了承学園4日目 第2時限目(こみっくパーティサイド) 教室に入ってきた和樹の姿を目に留め、瑞希は何気なく声をかけた。 「あ、和樹おかえりー」 「あら、こんにちは、瑞希さん」  ……………。 「…和樹?」 「どうかしたのかしら、瑞希さん?」 「どーかしてんのはアンタよっ!?何よその言葉使い?それに…」  まるで風邪の時のような悪寒を感じながら、震える指先を瑞希は向けた。何やら妙 なシナを作り、やたらと気味悪く腰を捻る和樹に。しかも、いつの間にやら顔は濃い 目のアイシャドウと口紅でゲテゲテに化粧されている。 「あん。今日の和樹、なんだかとってもア・ン・ニュ・イ☆」 「いやあああああああああああああああああああああああああああっ!!なんかいき なり脈絡もなく和樹のキャラが変わってるううううううううう!!!?」  思わず号泣してしまう瑞希だった。   ************* 「…いったいどないしたんやあのアホは?さっきまではどうってことなかった筈やの に」 「ふみゅうう、あんなポチきポチきじゃないよぅ」  とりあえず、コンパクトを覗き込みファンデーションでお肌の色を整えている和樹 を遠目に見ながら、千堂家の妻達はそれなりに深刻な表情で考え込んでいた。 「和樹さん、ファンデーションより普段のお肌のお手入れが大事ですよ。この美顔専 用の…」 「牧やん、話が斜め3メートルずれとるんは相変わらずやけど、今はそのアホに余計 な知恵つけるんやない!」 「千堂くん、ついに九品仏くんの愛に応える決心をしたとか?」 「ええっ!?か、和樹さん、そそそそ、そんなぁ〜〜〜!」 「ボケるのは牧やんだけにしといてくれんか、あんたら…ツッコミ役も楽やないで」 「でも、なんで?どうしていきなり和樹…何の脈絡も伏線も無くオカマになっちゃっ たの?」 「瑞希さん」  その言葉を聞きとがめた和樹が、向こう側の席から口を尖らせて抗議してきた。 「そんな、オカマだなんて品のない言い方は止めてくださらない?とっても気持ち悪 いんだからぁ」 「気持ち悪いのはあんたよおおおおおおおおおおおおおっ!!」  天井に向かって喚いてから、瑞希はぐったりと机に顔を埋めて泣きはじめた。 「ううっ…嫌がるあたしに無理矢理ピーチのコスプレさせて、これならご飯3杯は軽 いぜー!!といいながら5回もがんばってくれた和樹が一体どうして…?」 「瑞希っちゃん…あんたそんなコトしとったんかい…」 「あー、この前瑞希のお姉さんが夜中にピーチの服着てお兄さんの部屋に入っていっ たのはそういうことだったんですね?千沙、寝ぼけて夢でも見たのかと思ってまし たー」 「瑞希さん…ホントはそういう格好でするの、好き…?」 「うううううう…」  瑞希が自分で掘った墓穴にはまっているのを尻目に、何やら考え込んでいた郁美が 目に光を湛えて顔を上げた。 「もしかして…!いや、でもまさか…」 「こらこらこら郁みん、またアンタかい!?今度は一体なんやねん」 「いや、別に私のせいってわけじゃなくて。…あの、皆さん昨夜、カップラーメンを 買いに行った和樹さんをその、お仕置きしたそうですね?その…で、で、で」  真っ赤になって、郁美は頬を抑えてイヤイヤと頭を振った。 「いや〜〜〜〜〜ん、そんな和樹さんの股間を踏みつけてキンタマを転がすように、 鬼のように、掘削機のように激しく淫らに電気アンマをかましただなんて、そんな恥 ずかしいこと郁美言えません!!」 「郁美ちゃんしっかり言ってるって」  思わず標準語でマジツッコミいれてしまう由宇である。その横で、南がゆっくりと 首を傾げた。 「でも、それがどうしたの郁美ちゃん?」 「…あ、はい。つまりですね、それで和樹さんの…えっと、その…タマタマちゃん が、体の奥の方に引っ込んでしまって、一時的にタマ無し状態になっちゃって、それ であんな…」 「んなアホな――――――――――っ!!?」 「なるほど、そういうことだったんですね」 「あっさり信じるなや牧やーーーーんんん!!!そんなアホな話、あるわけないやろ !?大体、さっきの時間は何ともなかったのにそんなイキナリ変になるわけ…!」 「ありえないよね」 「ん〜でもその可能性は否定できないんじゃないかな」 「…サン○リー・ダ○ラ」 「なに小便小僧のCM口調でわからんコト言うとるんやアンタラ!?CMネタはすぐ風化 するからダメやで!!」  何故か共同でワケのわからんことをやっている詠美・玲子・彩を怒鳴りつけなが ら、由宇は和樹に顔を向け。 「人が目ぇ離しとる隙にガムテープ脱毛なんかやっとるんやないっ!」 「…ムダ毛の処理は乙女の身だしなみよ、猪名川さん」 「アンタは男でっしゃろがっ!!」  ぐわしゃっ!!  ガムテープを脛に巻きつけようとしている和樹にその辺のイスをブン投げて倒す と、由宇はともすればくじけそうになる気力を必死になって奮い起こした。 「だ、だ、大丈夫ですっ、和樹さん!」 「千沙、お兄さんのために一生懸命がんばるですよ!」 「…その言葉は嬉しいけどなお二人さん。あんたら一体、ナニ抱えてんねん?」  学校のトイレに必ず一つは常備してある、巨大な吸盤に柄をつけた道具…通称「ト イレスッポン」を持ったあさひと千沙に、奮い起こした気力が萎えそうになりながら も由宇は尋ねた。ちなみにこの道具は本来排水管が詰まった時に圧力をかけて管つま りを押し流すための道具である。 「こ、こ、これで和樹さんのタ、タ、タ、タマタマさんを吸い出して元に戻しますっ !!」  どどーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんんん!!! 「だから、んなことが原因なわけないやろってさっきから言うとるやないかいっ!人 の話を聞かんか!」 「いいえ、由宇のお姉さん!郁美ちゃんの推理のとおりだと、千沙も思いますです !」 「絶対ちゃうわああああああああっ!!!」 「わかりました、あさひちゃん、千沙ちゃん!さあ、私が和樹さんを抑えてますから 今のうちに…」 「…おっけーです…」  ずるっ!  それぞれ和樹の足を掴んではしたなく股を広げさせている南と彩の姿に、とうとう コケてしまう由宇だった。 「オッケー。じゃあ、あたし千堂くんの腕抑えとこ」 「しょ、しょーがないわねぇ。じゃあ、この詠美ちゃんさまも強力してあげるわよ」 「い、言い出しっぺの私も…!」 「さ、あさひちゃん千沙ちゃん、どーんと来なさいな」 「は、はいっ!」「わかりましたですっ!」  気絶している和樹の股間に狙いを定め、あさひは腰を落とすと右手に握ったトイレ スッポンを引き、左手を狙いをつけるように先端のゴムの吸盤に添える。  牙突の構えだった。 「もう…知らん…気の済むまで勝手にせい…」 「猪名川さ〜ん、くじけちゃだめだよぉ〜、あたしたちだけでもかんばろうよう」  しくしく泣く瑞希と由宇をよそに、あさひは体の震えを堪えながら、なけなしの気 合をいれた。 「え、…えええええええええいいいっ!」  たったったったったったったったったっ…!  ややおぼつかない足取りながらも、それなりのスピードと共にダッシュすると、あ さひは叫んだ。 「つ、通常の壱式ですっ!」  がぽっ! 「のおおおおおおおおおおおおおおっ!!?」  目を覚ました和樹が、悲鳴とも嬌声ともつかない声を上げる。しかし、もはやそれ を気にせず、あさひはピッタリ股間に吸い付いたスッポンの柄を握り締めた。 「え、えええええええいっ!!」  ヘル&ヘヴンのシーンを思い浮かべながら、あさひは力一杯スッポンを引き抜いた !  キュポーーーーーーーーンンン!!! 「おぐはあっ!?」  かなりいい音と共に外れた吸盤に、和樹がなんとも形容し難い声を上げた。 「ど、どうですかっ…か、和樹さんっ…?」  …………。 「も、もう、みんなしてナニすんのよぅ!?」 「まだ!まだダメみたいです!」 「よーし、こうなったら二番手!千沙ちゃんいらっしゃーい!」 「は、はいです!」  やはり牙突の構えをとった千沙は、あさひと似たような頼りない足取りでダッシュ すると、手前でジャンプした。 「打ち下ろしの弐式です〜!」 「つーよりハンマー・ヘル&ヘヴン!?」  ぎゅぽおおおおっ!!!  とにかく落下とジャンプの加速も加わり、あさひよりも深くスッポンは和樹の股間 に食い込んだ! 「で…でりゃりゃあああああああああああああ〜〜〜!!」  スポポポポーーーーーーーーーーーーーーン!!! 「うひゃほはへーーーーーーーーーーー!!」 「こ…こんどはどうよっ!?」  ……………。 「ああっ…なんだかいけないカ・イ・カ・ン」 「ふみゅみゅ〜、なおんない〜」 「だから!こんなことやったって!治るわけないでしょーーーーーーー!!」  すぱぱぱぱーーーーーん!!!  もはや何の遠慮もせずにラケットを振るって和樹を抑えていた南たちを飛ばすと、 完全に据わった目つきの瑞希は乱暴に和樹の襟首を掴んで引きずり出した。 「特訓よっ!こうなったらもう特訓あるのみ!あたしがあんたに男の性根を叩き込ん であげるわっ!」 「瑞希っちゃ〜ん。それもなんか根拠なんかあらへんのやないか…?」  ギロッ! 「なにか言った、猪名川さん…?」 「…いや、ウチも手伝おうと思って。特訓」 「あ、そう?じゃあ一緒にがんばろうね」  何故か真っ青な顔をしている由宇に少し笑顔を見せて、同じく脂汗を浮べている和 樹に瑞希は視線を落とした。 「和樹っ!」 「はっ、ハイ!?」 「…あたしも覚悟決めたわ。なんだか知らないけどオカマチックな和樹より、煩悩ま みれでバカでいい加減な和樹の方が何百万倍もマシよっ!元の煩悩魔人な和樹に戻っ てくれるなら、手段は選ばないわっ!」 「いや、あの…煩悩魔人って、アタシってそんなにヒドい…?」 「和樹…サブイボたつからその言葉使いやめい。で、瑞希っちゃん?具体的にはどう するんや?」 「…え〜っと…」  なにやら考え込んでしまった瑞希に、深々と由宇は溜息をついた。 「瑞希っちゃん…だからその場のノリと勢いだけで突っ走るのは止めた方がええで」 「パンダに他人のことは絶対いえないと思う…」  妙にしみじみと詠美が呟いた。と、何事もなかったかのように、にこやかに笑いな がら南が提案してくる。 「やはり、元の煩悩と俗塵にまみれた激烈妄想自堕落野郎な和樹さんに戻ってもらう ためなら…」 「南さん、それって言い過ぎです」 「とにかく、和樹さんの元から旺盛な煩悩を刺激してあげればいいんじゃないかし ら。例えば…瑞希さん、この間は断っちゃったぴあ○ャロのウェイトレスさんのコス プレしてあげるとか」 「うっ…何故それを!?」 「牧やん…瑞希っちゃんがそれやったらヤバいで。…なんか、色々と」 F&Cとか。 「まあまあ。で、その後はアイスクリームの女体盛りでオッケーですよ。完璧です ☆」  ずがっしゃああああああああああああんんんん!!! 「…千沙さん、女体盛りってなんでしょうか?」 「さあ〜?千沙もわかんないです」 「いや…その…わからんでええで、お子ちゃまには…」 後頭部から床にずっこけてしまった由宇が、頭を抱えながらうめくように呟く。 「詠美のお姉さんはわかりますか?」 「え?え?え?…も、もちろんじゃない!このくいーん詠美ちゃんさまにわかんない ことなんてないわよ!」 「わかることはない、の間違いやろ…だったら説明してみぃ」 「うっさいパンダ!え、え、えーっとにょたいもりー、っていうのはー、いうの はー…」 「普通は女の人をお皿に見立ててお刺し身を盛りつけて、みんなでいただくというお 座敷の余興ですわ。もちろん、女の人はハダカ☆アソコにはワサビしみないように事 前に葛を塗って、そこにお醤油を溜めるのが通ね」 すかーーーーーーーーーーーーーーーんん! 「ふみゅみゅ〜〜〜〜〜〜〜!なによなによなによそれ〜〜〜!そんなのへんたい よ〜〜〜〜!」 「…ま、牧やん…あんた、耳年増と天然ボケもそこまでいったら犯罪やで…。見て みぃ、千沙ちぃと郁みんが鼻血吹いて失神しとるやないか!」 「にゃはは〜、あさひちゃんも立ったまま失神してるよー。…女体盛りとわかめ酒は 基本だと思うけど」 何の基本なんだか。 「バリエーションとしてはケーキとかアイスクリーム、パイ風のデコレートね。特に 瑞希さんみたいな豊かな胸の場合は飾り付け甲斐が…」 「南さん…本気で言ってるんですか…?」 無論、その瑞希の問いかけは愚問である。南女史はどこまでも本気であった。 「…あの…」 ちょこん、という感じで静かに彩が手を挙げてきた。 「…私…実は密かにバスト88ですけど…」 「あらあら。じゃあ彩さんやってみる?」 「うっ…………………!」 「…あのな、牧やん。あんた、はっきり言って18禁同人誌の読みすぎやで」 なにやら葛藤している瑞希はとりあえず放っておいて、由宇は。 「だいたい温泉旅館のお座敷芸を舐めたらあかんで!そんなんはオ温泉芸者プロの技 や!鉄瓶を持ち上げたりバナナ切ったり絵を描いたり…」 さすが猪ノ坊旅館次期女将といったところであろうか。 「…パンダ〜、なんでそれが芸になるわけ?」 「おこちゃま詠美は黙っとき!とにかく多分鶴来屋もそうやろけど、そういう裏技は そうそうひけらかすもんやないんや!伝統と格式と修練によって身につけるプロの技 を、そないな安易なモンに思わんで欲しいわ!」 「…じゃあ、プロとして由宇ちゃんがやってくれるのね?」 「うっ…!」 ドツボに嵌ってしまった由宇は、皆の視線の集中砲火を浴びて固まってしまった。 彼女には似つかわしくなく、困惑して意味も無く辺りを見回し…和樹の視線と目が 合ってしまう。 「ゆ、由宇…」 「あ、あのな、和樹…」 一瞬、まるで佐藤家のようなキック○フ状態特有の点描バックを背景に、二人は じっと見詰め合い。 「洗濯板のような胸も刺し身を載せるのにはいいかもしれないけど、俺はこの場合は やっぱり巨乳の方が…」 「ほほ〜う和樹…ええ度胸しとるやないか…」 ヒクヒクと震えながら、安堵も覚える由宇は激発はしなかった。心の中の「いつか 然るべき報いをくれてやるリスト」に、※印と赤の二重線つきで今の言葉をしっかり 書き留めておいたが。 「………わかったわ、和樹…あたしも手段は選ばないと言った以上、二言は無い わ…」 何かを…大事な何かを吹っ切ったような炎を瞳に燃やし、葛藤から抜け出た瑞希は 和樹の襟首を掴み上げた。 「女体盛りでもコスプレでも搾乳でもとっ、とりあえずやってみようじゃないっ!」 「とりあえずってあたりがイマイチ吹っ切れてませんね」 「にゃははー、でも実は結構瑞希ちゃんも大胆だよねー」 「…何せ…二度目の公園デビュー…やってますから…」 「ううううううううううううううううう」 外野の言葉に思わず挫けそうになる瑞希である。が、そんな瑞希の両肩を、襟首捕 まれた和樹が逆に力強く掴んだ。 「ホントか瑞希っ!嘘じゃないな?なんでもしてくれるんだな?」 「う、うん…」 「ううっ、俺は嬉しいぜ!よーし、じゃあとりあえず今まで拒否されてきたあんな事 とかこんな事…本当に本気で煩悩の限りを尽くした…」 「ああっ、なんか嬉しいような辛いような悲しいような…!」 「瑞希さん…がんばって、素敵な大人になってね…」 「ステキ、なぁ…?なんか、生け贄って感じがするのはウチだけか?」 と、その時である。小さな声で、彩が呟いた。 「あの…和樹さん、自分のことを“ワタシ”じゃなくて“俺”って…女言葉じゃない し…」 …………。 …………。 …………。 …………。 …………。 …………。 「…和樹?」 「なっ、なんでしょーか瑞希さん?」 「何時の間に治ったの?…それとも…ひょっとして…最初から…………茶番?」 「いや、あの、なんかわかんないけど、何でもやってくれるっていうから御好意に甘 えさせてもらおうかな〜、って…大体、茶番って何が…」 「茶番、だったんだ…?」 ギシギシギシッ… 左手に握られたテニスラケットが不気味な軋みを上げる。完全に血の気を失った顔 で、和樹は助けを求めて周囲を見回し…。 瑞希と同じ、何の感情も浮かべていない妻達の顔を見出した。 由宇が、重々しく口を開く。 「瑞希っちゃん。…アンタにまかすわ」 「あの、まかすって…皆さん?」 なんとなく自分の迎える末路はわかっていたが、それでも問い質さずにはいられな い和樹だった。 だが。 「和樹の…和樹の…」 震える声を無理矢理押し出し、瑞希は大上段にラケットを振り上げ。 「和樹のバカ変態エッチスケベ発情暴走アブノーマルスーパーデラックス下品マニア アアアアッ!」 「うわあああああああああああああああああっ!!!?」 ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ !!!!! ガコオオオオオッ!ゲシッ!ガシッ!グシャアアアッ!! 「あああっ!?お兄さんがどんどん壊れていきますう〜!?」 「ほっとき、千沙ちぃ…」 *************** 「で?ホンマのとこは一体何だったんやメカ詠美?」 「そんなの知らないわよ。今回は編集長がやったんだから」 どことも知れぬ秘密の部屋。コミックZOの本部で、由宇とメカ詠美、そして澤田 編集長は今回の一件について話し合っていた。 「いや、だからね。和樹君をこちらの陣営に引き込むには、彼にやおい少女の心理と いうものをわかってもらうのが一番かと…で、まあ、催眠術を」 「催眠術って、あんた今時こんな五円玉プラプラさせて暗示にかかるアホがおるんか ?」 「いや、私も本気じゃなくって、単に話の種の冗談でやってみただけなんだけど…何 故かかかっちゃったのよねー」 本気で困った顔をする編集長に、由宇もそれ以上追求する気にはなれなかった。 「まあ、和樹は単純やからなぁ…」 「ばっかみたい。ねーねー、ほんとにこんなバカ、うちのサークルに必要なのー?あ たしがいれば十分じゃないのー」 「…おぼこは黙っとき」 「ふみゅーーーーーー!なんかよくわかんないけどバカにしたわねパンダっ!」 「まあまあ二人とも、ケンカしないの。…でも、ホント、我ながらこんなのでよく催 眠術がかかったなって思うわ」 穴に糸をつけた五円玉をプラプラさせながら、真紀子は溜息をついた。 「こんな感じで、あなたは眠くなる眠くな〜る、って繰り返してただけなんだけど… ね…」 パタッ。 パタッ。 「あああああっ!?由宇さん?メカ詠美ちゃん!?なんであなた達までそんなすぐ寝 ちゃうのよ!?」 僅か2秒で机に突っ伏して寝込んでしまった二人に、真紀子はただ呆然として立ち 尽くすだけだった。 夜型で、原稿に追われて年中睡眠不足の同人漫画家に、催眠術なんかかけたらすぐ 眠るって。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 【後書き】 …なーんもいいわけできないなぁ。 とりあえず、一読してですね。 我ながら下品だなぁ、と(^^; みんな、こういうこと考える大人になっちゃいけないよー。 ところで「トイレスッポン」って、正式名称はなんていうんでしょーか?
 ☆ コメント ☆ 綾香 :「うあ」(^ ^; セリオ:「おかま和樹さん……不気味です」(;^_^A 浩之 :「あら、そうかしら? とっても素敵だと思いますけどぉ〜?」(^^) 綾香 :「いっ!?」(@◇@) セリオ:「へっ!?」(@◇@) 浩之 :「どうかなさいましたぁ?」(^^) 綾香 :「ひ、ひ、ひ、浩之……」(@◇@;; セリオ:「ま、ま、ま、まさか……」(@◇@;;  綾香 :「お、お、お、おかまに?」(@◇@;;; セリオ:「う、う、う、うそですよね?」(@◇@;;; 浩之 :「……………………うふ」(^^) 綾香 :「……………………イヤーーーーーー!!」(;;) セリオ:「イヤイヤイヤーーーーーーーーー!!」(;;) 綾香 :「ふえ〜ん。元の浩之に戻ってよぉ〜〜〜!!」(;;) セリオ:「なんでもしますからーーー!!」(;;) 浩之 :「……なんでも?」 綾香 :「うん! なんでもするわ!!」(;;) 浩之 :「本当に?」 セリオ:「もちろんです! あんな事でもこんな事でもオッケーですぅ!!」(;;) 浩之 :「………………………………」d( ̄ー ̄)ニヤリ



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