私立了承学園
4日目 バレー部


「あっ、瑞佳ちゃん、留美ちゃんも」 「あ、沙織ちゃん、それに月島さんに藍原さん、太田さん」 「あなた達もバレー部?」 「…うん、そうだよ」 「奇遇ね、ってほど予想外でもなかったけどね」 「それじゃ、皆で行きましょうか」  放課後。  沙織・瑠璃子・瑞穂・香奈子と、瑞佳・留美はバレー部に参加すべく、体育館にやってきた。 「あれ、梓さん?」  そこで梓を見かけ、声をかける沙織。 「よお、あんた達もバレーか?」 「そうだけど、梓さんも?」 「ああ」 「てっきり陸上部かと思ってたのに」 「んー、陸上部は時間が後らしいから、先にバレーでもと思ってね、ところで…」  そう言って瑞佳達のほうへ顔を向ける。 「あ、初めまして、長森瑞佳って言います」 「七瀬留美です。よろしく」  梓の言わんとするところを即座に理解し、軽く自己紹介をする二人。 「柏木梓だ、よろしくな、瑞佳、留美」  対して梓も男らしい(笑)自己紹介を返す。 「あら、皆さん揃ってるわね。それじゃ早速始めましょう」 「あ、秋子さ……ん〜〜〜!?」  秋子の声に全員がそちらに顔を向け、絶句した。 「「「☆〜〜〜!!!」」」  声も無く床の上でのたうちまわる者。 「あ……」 「香奈子ちゃん!!」  そのまま気絶してしまう者。 「くすくすくす…」  何故か微笑んでいる者(笑) 「? 一体どうしたと言うのだ君タチ?」  …原因であるにもかかわらず、自覚の無い者、その名はガディム。  秋子さんはブルマー姿だった。  それはいい(いいか?)  皆予想していたであろうから。  …だが、ガディムも同様の格好と言うのは果たして許されるのだろうか?  あまつさえ、部下である5人のラルヴァも同様の格好であることが許されるのカッ!! 「ウウ……オレ達ダッテ好キデコンナ格好シテルワケジャナインダァ!!」 「オレ…モウ笑エナイヨ……」 「コンナンナラ鼻メガネノ方ガマダマシダ……」  少なくとも、ラルヴァ達は好き好んでこの格好をしてるワケでは無いようだ。 「あ、あ、アンタ何考えてんのよーーーーッ!!!」  ようやく立ち直り、留美がガディムに向けて絶叫した。 「あらあら、ガディムさんの格好、刺激が強すぎたかしら」 「ははは、照れるなぁ」 「確かに…刺激は強すぎるな……別な意味で……」  床から立つこともせずに梓はそっと呟いた。 「それでは、ガディムチームと生徒チームの練習試合を始めます」  その後、どうにか皆立ち直り(香奈子は気絶中)、ガディム&ラルヴァと試合することになった。 「それでは、代表者は中央へ」 「あたしが行くよ」 「ふむ、では私が行くか」  梓とガディムが前に出る。 「それでは、私がボールを上に上げますので、お互い……」 「「「「「ちょっと待ったぁぁぁぁ!!!!」」」」」  生徒チームの梓以外の面々がストップをかける。 「それはバスケとかドッジボールですよっ!!」  沙織が突っ込む。 「あぁ、すいません、どうも場の勢いに流されてしまいました」  頬に手を当てて微笑む秋子。  それだけで誰も責めることが出来なくなってしまう。 「てゆーか、梓さんも……」 「わ、悪い悪い、あたしもチョット勢いにのまれちまった」  照れたように笑いながら頭を掻く梓。  …だが、どの道この後、半ドッジボール化するのだが…… 「ゆけいラルヴァどもよ!!」 「ハッ」 「「「3属性アターーーック!!!」」」  赤・青・緑の3色のラルヴァの合体アタックが生徒チームを襲う!!  …だが、球はなんのこともない、普通の球だった!! 「あま〜い!!」  沙織によって簡単にあしらわれてしまう。 「アァッ!? コウイウトキハ普通炎ト風ト氷ヲ纏ッタ凄イ球ニナルンジャナイノカ!?」 「イヤ、ダッテオレ達ソンナ練習シテナイシ…」 「ウウ…ナンダカヤッパリオレ達ッテタダノ噛マセ犬…?」 「本気でいくよ!! はあああぁぁぁぁぁっ!!!!」  ズガァン!!  ラルヴァの嘆きを無視して梓が鬼力を全開にして高く飛ぶ!! 「いくわよ、梓さん!!」  留美が上空の梓に向かってトスする!! 「オッケー!! 食らいな!!」 「アアァッ!!コノ後ノ展開ガ手ニ取ルヨウニ解ルッ!!」 「結局最後ニ泣クノハオレ達カッ!!」 「よくも夢見の悪いもん見せてくれたね!! 覚悟しなガディム!! 『鬼アターック』!!」 ズガッシャーーーーーーーン!!! 「アアッ、ソンナナンノヒネリモ無イ名前ノ技ニヤラレルノカッ!!」  梓が怒りにまかせて放った弾(球ともいう)がガディムチームを襲う!!  弾はガディムに向けて放たれたのに、既に自分がやられると思っているラルヴァ達。 「フン、この魔王ガディム、その程度の攻撃にやられはせんわ!!」  なんと、ガディムは正面から梓の弾に立ち向かう姿勢を見せた!!  ガディムは上空高く飛ぶ!!  弾は下に向かっていたので、見事にすれ違った!! 「あ、あれ?」 ズガアァァァァァァン!!  梓の弾が着弾した場所はちょっとしたクレーターになっていた。 「「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」」 「チッ、はずしたか…」  梓と秋子を除く全員が絶句する。 「お、鬼の力って凄いんだね……」 「そ、そうね……」  凄まじい鬼の力の前に瑞佳と留美にはそれだけ言うのがやっとだった。 「サー、ハリキッテイクワヨー!!」  何故か裏声で妙な女言葉のラルヴァのサーブ。  …だが、そんなへっぽこサーブは梓の前にはただのチャンスボールだった。 「へん、そんなのが通るかよ!!」  ボールは空高く舞う。 「よしっ! 瑞佳ちゃん、行くよ!!」 「はいっ、コーチ!!」  沙織と瑞佳が同時に飛ぶ!! 「「いくわよーっ!! 『ダブル・火の玉すぷぅあいぃぃぃぃぃく』!!」」  炎を纏った超高速回転のボールがラルヴァ(風)を襲う!! 「アァッ!? 何故アチラノ場合ハシッカリ炎ヲ纏ッテイルノダ!?」 「ソレガメインキャラトエキストラノ違イダ……」  ドガアァァァァァァン!! 「グハァッ!!」 「アァッ!? 緑1(仮名)!?」 「ア、アトハ頼ンダゾ……」 「生徒チーム、撃破数1!!」  …秋子のその声がドッジボール化を示していた。 「緑1(仮名)ノ敵!!」  青2(仮名)の涙の一撃が生徒チームへ飛びこんできた!  だが、その攻撃もアストラルバスターズの前には無力だった。 「いくよ、みずぴー」  瑠璃子が受ける!! 「分析完了、照準ロックON! いったよ、さおりん!!」  瑞穂のトス!! 「了解!! 『インフィニティ・すぷぅぁぁぁぁーーイク』!!」  …計り知れないエネルギーを纏い輝く光弾となったボールがガディムチームのコートに突き刺さる!! 「ウヒー!!」 「キャー!!」 「ぬぅっ、これは…」 ズゴオォォォォォォン!!  壮絶なパワーの前に赤1(仮名)と青1(仮名)が倒れる。  ガディムも直撃を受けたが、そこは流石に魔王。ふんばっている。 「なーんか、もう蚊帳の外ねー」  留美は目の前の光景にもはや驚きを通り越して呆れていた。 「ククク、ラルヴァどもの敵は討たせてもらうぞ!!」 「ヘッ、やれるもんならやってみな!!」 「よかろう、見せてやろう、私がエキストラとは違うという事を!!」  ガディムの魔力が高まり、その背後に異界の門が開いた。 「食らうがいい!!『アストラル・サーブ・ウインド』!!」  鋭い軌道を描き、ガディムの放った弾が梓を襲う!! 「なっ!? これは!! しまった!!」  ズガッ!! 「ぐはっ!!」 「梓さん!!」 「ヘッ……風属性とは恐れ入ったぜ……」  それだけ言い捨てると、梓はその場に膝をついた。 「これ以上はいけそうにないよ…あとは、任せた」 「…はい!」  梓、戦線離脱。 「さぁみんな!! 梓さんのぶんまで頑張るわよ!!」 「「「はいっ!!」」」 「な、なんでまだこのノリが維持できるのかしら…瑞佳まで…」  留美はそろそろ引きはじめていた。 「ふむ…まだアストラルバスターズが残っている、油断はするな!!」 「「ハッ!!」」  対するガディム達は梓を倒したので結構やる気だった。  …その時。  …むくり 「もう、嫌なの…」  香奈子が起きあがった。  その瞳には理性の光が無い。 「香奈子ちゃん、大丈夫?」  瑞穂が心配そうに駆け寄る。 「……」  しかし、香奈子はそんな瑞穂を無視し、うつろな瞳のままボールを手に取ると…… 「もう、嫌なの!!」 ズガッシャアアアアア!! 「ぐっはああああああ!?」  そのボールをガディムに叩きつけた。 「嫌なの!! 嫌なの!! もう、嫌なの!!」  「嫌なの」を連呼し、ガディムに次々とボールを叩きつける。  …ガディムのブルマー姿で気絶した際、トラウマになったらしい。 「ぐあっ!! 痛い痛い痛い!! お、落ち着き給え太田くん!!」 「嫌、嫌、嫌、もう嫌なのぉ!!」 「痛い痛い痛い!!」 「嫌! 嫌! もう、嫌なの!!」 「痛い痛い痛い!!」 「もう嫌なのぉ!!」  そして、二人はそのままどこかへ行ってしまった。 「「「「「「「「「……」」」」」」」」」  後に取り残された皆に残ったのは沈黙だけだった… 「アハハッ、行ったよ瑞佳ちゃん!!」 「はいっ! それっ、瑞穂ちゃん!!」 「とと……それっ、瑠璃子ちゃん!!」 「うん…はい、ラルヴァちゃん」 「リョウカイダ!! ソリャッ!!」 「OK、行ったよ梓さん!!」 「オーライ!!」  …加奈子とガディムが去った後、秋子の「それじゃ、トス練習でもしましょうか」 という発言のもと、トス練習が行われた。  どこまでも、平和に。 「ハハハ!! タノシイナァ!!」 「…くすくす、よかったねラルヴァちゃん」 「アア!!」  ラルヴァもご満悦だった。  もう自分の格好がブルマーだというのも忘れて楽しんでいた。 「痛い痛い痛い!! 太田くん、頼むから落ち着いてくれぇ〜〜〜!!」 「もう、嫌!! 嫌なのぉぉ!!」 「私に悪いところがあったなら謝るから!! 頼むから帰ってきてくれぇぇ!!」  …対するこちらは平和じゃなかった。 <おわり>
 ERRです。  梓はどう考えても部活に使う上でおいしいキャラだと思ったので、部活の時間が ずれているという設定を勝手に作成しちゃいました。  だって、梓だったら料理クラブでも陸上部でも生きたキャラとして使えますから。  …つーか、いいんでしょーかこんなんで(汗)
 ☆ コメント ☆ 綾香 :「ブルマー姿」(−−; セリオ:「ガディムさんやラルヴァさんのブルマー姿」(−−; 綾香 :「…………ううっ。ぎぼじわるい」(;;) セリオ:「ああっ、想像してはいけません!!」(@◇@) 綾香 :「手遅れ。もう想像しちゃった」(;;) セリオ:「実は、わたしも……」(;;) 綾香 :「今晩、夢に出てくるかも」(;;) セリオ:「そんなのイヤですぅ〜」(;;) 綾香 :「……こ、こういう時は」(−−; セリオ:「『こういう時は』?」 綾香 :「どんな悪夢からも守ってくれる、世界一あたたかい抱き枕を使うしかないわね」 セリオ:「『世界一あたたかい抱き枕』?      ああ、浩之さんの事ですか」(^^) 綾香 :「……正解」(*・・*) セリオ:「うふふ。確かに、浩之さんを抱いて……というか、抱かれて眠ると      本当に幸せな夢ばかり見られますからね」(^^) 綾香 :「うん」(*・・*) セリオ:「尤も、浩之さんと共にベッドに入りますと、      夢を見ることが出来なくなるくらいに疲れ切ってしまうという可能性もありますが」(−−; 綾香 :「そうね」(;^_^A



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