私立了承学園
4日目 昼休み ナイトライター・ホワイトアルバム


「ふぅ、念願の学食デビューも果たしたし、無事に起きてるし(笑)、いい昼休みだ」 「あはは、そうだね」  4日目にしてついに平穏に昼休みを迎えた藤井家は、学食での昼食の後、雑談しな がら中庭を散歩していた。 「5時間目まではまだあるし、木陰で昼寝でもしたい気分だな」 「それいい」 「それじゃゆっくりできそうな木陰でも探しましょうか」 「そうだね」  そして一行は中庭の奥地まで入っていった。 ---------------------------------------------------------------------------- ────♪───♪〜〜…… ───♪♪♪〜〜♪♪〜…… 「!? これ……」 「歌……?」  大きな木のそばに来たとき、その木の上のほうから綺麗な歌声が聞こえてきた。  由綺と理奈は敏感に反応した。 「綺麗な歌声……」 「凄……」 ───♪♪──♪♪──…… ──♪♪♪〜♪〜♪♪〜……    二人の歌手はその歌声の主の実力に圧倒される。  樹上から聞こえてくる歌声は上手い・下手という問題ではなく、一種神々しさすら 感じさせた。 「素晴らしい歌声ですね……」 「まるで教会の合唱みたい……」 「おちつくね」 「いいなぁ…凄い綺麗な声……」 「そうだな……神様でも降りてきそうだ」  他の面子もその声に聞きほれている。 「これは……」 「悔しいけど、私達じゃ真似できないわね……」  由綺と理奈はその歌声に敗北感を抱いき、声を洩らした。  そして樹上を見上げる。 ────♪♪───♪──…… ────♪♪〜♪♪〜……  そこではコリンとユンナが木の枝に腰掛けながら、静かに目を瞑り、わずかに微笑 みながら歌っていた。  そして、その木の根元にはエビルと芳晴が気持ちよさそうに目を閉じ、眠るように 寄りかかっていた。  だが、冬弥達の接近に気づくと、目を覚ました。 「あれ? 冬弥さん達?」 「やぁ、芳晴。ゴメン、起こしちゃったか?」 「いや、かまいませんよ。別に寝てたわけじゃないですから」 「そうか。俺達もココ、使わせてもらっていいか?」 「俺に聞くまでも無いですよ。どうぞ」 「ああ。じゃ、お邪魔するよ。皆もおいで」  そして皆でその大きな木に寄りかかるようにして座った。 ────♪───♪〜〜…… ───♪♪♪〜〜♪♪〜…… 「……お二人、大変よい声をしてらっしゃいますね」  不意に、弥生がそんなことを言った。  …もっとも、藤井家全員が同じ意見を持っていたが。 「あぁ、天使の歌には魔力があって……まぁ確かに二人とも歌上手いんですけど、そ の魔力のせいで余計に綺麗に感じるんですよ。…今はやすらぎの歌ですから、聞いて る人はとても落ち着いた気分になれるはずです」  なるほど、と全員納得したような顔をする。 「……天使どもの歌は、時に戦闘に使われ、時に死者の魂にやすらぎを与える。彼ら の素晴らしく、そして強力な能力のひとつだ」  エビルが樹上の二人に敬意を表するように付け加える。 ────♪───♪〜〜…… ───♪♪♪〜〜♪♪〜…… 「それにしても上手いなぁ……」 「ホント……私達も負けてられないわね」 「うん!」  アイドル二人が何やら燃えている。  二人とも凄い歌い手に会って自らのやる気に火をつけたようだ。 「あはは……でも俺はお二人の歌も好きですよ。っていうか、上の二人の歌とは全く 分野が違いますしね。それにコリンのヤツなんて、こーいう歌は上手いけど流行歌と かはヘタクソだし」  二人の様子をみて苦笑しながら芳晴が言う。  と。  スコーン! 「いてっ!」  樹上から芳晴めがけて靴が落ちてきた。  見ると、歌いながらコリンが睨んでいる。  ──余計なことを言うな、とでも言いたいのだろう。 「ふふふ、でもコリンちゃんのイメージと正反対ですね。どっちかっていうと流行歌 の方が得意そうなのに」  美咲が頭をさする芳晴と、何事も無かったかのように歌を続けるコリンを見比べな がら愉快そうに言う。 「まぁ、そうですね」  芳晴もそれに答える。 「聞いてて飽きないね…」 「うん。でも、なんだか眠くなってきた」 「駄目ですよはるかさん。もう休憩時間が終わってしまいます」 「ん、わかってる」  マナ、はるか、弥生のそんな会話を聞きながら、冬弥はその顔に微笑を浮かべた。  平和な時に感謝しつつ。 ---------------------------------------------------------------------------- 「…皆サマがたごハイチョーありがとうございました。歌はラブリーコリンちゃんと 性悪ユンナでお送りしました!!」 「性悪は余計よ、バカコリン」 「ムッ!! バカってゆーな性悪ユンナ!!」 「はいはい、皆さん見てる前で恥ずかしいからやめてくださいよ」 「恥ずかしいのはコリンだけだけどね」 「ムキーーー!!」 「あーもう、コリン大人気無いぞ」 「あはは、素晴らしい歌の後は漫才まで楽しめるとはオトクだな」 「ほら、冬弥さんにあんなこと言われちまった」 「むむぅ…」 『あはははははは…!』  約一名の膨れっ面を残して、その場の全員が楽しそうに笑った。   「それじゃ、有意義な昼休みをありがとうな」 「いやいや、いつでも聞きに来てやってくださいよ」 「あんたたちなら1回1,000円に負けとくわよん♪」 「バカ、無料でいいんだって」 「あはは…」 ---------------------------------------------------------------------------- 「うーん、それにしても凄い歌だったわね」 「そうだね、とっても綺麗だった」 「そうだな。でも、俺は二人の歌のほうが好きだよ」 「「冬弥君…」」 「そうですね。彼女らの歌には彼女らの良さが。お二人の歌にはお二人の良さがあり ますから」 「うん。私もお姉ちゃん達の歌の方が好きかな」 「眠りたいときはさっきの歌のほうがいい」 「もう。はるかちゃんたら」  教室までの道のり。  そんな藤井家の会話があったという。 <おわり>
 ERRです。  事件ナシ。  たまにはこんなのもいいかなぁ、と。  あと、どうにも普段からヨゴレ役っぽかったコリンにもたまにいいカッコさせよう とかいう思惑も少しあります(w  …文章は歌の良さが伝わらなくてカナシー(泣)  想像、想像してください!!(爆)
 ☆ コメント ☆ コリン:「ラブリーコリンちゃんの素敵な歌声をお届けしましたぁ♪」(^0^) ユンナ:「『素敵な歌声』って……自分で言う? 普通」(^ ^; コリン:「だって、ホントの事だもーん」(^0^) ユンナ:「はいはい」(^ ^; コリン:「うふふふふ。今回の話で、コリンちゃんのファンがまーた増えちゃうわぁ」(^^) ユンナ:「コリンのファン? いるの? そんな奇特な人」(−−) コリン:「いるわよ! いっぱい! たくさん! 掃いて捨てるほど!!」(−−メ ユンナ:「捨てちゃダメでしょうが」(−−; コリン:「いいのよ! 腐るほどいるんだから!!      少なく見積もっても2億人は軽いんだから!!」 ユンナ:「おいおい」(−−;;; コリン:「そして……何時の日か、全人類があたしの足下にひれ伏すのよ!!」d(^0^) ユンナ:「おいおいおいおい」(−−;;;;; コリン:「あ〜ん。あたしって罪なお・ん・な」(^^) ユンナ:「まあ、確かに『罪な女』よね。……いろんな意味で」(−−; コリン:「でしょでしょ〜。でへへへへ」(〃∇〃) ユンナ:「……………………誉めてないって」(−−;;;



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