私立了承学園 四日目六時間目 THサイド ガラガラガラ 「おっす、授業を始めっぞ」 入ってきたのはサラさん。この人がこの時間の先生か。 「今日の科目は・・・これだ!」 「鬼ごっこ」 「鬼ごっこ〜〜〜?」 「ああ。だがルールは少し違うぞ。鬼が逃げるんだ」 「鬼が逃げる?どう言う意味だ」 「要するに逃げるのが一人で追うのが他の全員だ。鬼は浩之、お前だ」 「なんだよもう決まってんのかよ」 「まあな。と言うことであとは任せる。じゃな」 そういって去って行くサラ。 「やれやれこんなのも授業なのかよ」 「まっ、ええんやないか?面白そうやし。ほれ浩之、さっさと逃げんか」 「ちっ、なんだか面倒だけど仕方ないか。よっしゃ、お前ら百数えろよ」 「うん、わかってる。がんばってね浩之ちゃん」 「鬼に言われるのも変な気がするがまあいいや。じゃな」 そのまま教室を飛び出して行く浩之。 かくして賑やかなる鬼ごっこは始まった。 「・・・・・・・・・100!よっしゃ、数え終わったで。探しにいこ」 「でもどこから探す?この学園とにかく広いから・・・」 「問題ありません。今までの浩之さんの行動パターンからいってこの場合 屋上で昼寝でもしている可能性が高いです」 「さすがセリオ。よし、じゃあ屋上に・・・」 そこまで言って綾香は言葉を飲みこんだ。 「屋上って言ってもどこの屋上かしら。この学園やたらと広いし」 「さあ、私もそこまでは・・・」 「しらみつぶしに探すしかないんじゃないでしょうか」 「うーんそうかもね。一校舎ずつ探しましょうか」 「あっ、待って下さいみなさん」 屋上を探すべく教室を出たみんなをマルチが呼びとめた。 「どうしたの?マルチちゃん」 「実は今日の朝主任にお会いしまして、その時オプションを一つつけてもらった んですがそれが役に立つかと思いまして」 「主任?ああ、長瀬のおっさんね。で、なにを付けてもらったの?」 「へへへー、これなんですけど・・・」 そういってマルチはどこからか箱のようなものを取り出した。 「これは『ふぁんねる』ですぅ」 「ふぁんねる?」 「はいとにかく使ってみますね」 ポチ マルチは箱についていたボタンを押した。すると・・・ ワラワラワラワラワラワラワラワラワラワラワラワラワラワラ ワラワラワラワラワラワラウラワラワラワラワラワラワラワラ 15分の1スケールほど大きさの小さなマルチが十数体箱の中から飛び出して来た。 「「「「「「「「「「「「「「「「参上ですーーー」」」」」」」」」」」」」」」」 「マルチ、これ・・・」 「はい、主任さんが忙しくて手が足りないときとかに使うといいって言ってました」 「・・・ったくあの親父は一体どういう趣味してるのよ」 「いいですかみなさーん、聞いてください」 マルチが小さなマルチたちに仕事を伝えていた。 「今から浩之さんを探してください。分かりましたかー」 「「「「「「「「「「「「「「「「らじゃーーーですぅ」」」」」」」」」」」」」」」」 それと同時にぷちマルチ達はみんな部屋を出ていった。 「ねえマルチ、一つ聞いていい?」 「はいなんでしょう、綾香さん」 「彼女たち大丈夫?」 「大丈夫ですよ、私の分身みたいなものなんですから」 「いや、だから心配なんだけどね」 「はうっ」 一方その頃の浩之はというと・・・ 「やっぱり屋上はいいな。寝転がるには最適だぜ」 「やっぱりそうよねー。サボると言ったら屋上よねー」 「ああそうだな・・・って志保、何でテメエがここにいるんだ」 浩之が屋上に来た時にはすでに志保が寝転がっていたのだ。 「なによ。あたしが先にここにいたのよ。先住権を主張するわ」 「そういうこと聞いてんじゃじゃねえ。何でここにいるのかって聞いてるんだ」 「もちろん授業に決まってるじゃない」 「授業だあ?寝転がってるのがどんな授業だっつーの?」 「ふふふ、甘いわねヒロ!これは『電波の特訓』なのよ!!」 「『電波の特訓』?それって祐介や瑠璃子さんが使う力のことだろ。 何でお前がそんな力を欲しがってんだ?」 「もちろんあたしの志保ちゃんネットワークを強化するためよ。電波を使って 情報を集めればさらにハイクオリティなニュースをお茶の間に・・・」 ぼかっ 浩之は志保の頭を叩いた。 「痛っ。なにすんのよヒロ。暴力反対よ」 「やかましいわ!そんな理由で電波修行する奴がおるか!!」 「いいじゃないあたしの勝手よ。それに電波があれば少しは素直に・・・」 「あ?なにいってんだ聞こえねえぞ?」 「う、うるさいわねあんた耳遠くなったんじゃない?」 「んだとてめえ、喧嘩ってんのか?」 そうしてまた二人がいつものやり取りをやっていると、 「はわわ、目標発見ですー」 「げっ、マルチ?もう見つかっちまったのか」 そう言って浩之が振り向くとそこには・・・ 「・・・何だお前?」 「はうっ、見つかってしまいました、撤退ですー」 ステテテテテテテテテテテテテ ドテッ 「・・・おい大丈夫か?」 浩之はぷちマルチを拾い上げた。 「はわわ、逃走むなしく捕獲されてしまいました」 「お前マルチか?」 「それは企業秘密なのでお答えできません」 「むっ、おのれ、マルチのくせに生意気な。これでもくらえ!」 そう言うと浩之は・・・ なでなで なでなで 「な、なにを・・・」 なでなで なでなで 「こんなことで私が口を割るとでも・・・」 なでなで なでなで 「はううう〜〜〜〜〜〜(ポポッ)」 ぷちマルチ、陥落 「ふっ、俺の撫でテクは伊達じゃないぜ!!」 「あんた相変わらずね・・・」 「何だ?志保。お前もして欲しいのか(ニヤニヤ)」 「な、な、なに言い出すのよあんたは。それよりあれを見なさいよ」 志保が指差すそこには・・・ 「マルチが・・・いっぱい・・・」 そこには残りのぷちマルチ十数体がいた。 「やっぱり一人だけってのは不公平なんじゃない?」 「ううっ、わかってるよ。ほらお前達、こいこい」 こうして浩之の「マルチ撫で」合戦が始まった。 一方その頃・・・ 「はううううーーーーー(ポー)」 「Oh、どうしたネ、マルチ」 「はうっ(ポポッ)」 「何、どうしたのマルチちゃん?」 「はううううーー、な、なんだかとっても幸せなのですー(ポポポッ)」 「?」 いきなりへにょへにょになるマルチを見て藤田家の面々はただ首を 傾げるばかりなのでした。 「よしよし」 「はううううううう(ポポッ)」 「いーこいーこ」 「あっ(ポッ)」 たくさんぷちマルチ達に囲まれている浩之。 ひたすら幸せそうなぷちマルチ達。 そしてその姿を写真に取っている志保(笑)。 「志保、何してやがんだお前は」 「も・ち・ろ・んトクダネゲーットよ」 「まだそのくせ直ってなかったんかい!」 「なあにヒロ?やなわけ?」 「当たり前だ。こんな姿恥ずかしいに決まってんだろ」 はたから見ると今の浩之は赤ん坊達をあやすお父さんのように見えた。 「しかたないわね、じゃあ返してあげる。その代わり・・・」 そう言うと志保は浩之の膝の上に飛び込んだ。 「なにすんだいきなり」 「いやー、ずっとコンクリートの上で寝転んでたもんだから頭が痛くてね。 あんたの膝、少し借りるわよ」 そう言って志保は眠ってしまった。 「おい・・・ったくしょうがねえな・・・まあ、たまにはいいか」 こうして志保は密かに浩之の膝を堪能したのでした。 で、授業終了後・・・ 「じゃあこの小さいマルチはあのおっさんが・・・」 「はい、そうみたいです」 「なに考えてんだがあのおっさんも」 あのあと浩之も寝てしまいそこを妻達に見つかってしまいゲームオーバー となった。ちなみにその時には志保はもうどこかに行った後だった。 「はいはい、皆さん今日はご苦労様でしたー」 マルチがぷちマルチと話している。 「また用があれば呼びますのでその時までゆっくり休んでください」 「「「「「「「「「「「「「「「はいですーーー」」」」」」」」」」」」」」」」 そう言うとマルチはまたあの箱を取り出した。 ボタンを押すとドアらしきものが開きそのなかにぷちマルチは入っていった。 その箱の上にこんな文字が描かれていた。          「まるちふぁんねる'sはうす」 「これもおっさんの趣味か?」 「多分・・・」 「おっさん・・・あんた一体・・・」 こうして長瀬主任の趣味を少し疑ってしまう面々なのでした。 了 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 あとがき ども、まおんです。 なんか見たことあるようなネタだ、という人も多いでしょうが気にしないで下さい(笑)。 もうちょいふぁんねるっぽさを出したかったのですが・・・まあいいや(爆) どうでもいいけど小さなマルチの呼び名が・・・(汗)。いいのが思いつかなくて。 それでは、この辺で。
 ☆ コメント ☆ セリオ:「ま、マルチさんがいっぱいです」 綾香 :「まったく、長瀬さんも何を考えてるんだか」(^ ^; セリオ:「それにしても……それにしても……」 綾香 :「ん? どったの?」 セリオ:「ぷちマルチさん、激らぶり〜です!! ぷりち〜です!!」(^^) 綾香 :「…………そ、そうね。確かに可愛いわね」(;^_^A セリオ:「あう〜、一人欲しいです」(^^) 綾香 :「おいおい。貰って何をしようっていうのよ?」(;^_^A セリオ:「そ、それは…………ないしょ、ですぅ」(*・・*) 綾香 :「……何故に顔を赤らめる?」(−−; セリオ:「それは……その……。      べ、べ、べ、別にやましい事は考えてないですよ。      ええ、考えてませんとも!」(*・・*) 綾香 :「……それって、『やましい事を考えてます』って白状してる様なもんじゃない」(−−; セリオ:「うっ」(−−; 綾香 :「……………………ばか」(−−) セリオ:「ひ、ひどい。      わたしは『ばか』じゃないです! ほんのちょびっとだけ『おマヌケ』なだけです!」 綾香 :「……そのセリフ……自分で言ってて悲しくならない?」(−−; セリオ:「……………………」(−−;;;;;



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