城戸家クラス 4日目 一限目 城戸家クラス、というか芳晴、の朝ははやい。 いつものように芳晴は早朝に目を覚ました。 枕もとの目覚ましの短針は、まだXの文字を指している。 眠気を感じさせない動作で寝巻きからさっと普段着に着替えると、芳晴は寮からそっと抜け出した。 ここ、了承学園ではありとあらゆる宗教が"了承"されている。 そのため、大量の寺院が敷地内に散らばっている。 芳晴が向かったのはそのうちのひとつ、プロテスタント派の教会だった。 エクソシストの名門、城戸家の家名を嫌い家を出た芳晴だが信仰まで捨てたわけではない。 一人暮しを始めた今でも毎日の礼拝は欠かしていない。 実際に、ルミラをも倒すスペルの威力がその信心深さを物語っている。 それはともかく、魔法瓶にこめられたシュインによってその教会に辿り着いた芳晴はその扉を開けた。 そこには………… 「おはよう、芳晴君」 イスのひとつに腰掛けたユンナがいた。 「おはようございます。朝、はやいんですね。ユンナさん」 「まあ、ね。芳晴君は毎朝来てるの?ここに」 ユンナはそう言いながら、立ちあがる。 「ええ。この学園に来てからは今のところ毎日来てます。 今まではマンションで簡単な礼拝しか出来ませんでしたからね。 やっぱり、こういう教会の雰囲気って言うのはなんて言うか厳粛で良いものですよ。 そう言えば、ユンナさんはなんでここに?」 「私も天使の端くれだしね。教会みたいな所だと落ちつくのよ。 昨日までは芳晴君みたく外で祈ってたんだけど、偶然ここを見つけてね。 これで、礼拝に来る人がもっと多ければさらに良いんだけれど」 言って、ユンナは軽くため息をつく。 「建物が豪華でも、信者の人達がいないと意味が無いのよね。 まぁ、最近は信心深い人も減っちゃったけど。 あ、そう言えばコリンは?あいつは礼拝に来ないの?」 「………初日に誘ったんですけどね。眠いからやだ、とかいって布団に潜ってますよ」 芳晴が苦笑しながら言うと、 「あ、の、お気楽天使がぁ〜!信者の手本になるべき天使がそんな事でどうするのよ!」 こめかみを引くつかせながら、ユンナが怒鳴る。 普段はクールなだけに、こういう時は人一倍怖い。 「そ、そんなこと俺に言われても」 そのユンナの剣幕に気おされる形で芳春があとずさる。 「……わかったわ。後でコリンには私からきっちり言っておくから」 怒りに震えていたユンナだったが、しばらくすると疲れた声で呟いた。 「それじゃ、礼拝の邪魔しちゃ悪いから私は先に戻ってるわね」 明らかに疲れをにじませた声でそう言うと、ユンナは教会から出ていった。 心なしか足取りが重い。 「……ユンナさんも大変だなぁ」 自分自身、身をもってコリンに振りまわされる苦労を知っているため芳晴はしみじみと呟いた。 礼拝が終わると、芳晴は寮に戻って台所に立った。 働かざるもの食うべからず、という考えの芳晴に習い、城戸家では毎日自炊をしている。 ちなみに、学食で済ませる昼食以外の、朝食と夕食を作る役は毎日ローテーションになっている。 変な所でおカタく、非常に芳晴らしい。 「芳晴、手伝おうか?」 「あ、ありがとうございます江美さん。それじゃあ、サラダ作ってもらえますか?」 「わかった」 そう言ってキャベツを淡々と刻み始めるエビル。 その隣でベーコンエッグを作っている芳晴。 なんというか、模範的な新婚生活のような光景である。 そんなほほえましい部屋の隣では………。 「だからあんたは自覚が足りないってのよ!もう少し芳晴君を見習ったら?」 「ん〜〜。ねぶいぃ〜〜」 「ちょっと!きいてるの!」 「ん"〜。多分きいてる〜」 「あ"〜もうっ!ちゃんと目を覚ましなさいよ!」 全然ほほえましくない光景があった。 「みんなそろいました?」 全員で朝食を取ったあと、寮の鍵を閉めながら芳晴は聞く。 「そろっているようだ」 見回しながら、エビルが言う。 「はぁ〜。それじゃ、今日も一日がんばりますか!」 「あんたはいつもがんばってないでしょ」 「うう〜。芳晴〜。性悪ユンナがいぢめるよ〜」 「あまり芳晴にくっつくな」 「そうよ!はなれなさいよ!」 「やだよ〜。ね〜、芳晴〜」 「はは…………」 困った顔をしながら歩く芳晴。 口論の末、結局左にコリン、右にエビル、空中にユンナというポジションで落ちつく。 そして歩く事十分強。 了承学園の校舎が見えた………。 〜あとがき、というか独白〜 なんだか投稿も久しぶりなキヅキです。 夏季休暇が終わっちゃうと、時間が無くて無くて……。 結局、一時間で仕上げましたよこのSS。 このSSのテーマは、いかに平穏に、いかに短くまとめるか、です。 今までの私のSSは殺伐としていて、長いのが多かったのでその反省の意味もこめてのテーマです。 まだまだ不慣れなので雑な所も多いですが……読んで貰えて恐縮です。 しかし、Hiroさんの部屋はいつか言っていたように実力派が多くて私の力の無さを痛感させられます。 精進あるのみ、です。 それでは、さようなら〜。 追記:最近、芳晴君が学園の中で非常に良心的です。リーフ界のシンジ君二号になる日は近い!?
 ☆ コメント ☆ ユンナ:「はぁ〜」(−−; コリン:「なによぉ〜。人の顔を見てため息吐かないでよねぇ」 ユンナ:「あなた……本当に天使なの?」(−−; コリン:「な〜に言ってるのよ。どこから見ても立派な天使じゃない」(^0^) ユンナ:「……見えないから訊いてるのよ」(−−; コリン:「しっつれいねぇ〜。      この、スーパーラブリーゴージャスグレートエンジェルであるコリンちゃんに向かって      なんて暴言を」(ーーメ ユンナ:「……す、スーパーラブリーゴージャスグレートエンジェルぅ〜〜〜!?」(−−; コリン:「そうよ」(^0^) ユンナ:「……………………」(−−; コリン:「凄い? 凄い?」(^0^) ユンナ:「……………………アホ」(−−; コリン:「な、な、な、なんですってぇ〜〜〜!!      あたしのどこがアホなのよ!?」凸(ーーメ ユンナ:「全部」(−−) コリン:「むっき〜〜〜!!      ラブリーグレートスーパーゴージャスエンジェルのあたしに向かってぇ〜〜〜!!」 ユンナ:「……さっきと違うじゃない」(−−; コリン:「……へ?      えっと……スーパーゴージャスプリティー…………じゃなくて……あれ?      グレートラブリーパワー…………あれれ?      プリティーエンジェルブラックマークツー…………あれれれ?」(@◇@) ユンナ:「本物のアホね。あなたって」(−−;;;;;



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