了承学園 五日目 一時間目 番外編 「やっと、着いたわね。」 小さなバス停に降り立ったのは、了承学園の理事長の水瀬秋子と校長の 神岸ひかりだった。 「ねえ、秋子なんでわざわざバスなんか使ったの」 「あらたまには、バスも良いかと思っただけよ」 二人が来たのは、海沿いの小さな町だった。 「本当に、この町であってるの」 「ええ、間違っていないはずだけど」 一方その頃 町の住宅街のにある一軒の家の中では、七人の男女が真剣な顔をして 話し合いをしていた。 「さあ、居候これにさっさとサインせんか」 そう言ったのは、赤い長髪の気の強そうな女性だった。 「その通りだ、男は諦めが肝心だぞ」 隣に座っていた、黒髪の女性がそう口を開いた。 「そうだぞー、早くサインしろーーー」 喧嘩腰でそう言ったのは、まだ幼い少女のものだった。 「いや、しかし・・・・」 3人に詰め寄られているのは、目つきは悪いがどこか優しげな雰囲気を もつ青年だった。 彼の名前は、国崎往人。 かつて、古ぼけた人形を持ち遥か遠い約束を果たすために各地を回っていた 旅の青年である。 そして、この海沿いの小さな町でその約束は果たされたのだった。 その道のりは、辛く悲しみに満ちたものだった。 しかし、今は大切な人達のもとで騒がしいが安らいだ日々を過ごしている。 それは、彼の隣で笑顔を見せている3人の少女達だった。 「にはは・・・ダメだよお母さん、往人さんが怯えているよ」 そう言ったのは、柔らかな笑顔を見せている少女。神尾観鈴と言うのが彼女の 名前である。 彼女が、話し掛けた赤髪の女性が神尾晴子。 観鈴の母親である。 紆余曲折はあったものの、今では堅い絆で結ばれた親子である。 「そうだよーー!!お姉ちゃんの言う通り男の人は、諦めが肝心だぞーー」 そう口を開いたのは、ショートカットの元気そうな少女だった。 彼女の名前は霧島佳乃。黒髪の女性が霧島聖、彼女の大切な姉である。 「・・・・・ぽっ」 「何故、照れる???」 頬を赤く染めている少女は、遠野美凪と言う名前の少女だった。 そして、美凪の前に座っている幼い少女がみちると言う名前だった。 「あのなぁ〜、いくらなんでもそれは無理があるだろ」 「ほんまやて、信じてへんみたいやけどな」 「多夫多妻制なんて無茶苦茶な法律信じられるか!!!」 「本当たぞ、国崎君」 「にはは・・・往人さん、なんで信じないかなぁ」 「ホントだよ往人君、今ならかのりんのお婿さん一号になれるんだよ」 「一号って、オマエ二号とか三号もいるのか?」 「これは、特別で定員は一人なんだよ!」 「・・・・進呈」 「なんでやねんーーーー」 「・・・鋭い切れ味」 「しかし、三人とも君にとっては、大切な存在なのだろ」 「ああ・・・」 「なら迷う事はあるまい」 「しかし・・・」 「しかしもかかしもあらへん」 そう往人はしばらく現世にいなかったので、多夫多妻制が導入されたことを 知らなかったのだ。 その時・・・ ピンポーーーーン 神尾家の玄関で呼び鈴が鳴った。 「なんやねん、誰か来たみたいやな」 「ハイハーイ、どちら様ですかーー」 がらがらがらーー 玄関の扉を開けるとそこに居たのは、秋子さんとひかりさんだった。 「ん、あんた誰やねん」 「私は、了承学園の理事長の水瀬秋子と言います」 「私は、校長の神岸ひかりです」 「何で学校の人が、家にきとんねん」 「我が学園は、多夫多妻制の家族を支援しているんですよ」 「ほんまかいな、それ」 「本当です」 「そうか、なら話しは早いな」 「わっっ!いきなり後ろに立たんといてな先生」 「これは、失礼した」 「あの、なにか???」 「いや、中にいる男がなかなか信じないのでな」 「なるほど」 「お二人さんからも説明したってや」 「判りました」 それから、しばらく後 「なるほど、どうやら事実のようだな」 「な、ゆったとおりやろ」 「というわけで、サインを押してもらおうか?」 「押せーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」 「ちょ、ちょっとまってくれ」 「何故だ」 「そうや、なんでやねん」 「俺は、今まで一人だったから・・・・家族を持っても皆を幸せにする 自身が無いんだ」 「居候・・・・」 「・・・・皆で暮らす事それ自体が、幸せだと思う」 「そうだよ!美凪さんの言う通りだよ」 「その通りだ」 「私達も往人さんも今まで悲しい事、辛い事が多かったから・・・・ だから、皆で幸せにならなきゃダメなんだと思う」 「その通りです。皆さんには、幸せになる権利があるんです。ですから、 どうでしょう?我が学園でいろんな事を学んではいかがでしょうか?」 「俺は・・・・」 「往人さん・・・皆でこれから勉強していこ」 「ねっ、いこーーー往人君」 「・・・・・一歩を踏み出す勇気。それを教えてくれたのはあなた」 「判りました。秋子さん、ひかりさん、俺達お世話になります」 「了承」 「じゃ、とっとと準備せんとな」 「そうだな、必要な物を用意せんとな」 「みちるも手伝うーーーー」 fin −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 後書き 初めまして、k’sと言う物です。了承学園をいつも楽しみにして読 んでいます。初めてssを書きました。まだまだ、修行中の身ですが 使っていただけると幸いです。 内容は、Airの学園に行く前の話しです。時期的には、本編の後の 話しです。エンディングを見た後、あまりに悲しかったので自分的に ハッピーエンドを考えた結果です。もし、採用されたら次は彼らにも 出演してもらいたいと思います。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
☆ コメント ☆ 綾香 :「ま、また生徒が増えるのね」(^ ^; セリオ:「賑やかになっていいじゃないですか」(^0^) 綾香 :「まあね」(^^) セリオ:「それにしても……個性的な人たちみたいですねぇ」(;^_^A 綾香 :「世間一般の基準で見ればね」(^ ^; セリオ:「あ、あはは」(;^_^A 綾香 :「『了承学園』には変な人がいっぱいいるからねぇ。      彼らくらいなら全然普通よ」(^^) セリオ:「確かに。      綾香さんを筆頭に、おかしな人が多いですからね」(;^_^A 綾香 :「………あ、あんたねぇ。      どさくさに紛れてなんてことを言うのよ!!」(ーーメ セリオ:「ん? わたし、何か変なこと言いましたっけ?」(・・? 綾香 :「こ、こいつはぁ〜〜〜!!」凸(ーーメ セリオ:「???」(・・?



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