『IQテスト』 「ふみゅ〜〜〜〜〜……」 「……詠美、自覚あるんやったらもう少し静かにしとき」 「たまにはこういう真面目なのもいいでしょ?」 「良くないです」  和樹、即答。 「……」 「……」 「……いじめっ子」 「何でそうなるぅーーーーーっ!?」  このまま行くと、和樹もいじめっ子に含まれることになりそうだ。いや、まだひかりの 表情には余裕があるから、冗談のレベルだろう。 「とにかく、始めるわよ!」  ……  ……  …… 「ふみゅ〜〜〜〜」  ……  ……  …… 「にゃにゃ?」  ……  ……  …… 「時々何か混ざってんのは気のせいか……?」 「じゃ、結果発表ね」  ご存じだろうが、IQテストは精神年齢を生活年齢、つまり実際の年齢で割ったものを 100倍して数値を出す。ビネー式と呼ばれる検査では問題を易しいものから始めてだん だん難しくしていく。どれくらい連続して答えられたかによって、その人の精神年齢を割 り出すのだ。 「1位、南さん……IQ138」 「それって……いい方なんですか?」 「IQは140が100人に1人、125が100人に6人って聞いたで」 「わっ!! 南さんは100人に1人か2人の逸材なんですね!」 「……日本国民のうちの120万人はIQ140なんですよ? 少しくらいいてもあまり 気にすることはないですし、尊敬に値するものでもないでしょう」  あくまで控えめな態度だ。 「2位、あさひさん……IQ125」 「おっ、さすがは声優アイドル」 「ある程度の知能もないと成り立たないらしいわね」 「……今のアイドルは、話題性と人数でも成り立ってしまうんです」 「でもあさひちゃんは違うだろ」  言い切った和樹に、あさひはちょっと微笑んだ。 「3位、和樹さん……IQ111」 「ええっ!!?」  これには全員驚いた。 「和樹が3位!? 数違いや、やり直しや!!」  どうやらよっぽど悔しいらしい。 「IQテストは5〜6位の誤差は仕方ないものなの。あまり順位にこだわらないで」  おおっ、激昂した由宇を一発で黙らせるとは、さすが教師。 「でも、和樹が3位だなんて……」 「漫画って、結構文章とか構図とかで頭使うからな。多分その影響じゃないか?」 「じゃあ何でウチが和樹より下なんや!? 納得できへんで!!」 「4位、由宇さん……IQ109」  ……実際、2から3くらいの差は気にしない方がいいらしい。 「5位、郁美さん……IQ108」 「ええっ!? わたしですかあ!?」 「IQテストって、成人に近づけば近づくほど数値が上がりにくくなるの。例えば5歳の 子の精神年齢が6歳だった場合と、18歳の人が19歳だった場合では、前者は120、 後者は106。言い換えれば年下の方がいい結果を出すことが多いのよ」 「なるほどね……」 「6位、瑞希さん……IQ106」 「さっき、5〜6位の差は気にするなって言いましたよね?」 「ええ」 「……ってことは、和樹と大差ない……ええっ!!?」 「何だ、俺と同じじゃイヤか?」 「……あたしが和樹と同じレベル……こいつと同じレベル……」 「黙ってればこいつは……」 「7位、彩さん……IQ102」 「そうですか……」 「8位、千紗さん……IQ98」 「にゃあ……100以下ですぅ……」 「さっき言ってたろ。5〜6程度の差なんか気にするなって」 「9位……」 「ふみゅ〜〜〜〜〜」 「……詠美さん、IQ79」 「ふみゅみゅ〜〜〜〜〜ん……」 「……何というか……」 「救いの手は差し伸べへんで。ゼロじゃないだけマシやがな」  詠美、完全に撃沈。さっきからふみゅふみゅと嘆いているだけだ。 「……そうだ、今度メカ詠美にやらせてみるか。790,000になるかな?」 「……多分無理だと思うわ」 「ふみゅ〜〜〜ふみゅうう〜〜〜〜〜〜……」 「黙らんかいっ!!!」  すぱあああん。 「……疲れた……」  授業終了。和樹は今までにない真面目な授業に疲労困憊していた。いや、和樹に限らず 千堂家の人々(特に詠美)の表情は芳しくない。 「……次の授業はどうにかしなきゃね……」  ひかりはぼそっと呟くと教室を後にした。  後書き  久しぶりに書くとかなり真面目になりました(^^;  今度他のクラスでもやってみたいなあ……IQテスト。  ちなみに私本人はIQテストを受けたことがありません。テスト項目などは心理学の内 容で多少勉強したので、多分間違ったことは書いてないはずですが……  なお、各キャラクターの順位に関する苦情は……できたらご遠慮下さい。私欲が入ってしまったのは自覚していますから……  では、失礼します。                                      竜山
 ☆ コメント ☆ 詠美 :「ふみゅ〜〜〜」(;;) 由宇 :「なんや。まだ、泣いとったんか」 詠美 :「ふみゅふみゅふみゅ〜〜〜ん」(;;) 由宇 :「やっぱり、ダントツのビリというのは、さすがに堪えたんやろか」 詠美 :「ふみゅ〜〜〜ん」(;;) 由宇 :「ショックの余り、人間の言葉を忘れとるし」(−−; 詠美 :「ふみゅふみゅ〜ん」(;;) 由宇 :「えーーーい!! やかましーーー!!(スパーーーン!!)」(ーーメ 詠美 :「ふみゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!      い、痛いじゃないの! この性悪パンダ!!」凸(ーーメ 由宇 :「治してやったんや。文句言うな。      おかげで、人間の言葉を思い出したやろ?」(−−) 詠美 :「もっとマシな治し方しなさいよね!      デリケートな詠美ちゃん様の頭が壊れたらどうするのよ!?」凸(ーーメ 由宇 :「『毒をもって毒を制す』。ショックにはショックや。      それに、それ以上壊れたりしないから安心せい」(−−) 詠美 :「ふみゅ〜〜〜」(;;)



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