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私立了承学園(休み時間)  「真顔キング」

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 休み時間。


 甲斐那先生は、保健室へと足を伸ばした。


 前の時間に生徒というか竜胆沙耶にしこたま殴られた頭を見てもらうためである。


 本人は別になんともないという確証を持っているのだが。


『お兄様、万が一のことがあるやもしれません。次の時間までに治療を受けて下さい……これ以上
頭に壊滅的なダメージを受けて中身まで壊滅的になっては救われません』

 という、刹那の強い勧めに従うことにしたのだ。

 なにげに酷いこと言ってるし……

「やはり、我が唯一にして最愛の妹にこれ以上心配をかけるわけにもいかんだろう。この私をあくまで
気遣うあいつの想いに答えぬことなど出来ない、というか選択肢から排除、二人の間には一本筋な純愛
トゥルーエンドルートしか存在せぬわけだからな……」

 極限的に端正な顔立ちの上に冷たく鋭い表情を崩さず、真顔のまま渋い口調でンなインモラル全開な
ことを宣わないでください。

 甲斐那先生は流れるような隙のない動きで……というかここ学校の廊下だから無意味なのでは……
兎に角、ススススッと、保健室への扉を潜った。

 無論のこと、気配を完全に殺して……だから意味無くそんなことするなって。



「む……?」

 ピクリと、甲斐那先生は眉を潜める。

 保健室には誰もいない。

 保険医であるメイフィアの姿も、その助手の舞奈も……

「ぐ〜……すぴょぴょぴょぴょ…………」

 ベッドの方から寝息が聞こえてくるが、甲斐那先生は「どうせ休憩中の生徒だろう」と気にも止めな
かった。

 が………

「……………………………………」

 ふと、椅子にもたれかかって微動だにしないマインが目に入る。

 別に、無口だから存在に気付かなかったという訳ではない。

 どうもマインは、今は充電中らしく、機能を停止させている。それがわかっていたからだ。

 そして、眠るように目を閉じているマインをしばし見つめて………

「ふむ」

 甲斐那先生は、懐から何かを取り出した………















どがしゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!



「この超弩級海老反り女ぁっ! 今日という今日こそ狩るッッ!!」

「だから私は知らないって言ってるでしょうが〜!」

「やかましい! お前以外の一体誰がこんな悪ふざけなんぞする!?」

「……………………………」

「メイフィア様、ナットクシテマスネ」

「兎に角私じゃないったら私じゃないのよ! さっきまでぐっすり寝てたしっ!」

「保険医が保健室のベッドで寝るな!」

「いいじゃない! この所急がいかったし昨日寝てなかったんだから……」 

「タシカ、昨日ルミラ様ト徹夜デ麻雀ニイソシンデイタトカ……」

「このアマ………」

「ハワワ、舞奈サン御主人様ヲタキツケナイデ下サイ!」

「チナミニ、私ハサッキマデ……お兄ちゃんのところにいってたのっ☆」

「舞奈サン!」

「職務怠慢を嬉しそうに自慢するわけね、流石は我が助手♪」

「滅びてしまえ悪の居城があああああああああああああっ!」





 御乱心ちうの柳川先生が暴れる、毎度毎度の保健室の中で………

 オロオロと拳を口の前に添えて慌てるマインの額には






                 




 の一文字が黒く大きく描かれていた。

 ちなみに油性ペンである。思いっきり。













 〜屋上〜


「ふっ……………」

 無意味に外套を風にたなびかせ

 甲斐那先生は、保健室から鳴り響く破砕音を耳にし、クールにほくそ笑んでいたのだった。


 やっぱり、妹さんの懸念、的中しているんじゃないでしょうか………TT






                         了




あとがき


 ということで

 我等が甲斐那先生のショートSSです。

 いろんな意味で壊しまくってしまいました。ごめんなさい……TT

 ツッコミどころは色々とあるでしょうが、まぁ休み時間の一コマだと思ってくだされば結構です♪

 「黙っていれば超絶美形」な上に「口数が少ない」という、本性がすっとこどっこいな癖に誤解され
やすい………うう、ますます極悪ちっくになってきたぞ、甲斐那さん……TT

 ええと、まぁ「私の甲斐那さんを返して!」という悲鳴が読者の皆様から聞こえてくるんじゃ
なかろうかと懸念しつつ。

 今回は、これにちお暇しますです〜♪

 (逃げるように退場) 




 ☆ コメント ☆ 綾香 :「か、甲斐那さん」(−−; セリオ:「に、肉ですか」(−−; 綾香 :「まあ、肉の字は基本だけどねぇ」 セリオ:「き、基本って……」(;^_^A 綾香 :「イメージに合わないことをサラッとやってくれちゃってからに」(−−; セリオ:「ただものではありませんね」 綾香 :「なんか、ある意味で非常にタチが悪い人物な気がするわ」(−−; セリオ:「それは確かに」(;^_^A 綾香 :「ギャップに慣れるまでにはちょっと時間を要しそうね」(−−; セリオ:「ですね」(;^_^A 綾香 :「妹さんが真人間であることを期待するわ」(−−; セリオ:「……なんか、その期待はアッサリと裏切られる気がするのはわたしだけでしょうか」(;^_^A



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