私立了承学園 番外編 Make 「…凄いわね」  そうとしか言いようがないくらいに圧倒的に大きい校舎だった。  まあ、私が教員になれるぐらいだから多少の非常識は覚悟していたけどね… 「いくら何でも大きすぎるわよ」  思わず声に出てしまった。  ええと、職員室はどこかしら  とりあえず、地図か人を探すかしなきゃだめよね。 「…誠さん」  あ、いたいた。 「あの、職員室にはどう行くのか教えてくれませんか」 「うう、完全に誤解されてしまいました」 「あの、もしもーし」 「誤解を解くにはどうすればいいのでしょう」  ふむ、話が聞こえてないみたいね。  うーん、他の人が来る気配もないし… 「やっぱり、誠さんには、私の思いは迷惑なんでしょうか」 「それは違うと思うわ」 「そうなんでしょか…えっ」  いけない、返事しちゃったわ 「あっあの、話聞いてました」 「ごめんね、聞いちゃった」 「その、どこからですか」 「『完全に誤解されてしまいました』の辺りから」 「…」ぽっ  あらあら、真っ赤になっちゃったわ 「恋の悩みみたいだったけど」 「…はい」 「誠って恋人なの」 「いっ、いえ、違います」 「ふうん、つまり、あなたの片思いって事か」 「……はい」  それを肯定することが辛そうに見えたので、 「それで、職員室ってどこかしら」  話題を変えることにした。 「あ、はい、案内しますね」  ……  気まずい、気まずすぎるわ 「…あの、さっき『違うと思う』って言いましたよね」  無言でうなずく 「どうしてそう思うんですか」 「あなたみたいなかわいい子から好意を寄せられて喜ばない男の子はそうはいないと思うけど」  とりあえず、その場で思いついた答えで答えてみる。  実のところ何であそこで答えてしまったのか私にも分からなかったから。 「…決まった相手がいてもですか」  彼女の答えに反論する。 「ここはそんな人たちのための学校じゃなかった」 「そうじゃありません」  彼女が歩きながら言う 「誠さんにはさくらさんとあかねさんと言う二人の恋人がいます」 「二人とも、私よりずっと誠さんのことが好きです」 「そして、誠さんもその二人を愛しています」 「私もさくらさんとあかねさんは大好きです」 「けれど、このままではいたくないと思ってしまうんです」 「誠さんに私のほうを見て欲しい」 「そう思っている自分がいるんです」 「こんな気持ちが迷惑でないはずないじゃないですか」 「あの二人にかなわないことが分かっていながら、同じに見て貰いたいというこんな気持ちが…」  分かったわ、この子の言葉に答えちゃったわけが  この子は昔の私に似てるんだ  あのころの、気持ちを抑えていた私に  そう、強く思った。  だから 「ちょっと、昔話をするわ」  私は話し始めた 「ある女の子が後輩の男の子に恋をしたの」  私の恋の物語を 「けど、その男の子に恋をしたのはその女の子だけじゃなかった」  この子にアドバイスを贈れたら 「その女の子の親友や一番かわいがっていた後輩もその男の子に恋をしていたのよ」  少しあの人に近付ける気がしたから 「その二人は少し不自由なところがあったけどとてもいい女の子だった」 「そして、その女の子は考えた」 「『このまま、あの人を好きでいたら、あの子達を傷つけてしまうかもしれない。  それにあの子達ならあの人も好きになるだろう。  ならば、私はこの気持ちを忘れてあの子達を応援しよう、そうすればあの人とあの子達の友達でいられる』てね」 「それで良いじゃないですか」 「最後まで聞いてくれる」 「はい、分かりました」 「それから少しして、男の子が消えてしまって。彼女は男の子のことを忘れてしまった」 「そのとき、親友に聞かれたわ『雪ちゃん、浩平君のこと好きじゃなかったの』てね」 「けれど私はそのとき『浩平君、誰よその人』って答えたの」 「そして、私は大学に行くため町を出ていったのよ」 「それから少ししてあの法律ができて」 「そのことがきっかけで浩平君のこと思い出したの」 「そして、気づいたのよ」 「その考えはただ怖がっていただけだって言うことに」 「自分がみんなを信頼してなかったんだって」 「信頼してないから、失うのが怖くて、自分の気持ちから逃げ出してしまった」 「今考えると、みさきも澪も浩平君も、そのぐらいのことで私を嫌うような人じゃない」 「だから、私はまだ修行中なのよ、思いを伝えるのは自分で納得できるようになるまでお預けってとこなの」 「ここに誘われたとき、正直迷ったのよ」 「けど、やっぱりみさきや浩平君に会いたかったから」 「これが素直になれるラストチャンスだと思ったから」 「だから私はこの学校に来たのよ」 「これは経験者からの忠告」 「素直にならないと後で後悔するということ、そしてもっと恋敵を信頼しなさい」 「友情って結構強いものなんだから」 「それに今なら、味方になってくれるかもしれないわよ」 「…分かりました、頑張ってみます」 「頑張ってね、私も頑張るから」 「はい、お互い頑張りましょう」 「そういえば自己紹介がまだでしたね」 「そうね」 「私はエリア・ノース、エリアって呼んでください」 「エリアね、私は深山雪見、折原家クラスの副担任になる予定なのよ」 「あっ、着きましたよ、ここが職員室です」 「そう、じゃあ、エリアは昼ご飯食べたの」 「いえ、これからですが」 「じゃあ、一緒に食べない」 「いいですよ、深山さん、じゃあ学食で」 「じゃあ、ちょっと待っててね」 「はい、分かりました」  学食か…みさきが食べ尽くしてなければいいけど  そんなことを考えながら私は職員室に入っていった。 後書き どうもMakeです。 とうとう雪ちゃんも出してしまいました。 雪ちゃんは元々、こんな設定で出そうと7月の始め辺りから考えてました。 ですが、なかなかいい話にできずにいろいろと考えてました。 そこに、エリアのレズ疑惑が これはいけるのではないかと思って書いてみたのです。 感想は掲示板にお願いします。
 ☆ コメント ☆ 綾香 :「エリアって、思った事が口に出るタイプなのかしら?」(^ ^; セリオ:「もしかしたら、いつか、誠さんの前で大胆発言をしてしまうかもしれませんね」(;^_^A 綾香 :「『誠さ〜ん。愛してますぅ〜』とか?」 セリオ:「そうそう。そんな感じで」 綾香 :「ありえるわね」(^ ^; セリオ:「ありえますよね」(;^_^A 綾香 :「でも、それだったら結果オーライになるんじゃないかな?」(^^) セリオ:「そうかもしれませんね」(^^) 綾香 :「エリアの想い。誠に届くといいわね」(^^) セリオ:「大丈夫ですよ。もうすぐ届きます、きっと」(^^) 綾香 :「そうね。そうよね」(^^) セリオ:「はい!」(^^)  ・  ・  ・  ・  ・ エリア:「はぁ。誠さん……愛してます」(*−−*) 真琴 :「え? え? そんな事言われても、真琴、困っちゃうよ」(@◇@) エリア:「へ!?      い、いえ、あの、違うんです。わたしが好きなのは誠さんで……」(@◇@;; 真琴 :「あうーっ。だから、真琴が好きなんでしょ」 エリア:「で、ですから……『まこと』は『まこと』でも真琴さんではなくて……      確かに真琴さんも好きですけど、でも、そういう意味の好きじゃ……」(@◇@;;  誠 :「そっか。そうだったのか」 エリア:「!! ま、誠さん! いつの間に!?」  誠 :「エリア……お前って、やっぱり……」(−−; エリア:「違います!!」(;;) 真琴 :「エリアさんの気持ちは嬉しいけど……真琴には祐一がいるし……」 エリア:「真琴さん! 話をややこしくしないで下さい!!      あ〜ん、もうやだ〜〜〜!!」(;;)  ・  ・  ・  ・  ・ 綾香 :「前言撤回。暫くは届きそうにないわ」(^ ^; セリオ:「あ、あはは」(;^_^A



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