了承学園に夜が来た。 各生徒は家へと帰った。 ある者は晩御飯の準備を。ある者は床の準備を(爆)。 そしてそんな平和な学園にこの事件は起こった。 ・・・ある意味もっとも恐ろしい事件が。 私立了承学園 四日目放課後番外編 「ぷはあー、やっぱり風呂はいいもんやな」 「そだね」 場所は千堂家。 ここは大浴場。一応普通の風呂もあるが、 妻が多いクラスになるとお風呂に一人ずつ入ってたのでは 時間がかかりすぎるという理由(特に女性陣は長い)で存在しているのだ。 「たまにはみんなで入るのもいいもんやな」 「そうですね、こうしてると由宇さんの旅館のこと思い出しますね」 「そうやな。結構楽しかったもんな」 「にゃあー、そうですね。御飯も美味しかったですし。あっ、おねえさん 千紗がお背中お流ししますですよ」 「あっ、ありがと」 なんて平和な時を過ごしている千堂家の面々に事件は起こった。 じぃーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ねえ、なんか妙な視線が感じない?」 「そういえば・・・」 「あ、あそこ!」 玲子が窓を指差す。そこには・・・ 「何、覗き?」 じぃーーーーーーーーーーーーーー。 女性陣に見つかりながらもなお覗きつつける男。 「きゃーーーーー、変態ーーーーーー」 ブン 洗面器が飛ぶ。 カイーーーーーーーン 見事に命中。よろけながらも逃げて行く男。瑞希がさらに追撃しようと 窓に乗り出す。するとそこには彼女のよく知ってる男の姿があった。 「か、和樹?」 逃げて行く男を彼女はただ呆然と見つめていた。 この事件は千堂家だけにとどまらなかった。 「だれよあんた・・・って浩之?もしかして」 「きゃーーー、変態ーーー・・・ってまーくん?どうして?」 「ふっ、天使の裸体を覗くとはいい度胸じゃない・・・って芳晴?」 藤田家、誠家、城戸家でも同じようなことが起こっていた。 「・・・と、まあこういう風に連続覗き事件が発生してるわけやが・・・」 「オイ、由宇」 「なんや和樹?」 「『なんや?』じゃねえ!どういう事だこれは」 見ると縄でくくられた和樹と浩之と誠と芳晴の姿があった。 「どういうこと・・・っていわれてもなあ。目撃者の証言を聞くと」 瑞希「絶対に和樹!あのスケベ面は間違い無いわ」 綾香「あれは間違いなく浩之ね。すぐ逃げたけどあたしの動体視力    からは逃れられなかったみたいよ」 さくら「あれはまーくんだったと思います・・・小さい頃から顔合わせてるし    間違いありません」 エビル「たぶん芳晴だ。なぜあんなことしたかは知らんが」 「・・・と、いうわけや」 「だー、まて、俺達はやってねー」 「どうだか。特に和樹は煩悩魔人やし」 「さくら、お前なら俺じゃないって分かるよな」 「でもあたしがまーくんを別の人と勘違いするなんて無いと思うんだけど」 「江美さん誤解です。俺じゃないです」 「そうか?」 必死に自分達で無いと訴える四人。 「あのな、あんたたち。うちらは別に覗かれたことを怒っとるんやないで?」 「えっ?」 「だいたい主人に裸見られたくらいで激怒するような奴はここにはおらん ・・・まあ多少は恥ずかしさ混じりで怒る奴もおるだろうけど」 「・・・・・」 「うちらが怒っとるのは覗きという犯罪を犯したことや!親しき仲にも 礼儀あり言うやろ?」 「だから俺達じゃ・・・」 「と、言うわけで〜」 全然話聞いてないし。 「おしおきや。謎ジャムとハリセン百叩きと一週間H抜きと三日間飯抜き。 どれがいい?(にっこり)」 「「「「どれも嫌じゃーーーーーーーーー」」」」 だれがどれを嫌がったかは各自の判断に任せるとしよう。 そして今まさに四人に最大の危機が訪れようとしたその時!! ころころ ぶしゅーーーーーーーーーー 「わっ、わっ何?これ?」 いきなり窓から煙玉らしき物が入りこんできた ???「君達こっちだ!」 「だ、誰だ?」 ???「いいから早く!」 こうして浩之達四人はなんとか逃げ出すことに成功した。 「ふう、助かりました。ありがとうございます」 「いいってことよ」 そこにいたのは・・・ 「健太郎さん?どうして・・・」 「みんなもピンチじゃ無いかと思って行ってみたら案の定だったからな」 「てことは健太郎さんも?」 「ああ。結花の蹴りとスフィーの魔法に肝を冷やされたけどな」 「そうですか。でも一体誰なんだ?覗きしてその罪を俺達に 着せようとした奴は」 「てことは君達でもないんだな?」 「当たり前でしょ」 「そうか・・・だったら俺に犯人の心当たりがある」 「!、本当ですか?」 「ああ。ただ確証を得たいんで一度五月雨堂に戻ろう」 「分かりました」 ところ変わってここは五月雨堂。 「で、確かめたいことってなんすか?」 「それはな・・・」 そう言って健太郎は店の入り口で立ち止まった。 「・・・やっぱりな」 「何がやはりなんだ?」 「ああ。みんなここに何があったか覚えてるか?」 誠達は記憶の糸を手繰り寄せた。 「確か狸だった気が」 「そうだ。そしてあれこそが今回の事件の真犯人だ」 「はあ?なんで信楽焼きの狸が?」 「あれは魔力を持っていてな、人に変身する力がある。前に俺の姿に化け 覗きや下着漁りなどしまくってたからな」 「で、それからどうなったんですか」 「最後は結花のハイキックを食らい砕け散って魔力を失っちまったんだが」 「また蘇ったってことですか」 彼等にとって半信半疑な話だが今は信じるしかない。 「じゃあ奴は・・・」 「ああ、またどこかに出没するはずだ」 そこにエプロン姿の祐介がやってきた。 「あれ?皆さん集まってどうしたんですか?」 「おう、祐介。お前こそどうしたんだ」 「今日の晩御飯にカレーを作ってたんだけどルウが無かったんで買出しに」 さすがはリーフ界のシ●ジ君。家事が妙に板につく。 「他の人達は?」 「沙織ちゃんたちなら先にお風呂に入っててもらったよ」 「!!!」 目を合わせる五人。 「間違い無い。奴はそこだ!」 「えっ?健太郎さん奴って・・・」 「祐介お前も来い」 「え?ちょっと待って・・・」 こうして祐介を加え五人は長瀬家に急いだ。 「ううう、今日もだめだった・・・あたしの血の滲むような山篭りは なんの意味があったの?(一日だけだけど)」 そこには木の棒を杖にしつつふらふらと歩いているルミラの姿があった。 「ああ、美少年の血が飲みたい(エリアでも可)・・・この夢はいつかなうのかしら?」 ルミラがそんなことを思っていると・・・ 「あれ祐介君?どうしたのこんなとこで」 そこには祐介がいた。多少目が虚ろだが。 そして祐介はいきなりルミラに抱きついてきた。 「ゆ、祐介君?」 すりすり ルミラの胸に顔をうずめる祐介。 「あらあら、祐介君たら甘えんぼさんね(ニヤリ)」 怪しく微笑むルミラ。 「いいわよお姉さんに甘えて。その代わり・・・」 「あなたの血、少しもらうわよ!!」 ルミラの牙が祐介の首筋に触れた・・・。 そして和樹達は・・・ 「おい、見ろ。祐介とルミラ先生が深夜の密会を!浮気か祐介の奴」 「僕はここにいますってば」 「そういやそうか。てことは・・・」 「奴だ!」 相手もこちらに気付いたのか一目散に逃げて行った。 「ちっ、逃げられたか・・・あれ、どうしかましたか?ルミラ先生」 ピシピシピシ パキン ルミラの牙が砕け散った。 「はが、はが、はが」 「・・・あいつの血を吸おうとしたみたいですね、こりゃ」 「もとは信楽焼きだからな」 「ご愁傷さまです。俺達は急いでますんでこれで」 こうして口をふがふがさせているルミラをおいて彼等は再び長瀬家へと 向かおうとしたその時! 「見つけたよ、祐くん・・・」 そこにはバスタオル一枚の沙織の姿があった。 「沙織ちゃんそのカッコ・・・どうしたんだい」 「ふーん、祐くんがそういうこと言うの?」 まさか 五人の頭に不安がよぎった。 「なんで『覗き』なんかしたの?」 「「「「「やっぱりーーーーーー」」」」」 見事にハモる五人。 「まってくれ沙織ちゃん。それは僕じゃない・・・」 「問答無用!私達が祐くんを見間違えるわけ無いでしょ。食らいなさい 火〜〜の〜〜玉スパーーーーーーーーーーーーイク」 沙織ちゃんは飛びあがると猛烈なスパイクを祐介に向けて放った。 祐介絶体絶命のピンチ。その時一つの影が二人の間に割り込んだ。 ばきーーーーーーーーーーーーーん 沙織ちゃんのスパイクを受け『それ』は砕け散った。 「わーーーー祐くんが死んじゃったーーー」 「沙織ちゃん沙織ちゃん」 「わーーどうしよう・・・ってあれ祐くん?」 「僕は大丈夫だよ」 「うっ、うっ、よかった・・・」 「ねえ、健太郎さん・・・」 「ああ、奴だ・・・」 砕け散った破片は焼き物の破片だった。 こうして学園で起きた覗き事件は幕を閉じた。 ここは学園裏庭。そこに五人の男が立っていた。 「なんとか俺達の誤解も解けたし良かったな」 「ええそうですね。・・・でもなんでこいつは最後僕をかばってくれたのでしょうか?」 「かばったわけじゃないさ」 「?」 「奴は自分の命より『漢の浪漫』を取ったのさ」 あの時沙織ちゃんはバスタオル一枚だった。そしてスパイクを 打つために彼女は飛びあがった。・・・下着を着けてないのに。 「結花のときも思ったけどたいした奴だよ。あいつは」 「命を賭けたスケベ魂ってやつか・・・真似できねえな」 「別に真似する必要は無いですって。それよりどうします、これ?」 芳晴の手には豆粒ほどの大きさの狸の置物があった。 「奴はこの世に煩悩がある限り必ずまた蘇る・・・店に置いとくわけに 行かないからな。封印することにする」 「そうですか。じゃあ僕が」 芳晴は狸を小さな木箱に入れ地面に埋めた。そして・・・ 「我、神の御名の元汝を封印す、アーメン」 シュパァァァァァァァ 小さな光が発生しその地面を包みこんだ。 「終わったか。じゃあ俺は今日のお礼をさせてもらうかな」 「浩之・・・たいがいにしないと明日嫁さんたち動けなくなるぞ」 「わーってるって。じゃあなみんな、お休み」 「ああ、お休み」 散り散りになっていく五人。その場には何やら石らしきものがおいてあった。 その石には 「男の浪漫に生き、男の浪漫に散ったものここに眠る」 と記されていた。 一方その頃のルミラ 「ふがふが」 「どうしました?ルミラ様」 「きはがなくなっはった(牙が無くなちゃった)」 「まあ、それは大変。変わりにこれを」 そう言ってアレイが取り出したのは総入れ歯。 「は〜れ〜ひ〜(怒)」 「わー嘘です、冗談ですー」 相変わらずだった。別に牙がなくても普通に喋れるだろうに。 まあ本人が気付いてないから仕方ない。 今日も学園は平和だった。 了 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 あとがき ども、まおんです。 ・・・なんか長いですね、これ。最後まで読んでくれた人に感謝。 でもまじ☆アンやってない人には分かりにくかったかも・・・。 はたして牙を失ったルミラの運命や如何に! 密かにルミラも不幸な気が・・・(彼女の場合自業自得だけど)。 それでは
綾香 :「『謎ジャムとハリセン百叩きと一週間H抜きと三日間飯抜き』。      この中で、浩之が嫌がったのはどれだと思う?」 セリオ:「『一週間H抜き』(きっぱり)」 綾香 :「そうよね。やっぱり、そう思うわよね」(^ ^; セリオ:「だって、浩之さんですから」(;^_^A 綾香 :「全然理由になってない気もするけど、妙に納得してしまうのは何故かしら?」(^ ^; セリオ:「だって、浩之さんですから」(;^_^A 綾香 :「…………そうね」(^ ^;;; セリオ:「それにしても……あの『狸さん』は……一体」(−−; 綾香 :「…………」(−−; セリオ:「女性のお風呂を覗くなんて……最低ですね」(−−メ 綾香 :「そうね。そして……それ以上に許せないのが浩之の姿を借りて覗きをしたことよ。      まったく、とんでもない奴だわ」(−−メ セリオ:「おかげで、僅かな時間とは言え、浩之さんの事を疑ってしまいました。      ううっ、本当にごめんなさい」(;;) 綾香 :「でもさぁ。よく考えたら、本物の浩之じゃないって、すぐに分かったはずよね。      あいつが覗きなんかするわけないもん」(^ ^; セリオ:「そうですよね。浩之さんが覗きなんてせこい真似をするわけがないですよね」(^^) 綾香 :「あいつなら……もっと……直接的な行動に出ると思うし」(^ ^;;; セリオ:「……そういう事ですか。でも……納得」(;^_^A 綾香 :「だけどまあ、今回の事件も片は付いたし……浩之たちの疑いも晴れたし。      一件落着かな」(^^) セリオ:「よよよい、ですね」(^0^) 綾香 :「古っ!」(^ ^; セリオ:「だけど……本当に一件落着でしょうか?」 綾香 :「は?」 セリオ:「わたしには、これで終わりとは思えません。      きっと、第二,第三の狸さんが……」 綾香 :「やな事言わないでよね」(^ ^;



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