「あーおなかすいたー、結局私ってば昨日から満足な食事できてないのよねー うう・・・デュラル家の長もあろう者が空腹で倒れたんじゃ笑い話にもなりゃしない」 ようやく教室にたどり着くと力なく扉をあけた。 了承学園「柏木家」編 「はぁ・・・今日の授業内容はね・・・」 もはや声にも覇気が無いルミラを見つめ、 柏木初音は呟いた。 「ねえ耕一お兄ちゃん、ルミラ先生なんだか元気ないね」 「うん、聞いた話だと昨日から生徒達の血を吸おうとしては返り討ちに逢ってるそうだからね、 案外腹でも減ってるんじゃないか?」 「まさかそんな、楓とか誠じゃないんだし」 「・・・梓姉さんそれすこし失礼」 グキュルルル〜〜〜 耕一たちの耳に飛びこんできた音は教室の前方、教卓にもたれかかっているルミラの方から聞こえてきた。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「なあ、もしかして腹へってるのか?」 しばしの沈黙のあと口を開いたのは耕一だった。 「うう・・・実は昨日の夜からまったく血を吸ってないの」 もはや魔界貴族の威厳もへったくれも無い有様だ。 おなかを押さえてうずくまるルミラをみかねたのか、 ハァ・・・ 溜息一つ吐いて耕一が言った。 「俺の血でよかったら飲むか?」 「耕一さん!?」 「耕一あんた!!」 「ダメです耕一さん!」 「お兄ちゃんなんで!?」 驚く姉妹に困ったような顔で答える 「やっぱり知り合いが困ってたらほっとけないだろ?  それとも困ってる人を平気で見捨てるような俺のほうがイイ?」 「でも耕一さんがほかの女性にキスされてる姿なんて私、我慢できません!」 「そうそう、首筋にキスなんてなんかやらしいしさー」 「だから、別に首筋である必要性は無いんだろ? ほら、ルミラ吸っていいぜ」 耕一が差し出したのは右腕である。 「あっ、なーるほど、耕一って結構頭イイな」 「これでも大学生なんだよ、「元」がつくがな」 「出来れば首筋が良いんだけどなぁ・・・」 様式美にこだわるのかちょっと寂しそうに呟くルミラ、 しかし自分の首筋に添えられた千鶴の手に慌てて撤回する。 「耕一さんの好意を踏みにじるようならあなたを狩ります」 「やーありがとう耕一!! 早速吸わせてもらうわ、もちろんそのたくましい右腕から(^^;;」 とりあえず空腹を満たすことが先決か慌てて噛みつくと、チューチューと血を吸い始めた。 「お兄ちゃん痛くない?」 「ああ大丈夫だよ、ってゆーかむしろ気持ち良いくらいさ」 「本当ですか? もし耕一さんが新しい趣味に目覚めてしまったら私・・・(ポッ)」 何を連想したのか千鶴が頬を染めてうつむいた。 「・・・(ポッ)」 ふと見ると楓もうつむいている 「楓って千鶴姉似だよな、姉としてかわいい妹が偽ぜ・・」 ヒュゴッ!! 皆まで言わせることなく梓を押さえ込んだ千鶴はにっこり笑って問うた。 「偽ぜ・・なに? 梓ちゃん?」 「ひいぃぃぃ、何でもございません千鶴お姉様」 もはや見慣れているためか誰もその惨劇を気にしない。 「・・・ルミラ先生、もうその辺で良いんじゃないですか? 耕一さんにも限度というものが有ります、 ルミラ先生? ルミラ先生?」 一心不乱に血を啜るルミラに不信なものを感じたのか、楓は何とか耕一とルミラを引き剥がそうとする、 しかしルミラは離れ様としない。 「おいルミラ、そろそろきついんだけど」 耕一が強く揺するとようやく気がついたように口を離した。 「ごっごめんなさい、あんまりにもおいしかったからついぼーっとしちゃって」 珍しく素直に謝罪するその姿にむしろ戸惑いを覚える 「いや・・・そう言ってもらえれば光栄だけどな、幸い俺は血の気も多いし回復も早い、 どうしても切羽詰ったときぐらいは協力してやるよ、 それより授業を始めようぜ、だいぶ時間をロスしちまった」 「悪いけど自習にしてくれる? 余韻に浸りたいの」 薄っすらと頬を赤く染め、虚ろな視線で呟くと窓から空を見上げて溜息を吐いた。 「(ヒソヒソ)ちょっと耕一あんた何したのよ!!」 「(ヒソヒソ)ただ血をやるだけで何をどうしろというのだお前は」 「(ヒソヒソ)ですがルミラさんのあの様子ただ事じゃ有りません」 「(ヒソヒソ)お兄ちゃんの血ってそんなにおいしいのかな?」 「(ヒソヒソ)・・・というよりなんか不気味です」 明後日の方向を見ながらクスクス笑ったり急に涙ぐんだりするルミラを隠れ見ながら 話し合う柏木家の一同、 「とりあえず当事者でしょう、あんたが聞いてきなさいよ」 「なんで俺が!!」 「「「「家長でしょ!!」」」」 「都合のいいときだけまったくブツブツ・・・ おーいルミラ? どうかしたのか?」 ルミラは恐る恐る話し掛ける耕一を見詰めると、嬉しそうにしなだれかかる。 「「「「あぁーっっ!!」」」」 「耕一・・・あなたの血ってホントにおいしい・・・もう全部私のものにしたいくらい」 叫ぶ姉妹をまったく気にも止めず、けだるげに呟くルミラ、 その妖艶な姿に耕一は思わず咽喉を鳴らす ゴクリ だが次の瞬間3×4でまとめて12度ほど下がった室温にハッと我に返る 「ルミラさん・・・あなたを・・・狩る!!」 「いい度胸じゃねえか、覚悟は良いな?」 「・・・手加減はしません」 「ひどいよルミラ先生」 対するルミラも魔力を放出し始める 「ホホホ・・・魔界にその人ありとうたわれたデュラル家の当主に刃向かうつもり? ならばそのこと地獄でこ・・う・・か・・い・・・(バタン)」 唐突に倒れて目を回すルミラ 「なんだー?」 「倒れちゃった」 「どうするこれ?」 「どうするっていったって・・・」 とりあえずほおって置くこともできず保健室に運んでメイフェアに治療を頼むことにした。 「急性アルコール中毒ね」 メイフェアはルミラの症状を一目見て断言した 「「「「「はぁ?」」」」」 「ルミラが飲んだのは耕一の血だよ? 何でアルコール中毒になんかなるんだよ」 「そうです、耕一さんはそんな血液中にアルコールが混ざるような「のんべ」じゃありません」 「違う違うそうじゃない」 噛みつく梓と千鶴に慌ててフォローを入れる 「要するに耕一の血に酔ったの、そもそも吸血鬼ってのは人の血の中に含まれる「odo(オド)」 と呼ばれる生命エネルギーを摂取するために血を吸うの。 でも耕一は人間より遥かに強靭な種族、エルクゥの末裔だからオドの含有量もけた違いなのよ。 さすがのルミラ様もそれが効いたんでしょうね、酔っ払った挙句に暴走してバタンキュー」 手のひらを上向きで広げてバタンキューを表現する 「なんか人の血捉まえて危険物みたいな言い様だな」 「よくいうじゃない、すきっ腹だと悪酔いするって」 「・・・もしかしてそれ、オチですか?」 数時間後、目を覚ましたルミラが一切の記憶を失っていたのは言うまでもない おわり あとがき そういえばルミラって柏木家と藤田家は襲わないよなと思ってその理由を書いて見ました。 odo云々は「孔○王」からのうろ覚え引用です、スペル違うかも(^^;; さて藤田家はどうしよう。
 ☆ コメント ☆ セリオ:「オド?      ああ、あの水を……」 綾香 :「それは『井戸』」 セリオ:「…………せめて、最後まで言わせてくれてもいいのに」(;;) 綾香 :「そして、井戸と言えば怪物よねぇ」(^^) セリオ:「しかも、人の話を聞いてないし。      ……って、何ですか? 怪物って?」 綾香 :「あら? セリオは知らないの?」 セリオ:「何をです?」 綾香 :「『井戸の怪物』」(^^) セリオ:「……………………」(−−) 綾香 :「……あれ? ツッコミは?」(^ ^; セリオ:「……………………」(−−) 綾香 :「えっと……だから……ツッコミが欲しいなぁ、なんて思ったりして」(^ ^;;; セリオ:「……………………」(−−) 綾香 :「…………くすん。セリオのいじわる」(;;) セリオ:「………………ぐぅ」(−−) 綾香 :「って、おい」(−−メ セリオ:「……! あ、すみません。      あまりにもつまらなかったので、思わず眠ってしまいました」 綾香 :「(むかっ)…………ふ〜ん、そうなんだ。そんな事を言うんだ。      …………これは、お仕置きが必要ね」(ーーメ セリオ:「ええーっ!? 寝ちゃったのは、わたしのせいじゃないのにぃ〜。      綾香さんのギャグがつまらなくて、くだらなくて、レベルが低いのが悪いのにぃ〜」 綾香 :「………………お仕置き、5割増し」(ーーメ セリオ:「うみゅ〜〜〜。なんで〜〜〜?」(;;)



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