黒い風が頬を舐める。

 戦慄。

 時が一瞬凍りつく。




「クックック…殺してやるよ…」



 鬼。
 そう形容するに相応しい生物が、ニヤリ、と笑う。

 そして…

 哀れな獲物にその爪が振り下ろされた。









「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
















 K.O.!!










「ぐあっ…7連敗…」
「あはは、まぐれですよ」

 ここはゲームセンター。
 佐藤家と柏木家が合同授業の名の元に、新ゲームのテストプレイを行っていた。






私立了承学園 4日目 6時間目 痕・Piece Of Heart
「なんだよ耕一、天下無敵のぐーたら大学生やってた割にはてんで弱いなぁ」 「う、うるせぇ」  梓がニヤニヤ笑いながら耕一をからかう。  事実、目の前の優等生に新ゲーム「ストライキファイターL」で既に7連敗を喫し ているのでぐうの音も出ない。 「そ、それにしても雅史君強いなぁ、実は学校サボって入り浸ってたりしないか?」  これ以上梓にからかわれないように、雅史に話しを振る耕一。  雅史は右手で自分の後頭部をなでるようなしぐさをしてはにかみ笑いをうかべ、 「そんなことは無いですよ」  と一言。 「優等生は何やっても要領がいいってことだよ、どっかのぐーたらと違ってね」 「うぐぐ…」  結局梓に更なるからかいの材料を与えてしまっただけだった。 「…耕一さん」  耕一が梓のイビリに耐えていると、楓が控えめに前に出た。 「楓ちゃん?」 「代わってください」  そう言って耕一をじっと見つめる。  その目には一種の闘志のようなものが見えた。 「あ、ああ」  半ば気おされるように席を譲る耕一。  楓は頭を下げ、そこに座る。 「…佐藤さん、よろしくお願いします」 「こちらこそ」  律儀に挨拶などする2人。  なぜか場に緊張が走る。  実力伯仲。  2人の戦いは熾烈を極めた。  結果。  5戦3勝2敗で楓の勝利。 「…戦いの後に残るのはいつも空しさ」  ゆっくりと席を立ち、楓は悲しげに言った。  それはそれで絵になるから、流石は楓、と言ったところか。  しかしその様子に見とれる皆を見回して、楓はさらに悲しそうな顔をする。 「…つっこむところです」  そしてそう言った。  その場にいる全員の額に縦線が入る。 (楓(ちゃん・お姉ちゃん)がやると冗談だか本気だかわかんねー!) 「…しくしく」 「あーっゴメン楓ちゃん、元気出して!!」 「そ、そうだよお姉ちゃん! 明日があるよ!(意味不明)」  かがみこんで指で床に「の」の字を書き始める楓を耕一と初音は慌てて慰めた。 「か、楓さんて面白い方ですね…」 「う、うん、そうだね…」  そんなことを言いながら、圭子と雅史はひきつった笑みをを浮かべていた。  その後もテストプレイの名を借りた対戦は続く。 「お嬢様は魔女2」  耕一 1,013,600点  雅史 3,221,000点 「ぐふっ…」 「なんだ耕一、コレもダメか」 「あはは、これは僕、前作を浩之達と結構やりこんでましたから」 (俺もやりこんでいたという事は伏せておこう…) (耕一さんがやりこんでいたという事を伏せておこうと考えたことは伏せておこう…)  情けないことを考える耕一だったが、楓には筒抜けだった。 「○△□×☆」  耕一対雅史。  耕一の5連敗。 「…まぁ、こういうのは頭がモノを言いそうだからな」 「う、うるせぃ…」 「雅史さん、凄いです!」 「ありがと、圭子ちゃん」  雅史対楓  3勝2敗で雅史の勝ち。 「無念です…」 「楓と雅史さんは何をやらせても実力伯仲ね」 「楓お姉ちゃん凄ーい!」 「それほどでもないです」  その後いわゆる音ゲーやジャンル分類不明のゲームなどをいくつかプレイしたが、 そのどれも耕一は雅史に勝てなかった。 ---------------------------------------------------------------------------- 「ぐーたらはぐーたらなりの根性を見せてほしかったんだがなぁ…」  雅史達と別れ、教室へ戻る道、ジト目で梓が耕一を睨む。 「うぐぐ…面目無い…」  さすがにこれだけ完膚なきまでに叩きのめされれば一言の反論も出来ない。  耕一はただうなだれるだけだった。  そこまで気落ちする耕一を見て梓は吹きだすと、それまでの態度を一変させ、 「なーんてね、別にゲームが下手なくらいで気落ちすんなって」  と、耕一の方をぽんぽん、と叩いて優しく声をかけてやった。 「あ、梓…?」 「そうだよ耕一お兄ちゃん、わたしたち別に耕一お兄ちゃんがゲーム上手じゃなくた って全然平気だよ」 「そうです、ゲームの弱い耕一さんも、私達を護ってくれる強い耕一さんも、全部含 めて私達の大好きな耕一さんです」 「そうですよ、人間誰しも向き不向きはあるものです。お気になさらずに」 「ま、そういうこった。ちょっとからかいすぎたな、ゴメン」 「…みんな…」  耕一を見て優しく微笑む4姉妹。  それは耕一にとってなによりの気付け薬だった。 「でも…」 「ここ一番というときは…」 「たよりにしてるぜ?」 「耕一さん!」 「おうっ! そんときはまかしとけっ!」 「「「「うんっ!」」」」 <おわり?> 「雅史さんてゲームも上手なんですね」 「あはは、そうでもないよ。浩之や志保には全然敵わないし」 「はぁ…確かに、あのお2人は上手そうですね」 「それって2人が遊び人みたいってこと?」 「え!? そ、そんなんじゃないですよっ!!」 「あはは…あれ、そう言えば住井君はどうしたんだろう?」 「あれ? そうですね、確か最初は一緒でしたよね?」 「うん…」  こちらは佐藤家。  帰り道、ふとこの授業の担当だった住井護のことを思い出す。  その頃、件の住井は… 「ぬおおぉーっ! ノルマは後2つっ!!」  UFOキャッチャーでピーチのぬいぐるみゲットに躍起になっていた。  「修行」の名の元、ひたすら励む住井。 『支配者たるもの、1,000円で9つはゲットできるようにならねば始まらん!!』 『はいっ、師匠!!』  住井、戻って来い。 <おわり。>
 ERRです。  頭悪いですね、ごめんなさい、自覚はしてます(笑)  …住井、戻って来い。  …ていうか、私が向こうへやってしまったのか(爆)
 ☆ コメント ☆ 綾香 :「うぐぐぐ。セリオ相手に『ストライキファイター』13連敗」(−−; セリオ:「おーほっほっほっほ。いくらでも相手をしてさしあげますことよ」(^0^) 綾香 :「む、むっきーーーっ!! 悔しいーーーっ!!」(ーー;;; セリオ:「おーほっほっほっほっほっほ」(^0^) 綾香 :「それにしても、なんであんたはそんなに強いのよ!?      なんかズルしてるんじゃないの!? 変なデータをダウンロードしてるとか」(ーー; セリオ:「失礼な事を言わないで下さい!! これはわたしの実力です!!」(−−メ 綾香 :「ホントにぃ〜?」(ーー; セリオ:「本当です! わたしの努力の結果です!!」 綾香 :「むー」(ーー; セリオ:「練習の為に家庭用も購入しましたし。      ううっ。なんど血豆を作ったことか」(;;) 綾香 :「は? ちまめ?」(−−; セリオ:「そうなんですよ。ついつい熱中しすぎてしまいまして」(^ ^ゞ 綾香 :「あ……そ、そう。      ところで、セリオ。あなたって、本当にロボット……だよね?」(−−; セリオ:「当たり前じゃないですか。どうして、そんな事を訊くんです?」(・・? 綾香 :「いえ……ただ、なんとなく……ね」(−−;;; セリオ:「???」(・・?



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