「祐一さん、佐祐理は舞が一緒じゃないとダメですか?」 がばっ 「・・・ゆめ?」 私立了承学園(kanonサイド)4日目5時間目 今回の授業の担任だった住井を沈黙させ、机に突っ伏して昼寝を楽しんでいると冒頭の夢を見た。 急に飛び起きた俺をみんなは心配してくれたが(名雪は爆睡中) いつもの冗談で俺が場を和ますとみんなは元通りの場所で好きに話し始めた。 俺は寝るに眠れず先ほどの言葉をボーっと思い出していた。 (祐一さん、佐祐理は舞が一緒じゃないとダメですか?) これはどう言う意味だ? 夢って言うのは無意識の欲求が出るものって言うよな・・・ 今の俺が舞と一緒じゃない佐祐理さんを認めていないって事か・・・ 認めたいからあんな夢見たのか・・・ どうなんだよ? よく考えろ祐一、この学園に来てちゃんと平等に接しているはずだよな・・・ ・・・ぐあっ、佐祐理さんだけの接点はほとんどないぞ。(三日目一限だけです) とにかくこれは謝らなきゃいけないな。 みんなに聞かせる事はないな。 だったら行動あるのみ。 俺は席を立ち上がると舞と佐祐理さんの側へ行った。 「佐祐理さん、ちょっと・・・」 教室中の視線が俺に注がれる。 「なんですか?」 「二人だけで・・・話しいいかな?」 「佐祐理はいいんですけど・・・」 そう言って舞のほうに視線を向ける佐祐理さん。 「・・・今はいい・・・祐一困ってるから・・・」 「悪いな、舞・・・と言う訳で俺は佐祐理さんと出て行くけど誰もついてくんなよ」 「あははーっ、皆さんすいません」 そう言うと俺達は教室の外に出た。 「あやしいわね」 教室では香里と美汐を中心に相沢家が机を円形に並べて会議を行っていた。 「どうして怪しいの?」 「二人っきりで出ていったって事よ」 「くー」 香里がそれだけ言うと場は静まった。 ただ一人美汐だけは何かを考えている様だった。 「・・・所で聞きたいのですが、舞さん。祐一さんが困っているってどう言う事なんですか?」 「真琴も聞いた。アレってどう言う事?」 「・・・さっき祐一が少し辛い夢を見た」 舞はまるで祐一の見た夢の内容がわかるかのように辛そうに言った。 「祐一さんは大丈夫だって言ってましたよ」 栞がそう言うと真琴もあゆも頷いた。 「祐一はあたし達に心配をかけまいと思って大丈夫なんて言ったのよ」 香里は気が付いていたようだ。 「そうなの」 あゆはまだわかってないらしく半信半疑みたいだ。 「鈍い子達ね、そうに決まってるじゃない」 香里がそう言うと美汐も頷いた。 「・・・それで、辛い夢と言うのは、いったい・・・」 「佐祐理の事。・・・急に思いついた事なのか、今までも悩んでたのかわからないけど・・・」 「じゃあ、あたしたちの出る幕はないのかしら・・・」 「・・・祐一さんを信じる事ぐらいでしょうか」 「ボクは祐一君を信じるよ」 「あたしも祐一の事信じてるもん!」 教室での会議は幕を閉じた。 佐祐理さんを伴って俺は屋上に出た。 「祐一さんどうしたんですか?」 「・・・佐祐理さん・・・俺、佐祐理さんに謝らなきゃいけない事があるんだ」 佐祐理さんは笑顔のまま首を傾げる。 「はい?」 思い当たる事がないのだろう。それはそうだ。これはかってに俺が夢で思った事だから。 「俺さ、さっき夢を見てさ・・・」 「夢、ですか」 俺は佐祐理さんの目を見て言う。 「夢の中に佐祐理さんが出てきたんだ」 「皆さん聞いたら焼きもち妬きますね」 佐祐理さんは俺の側にゆっくりと近づいてくる。 「それで佐祐理さんはこう言うんだ・・・ 祐一さん、佐祐理は舞が一緒じゃないとダメですか?って・・・」 「クスッ・・・祐一くん・・・」 「うわっ!」 佐祐理さんは俺を抱きしめてきた。 「祐一くん、大丈夫だよ。わたしはこんなにも祐一君に想われてるんだよ」 「・・・佐祐理さん・・・」 「祐一くんがわたしの事想ってくれるだけで幸せなんだよ」 それだけ言うと佐祐理さんは俺の胸に顔をうずめた。 「・・・ありがとう、佐祐理さん」 「でも、どうして祐一くんはそう思ったの?」 胸から顔を上げ上目使いで俺を見てくる佐祐理さん。 「ぐあっ・・・言わないといけないか?」 「はい」 「・・・この学園に来てからさ、佐祐理さんだけと話した数が少ないんだよな」 佐祐理さんは俺から離れる。 「・・・そう言えばそうだね」 「だからそれが原因かなって・・・」 「・・・じゃあ、祐一くんはどうしたら良いと思う?」 「どうしたらって・・・そうだな・・・我が侭になるのはどうだ?」 「わがまま?」 きょとんとする佐祐理さん。 「この学園ではキャラが命だ! 佐祐理さんはいいひと過ぎて目立たないんだ! だから俺もうっかり佐祐理さんはいつも舞と一緒だと思ってしまう」 俺の迫力に押され頷く佐祐理さん。 「別に舞と一緒にいるのは悪くないよ。あゆみたいにさ俺達のクラス以外にも友達を作れば もう少し目立つんじゃないかと思うわけだ」 話の方向がずれてきた気がするがこのまま叩きこむのが吉だ。 「舞みたいに親友になれるかわかんないけどさ、俺も手伝うからさ」 「でも・・・わたしは・・・」 「自分を悪く言うのは佐祐理さんの悪い癖だよ。 この学園の人達を見るんだ。上昇思考、ポジティブシンキング、ごーいんぐまいうぇい」 なんだか訳のわからない事を口走ってきたぞ。 「まあなんだ、この学園では変わっていいんだ。わかるな佐祐理さん」 「はい」 佐祐理さんは笑顔で俺に答えてくれた。 「祐一は、これで大丈夫」 屋上に続くドア。その前に相沢家一同(一人まだ寝てる)が集結していた。 祐一と佐祐理の会話は祐一の服にしかけられた盗聴機で筒抜けだった。 「でも、私も倉田さんと似たような立場では・・・」 「美汐には真琴がいるから大丈夫よぉ」 「それにボク達もいるからね」 「すみません」 赤くなった美汐は小さく頭を下げる。 「まぁ何にしろこれで解決した訳だし、ふたりだけにしておく理由はないわね」 香里のその一言で相沢家一同の手がドアに伸びる。 ガチャン ガチャン 屋上のドアが開く音がする。 そこに目を向ければ愛しい妻たちが。 「覗きとは趣味が悪いぞ」 「祐一にかかわってなかったら覗きなんてしないわよ!!」 真琴がムキになって怒る。 「あゆあゆはなにも言わないという事はその罪を認めたか」 「あゆあゆじゃないもん!!」 あゆは俺によって無理やり発言させられる。 「あははーっ」 佐祐理さんがそれを見て笑う。 二人を除くみんなも笑顔になる。 真琴とあゆはからかわれてる事がわかったらしい。 二人は顔を見合わすと俺に向かって走り出した。 つかまってはたまらんから俺は逃げ出す。 「今日の授業は鬼ごっこと言う事になるのでしょうね」 「そうね」 香里と美汐はそう言うと駆け出す。 「佐祐理さん、つかまえて!!」 あゆが叫ぶ。 「わかった、あゆちゃん」 佐祐理さんがそれに応え俺を追い始める。 これで大丈夫かな? 俺達はチャイムが終わるまで楽しく走り回った。
あとがき  ども、二回目の禍邪~まなです。(“わざわいじゃしん”で変換すると早いかも) 了承学園では目立ちにくい佐祐理さんを目立たせたくて書きました。 佐祐理さんの祐一に対する呼び方、祐一くんでは違和感ありあり(みさきさんみたい)・・・大変だ。 この後、相沢家の結束が良くなったぐらいで、佐祐理さんへの呼び方は皆さん自由になさって下さい。 誰かあの方に友人を・・・って、つながりないから書き難いだろうけど・・・。  この作品というか話、別に天野で書いてもよかった訳ですが、佐祐理さん至上主義の私としては どうしても譲れなかったとですたい(←バカ)それに天野は目立ってるからね。 後半話がグチャグチャになって泣きそうでした。 天城さんに見せたところ、もう一考したらどうだと言われ、一応直して見ました。 そんなもんでしょう。 これからも精進してhiroさんのような偉大なSS作家になっていきたいです。 (夏休みの読書感想文みたいな終わりかただ) P.S  浩之の培ってきた力についての考え 了承学園はたさいの設定が入ってるとして話を進めます。 格闘技を始めて一年あまりでエクストリームのチャンピオンである綾香を倒す。 これはただの格闘センスが良いだけでは説明にならないと思います。 これだけの強さを得るのに浩之がどのような努力をしたのか、それを考えた上での 培ってきた力発言なわけです。 もっとも、性欲魔人の称号もたさいになった上で培ってきた力の1つとして言えますけど。 と言う訳で、あの考えはきっと間違ってなかったと思う・・・。 P.S2(プレステ2じゃないよ)  AD式格闘術について この力を冬弥につけたのは私ですが、これ以降(つまり四日目以降) AD式格闘術の技をふやすのは良いのでしょうか? 発表当初いろいろ言われましたけど、皆さんが出てしまったものは仕方ない な感じで容認してくださいました。 一応天城さんと相談で他人を傷つける技は存在しないと言う方向になりました。 これを踏まえた上で新技はありか、なしか、そこんとこよろしくお願いします。 こう言った話は掲示板上に書くのが望ましいのでしょうけど、 家にネットがない為、毎日掲示板にカキコする事ができない為こういう形となりました。 ご了承下さい。
 ☆ コメント ☆ 綾香 :「後半の佐祐理さんの話し方……なんか、らしくないわね」(^ ^; セリオ:「確かに。ちょっとだけ違和感を感じてしまいました」(;^_^A 綾香 :「でもまあ、あんな佐祐理さんもOKかな」(^^) セリオ:「そうですね。それだけ、祐一さんに対して心を許している証拠ですから」(^^) 綾香 :「それにしても、うちの学園って、『いいひと』だと目立たないのね」(^ ^;;; セリオ:「まあ……そうかもしれませんね」(;^_^A 綾香 :「そっかぁ。だからあたしも……」(〃∇〃) セリオ:「綾香さんは目立ってますよ」(−−) 綾香 :「…………」(−−; セリオ:「それはもう思いっ切り。これでもかっていうくらい。1,2を争うほど」(−−) 綾香 :「……それはつまり……あたしは『いいひと』じゃないと言いたいの?」(ーーメ セリオ:「え!? 綾香さんってば『いいひと』のつもりだったんですか!?」(@◇@;;; 綾香 :「おい」(ーーメ セリオ:「……なんて図々しい」(−−;;; 綾香 :「そこまで言うか」凸(ーーメ



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