「・・・・・・・・・・・・ここは・・・・どこ?」
ひゅ〜〜〜〜〜〜。
俺の呟きと共に妙に寒い風が足下を吹き抜けていった・・・。
(・・・確か今は春だよな・・・)
無意識のうちに心の中で無意味なつっこみがあったがとりあえず俺が今向き合っている現実の方が深刻だ。
まぁ・・・最もここが俺の夢の・・・あるいは幻想の中でなければ何だが・・・。
 
 
 

「ここはいったいどこなんだ〜〜〜〜!?」
 
 
 
 

俺の絶叫はむなしく校舎に響き渡った。
そう、校舎だ。
俺の目の前にはどこからどう見ても学校の校舎らしきものが見える。
・・・・もっとも高さがそこら辺の高層ビルを遙かに凌駕し、端の方が霞んで見えるほどのサイズの校舎でさえなければ俺もこんなに困ることはないんだが・・・。
デカイ・・・とにか非常識にデカイ!!
マンモス学園なんて言う言葉がむなしくなるほどに・・・。
って言うか俺は日本にいたはず何だが・・・さらに言うならさっきまで普通に道を歩いていたはず何だが・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 

しばし呆然としていた俺だがとりあえずここでぼうっとしていても仕方がないことに気が付き、周囲に人がいないか探しはじめた。
教室を窓から覗いてみはしてもどれも無人・・・通用口らしきものも見えない。
校舎にそって歩き始めて早30分が経過するが入り口も、ついでに言うと校舎の端すら見えてこなかった。
「・・・なんなんだこの無意味にくそデカイ校舎は?」
この学園を作り上げた人を知る者が聞けば震え上がりそうな科白なんだが、その時の俺が知るわけもなく・・・無意味な八つ当たり(でもないか)を校舎にかます。

「・・・・・・・・・・どうしたんですか?

どうわっっ!!

唐突に俺の脇から聞こえてきた小声に思わずその場を飛び退く。

「・・・・コスプレ?」

俺の口からそんな言葉が漏れた。
そこに立っていたのは女の子だった。
容姿を見ればかなりな美人に分類される、街で見かけたならば、まず声をかけたくなっただろう。
黒のとんがり帽子に黒マントをセーラ服の上から羽織り、黒猫を抱いてさえいなけえば・・・だが。
魔女を連想する衣装、そしてその女の子の放つ独特の雰囲気。
通常時ならともかく俺の今の精神状態ではパニック120%だ(意味不明)

(やっぱり俺は夢を見ているんだ・・・そうだ、そうに違いない・・・ふ、ふふ・・・ふふふふ・・・ふはははははっ!!)

なにやら高笑いをあげる俺とそのそばにぼうっと立っている魔女の格好をした女の子・・・。
端から見るとひたすら引きたくなるような光景はその後5分ほど続いた。
 

「・・・・・・道に迷ったんですか?

笑い疲れた俺はとりあえず現実逃避しててもどうしようもないのでその女の子に俺の置かれている状況を説明した。
「道に迷った・・・とはかなり違うと思うんだけど・・・・まぁそんなようなものかな?・・・って何してるの?」
なにやら手にした棒で地面に妙な円陣を書き始めた女の子に誰何の声をかける。

「・・・・・・・・移動の魔法陣を書きます

手を止めることなく相変わらず聞き取りにくい声で答えてくる少女。

・・・移動?・・・魔法陣?

なにやら聞きなれない単語に?マークを跳ばしまくっている俺にかまわずその女の子はなにやらぶつぶつと唱えはじめる。
「・・・li・・・erio・・・firu・・・arei・・・」
もしも〜〜し、駄目だあっちにいっちまってる・・・。
しばらくおとなしくしているとなにやら地面に書かれた陣が輝きをはじめている。
 

「・・・・・・・・・・マジ?」
 
 

マジですと女の子の声を聞いたような気がしたとたん俺の視界は光の奔流に埋め尽くされた。
 
 
 

「・・・・・・・・座標間違えました」(おひおひ
 
 
 
 
 
 
 

ゴキン・・・ゴリゴリゴリゴキュッ!!
 

なにやらひたすら痛そうな音を立てて・・・・訂正、マジで痛いっす。
俺は茂みの中に突っ込んだ。

「あう・・・・だ、大丈夫!?」

ピクピクピク・・・。

断末魔の痙攣に震える俺に声を誰かが声をかける。

あ・・・川の向こうに綺麗なお花畑が〜〜。

「はわわわ〜〜、何だかわかりませんがそっち行っちゃ駄目です〜〜」
 

・・・・・・・・・・ハッ!!
 

なにやら夏の怪奇特集番組にでれそうな、経験をしていたような気もするが、俺はとりあえず意識を取り戻した。
・・・・っつ、頭がくらくらしやがる。
頭を左右に振りつつ、意識をはっきりさせている俺に再び女の子らしき声が呼びかける。
「だ、大丈夫?」
「だ、だいじょうぶですか?」
「あ、ああ、ありが・・・・と・・・う?」
 
 

声の聞こえる方に目を向け(随分上の方から聞こえていた)俺はその光景に絶句した。
ピコピコピコピコピコ・・・。
二人の女の子はリュックサックから生えている羽のようなものを羽ばたかせながら空を飛んでいた。
 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハウッ!!
 

俺の意識は再びダークゾーンを目指して突っ走っていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

次に目を覚ましたのはベットの中。
全ては夢だったんだ〜〜〜!!
と現実逃避したいところだが、俺の部屋ではない。
薬品の臭いがする・・・医務室か保健室ってところか?
「・・・・あら?目が覚めたようね」
声をかけられた。
なにやら気を失う前に妙なものを見た気がするが・・・。
「マルチちゃんもあゆちゃんも、悪気はなかったんだけどね〜。この学園じゃ珍しい事じゃないし・・・・どうしたの?」
声の主を見て固まっている俺に疑問の声をかける女性。
 

「・・・・絵がしゃべってる〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
 

ドップラ〜効果さえ残しつつダッシュで駆け出す俺。
グット、きっと俺の自己ベストだ!!
 
 

「・・・・いけない・・・。あたしもあゆちゃんたちのこと言えないわ。アハハハハ」
 
 
 
 
 
 
 

その後、俺は食堂らしきところに迷い込み、とある女性の料理で今度は死の世界に迷い込みかけ・・・。
妙に無口な女の子に「ぽんぽこたぬきさん」と言われて剣で追いかけられた。俺の足の下にあったおむすびが原因らしい。
目つきの鋭い女の人に献血を迫られ、緑の髪と紅い髪のメイドロボの耳掻きしているところを見たため口封じされそうになった(なんじゃそりゃ〜〜??)。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「・・・・・・・・・シクシクシク」
 

極めつけは見るからに化け物と言った感じの黒い影たちに引き立てられてどこぞに連れて行かれている最中である。
きっと今日の俺の運勢を正確に占える者がいたならばこう言うだろう。
 

「仏滅で大凶で天中殺です。キーワードは学校、女の人に近づけば命の保証はありません」
 

ふへふへふひゃひゃひゃ・・・となにやらあっちの世界に旅立っている俺は立派な扉の前に立ったことに気が付かなかった。

「理事長・・・迷イ人ヲオ連レシマシタ」
ノックと同時に妙な発音ではあったが丁寧な言葉で話す異形の黒い影。
「ご苦労様、お入りなさい」
中から聞こえてきたのは女の人の声だった。
・・・またか・・・へっ、もうおどろかないぜ。
狼女でも身長10mを越す大女でも何でもきやがれってんだ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「了承学園!!??」

うんが、予想に反してその理事長は普通の女性で別に襲いかかっても来なかった。

「はい、ここは多夫多妻制度を推奨する目的で作られた学園です」

にっこりとほほえみを浮かべ、その理事長は語った。
多夫多妻制度・・・そういえば最近そう言った法律が可決されたよな??
彼女いない歴うん年の俺には関係ないんで忘れかけてたけど・・・。
ただ一つだけ・・・いや疑問は山積みだけど・・・
「ここって日本なんですよね?」
理事長室の窓から見える地平線を指さして俺は尋ねた。
「ええ、そうですよ。ちょっとした秘密兵器がありまして・・・」
秘密兵器??
「ディバ○ディング・・・い、いえ、どうもその装置にバグが発生したらしくて、貴方がこの学園に迷い込んでしまったようなのです」
・・・・・・・・・・・・・・世の中って不思議だ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

結局俺は無事もとの道路に送り届けられた。

不思議なことに時間も10分とたってはいない。

「・・・・了承学園か・・・・」

短い呟き、はっきり言ってさんざんな一日だったと言える。

生死の境を何度もさまよったし・・・。

でも何故だろうか?

もう一度あの学園に行ってみたいという気がするのは?

もしもこの先、俺が複数の女の子を本気で愛し、愛されるようになったならば・・・あの学園は再び俺の前に姿を現すのだろうか?

そしておれは今度は迷い人としてではなく生徒としてあの不思議な学園で生活を送ることになるのだろうか?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

彼がうん年後、了承学園に通うことになるかどうかはまだ誰にもわからない。
 
 
 
 
 
 
 

あとがき

初めてお送りしますk.mと言います。
この主人公・・・名前ありません(^^:
全くの一般人、学園に敵意も興味も抱いていない普通の人間が学園に迷いこんだならば?
あるいは読者である皆さんがあの了承学園に迷いこんだならば?
と、いう題材で書いてみました。
なにぶん学園ものなんぞ書いたことのない作者です。
稚拙な点、どっかで見たような文章表現等見るに耐えないかも知れませんがどうか勘弁してやってください。


 ☆ コメント ☆ 綾香 :「う〜ん。了承学園って、そんなに驚くような場所かしらねぇ?」 セリオ:「そんな事ないと思うんですけど」 綾香 :「そうよねぇ」 セリオ:「ですよねぇ」 綾香 :「ごくごく普通の場所だもんね」 セリオ:「はい。その通りです」 綾香 :「う〜ん。だったら、例の迷子さんは、どうしてあんなに驚いていたのかしら?」 セリオ:「不思議ですねぇ」 綾香 :「まったくだわ」  ・  ・  ・  ・  ・ レミィ:「普通は驚くってば」(^ ^; 智子 :「染まりきってしまったんやなぁ、ふたりとも。それこそ、骨の髄にまで」(^ ^; レミィ:「もう、カタギには戻れないネ」(^0^) 智子 :「……その表現はやめい……否定はせんけど」(−−;



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