……ドタバタドタバタドタバタ……


「カイトくん、これ何処に置いておこうかな?」
「ああ、ミュウ、そうだな……」


 ……ドタバタドタバタドタバタドタバタ……


「カイトさぁぁん、たすけてくださ〜い!TT」
「うわセレスっ!? ちょっと待ってろ今掘り起こすから!」


 ………ドタバタドタバタドタバタドタバタドタバタ………


「よし、綺麗になったな!」
「………沙耶、そのエプロン姿すっごく似合ってるぞ」
「ばっ!(赤) ちゃ、茶化すなよ……」


 ………どたばたどたばたどたばたどたばたどたばたどたばた……


「カイト〜、おなかすいた〜」
「終わるまで待て、欠食児童」
「だぁぁああああああああああああれが欠食児童よ、この馬鹿カイト!」
「お前しかいないだろ……って、いい角度から蹴るなコレット!」





 この日、了承学園学生寮に、1つの家族が引っ越してきました。
 この……異世界からの新入生達が
 新たな騒動の幕開けとなるのですが………はてさて?





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私立了承学園SS 「相羽家参上〜そして伝説へ〜」

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私立了承学園理事長室。


水瀬秋子は、新しくこの学園の多妻部に編入する生徒達を出迎えていた。



「おはようございます、相羽カイトさん、ミュウさん、コレットさん、沙耶さん、セレスさん。
貴方達相羽家の皆さんを、今日から正式にこの学園の多妻部生徒として了承します。
この学園で様々なことを学び、立派な多妻家族としての知識と経験を蓄えてくださいね」


 いつものポーズで暖かく新入生達を迎える秋子。


「いえ、こちらこそ色々とお世話になります、秋子さん。俺達をこの学園に迎え入れてくれて
本当に感謝しています。こうやって、みんなが揃ってここに立っているのも、秋子さん達の
お陰ですから……」


 カイトは少し照れくさそうに頬を掻きながら、秋子に素直に感謝を述べた。

 ミュウ、コレット、沙耶、セレス……

 共に人生を歩むことを決めた伴侶達。

 彼女達は、そんな彼を微笑ましく見守っている。


「ふふっ、さあ、貴方達の教室へ案内しましょう。今日から他の家族達と同じように授業を受けて
いただきますから、しっかり家族で支え合って、よりよい学園生活を過ごしてくださいね」


『はいっ!』


 相羽家全員の返事に微笑んで、秋子は彼等を相羽家クラスへと案内した………







 相羽家クラス。

 カイト達はクラス担任が来るまで、思い思いの談笑をしていた。

「それにしても、なんか不思議よね。あれで魔王を服従させるほどの凄い人だもん」

 コレットが、ツインテールの髪をぴょこぴょこ揺らして首を傾げる。

 カイトはそんな彼女の頭に手を乗せて呟いた

「同じ事を、体験入学の時祐一に尋ねたんだけどな」

「それで?」

「『命が惜しけりゃ詮索するな』だと」

「……………」

 ピタッとコレットの動きが止まる。

 まだ●学生のような可愛らしい顔に青線が入っているのは気のせいではあるまい。

「え……えっと、いいよ。今はこうしてみんなで一緒にいられるだけで、私は(笑)」

 ミュウがいつものように朗らかで優しい笑顔を浮かべて、場を和ませようとする。

「そ……そうね!」

「そうですよ、みなさん♪」

「ま……そうだな、それでいいよ」

 魔王に酷い目に遭わされた当の本人が言うんだから、彼女達はそれで納得することにした。

 専門用語で命が惜しいとも言う。

 カイトはそんな妻達を眺めて苦笑すると、チラッと時計に目を遣る。

「それにしても……遅いな担任」

「ですねぇ……私、呼んできましょうか?」

「セレス、あんた職員室の場所知ってる?」

「あう……」

 席を立とうとした所でコレットのツッコミを受け撃沈するセレス。

「ふ……ふぇぇぇぇぇん、カイトさーん!」

「うわ泣いたっ!?」

「あーわかったわかった、努力しよーとした意気は認めるから泣くな」

 泣きつくセレスの背中を叩いて、悟りの境地を開いたような顔で頷くカイト。

「うぅ……な、なんかとっても悪いことした気分……TT」

「コレット……コレットは間違ってないよ(苦笑)」

「まぁ、深く気にしないことだね」



 とまぁ、家族同士でそんな掛け合いをして暫く……



              ガラガラガラっ!

 黒い外套を羽織った精悍な美青年が教室に入ってくる。

「来たな……」

「って、来たのはあんたでしょうが!」

「……軽い冗談だ」

 ビシッと指を突き付ける●学生……もといコレットのツッコミを受け流す青年。

「甲斐那さん!」

「久しぶりだなカイト」

「あの……確かこの前会ったばっかりじゃ……」

「それは重要なことではない」

 ミュウの冷や汗混じりのツッコミを受け流し

 甲斐那は教壇の所まで来るとすらすらと黒板に自分の名を書く。

「今日から、このクラスの担任となる甲斐那だ。宜しく頼む」

 ぶっきらぼうに言い放つち、クルリと振り返ると生徒達に相対する。

 そのオーバーリアクションな仕草はなかなか様になっていると言えよう。

「はい、宜しくお願いします!」

 カイトは上機嫌だ。

 それはそうだろう、かつては親友であり、師とも仰いだ人物である。

 それも、その哀しき宿命から敵対し、自分の手で一度は命を奪った。

 彼から再び教えを請うことは、もはや出来ないと思っていただけに喜びもひとしおだろう。

(よかったね、カイト君……)

 ミュウは、そんな彼の様子にくすっと微笑みを浮かべて我が事のように喜んでいた。

 そして、周りの妻達も気持ちは同じだった。


「では……」

 そのクールビューティーな表情を変えようともせず

 甲斐那はビュオッ! と風を斬るように黒板にチョークを走らせた。

「この時間の授業はこれだ」







        『胸枕』





 しびびんしびびんしびびんびん!


 カイト達は飛んだ。飛びまくった。直前までのほのぼのな雰囲気を忘れて。




「これは、膝枕の派生系とも言えるもので、相手の胸に頭をあずけることでその柔らかさを堪能しつつ…」

 そんな彼等をお構い無しに、真顔のまま、表情を一片たりとも崩さず説明に入る甲斐那。

「ちょっ……ちょっと甲斐那さん!」

「カイト、質問の時は挙手するように」

「あ、次から気を付けます……ってそうじゃなくて! なんですかそれは!」

 甲斐那はピクリと眉を跳ね上げて、彼を見る。

「授業だが(0.1秒)」

「何処が授業だああああああああああああっ!」

          バキィッ!

 妻の中で真っ先に我に返った沙耶が、机を叩き割って立ち上がる。

 しかし、甲斐那はさぞ意外そうに

「まさか……お前達、前にも授業を体験してなかったのか?」

「いや、受けましたけど。ルービックキューブと……」

 ここにきて、彼はもう1つの授業を思い出した。

 マッサージである(笑)

「なるほど、間が悪かったな」

「ってそっちの方がメインーっ!?」

 甲斐那の淡々としたセリフに、沙耶は真っ赤になってあうあうと叫ぶ。

「……制服の上から感触を味わう、高レベルな奉仕ではある。まずは実践してみるといい」

「って何事も無かったかのように授業を進めるんですか!?」

「(無視)ではカイト、横になれ」

「なれって、ちょっといきなりは心の準備と言うものが……!」

「そうか」


 甲斐那は竹筒を取り出すと、無造作にプッと吹く。


 ばた


 カイトが倒れた。


「ではカイトが横になったところで、お前達は彼に一人ずつ胸枕してみるのだ」

「さらに待てええええええええええええええっ!」

 沙耶が甲斐那の襟首を力一杯掴む。

「今の吹き矢はなんだ!?」

「授業を円滑に進めるために」

「即答するなああああああああっ!」

 襟首を掴んだまま凄まじい力でぶんぶんと振り回す。

 甲斐那はクールな真顔のまま、壁や黒板にガンガンと頭を打ち付けられていたが……

 やがて、沙耶が振り回し疲れたか手を離す。

「お気に召さなかったか」

「当たり前だろ!」

「だが他の者はそうではないようだが」

「へ?」

 甲斐那の視線を辿って沙耶は振り返った。


「か……カイトさん……その……どう……ですかぁ?(真っ赤)」

 いつの間にか復活したセレスが、己のふかふかな胸の上にカイトの頭を乗せて介抱していた。

 気が弱いくせに大胆な行動力である。

(うおお……こっ、これは! 頭から……頭からぷにぷにした感触がああっ!)

 しかもカイト君てば血の涙を流して悶えている。

 それはそうだろう、妻の中で一番豊胸で天然でいじらしいセレスの奉仕、これに勝てる漢などいまい。


「ううっ、狡いよセレス……次は私がカイト君に……(ぽっ)」

「ちょっ、ちょっとミュウ! 私先に気がついたんだから私先にしなさいよ!」

「………」

「………なにか言いたそうね」

「え? そ、そんなことないよ♪」

 ぱたぱたと手を振り笑って誤魔化すミュウ。

 流石は魔王の器である。<禁句

「あ……あんたたち……」

 何かいろんなモノを諦めた顔で、沙耶はその光景を眺めていた。

「そこから、胸の谷間に顔を埋めるのがより高等な技術であり……」

「アンタはもう何も言うな!」

「はい先生っ!」(ぷにゅっ)

(むごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!(さらに悶絶))
 
「くぉらセレスーっ!(TT)」

「か……カイトくーん!」

 悶絶しまくるカイトの心の悲鳴と、妻達の声が飛び交い……



 こうして、相羽家の初授業はつつがなくこなされていくのであった





                           了




おまけ


「はぁ……はぁ……はぁ……」

 全員の胸枕を堪能した頃、カイトの体の自由は戻っていた。

「あの……」

「カイト君……」

「私達の………」

「うう……どうだった?」

 約1名、自分も場に流されてしまったことに血の涙を流している人もいるが(爆)
 
 顔を赤らめて、上目遣いに聞いてくる妻達の様子を前に……



                   ぶちっ


「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ! やったるぜーっ!!!!!」

『きゃーっ☆』

 お約束のごとく飛びかかる、カイト君でありましたとさ♪





 ……………やっぱ、君達この学園でやっていけるよ…………





「今回は、制服の布地の上から触感を確かめて貰ったが、服装を変えるなり地肌から直接なりと、様々な
応用が……」



 誰も聞いてないっすよ、甲斐那先生。





                        完






あとがき


 皆様、はじめまして〜端島 司と申します〜♪

 ああ……煩悩大全開那なSSを……しくしくしくしくしく………(涙)

 なんだか出番が少ない「ぱすちゃ」の相羽家クラスのSSを書きました〜

 というかあの人達、体験入学の話しかありませんから……

 これを機会に、相羽家のSSを書いて下さる人が増えればな〜という期待を持ってます〜

 これからも、この相羽家並びに「ぱすちゃ」キャラを使って了承学園に参加していこうと思ってます。

 こんな私の拙いSSを採用してくれる了承学園の皆様に、そして何より読んでくださった読者の皆様
感謝感激雨霰ですぅ。(TT)

 最後に

 ツッコミ担当になってしまった竜胆沙耶及び壊しまくった甲斐那ファンの皆様。

 御免なさいですぅ〜(血涙)



                        〜おはり〜






ぴーえす

一応、この話は5日目か6日目の1時間目であることを希望しますです





 ☆ コメント ☆

綾香 :「カイト……なーんか完璧に染まっちゃってるわねぇ」(^ ^;

セリオ:「まあ、無理もない気がしますけど。
     周りが周りですし」(;^_^A

綾香 :「……そ、それは……そうかも。
     しっかし、だからって胸枕ですかい」(^ ^;

セリオ:「いいじゃないですか。
     非常に『了承』らしくて」(^^)

綾香 :「イヤな『らしさ』ねぇ」(^ ^;

セリオ:「まあ、確かに。
     ……どうでもいいですが、『イヤならしさ』と『いやらしさ』って似てますよね」(;^_^A

綾香 :「似てるというか……この場合は殆ど同じというか……」(^ ^;

セリオ:「あ、あはは」(;^_^A

綾香 :「そういえばさ、一つ気になったんだけど……ミュウさん、魔王の器って……」(^ ^;

セリオ:「魔王の器。なんか、すっごくデンジャラスっぽいですよね、いろんな意味で」(;^_^A

綾香 :「ひょっとして、ミュウさんって、何気に(ピー)な面を持ってるのかしら? おとなしそうに見えて」(^ ^;

セリオ:「それって……まるで某黒髪貧乳偽善者さんみたいですね」

綾香 :「……あ、あんた、結構容赦ないわね。
     間違ってはいないけど」(^ ^;;;

セリオ:「そうですか? そんなことないと思いますけど?」(・・?

綾香 :「……ま、まあいいわ。
     と、取り敢えず、今後のミュウさんには要注目ね」(^ ^;

セリオ:「個人的にはミュウさんにははっちゃけてほしいですね。
     目指せ! 第二の千鶴さん! です」(^0^)

綾香 :「だーっ! はっきり名前を出すな!
     てか、目指さなくていいっつーの」(−−;

セリオ:「えー? 目指した方が面白いのにぃ。……第三者的には」(−o−)

綾香 :「あ、あんたって……」(−−;;;




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