかない年齢の幼児に見せることは、よろしくない。
「ロボットは人間のパートナー、という奇麗事を言っても、ロボットは人間より下位にあるもとしてという前提でのことだからな」
 素人目には意味不明の数字の羅列が流れるモニターを眺めながら、柳川は呟いた。
「人間には昔から夢があった。…万能の召使を抱える、という夢だ。疲れを知らず、物を食わず、自分の代わりにどんな仕事でも楽々とこなし、しかも命令には絶対服従。裏切らず、背かず、主人だけに忠誠を尽くす。その究極形といえるのは、アラジンの魔法のランプだろう」
 無論、ランプの精のような召使など人間が持てるわけがない。だから人間はそれに代わる存在として、人が人を使役するという…「奴隷」というものを生み出した。だがそれは同じ人間同士である以上、理想とはほど遠いものであり、また人権や平等、道徳観念の発達に従い奴隷制度というものは否定されるようになっていった。
 それに代わるものとして生み出されたのが、ロボットである。
「人間は、自己正当化の権化だからな。自分のやっていることが悪だとは、なかなか認めたがらない。なんのかんの理屈をつけて、自分を弁護しようとする。――例えば、弱肉強食は自然界の摂理、人間社会の道徳や法律など人間の狭い社会の中でしか通用しない。むしろそんなものに縛られる人間の方がおかしいのだ…という理屈をつけて、殺人をすら正当化しようとする」
 自嘲気味に呟く柳川の声に僅かな震えがあるように聞こえて、小野寺はそっと、注意深く自分より一回りほど年少の青年を見つめた。目を閉じ、そして開かれた柳川の目には、先程ちらついていた暗い影は、もう見えなかった。
「…だからロボットを奴隷だ、と言い切ってしまうことに心理的な抵抗がある。ロボットに絶対的な服従を強いながら、ロボットが歯向かうことを畏れる。
 結局は、格好をつけたいだけのくせに。単なる見栄と虚栄心が、自分を飾り立てたいだけ」
 空になった紙コップを、既に5,6個重ねた使用済み紙コップの山に重ねて、小野寺はホウ、と息をついた。言おうか言うまいか、少し逡巡して。
「…君は正しいよ。少なくとも、真実の一面は、確かに捉えていると思う」
 そこでもう一度迷って、そして結局、言った。
「でもどうしてだろうね?私には、何だか君は、自分にそう言い聞かせているように見えるんだ…いや、自分でも根拠はないんだが…そう感じたものでね…」
 もし自分の印象が正しければ、それを指摘されるのは不快だろう。そう思いつつもそれを口にしてしまうところが、自分の人間としての青さだろうか。黙り込む柳川にやや後悔を覚えながら、小野寺はもう一度、ため息をついた。
 ふと、小野寺は僅かな寒気を感じ、かなり散らかった机から空調のリモコンを発掘した。液晶表示に目をやり、温度設定を見る。
「少し温度を上げようか?」
「別にどうでも?今朝方は少し冷え込みましたけど、日が昇ればまだ日中は暖かいし…」
 と、柳川はそのまま黙り込んだ。わずかに曲げた人差し指を軽く口元に添え、何やら考え込む。
「…マインのチェックは時間がかかりますか?」
「え?うーむ…とにかく原因を究明できないことには何とも言えないが、一通りのチェックだけならまだ2,3時間はかかるかな?」
 ふむ、と一つ頷いて、柳川はガラス越しにマインをもう一度見つめた。後頭部のカバーが外され、脳幹から脊髄にかけての中枢回路が剥き出しになっている。
 それを見つめながら、柳川は言った。
「ちょっと思いついたことがあるんです。少し協力してもらえませんか?」
「それはかまわないが…」
「そうですか。じゃあとりあえず、そう…手隙の13型でもいたら…いや、それよりも」
 懐を探り、そこに目的のものが無いことに気付いて、柳川は、面目無さそうに言った。
「…とりあえず、電話貸してください。携帯忘れてきてしまったようで」

  ********

「話はわかったんだけどさ」
 電話で呼び出された浩之は、言われて伴ってきたマルチとセリオに交互に視線を向けてから、隣室を仕切っているガラスの傍に立っている柳川に問い掛けた。柳川の希望でチェックは中断され、元通りに組み上げられたマインは調整台に横たえられている。既に一度再起動を済ませ、現在はスリープ・モードで待機状態にある。
「寝ぼける…ですか。私は、そのような誤作動は起こしたことはないですが…」
「わ、私もです…えっと、ちょっと低電圧気味で目が覚めた時にちょっと処理にエラーが起こってベッドからおっこっちゃった、ていうことは、ずっと前にありましたけど…」
「なるほど」
 一応承っておく、という感じにセリオとマルチの言うことを聞くと、柳川は顔だけを一同に向けてくる。
「まず、色々と調べてみたんだが…この症例は、現在のところ了承学園所属のメイドロボ、それもHM−12型のみにしか見られない。一般のメイドロボットにそんな異常報告は出ていないそうだ」
「お言葉ですが、そう断定するにはまだ早すぎる段階では?学園内でもまだ僅かな件数しか発生していないのでしょう?」
 セリオの意見に一応頷きながらも、柳川は説明を続けた。そんな一同をやや離れた席から小野寺が見つめている。
「うむ。だから、これはまだ仮定の話なんだが…仮にそうだとして、すると一般のHMシリーズと学園のメイドロボと、一体どこに違いがあるのか?学園のメイドロボにあって、他所にないもの。あるいはその逆か。無論学園のメイドロボ、それも12型だけでも一律に全く同じというわけじゃない。業務内容や経験データ、労働環境とそれに合わせた細かい仕様の差など、小さいが差異はある。
 だが共通点を挙げて考えてみるとだ…一つ、大きな共通点があった。それも一般のメイドロボには無い点がだ」
「???」
 見当もつかない顔をしている浩之達に、小野寺が少し苦笑しながら説明してきた。
「それはね…マルチとセリオの、蓄積学習データだよ。これは一般には流通してはいないし、むしろ無用という意見も社内ではあってね。学園内のメイドロボには試験的に搭載しているんだが…」
 これは本来、擬似感情ソフトとして開発されたものである。このデータをロードすることで、感情機能を持たない量産型メイドロボも一時的にではあるが、まるで感情があるかのように振舞うことができるようになる。もっともそれはあくまで擬似的、見せかけだけのものにすぎない。端的に言えば、基となったマルチやセリオの『モノマネ』をしているようなものだ。
「…でも、それって随分前から使われてるんじゃなかったっけ?もし、原因がそのデータにあるとして、なんで今頃になって…」
「それに、それが原因とみるにはあまりに根拠が無さすぎませんか?そもそも、基本データを提供している私たちに『寝ぼける』という症例はありませんのに…」
「え、えっと…うう、すいません、私、むつかしいことよくわからないです〜」
 三者三様の出張と表情を見ながら、柳川は応えた。
「確かに根拠は薄い。だが、このデータが学園特有のものだという点は無視できない。それに『寝ぼける』なんて人間的な行動を起こすには、むしろこのデータが関わっていると見るほうが自然じゃないか?まあ、俺も技術的な事は全くわからないが」
 そう言いつつ、ガラスから離れると柳川は手近な椅子に座った。傍のモニターの一つを覗きながら、目線で小野寺に促す。
「まあ、とにかくこれからちょっとした実験をしてみますので…」
 そう言いつつ、小野寺は自分の前の制御パネルに手を伸ばし、ずらりと並んだスイッチやダイヤルを二つ三つ、操作した。
「…なんすか?一体?」
「隣の部屋の空調をいじった。室温を、5度ほど下げてみる」
 不審そうな顔をしながらも、そのまま全員で隣で眠るマインを注視する。そのまま5分程経過するが…何も変化は見られない。
「あの、一体…?」
「――待ってください、マルチさん」
 ピクリと、マインが瞼を動かした。そのままゆっくりと起き上がり、半開きの、どこか焦点の定まらない瞳で緩慢に辺りを見回す。皆が注視しているのには気付かないようで、調整台から降りるとフラフラと歩き出した。しばらくウロウロと室内を歩き回るその様子は、とても明確な意識があるようには見えなかった。
「…ね、寝ぼけてるな、こりゃ」
「ほ、ほんとです…」
 と、浩之とマルチがあきれたような会話を交わすうちに、マインはこちら側へのドアに気付いたのか、二、三度失敗しながらもドアノブを回し、室内に入ってきた。と、周囲の人々を見回していた視線が、柳川のところで止まる。
「………ご主人様」
 そう呟くと、そのままフラフラと柳川の傍に近寄って、まるでそれが当たり前、というように座った柳川の膝にちょこん、と乗ってきた。そして、そのまま身体をもたれかけて眠ってしまう。
「…どうやら君の仮説が正しかったようだね」
 そう苦笑する小野寺に、苦い顔をした柳川は応えずそっぽを向いた。
「なるほど。そういうことですか」
「え、どういうことだセリオ?」
 まるでわけがわからない浩之に、セリオは自分が理解したことを説明しはじめた。
「…私たちが睡眠モードにあるとき、表面的な活動は休止していますが、それでも各種センサーは動いているんです。何らかの外部刺激があった時はそれを検知し、起動が必要とされる時はすぐ目覚められるように。
 いわゆる五感のうち、視覚と味覚…まあマインさんには味覚はありませんけれど…この二つは睡眠中は封じられています。残るは聴覚、嗅覚、触覚の三つです。誤作動が起こる条件の一つに外的要因があるとしたら、この三つの感覚からもたらされるものが感じられるでしょう。例えば一定の周波数を検知することでプログラムが誤作動する…とか」
「すると…温度差…温感っだったってわけか?その誤動作の引き金になってたのは?でもどうしてそれだってわかったんすか柳川さん?」
 マインを膝にのせたまま、照れているのか不機嫌なのか不分明な柳川が応えようとしないので、代わって小野寺が口を開く。
「特定の音や匂いというのは、室内での就寝時という状況を考えるとそれが自然発生する確率は相当低いし、何より特殊すぎる。まあ、温度というのは一番無難な要素なんじゃないかと」
「…昨夜はここ数日の記録と比較すると、温度差がかなり大きかったようですからね」
 STS機能を使ってここ最近の気象データを調べたセリオが小野寺の説明を補足する。
「なーる。流石は元刑事、ってとこ?細かい所までよく目を配る」
「あと、もう一つ」
 そう言って、白のアンダーウェア姿のマインを隠すように心もち上着で包むように抱きかかえながら、やや半眼で柳川は浩之を見つめた。
「マインはな。他人に対して俺のことを『自分の主人』という言い回しをすることはあっても、俺を直接『ご主人様』と呼ぶことはないんだ。…それに、今もそうだがいつもに較べて喋り方が流暢で、感情的だ。まるでデータロードした時みたいに」
 今朝方感じた違和感が、これだった。即座にその事に気付けなかった自分が、面映い。
「…で?お前ら、多分マルチの方だと思うが、これと似たような状況は無かったか?例えば寒い夜に浩之に甘えて寝床にもぐり込むとか、逆に招きよせられたりとか」
 そう問われ、浩之とマルチは汗だらけの顔を見つめ合わせた。そのまましばらく考え込んだ後。
「…言われてみれば…似たようなことがあったような無かったような…」
「えっと…その…3度か4度か5度か6度くらいはあったような気もします…」
「……割と、よくある事だと思います…ウチでは」
 なんとなく引き攣った声で、セリオが頷く。
「そうか。…そうか。……そっかあ…」
 小野寺が、うらやましそうな、妬ましそうな、寂しそうな、あきれたような、微笑ましそうな、なんとも複雑な慨嘆の声をあげた。

  ********

 とにかく問題箇所は見つかったわけで、プログラム修正等の対策は専門家であるスタッフにまかせ、一同は連れ立って分室を後にした。数日中には修正は終わるだろう、と小野寺は約束してくれ、マインも一応そのまま帰宅することになった。
「いや〜。まさかなぁ。世の中、何がきっかけになるかわかんないもんだな」
「…まあ、別にお前らの責任じゃないしな?幸せなのは、いいことだし?」
「ううっ…そう言いながらもなんとなく柳川先生、イジワルっぽいです〜」
「何気に皮肉っぽいですよね」
「エット…御姉様方……スイマセン…コンナ御主人様デ」
 無言でマインの頭を軽く小突くと、柳川は歩く方向を変えた。そのまま素っ気無く手を挙げて、一応別れの挨拶をしてみせる。
「…浩之」
 と、一旦別れかけて、柳川は浩之を呼び止めた。不思議そうに別方向に歩きかけていた浩之達も立ち止まる。
「なあ。これは、仮定の話だが…もし」
 そう言いかけて、一瞬後悔したような表情を見せながらも、柳川は残りの言葉を口にした。
「もし…お前の学校にテスト通学に来たマルチが、…感情なんて持っていない…量産型のようなロボットだったとしたら…」
 だがそこまでで、柳川は顔の前で大きく手を振って、自分の言葉を否定した。
「すまん。馬鹿なことを言った。忘れてくれ」
 そしてそのまま踵を返し、足を速めた。だが。
「別に、気にすることありませんよ。…俺だって、何度も自問自答したことですから。そうことを考えるのは当然だと思いますし」
 そう言って、傍らのマルチとセリオに浩之は振り返った。そのまま、立ち止まって肩越しにこちらに顔を向けている柳川に、言う。
「…確かに…テスト通学に来たのがマルチじゃなくて、例えばマインだったら…俺は、マインを好きになってたか?無条件に好きになることができたか?って、そんなこと考えたことありますよ。…あ、別にマインが嫌いとかそういうんじゃないんだ、ごめん」
 慌ててマインに頭を下げる浩之である。
「浩之さんだったら、マインさんが困っていたら、やっぱり私の時のように助けてくれますよ。私と同じように、優しくしれくれますよ、絶対」
 一生懸命、そう力説するマルチの頭を、浩之はポン、と軽くはたいた。
「そうかもな。…でも、まるっきり、マルチと同じってわけにはいかないだろうな」
 そう言って、チラリと無言のセリオを見る。
「で、色々考えたんですけどね。…結局、答はでませんでした。それどころか、考えれば考えるほど、ますますわからなくなって。
 ひょっとして、別な出会いをしていれば、あるいは俺とマルチは互いに好きあうようになるなんてことにはならなかったかもしれない、なんてそんなことまで考えてみたりして」
「えっ…」
 絶句するマルチと、そしてセリオの肩を、そっと浩之は抱き寄せた。
「俺には10人も奥さんがいるけど…でも、いまだに、どうして誰かを好きになるのか、わからない。一目ぼれみたいに一瞬で好きになってしまうこともあれば、何年も一緒にいて、ようやく相手のことを好きだってことに気付くこともある。
 ただ言えるのは、誰かを好きになるっていうのは、最初から俺はこの人を好きになるぞと決めて、計画的に好きになっていくなんてことは、誰にもできやしない。その相手がきれいで、性格もよくて、とてもいい人だったとしても。
 好きって、なるんじゃなくて、何時の間にかなってしまってるもんなんだな、って思う」
 そして、浩之は柳川と、マインに笑ってみせた。
「無責任と言われればそれまでだけど、ありえなかった仮定の話をいくら考えてもしょうがないし。
 でも、一つ、確かに言えることがあるとすれば、俺がマルチやセリオ、そしてみんなが好きだって気持ちに…嘘偽りなんて無い。
 俺は皆が好きだ。
 俺はロボットのマルチとセリオを好きになったし、俺は、…好きなんだ。
 俺にとって大切なことは、それだけだしそれで良い。
 …俺はそう思ってます」
 長いような。
 短いような。
 そんな、沈黙の後。
 柳川は、言った。
「なるほど」
 それだけだった。

  ********

 浩之達と別れた後、二人はずっと無言だった。
 無言のまま、貴之が待っている、寮へ向かって歩き続けていた。
 元よりマインは無口な性質であり、柳川も饒舌には程遠い性格をしている。
 けれど。
 教員寮に続く並木道。まだ寮は見えない、散歩にぶらつくには手頃な道で、柳川は立ち止まった。
「お前が機械だってこと、今日は見せつけられた」
「………」
 立ち止まったまま、応えないマインに更に言う。
「お前はただの機械だ」
 太陽は、夕刻には早く、昼と呼ぶには既に遅い中途半端な位置にある。その微妙な色合いの光が、周囲をその微妙な色に染めている。
「でも、お前が機械なのは、お前のせいじゃない」
 ふっ…と力を抜いて。柳川は、囁いた。
「お前がロボットなのも。お前が人間に仕えなきゃいけないのも。お前が俺に仕えなきゃいけないのも。みんな、お前が望んだものじゃない。お前の意志とは無関係に、勝手に決められてしまったことだ。
 …お前のせいじゃない」
 俺が鬼として生まれてきたのは、俺のせいなのか?
 俺が制御できない力をもって生まれてきたのは、俺のせいなのか?
 俺は一度も、そんなものを望んだことはないのに。
 そう、思い続けてきた柳川である。だから、無心ではいられなかったのだ。
「…将来…高度な知能を持つロボットが当たり前のように社会に浸透していったら、ロボットにも人権の元に平等の権利を持つようになるかもしれないがな」
 わずかな間を置いて。
 マインが口を開いた。
「ソレハ…良イ事ナノデスカ?」
「そうさな…」
 そうなった時のことを、柳川は考えてみる。
「ロボットだからという理由だけで、一方的に人間に使役されるのみの存在ではなくなるだろう。自由に、平等に、社会的な権利を与えられる」
「具体的ニハ?」
「それは…例えば、お前だったら、俺のことをいちいち尊称で呼ばなくてもいい。自分が嫌なこと、間違っていると思うことには、従わなくていい。俺の所に留まる必要もないし、お前を無理に留める権利は、俺には無い。お前の主人は、お前自身だ。自分の意思で生きていくことを選べる。誰にもお前に命令することはできなくなる。もっとも、基本的に自分のことには全て自分で責任を負うようになる。ま、社会的にはそれが当たり前だが」
「ソレナラ、イリマセン」
 ……。
 一瞬、何を言われたのか。途惑って、柳川はマインを見つめ直した。
「ナラ、私ハ、何モイラナイデス」
「いらないって…」
「私ハ機械デス。ダカラ、機械トシテ、扱ッテ下サイ。
 アナタニ仕エラレナイ事ガ平等ナラ、私イラナイ。
 アナタに命令されナい権利ヲ、私ハ望まなイ。
 あなタヲ…御主人様ッテ呼べナイ自…由ナンか…欲しくない。
 私の主人ハ…あなたでス。
 ダカラ、命令して下さイ。ご主人様っテ、呼ばセて下サい。
 優しくナンカしないで下さい!思いやりなんて、カケないで下さい!
 私は…!」
「待てよ…おい、待てよ!」
 カタカタと震える、マインの拳にだけを見つめて、柳川は掠れた声をあげた。まるで悲鳴のような。
「お前…自分が何を言ってるのかわかってるのか?お前の言っていることは、それは単なる奴隷根性って奴だ!わかってるのか!?」
「わかりマせん!私ハ頭ガ悪イんです!御姉様達のようにハできてませン!」
 ゆっくりと、自分の胸元を握り締める。服が破れんばかりに、か細い指が握り締められる。
「でモ、コノ気持チは、誰カに与えられタものじゃないです。
 …これは、私自身の意志です…!」
「黙れ!!」
 怒鳴って。
 そして、最初の静寂が戻ってくる。
「…申訳アリマセン」
 俯くマインに。柳川は、唇を噛み締めた。
「お前はただの機械だ。お前なんかただの機械だ!俺はお前のことなんか、何とも思っちゃいない!たかだか仮定の話じゃないか!それなのに、むきになって、歯向かいやがって…!」
「…ハイ。ソノ通リデス。申訳アリマセン」
 頭を下げるマインを見ながら。ややあって。
「…お前のせいだな」
「……?」
「お前が最近、まともな料理を作れるようになるから、味にうるさくなってしまった」
「………」
「お前がいてくれないと、俺と貴之は、困るんだ」
「………」
「…俺に…主人としての成長を期待されても…困るんだがな…」
「私、気ニシマセンカラ」
「あのな。そう言われてハイそうですかと、お気楽に納得する俺だと思ってるのかお前は?」
「イエ…ソレハ…ソウデスケド…デモ、私、気ニシマセンカラ」
「…つまりそれはもう匙を投げられていると解釈していいわけだな?」
「イエ?決シテ、ソウイウワケデハ…」
「………」
「………」
「………お前って、やっぱり変なロボットだよな」
「…自覚シテマス」
 ハア、と…もう今日は幾度目かの溜息をつくと柳川は周囲に人影がないことを確認した。
 そして、そっと――小さなメイドロボを抱き寄せた。
「わかった。お前は、俺のものだ。お前の主人は俺だ」
「………ハイ」
「今更後悔しても、もう遅いからな」
「………はい」
「でも、御主人様って呼ぶのは止めてくれ。ものすごくこそばゆい」
「………エ…」
「え、じゃないだろ。とにかく禁止。不満か?」
「不満デスケド…不満ジャナイデス」
「正直だなマイン…」
 なでなでっ、と頭を軽く撫でると、柳川はマインから身を引いた。いつもと同じ、約二歩分の距離を置く。
「ン、ンン。…じゃあ、行くかマイン」
「ハイ。…御主人様」

 ずるぺちっ!

 いきなり前方にコケた柳川に、マインは慌てて駆け寄った。うつ伏せの柳川の顔は見えないが、耳朶が真っ赤になっている。そして、何かを必死に堪えていた。
「マイン…お前…」
「ごっ、ごめんナサイ!まさカそんなニ嫌がルなんテ、思ってなかったです…」
「…早まったかな、俺…」
「そ、そんなこと言わないでくだサイ…」

 どちらかというと前途多難を思わせる、しまらない第一歩ではあったが。
 この二人にとっては、それなりに。
 ともかくも、そんな一歩が踏み込まれた。





 <了>







【後書き】
 ………。
 えーと。
 02年最初の了承!最初のSS!
 当初、「柳川の推理モノ」っぽい話を目指して、またそのつもりで書いていた話だったのですが。
 どこでどう、間違えちゃったかなぁ…いきなり二人が大接近。
 こんなはずではなかったのにグレート。
 ま、いっか。
 別に、だからってこの二人、愛してるとか恋人とか結婚とかの関係にはまだ至ってないし。あくまで主人とメイドとして。
 あ〜、とにかく溜まってるSSが多いので、そちらを早く消化したいです。すばるSSとか。



 ☆ コメント ☆

綾香 :「な、なんか良い雰囲気になってるわね」(^ ^;

セリオ:「急接近です」(;^_^A

綾香 :「このままくっついちゃったりするのかしら?」(^ ^;

セリオ:「さあ? それはどうでしょう?」(;^_^A

綾香 :「素直じゃないからねぇ、柳川さんは」(^ ^;

セリオ:「ええ」(;^_^A

綾香 :「もしくっつくとしても、きっと一筋縄じゃいかないだろうし」(^ ^;

セリオ:「同感です」(;^_^A

綾香 :「メイフィアさんのちょっかいもあるしね」(^ ^;

セリオ:「あはは。
     でも、何気に柳川さんとメイフィアさんの組み合わせも良い感じなんですよね」(;^_^A

綾香 :「そうなのよねぇ」(^ ^;

セリオ:「ひょっとしてひょっとすると……。
     近い将来、柳川家が成立?」(;^_^A

綾香 :「すると……奥さんは、マインとメイフィアさん?」(^ ^;

セリオ:「……あと、貴之さん」(^^)

綾香 :「……………………」(−−;

セリオ:「貴之さんは絶対に外せないですよ」(^^)

綾香 :「そう……だけど……」(−−;

セリオ:「非常に個性的な家族になりそうですよね。
     思いっ切り期待しちゃいます」(^0^)

綾香 :「ううっ。期待なんかしないわよ〜。
     ホモはイヤ〜」(;;)

セリオ:「そうですか?
     端で見ている分には面白いですのに」(^^)

綾香 :「……………………おひおひ」(−−;;;



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