了承学園 (痕&kanonサイド)4日目放課後

 


 

帰る途中の柏木家

「ねえ,お兄ちゃん。今晩花火やろうよ。」

「いいよ。じゃあ,9時頃からやろうか?」

「あっ,耕一さん。鶴木屋にイベントの時に使った花火の残りがありますから,それも使いませんか?」

「千鶴さん,いいんですか?」

「ええ,おいておいても湿気ちゃうだけですから。」

「じゃあ,今夜はみんなで花火大会かな?」

「はい。」

「うん。」

「おう。」

 

 

こちらは相沢家

「祐一〜,どこかに猫さんがいるよ〜。」

タッタッタッタッ

「名雪まて!」

タッタッタッ

「くぅ,追いつけない!」

 

 

 

そして,

「あれ〜,猫さんどこ?」

柏木家のところまでやってきて猫を探す名雪。

「・・・・・・・・・・・・?」

「千鶴お姉ちゃん,誰なの?」

「秋子さんの娘の名雪ちゃんよ。」

「名雪ちゃんどうしたの?」

「梓さん,猫さん知らない?こっちにいたと思うんだけど・・・。」

「猫・・・・・・。(まさか,楓ちゃんが猫っぽいからなのか?)」

そこに名雪を追いかけていた祐一が来た。

「はあはあ,こ,耕一さん,すいません。名雪が暴走して・・・・。」

ポカッ

名雪を殴る祐一。

「うにゅ〜,殴らないでよ〜。猫さんがいるんだお〜。」

「とにかく帰るぞ!」

名雪を引っぱていく祐一に耕一が話しかける。

「祐一君,名雪ちゃんが探してた猫ってまさか・・・・・・」

耕一は楓を見つつ訊ねる。

「たぶん・・・・・・。」

「・・・・・あの,耕一さん。私に関係のある話しなんですか?」

「いや,違う。今夜の花火大会に祐一達も来ないか訊ねたんだ。」

ごまかす耕一!

「耕一さん,いいアイディアですね。ぜひみなさんで来てくださいね。」

相沢家を誘う千鶴。

「祐一〜,花火やろうよ〜!」

「俺に選択肢は・・・・・」

「ないよー。」

こうして,柏木家の花火大会に相沢家が参加することが決まった。

 

 

 

 

夜の9時

柏木家サイド

「じゃあ,耕一さん。これが花火のある倉庫の鍵です。1人で大丈夫ですか?」

千鶴はそう言い,鍵を渡す。

「平気ですよ。先にグランドに行っていてください。」

「耕一,あたしも手伝うよ。」

「すまんな,梓。」

「・・・・・姉さん,手伝わなくていい?」

梓を心配し,楓は梓に訊ねた。

「大丈夫だよ。先に行ってな。」

「楓お姉ちゃん,先に行こうよ。」

「楓,初音,行くわよ。」

「うん。」「はい。」

 

 

相沢家サイド

「おーい,耕一さんと花火するけど,誰か一緒に行くか?」

「はーーい,ボク行く!」

「あたしも行く!」

「じゃあ私も行きます。」

「お姉ちゃん,私たちも行きましょう。」

「わかったわ。」

あゆ,真琴,美汐,栞,香里の参加が決定。

「あれ,名雪は行かないのか?」

「うにゅ〜,私けろぴー食べれるよ〜。」

「食うな!」

ポカッ

祐一は寝ぼけている名雪を軽くはたく。

「うにゅ〜,祐一〜,おは〜〜・・・・・くー。」

「名雪は不参加か。まあ時間が時間だからな。舞と佐祐理さんはどうするんだ?」

「・・・・・・・・・・・・行かない。」

「舞どうしていかないんだ?」

「・・・・テレビ見る。」

「テレビ?」

「・・・・・・・・『なまもの地球紀行』を見る。」

「あはは〜,舞。『なまもの』じゃなくて『いきもの』ですよ〜。舞は動物好きですからね。」

「佐祐理さんはどうします?」

「佐祐理は舞と一緒にテレビを見ます。」

名雪,舞,佐祐理の不参加決定。そして祐一は秋子にも訊ねる。

「じゃあ,秋子さんはどうしますか。」

「私もご一緒させてもらっていいんですか?」

「もちろんですよ。」

「じゃあ私もご一緒します。」

 

 

 

 

そしてグランド

「耕一さん達,まだ来てないみたいだ。先に始めているか。」

「祐一,覚悟!」

バラバラバラバラ

しゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅー

真琴が祐一の足下に大量の爆竹をばらまいた。

祐一はそれを手早く拾い集め,

「真琴!パス!」

「えっ?」

バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン

「あうっ,あうっ,あうっ,あうっ,あうっ,あう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

見事に真琴の近くで炸裂する。

「ふう,危ないところだった。」

「あうーっ,よくもやってくれたわね。覚えてなさいよ!」

捨てぜりふを残し美汐の方に走っていく真琴。

「美汐,祐一を懲らしめる方法を教えて〜〜〜。」

「簡単です。明日の祐一さんの朝食をあのジャムにすればいいんです。」

その2人を見る祐一は

 (仕返しがありそうだから注意しよう。)

と考えていた。

「祐一さん,この花火はどうやってするんですか?」

「おっ,栞か。これは,蛇花火だな。これは,地面において火を付けるんだ。」

祐一は,蛇花火を地面において火を付ける。

じっじっじっじっじっ

蛇花火は蛇のようにうねうねと伸びていった。

「祐一さん,全然きれいじゃないです。面白くありません。」

蛇花火を見ながら栞が言う。そこに

「祐一君,栞ちゃん,ビン持ってない?」

あゆが来た。

「あゆ,何をするつもりなんだ?」

「ロケット花火だよ。花火をたてるビンか缶が欲しいんだよ。」

「私は,持っていません。」

「あゆ,栞,ビンに花火をたてて飛ばすのは大きな誤りだ。いや,邪道だ。ロケット花火の正しい飛ばし方を俺が教えてやる。

いいか,まず手に持ったまま導火線に火を付ける。そして,半分くらいまで燃えたところで思いっきり投げる。」

と言いつつ,祐一はロケット花火を投げる。

・・・・・・・・・・ひゅうぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーパン

ロケット花火が飛んで破裂する。

「これが正しいロケット花火の飛ばし方だ。注意するべき事は,投げるタイミングだ。遅すぎたら,手を火傷する。

また早すぎると地面に落ちてから火がつき何処に飛ぶか解らない。」

「うぐぅ,難しそう。」

「奥が深いんですね。」

「あゆ!やってみろ!」

「うん。」

そうしてあゆの挑戦。導火線に火を付け,半分くらいまで燃えたところで投げる。

しかし!花火は前に飛ばず,後ろに飛んでいた。そして,

・・・・・・・ひゅうぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あゆの後方に落ちた花火があゆに向かって飛んでいく。

「うぐぅ!花火が追いかけてくる!うぐぅ〜〜〜〜〜〜〜!」

必死に逃げるあゆ!

パン

「うぐぅ!」

あゆの努力もむなしく,あゆの近くでロケット花火は破裂した。

「うむ,惜しい奴を亡くしたな。次は栞やってみろ。」

「祐一,栞に危ないことを教えないで!」

妹の危機を察した香里が祐一に文句を言う。

「香里,何を言う!正しいロケット花火の飛ばし方を教えただけだ!」

「これの何処が正しいのよ!危険じゃないの!」

あゆを指さす香里。

「これは,不幸な事故だ。ロケット花火で遊ぶときにはよくあることだ。」

「祐一,ロケット花火で遊ぶときってどんなときなの?」

「もちろん,ロケット花火で戦争するときだ。こんな事は日常茶飯事だ!」

「祐一さん,男の子同士の時はそれでもいいですけど,女の子のいるときには危険なことはしないでくださいね。」

祐一に注意を促す秋子。

「解りました。気を付けます。」

「秋子さん,大変そうですね。」

やってきた柏木家御一行様。

「あっ,千鶴さん。家族を紹介しますね。みなさん集まってください。」

そして,自己紹介へ。

「祐一さん,みなさんを紹介して挙げてください。」

「わかりました。これがうぐぅで,こっちがあうーっです。」

「うぐぅ,ボクはあゆだよ!」

「あうーっ,真琴だもん!」

「すまん,あゆあゆ,マコピー。間違えた。」

「うぐぅ。」「あうーっ。」

「祐一さん,あんまりからかうのは・・・・・・・・。」

美汐があゆと真琴をかばう。

「そうだな。それで,こっちが美汐。」

「初めまして,美汐と言います。」

「次に,香里と栞だ。この二人は姉妹なんです。」

「栞です。」

「香里と呼んでください。」

「今,ここにはいませんけど後,名雪と佐祐理さん,舞がいます。」

相沢家の自己紹介がおわり次は柏木家に,

「私は,長女の千鶴と言います。えっと歳は19歳です。」(ポッ)

((サバよんでる!!))

と楓と初音は考えていたが,懸命なことに口には出さなかった。梓ではこうはいかないだろう。

「この子が,三女の楓で,こっちが四女の初音です。」

「・・・・・・初めまして,楓です。」

「初めまして。」

「あと,遅れて耕一さんと次女の梓が来ます。梓は,意地の悪い子なんですよ。みなさんも注意してくださいね。

あの子たっら姉をいじめて楽しんでいるんですよ。その証拠に私を台所に入れてくれないし・・・・。」

(それは,当然だろう!!)

この場の数人(千鶴の料理被害者または現場目撃者)はそう考えていたが,またも誰も口にしなかった。非常に懸命な判断である。

 

そのころの柏木梓

「ハックション!」

「梓,風邪でもひいたのか?」

「いや,たぶん千鶴姉があたしの悪口でも言っているんだ。」

 

 

同じく相沢家

「あはは〜,アリクイさんです。」

「・・・・・・・・かわいい。」

「くー,ねこさんすきだお〜。」

 

 

 

柏木家&相沢家は,仲良く花火をしていた。

そこに,耕一と梓が大量の玉を積んだリヤカーをひいてやってきた。

「すいません。遅くれてしまって・・・・。」

「耕一さん,お疲れさまです。早速ですがお願いできますか。」

「あの,耕一さん。このボールのような物は何ですか?」

祐一は耕一に玉の正体を尋ねる。

「ああ,これは打ち上げ花火の尺玉だ。1尺から5尺まで各種そろっている。」

そう耕一が持ってきたものは,花火大会などで打ち上げられる花火だった。

「柏木さん。どうやって打ち上げるのですか?」

相沢家では博学(なんといっても『魔晶変化』を知ってたし)の美汐が質問した。

この花火は,発射筒に花火をセットして打ち上げる必要があるが,グランドには当然そんな物はない。

「それは・・・・・・,見ていればわかるよ。」

と言い,おもむろに尺玉を一つ持つと,

「誰か火種をかしてくれ。」

「お兄ちゃん,これ。」

初音が耕一に蚊取り線香を渡した。花火の火種といえばやっぱり蚊取り線香が便利だ。それに,ルミラも防げるし・・・・・。

「ありがとう,初音ちゃん。」

耕一は早速,尺玉に火を付け,それを空に向かって投げた。そして,

ひゅるる〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ドーーーーーーン

柏木家サイドの感想は

「わあ,きれい。」

「・・・・真下で見るのが一番です。」

「耕一さん,もっとお願いします。」

「耕一,あたしも手伝うよ。」

耕一と梓は、花火を投げあげた。

 

相沢家サイドは

「あうーーーーーーーーっ。」

バタン

上を見上げていて,そのまま後ろに倒れた真琴。

「鬼の力はすごいんですね。」

耕一の力に感心する美汐。

「祐一君もやってみてよ。」

「できるか!」

「根性のない人ですね。」

あゆと栞は祐一に無理を言う。

「やっぱり,人間離れした人が多いのね。」

香里はこの程度では驚かなくなっていた。

「耕一さん,がんばっているわね。」

みんなを優しくを見守る秋子だった。

 

そのころの相沢家では

「あはは〜,おもしろかったですね〜。」

「はちみつくまさん。」

「あはは〜。舞,秋子さんに動物園作ってもらいましょう。」

「はちみつくまさん。」

「くー。」

 

 

 

 

 

ここ藤田家では,

「はわわ〜,浩之さん,セリオさん,花火が上がってますぅ。」

「本当です。きれいですね。」

「マルチ,セリオ。あの花火は,実は耕一さんが投げてるんだぞ。」

「すごいですぅ〜。」

「浩之さん,嘘を言わないでください。」

「いや,本当だぞ。よし,もし嘘だったら今晩はいつも以上に可愛がってやろう。嘘じゃなかったらたっぷりとサービスしてくれよ。」

「はい。」

「いいですよ・・・・・・あれ,それって同じ事では・・・・・・・。」

「セリオ,細かいことは気にするな。それにいいと言ったぞ。」

「えっ,けど,・・・・・・浩之さんずるいです。」

こうして,いつも以上に激しい夜になるのでした。

 

 

 

 

 

 

 

<あとがき>

 柏木家を中心に書いているはずだったのが、いつの間にか相沢家中心になってしまった…。

 柏木家より、相沢家の方が個性がはっきりしていて書きやすいからかな。

 ちなみに、花火の尺玉の尺とは昔の長さの単位です。約30cmです。

 5尺玉になると直径が1.5mになり、重さも300kgにもなります。

 それと、ロケット花火を手で投げるのは、あまり難しくありませんが、火傷をしないように注意してください。

 怪我をしても私はいっさい責任をとりません!

フランク疾風



 ☆ コメント ☆ 綾香 :「花火かぁ。良いわね。      ねぇ、セリオ。花火やろうよ」(^^) セリオ:「……………………ぼー」(−−) 綾香 :「……セリオ?」 セリオ:「……………………ぼー」(−−) 綾香 :「どうしたの? なんか、疲労困憊って感じだけど」 セリオ:「いえ……その……まあ、いろいろありまして」(−−) 綾香 :「………………『いろいろ』?」(・・? セリオ:「毎度の事です」(−−) 綾香 :「『毎度の事』?      ああ、なるほど。原因は浩之ね」(^ ^; セリオ:「ご名答」(−−) 綾香 :「あいつはタフだからねぇ」(^ ^; セリオ:「……壊れるかと思いました」(−−) 綾香 :「あ、あはは。よ、よっぽど激しかったのねぇ」(^ ^;;; セリオ:「ええ、それはもう」(−−) 綾香 :「あ、あはは、あはははは。      で、でも……だったら、浩之も今頃はバテバテになってるかな?」(^ ^; セリオ:「いえ、先程お会いした時はピンピンしてました」(−−) 綾香 :「……マジ?」(^ ^; セリオ:「はい」(−−) 綾香 :「…………化け物ね。本当に」(^ ^;;; セリオ:「同感です」(−−)  ・  ・  ・  ・  ・ 浩之 :「ったく、あいつら。人がいないと思って言いたいこと言いやがって。      誰が化け物だ、誰が」 智子 :「あんたや、あんた」 浩之 :「ひっでーなぁ。俺くらいは普通だぞ」 智子 :「絶対に違う」(−−; 浩之 :「そうかなぁ?      たかだか、○回戦くらいじゃねーか」 智子 :「…………あんたなぁ」(−−; 琴音 :「えっと…………上の○の中には、皆さんのお好きな数字を入れて下さいね」(^ ^;  葵 :「ちなみに3以上です」(^ ^; 浩之 :「…………お前ら」(−−;;;



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