私立了承学園
4日目 放課後 ONE 〜輝く季節へ〜


 空を見ていた。  空は、どこまでも真っ赤だった。  広い空は、どこまでも─  どこまでも、真っ赤だった。  それを見て、泣きたくなった。  雲が、出てきた。  それでも、ずっと空を見ていた。  雲も、私みたいな顔をして─  やっぱり、泣きそうだった。    だけどやっぱり、私は空を眺めていた。  泣きたくなるけど。  夕焼けは、好きだったから。 ----------------------------------------------------------------------------  目が覚めてみると、教室だった。  寝ぼけ眼で周りを見回す。  日が沈みかけているの。  頭が少しずつ覚醒してくる。  そう確か、教室に戻ってしばらくしてから、また眠っちゃったんだっけ。  と、教室の中に人影を見つける。  詩子さんなの。 「あ、澪ちゃんおはよ」 『おはようなの』 「とっくに夕方だけどね」 「……」  うにゅ〜…  どうやら、からかわれたらしいの。  もう一度教室を見回す。  やはり、教室には詩子さんだけみたいなの。 『皆は?』  それだけをスケッチブックに書く。 「うん、部活とか散歩とか行っちゃったよ。多分、そのまま寮に戻るんだろうね」 『詩子さんは?』 「ここにいるよ」 「……」  ぶんぶん  そうじゃないのぉ〜… 「あ、なんでここにいるのかって?」 「……」  うんっ、うんっ 「だって、眠ってる女の子一人だけ残してくなんて物騒だし」 「……」 「ま、この学校ならそんな心配も無いだろうけどね」  でも、なんだか嬉しかった。  だから。  ぺこり  お礼した。 「あははっ、いいよいいよ、澪ちゃんの寝顔可愛かったしね」 「……」  はぅ〜…  恥ずかしかった。 「澪ちゃんはどうするの? 夜の用事まではまだまだあると思うけど」 「……」  特に何も考えていなかった。 「それじゃ一緒に屋上でも行こっか」 「……」  うんっ。  だから、それもいいと思った。 ---------------------------------------------------------------------------- 「あいっかわらず、無駄に広いよね〜」  あたしの、屋上に着いての第一声がそれだった。 「……」  んー…  あれ、いつもみたいに、「うんっ」って来ると思ってたのに、澪ちゃんは何やら考 えこんでいる。  しばらく考えた後、 『そんなことないと思うの』 『だって、広いほうが気持ちいいの』  にこにこ。  可愛い笑顔で、ページを二つ使ってそんなことを主張してくる。 「確かに、そうかもね」  あたしも、言われてみればもっともだと思ったから、そう答えた。 「ありゃ、今日は雲が出てきたねぇ」  ちょっと残念そうに言う。  実際残念なんだけどね。 「……」 「しかも、いかにも一雨来そうね」 「……」  うん…  澪ちゃんも、いつものように元気には頷かなかった。  と、その時、先客を見つけた。  あれは…みずかちゃん? ---------------------------------------------------------------------------- 「みずかちゃんっ!」  後ろから名前を呼ばれた。  振り向く前に、顔を取り繕う。  泣きそうな顔は見せたくなかったから。 「詩子お姉ちゃん、澪お姉ちゃん、こんにちわ」  急造の笑顔で挨拶をする。 「こんにちわ」 『こんにちわなの』  ……  少しの沈黙。  困ったことに、私にもなにも話題が無かった。  私が困っていると、詩子お姉ちゃんが空を眺めて、 「なんか、ヤな空だね。…悲しげな感じ」  そう言った。  …それは、本当に空のことを言っていたのだろうか。 「うん…」  頷く私は…多分、笑えていなかった。  3人、無言で空を眺めていた。  雲はどんどん空を覆っていく。  その様を、ただ眺めていた。  悲しそうでも、やっぱり夕焼けは輝いて。  綺麗で。  だけど、やっぱり圧倒的に悲しげに。  あの時、浩平も、同じような気持ちだったんだろうな… ----------------------------------------------------------------------------  ふと、後方で屋上の扉が開く音がする。  また、新たな客人が来たらしい。 「…今日の夕焼けは、40点だな」  …その客人は、そんなことを言って。  あたし達の隣に来た。 「相変わらず、辛口みたいね」  あたしはその人に向かって、そんな軽口を叩く。 「ああ…今日の空は、なんだか悲しいからな」  …その人…折原君も、この空に…この場に、もの悲しさを感じたらしい。  まぁ、そうよね、この詩子さんがいるってのに、みんな無言なんだもんね。 「みずか…」 「…浩平が感じてた悲しさ、なんだかわかった気がするよ。…傲慢かな?」 「いや…そんなことは無いさ…」  大きな空が作りだす雰囲気は、ただただ圧倒的で。  あたしのみならず、「あの」折原君までも取り込んで、周囲をもの悲しくする。 「そう…だったら、私は80点あげてもいいかな」 「…随分高得点だな」 「うん…だって、あの時の浩平の気持ちがわかった気がするから…それが、私の傲慢 じゃないって、言ってくれたから」 「…そうか」  二人が話してる内容はよく解らない。  夕焼けの、そのもの悲しい雰囲気は解るが。  二人にとってそれは、一体どういうものなのか。  解らない自分がちょっと悔しくて。  それが解るみずかちゃんに、少しだけ嫉妬して。  そんな自分がちょっとイヤだったけど。  それだけ、あたしも折原君を好きだっていうことの証明だと思ったから。  嫉妬できることが嬉しくもあった。 『でも、やっぱり楽しいほうがいいの』  澪ちゃんがそんなことを「言う」。 「そうだよね」  あたしもそう思ったから、笑顔で賛同する。 「…まぁな」 「…うん」  二人はまだやるせない顔だったけど。  でも、意見は同じみたいだった。 ---------------------------------------------------------------------------- 「さて、そろそろ戻るか」  そろそろ夕焼けが夜空にバトンタッチする頃、浩平が言った。 「うん」 「そーね」 「…」  うんっ  私も含めて、皆立ちあがる。 「なんだかしんみりしちまったなぁ。ゲーセンでもよってパッと気晴らしといくか?」 「あたしはいいけど」 『かまわないの』 「…私も…」  ちょっと怖い気がするけど、皆と一緒なら大丈夫だろう。  私もついていこうと思った。 「よっし、じゃ行くか!」  浩平がそう言った、その時。  ブアァァァァァァァァァァァァァッ!!  そんな、ものすごい音が聞こえた。  驚いて空を見上げると、ものすごい勢いで雲が晴れていった。  私は、しばしあっけにとられる。  いや、皆もだった。  当然だろうけど。  日はほとんど隠れてしまったが、かろうじてまだ夕焼けと呼べそうだった。  雲が消えた空は。  泣きそうだった表情を一変させ、穏やかに微笑んでるようにも見えた。  だから、浩平に聞いてみる。 「ねぇ、この空は何点?」 「35点」  その私の質問に、浩平はあっさりと答える。  さっきより悪くなってる。 「そのこころは?」  詩子お姉ちゃんが問う。  私も同じこと聞くつもりだったけど。 「夜空と夕焼けが混じってしまってるからな。それに…」 「「それに?」」  3人、興味津々といった表情で浩平を見つめる。 「ガディムがいちゃ、台無しだ」  おどけたように言いながら、浩平が空を指差す。  なるほどその遠く先には、豆粒のように小さく、ガディムおじさんが見えた。  その様子が、そして浩平の言葉が可笑しくて。  今日、屋上で始めて、楽しくて笑った。  それにつられて皆も笑った。 「予定変更だ。もうちょっとここにいるか。夕焼けは無理だが、星空は楽しめそうだ」 「そうだね」 「うん」 「……」  うんっ!(にこにこ)  それからもうしばらく、私達は屋上で空を眺めていた。  今度は、楽しく。  ─ねぇ、お願い。  ─…  ─最後に、夕焼けを見せて。 …あの時と同じ、真っ赤な夕焼けを…  ─ああ、解った。あの時と同じ夕焼けを、見せてあげるよ。 …ほら。  ─ありがとう……さよなら…  ふと、「えいえんのせかい」での…最後の、浩平との会話が思い出される。  今は楽しいけど。  でも、やっぱりそれは少し悲しくて。 「みずか…」 「うん?」 「今度は、楽しい夕焼け見ような」  そんなちょっとした私の気持ちも察してくれる浩平の優しさが、ただ嬉しかった。  だから、私も本気の笑顔で。 「うん、楽しみにしてるね!」  精一杯元気に答えた。 <おわり>
 ERRです。  夕焼けニャン○△ン(台無し)  夕焼け連呼ですね。  夕焼けは綺麗だけど、そこに抱く感想は人それぞれ、またその時の気分も影響する でしょう。って、ほとんどの事象はそうでしょうけどね(笑)  みずかにとって、浩平にとって夕焼けって何だったんでしょうか?  少なくとも、嬉しいだけでは無かったんじゃないでしょうか。  文章として拙いところは多々ありますが…  一番なのは、視点の変更の多用?  あまり意味無い上に読みにくい…  特に、澪視点が…
 ☆ コメント ☆ 綾香 :「夕焼け、ね」(^^) 浩之 :「夕焼け、だな」(^^) 綾香 :「浩之は、夕焼けに何か思い出ってある?」 浩之 :「夕焼けに? う〜ん、そうだなぁ」 綾香 :「あなたの事だから、いろいろとありそうよねぇ。      特に女の子関係で」(^〜^) 浩之 :「…………どういう意味だよ、そりゃ?」(−−; 綾香 :「あっらぁ〜? 違うとでも言うつもりぃ?」(^〜^) 浩之 :「…………言わねーけどさ、別に。      確かに、いろいろとあったし」(−−;;; 綾香 :「そうよねぇ。      例えば……葵や琴音と○○○な事をしたり、ね」(^〜^) 浩之 :「なっ!!      ど、どうして、お前がそんな事を知ってるんだよ!?」(@◇@) 綾香 :「ふたりに教えてもらったからに決まってるでしょ」(^〜^) 浩之 :「教えてもらった?      強引に聞き出した、の間違いだろ?」(−−; 綾香 :「……………………そ、そんな事ないわよ」(^ ^;;; 浩之 :「こいつは……」(−−;  ・  ・  ・  ・  ・  葵 :「綾香さんってば、ひどいんですよぉ」(*・・*) 琴音 :「ううっ。とっても恥ずかしかったです」(*・・*)  葵 :「でも……琴音ちゃんは、結構嬉々として話してたよね」(*−−*) 琴音 :「え? そ、そ、そ、そんな事ないってば」(*−−*)  葵 :「…………琴音ちゃんって……やっぱり…………」(*−−*) 琴音 :「……な、なに?」(*−−*)  葵 :「えっちだよね」(*−−*) 琴音 :「…………ちがうもん」(;;)



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