朝になった。 「……ん!?」  慌てて飛び起きる1人の男がいる。 「……」  頭の中を整理しているらしい。寝る前はどうしてて、どうして俺がここへ来て……! 「そうだ、エリア!?」  慌てて見回す。  エリアがいない。 「エリア、エリア!!」  まさか、ルミラ先生にマジでさらわれちまったか!? 「エリア……畜生!!」  俺が、俺がしっかりしていれば。  俺が寝なければ、ひょっとしたらエリアは助かったかも知れないのに。 「……エリアーーーーーッ!!!」 「はい?」  絶叫した誠を、不思議そうにエリアは見つめていた。  私立了承学園   5日目1時限 「Heart To Heart」編 「……何だよ……飯の用意してたんだったら呼んだときにちゃんと答えてくれよ」 「済みません……ちょうどお湯が沸いたところで、あまり他の音が聞こえなくて……」  結局、ルミラにさらわれたというのは誠の思い過ごしだった。今、誠とエリアは朝食を 食べている。フランソワーズは……朝までわざと待つことで油断させ、突然やって来るか も知れないと戸口でルミラを警戒していた。 「そうだ、さくらとあかねは?」 「……どうなんでしょう? 私がご飯の用意を始めようとしたときには、もういませんで したけど……」 「何やってるんだ、あいつら……早く来ないと、俺が飯くっちまうぞ?」  実際、エリアが気を落ち着けて誠から離れた時には、もう2人はいなかったのだ。エリ アにも居所は分からない。腕時計に込められたリンクスの魔力を辿れば知ることもできる が、プライバシー侵害のような気がしてやる気は出なかった。  その後数分ほど、誠とエリア、2人だけの朝食が続いた。 「……」 「……」  会話がない。別に冷めているわけではない。  エリアにとって……このシチュエーションは凄まじく緊張するのだ。  誠にとって……朝食とは話をせずに味わいながら一気に食べるものなのだ(笑)。 「あ、あの……」  ぱくぱくぱくぱく。 「その……」  がつがつがつがつ。 「……ふぅ……」  どうやら諦めたらしい。しかし、諦めることでエリアの精神はかなり楽になった。それ までの緊張した顔から、自然な微笑みになった。  がちゃり。  ドアの開く音がする。 「……?」  朝食に集中している誠の側をそっと離れて、エリアは玄関へ行ってみた。 「あ、お帰りなさいませ」  エリアは開口一番、そう言った。  さくらとあかねが戻ってきたのだ。 「どこへ行ってた……」  その時になって、2人の様子がおかしいことに気づく。 「どう……されました?」 「わたしたち、ご飯はいらないから……」 「先に行ってますね」  エリアにとってショックな言葉だった。  よく考えれば、誠の隣にいられるのだから、ラッキーな言葉かも知れない。しかし、誠 と一緒に登校しないと2人が宣言したこと、それ自体がショックだった。 「……どうしてですか?」 「?」 「どうして、誠さんと一緒にいようとしないんですか?」  エリアにとって、この3人は3人揃って初めて意味がある。確かに誠が特別なのは認め るが、しかしさくらやあかねと一緒にいない誠など……そして、誠と一緒にいないさくら やあかねを、エリアが認める気はない。 「……分かりません?」 「はい」 「エリアちゃん。そのままだったら、失格だよ」 「……え?」 「もしホントに分かってないなら、まーくんを想う人として失格だよ!」  ……聞かれたんだ。  だから、朝、いなかったんだ。  あまりの出来事に頭がパニックに陥っているエリア。それを後目に、2人は学園へと向 かっていった。 「さくらちゃん」 「はい」 「まーくん、何て答えるかな?」  途上、そんな話をした。  誠の事は知り尽くしている2人だが、今回ばかりは誠の反応を予想できない。  ……それがすごく、恐かった。 「結局は、まーくん次第ですよ」 「……」 「……」 「……」 「……あかねちゃん……」 「……」 「もし……もし、まーくんが際限なくなって……」 「……」 「もし、本当にもしだけど、まーくんが例えば……学園中の女の人を好きになったりした ら……」 「さくらちゃん!!」 「分かってます! 考えちゃいけないって、まーくんを信じなきゃいけないって、分かっ てるけど、不安なんですっ!! まーくんがこっちを向いてくれなくなるんじゃないかっ て、とっても恐いんですっ!!」  ……沈黙が流れる。  2人はそのまま、了承学園の校舎へと向かった。 「誠さん……」 「ん? どうした、エリア?」 「……あかねさんとさくらさんは、先に行かれたそうです」 「お?……本当か?」 「はい」 「……んな馬鹿な……ま、おおかた用事でも出来たんだろ……」  無理して納得しているのが見え見えだった。 「私は教職の関係で、先に行きますけど……いいですか?」 「おう」  エリアもまた、誠と一緒に学校へ行く気はしなかった。  ……一気に事が進みすぎた。  時間が足り無すぎた。 「しょーがねーな。フラン、行こうぜ」 「……はい、誠様」  全く納得していない表情のフランソワーズ。  2人は会話も少なげに、了承学園へと登校した。  そして、この様子を見て頭を痛める1人の女性。 「ああーーーもうっ!! どうしてこのクラスは問題が解決しないのよっ!!!」 「……ルミラ様、落ち着いてってば」 「もうしょうがないわねっ! イビル! 2時限、私がもらうわよっ!!」 「えっ!?」  言い返すよりも早く、ルミラはその場を去った。 「……昨日あんな予告状送っといて、授業に出る気かルミラ様は……?」  当然、言わんとしたことはルミラの耳には届いていない……  2時限の最初のルミラの運命は決まったも同然だった。  後書き  いきなりですが、2時間続けて書く覚悟でこれを書きました。  1時間で解決させなかった理由は……   1,2時限以降がかなりきつくなる(特に放課後)   2,文筆力不足(これが最も大きな理由……)  2時限では綺麗に完結させます。お約束します。  ……ですので、もう少しお待ち下さい(爆)  もしくは、どなたかに書いていただくか……いや、自分でやります。  2時限を空けておいて頂ければ幸いです。  では、駄文失礼。
 ☆ コメント ☆ 綾香 :「な、なんか、修羅場ねぇ」(^ ^; セリオ:「修羅場ですねぇ」(;^_^A 綾香 :「こういう話って困っちゃうわよね。      変なコメントを付けられないんだもん」 セリオ:「そうですね」 綾香 :「まあ、2時限目に続くみたいだし。      ここは、月並みだけど……」 セリオ:「次の時間に期待しましょう! ですね」(;^_^A 綾香 :「うん。てなわけで、コメント終わり。      それじゃ、オチをつけといてね、セリオ」(^0^) セリオ:「は?」(@◇@;; 綾香 :「頑張ってね」(^0^) セリオ:「わ、わかりました。頑張ります」(@◇@)ゝ 綾香 :「うんうん」(^^) セリオ:「うーん、うーん」(−−) 綾香 :「ふぁいと」(^^) セリオ:「うーーーん、うーーーん」(−−) 綾香 :「……………………」(^^) セリオ:「……………………」(−−) 綾香 :「……………………」(^^) セリオ:「お、オチがつかないと落ち着かないなぁ。      なーんちゃって。あはは」(^0^) 綾香 :「……ゴメン。無茶な要求をした、あたしが悪かったわ」(−−;;;



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