カーテンの隙間から射し込む日の光に、浩之は目を覚ました。隣には あかりが幸せそうな寝顔ですやすやと眠っていた。昨夜はにんにく入り カップラーメンのおかげで激しい夜を過ごした二人だった。    「まったく、あんなもん食わせてやがって・・・・・、おかげで薪割りができる くらいギンギンだったじゃねーか、アンディ・藤田じゃねーんだぞ・・・・。」  苦笑しながら、あかりの髪をそっと撫でつけた浩之だったが、穏やかな 時間はそこまでだった。  「朝から、何オヤジギャグ言ってるんや藤田君?」  殺気をはらんだ声が背後で聞こえた、恐る恐る振りかえると、そこには藤田家の 妻一同が浩之を睨み付けていた。  「あ・・・、あの・・・・皆さん朝から一体どうしたの?」    思わず、口調が敬語になってしまう浩之。  「朝、起きたら、隣にいるはずの藤田君の姿が見えへんかったから。」 と智子  「心配したんです」 と琴音、そういえば昨夜は先にこの二人を愛していたのだった。  「あちこち探したんですよ」 と葵  「もしかしたら、攫われたんじゃないかと思ったんですよ。」 とマルチ  「私達が一生懸命探していたと言うのに」 とセリオ  「あかりさんと一緒に寝ていただけなんて」 と理緒  「それも、ミンナが寝た後で激しいラブタイムなんて」 とレミイ  「・・・・・・・ひどいです・・・・・」 と芹香  「大体、あかりさんとだけっていうのが腹立つのよねー!!藤田家の妻達はみんな 平等じゃなきゃいけないのよ、こういう時にはあたし達も誘いなさいっていうの!!」 と綾香  「あの・・、綾香はん、そんなあからさまに本音言わんでも・・・・。」  「なによー、皆、浩之があたし達に黙ってあかりさんとだけエッチしてたのが気に入らないんでしょ?」  「まあ、そうですが」 セリオが顔をあからめて頷いた。他の妻達も同意した。  「そうでしょ、そうでしょ?やっぱり人間素直が一番よー、てなわけで浩之お仕置き決定!!」  「ちょ、ちょっとまて!何が『てなわけ』だ!?」  「問答無用!抜け駆けにはきちんとそれなりの罰をあたえなきゃ♪」  「抜け駆けって・・・、俺がしたわけじゃないだろうが!?」  「黙認も罪のうち!」  「んなアホなーーーーー!!」  「ええい、おとなしくお仕置きを受けなさい!葵、セリオ、浩之をしっかり押さえておくのよ」  「わわわ、な、なにすんだ!?こ、こ、こら!そんなところに足なんかって・・・これってまさか!?」  「そう、『電気あんま』でーす、てへっ♪」  「てへっ、じゃなくて・・・・・ぐっひょええええええええええええええええっ!!」  部屋中に浩之の悶絶の叫びが響いた、朝から藤田家は騒がしかった。  「ふにゃ・・・・・・、浩之ちゃん・・・・・・・・・・・♪」  昨夜すっかり満たされたあかりは周囲の騒々しさに目を覚ます事なく、幸せな夢の中にいた。           了承学園               四日目   一時間目   To Heartサイド  キーンコーンカーンコーン    朝、一時間目の授業の鐘がなった、しかし担当教師はまだ姿を見せていなかった。  今日からクラス編成が少し変えられ、誠、雅史達とは別のクラスとなった、志保は 「生涯クラス移動勝手」のお墨付きをもらったらしく、この時間、藤田家とは別行動をとっていた。 まあ、志保には志保の考えがあるということで、藤田家の面々はそれに異議を唱えなかった、 無理に藤田家に入らせるよりも、いつでもここに来る事ができるようにする方が彼女にとって 良いのではないかという藤田家一同の判断だった。  「・・・・・・・・・・・」  「浩之ちゃん大丈夫?」  あかりが心配して声をかける、あれからしばらくして目が覚めたとき、目の前でマルチに 「電気あんま」をされて悶絶している浩之の姿が目に入ってしばらく茫然自失の状態だった。  ちなみにあかりが受けたお仕置きは芹香に「めっ」と頭をこつんと軽く叩かれた程度のものだった。  「ごめんね、わたしのせいで・・・・」  「いや・・・、あかりが悪いわけじゃねえよ・・・・」  「せや、わたしらに内緒であかりさんだけとエッチした藤田君が悪いんや」  「あのな・・・・、でもそれであんなお仕置きはねえだろ」  「『エッチの魂百マデモ』とも言うネ!」  「んな言葉あるかい!まったく皆して思いっきりやりやがって・・・これで俺のが使い物にならなくなったら どうするの・・・・とほほ・・・・・・」  「「「「「「「「「そんなこと絶対にありません!!」」」」」」」」」  間髪入れずの返事に浩之は「うう・・・・」と唸り、あかりは「あ、あはは・・・・・」と同意の苦笑をした。  ガラッ、と扉が開く音がして「お、おまたせー・・・・」とひかりの声がした。  「おっ、朝一番はおば・・・・・・お母さんか・・・・・・・ってちょっと!!」  「お、お母さんったら・・・・・」  あかりも呆れた顔で呟く。  「ええ・・・・・だってえ・・・・・・・・」  と、もじもじしているひかりの格好は「また」ブルマー姿だった。  「秋子がお茶こぼしちゃって、それが私の服にかかって仕方なく・・・・・・。」  『仕方なくか!?本当に仕方なくなのか、お母さん!!』  浩之は心の中で絶叫した。  『嫌がってる口調のわりには顔が凄く嬉しそうなのは気のせいか!?』  「気のせいよ、浩之ちゃん。」  気がつけば目の前にひかりの笑顔があった、『何で俺の考えている事が分かるの? お母さん!!』浩之は心の中で泣いた。  「だって、わたしのむ・す・こですもの♪」  はあ・・・そうですか・・・・、いえ、それはとっても嬉しいんですが・・・・・・・、浩之の 心中は複雑だった。  「さてさて、それじゃあ授業にはいりましょうね」 ぱんぱんと手を叩くと、ひかりは黒板に「愛の告白」と書いた。  「一時間目の授業はこれ」  『告白か・・・・、多分皆が俺にするんだろうな・・・・』浩之は思った、見ればあかり達は 浩之を見つめながらもじもじとしていた。   「それじゃあ、いきましょうか、さあ、浩之ちゃんファイトッ!!」  「え・・・?今なんて・・・・?」  「いやだわ、告白するのはあかり達じゃなくて、ひ・ろ・ゆ・き・ちゃん♪」  「ななななな何ですとおおおおおおっ!?」  「浩之ちゃんったら、照れ屋さんだから滅多に皆に『愛の告白』なんてしてないでしょ? だから、この機会にみんなにしてあげて欲しいの。」  『ううっ・・・・・、やっぱりさっきのこと・・・・・・』  「根になんか持ってないわよ」  「えっ!?」と浩之はひかりを見た、ひかりは真剣な表情で浩之を見つめていた。    「これは、最初から考えていたこと、やはりね、いくら仲の良い夫婦でも、『言葉で言わなくても分かる』                      なんて甘えてばっかりじゃ駄目、やっぱり『愛してる』と言ってあげなきゃ、そういう言葉の積み重ねが 夫婦の信頼を作っていくとわたしは思うの。」  奥様歴二十年(推定)のベテランの言葉に浩之は頷いた。  「ふふっ・・・、分かってくれたようね、それじゃみんなが待っているわよ」  振り向けば、妻達が目を潤ませて待っていた。  『これは逃げられん・・・・・いや逃げたら駄目だ・・・・・』  浩之はこれから始まるやっぱり気恥ずかしい授業に立ち向かうべく、己に気合をかけた  「ふぁいとっ、だよ」    「セ・・・・、セリオ・・・・・・俺はお前が・・・・、好きだ・・・・・・大好きだ・・・・・・・・・ 心の底から言おう・・・・・・・・ぐはあっ!!だ、駄目だ・・・・・・これ以上は・・・・・・!!」  「逃げてはいけません、ふぁいとっ、だよ」  ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!  「だからって、ミサイルを撃つなーっ!!」  「お仕置きです」  「あ、あのなあ・・・・」  「浩之ちゃん、早く早く、次はわたしだよ」  「その次はわたしやでー♪」  「あと六人かい・・・・・」  幸せ者が文句を言うな。     終      後書き    To Heart編四日目です、最初の場面は聖悠紀様 のリクエスト(笑)で書きました。  さて四日目に入って、藤田家の授業はあいかわらずです・・・・。  くのうなおき
 ☆ コメント ☆ 浩之 :「とんでもない目に遭ったぜ。ああ、まだ股間がジンジンする」(−−; あかり:「浩之ちゃん、大丈夫?」 綾香 :「大丈夫大丈夫。全然平気よ」(^0^) セリオ:「そうですとも。問題なしです」(^0^) 浩之 :「お前らが答えるんじゃねー!      ったく、限度ってもんを知らねーのか」(−−; 綾香 :「知ってるわよぉ〜。だ・か・ら、その程度のお仕置きで許してあげたんじゃない」d(^-^) 浩之 :「あの壮絶な刑を『その程度』と言うか」 綾香 :「ふんっだ。元はと言えば、あたしたちをほったらかしにした浩之が悪いんだからね」 セリオ:「そうです。浩之さんが悪いんです」 あかり:「……あの〜。悪いのは、わたしだと思うんだけど……」 綾香 :「そんなことないわよ」 セリオ:「そんなことありません」 浩之 :「なんだよ。俺が全面的に悪いのか?」 綾香 :「浩之が、と言うよりは、節操のない浩之の下半身が、かな」 セリオ:「あとは……細〜〜〜い理性の糸が、ですね」 あかり:「(うっわ〜。言いたいこと言われてるよぉ)」(;^_^A 浩之 :「なんだよ、それ。人をケダモノみたいに。俺にだって人並みの自制心くらいはあるぞ」 綾香 :「ウソ、ね」(−−) セリオ:「ウソ、ですね」(−−) あかり:「わたしも……ウソだと思う」(^ ^; 浩之 :「あ、あかりまで……。俺って、結局はこういう扱いなのか」(−−;



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