私立了承学園    HtHサイド 4日目昼休み ばくばくむしゃむしゃもぐもぐ・・・。 今日も今日とて了承学園の食堂には大量に飯を食う男がいた。 食欲魔人、藤井誠その人である。 まぁ、大量に食べるのは彼だけではないが。 「ごちそうさま。ふうー、食った食った」 「まーくん、幸せそうですね」 「まーくん、あんまり食べると動けなくなっちゃうよ」 「大丈夫、まだまだ余裕だ」 「私達まーくんのことはたいてい知ってますけど、食欲の限界は知らないですね」 「まーくんの胃袋って限界あるの?」 「そりゃあるだろ。でもそれがどれくらいかっていうのは、実は俺にもわかんねーんだ」 「限りはあるが果てはない、でしょうか?」 「わぁ、まーくんの胃袋って宇宙なんだ」 「おいおい、そりゃねーだろ」 そこで誠が雑談を打ち切り席を立つ。 「どしたの?まーくん」 「ああ、ちょっと散歩にでも行こうかと思ってな」 「じゃ、私達も一緒に・・・」 「いいって、まだ食ってる途中だろ?料理は全部食わないと作ってくれた人に失礼だからな」 「うみゃ、じゃ、食べてから行く」 「ああ。つってもそこらへんほっつき回るつもりだから会えるかわかんねーけどな」 「大丈夫だよ、きっと」 「ああ、そうだな。じゃ、行ってくる」 こうして誠は食堂を後にした。 そして今、誠は廊下を歩いている。 その目の前にはT字路があった。 そこには二つの影が潜んでいる。 「はぁ〜……やっぱりここの食堂は最高だなぁ。 上手いし、安いし、早いし、この学園に来て良かったなぁ♪」 そんなことは露知らず、誠は満足気に腹を擦りつつ、影が潜むT字路へと歩いてくる。 そして、二人の前を通り過ぎた。 「今だよっ!」 「誠君、ゴメンねっ!」 影・・・名雪と瑞佳は一気に飛び出すと、背後から誠に襲い掛かる。 そして、クロロホルムを染み込ませたハンカチで誠の口と鼻を塞いだ。 「むぐっ……ぐ……」 あまりに突然のことで、誠は抵抗する暇もなく、クロロホルムの効果でバタリと廊下に倒れる。 そして、すぐに寝息をたて始めた。 「さ、後は誠君を中庭に連れていくだけだよ♪」 と、名雪は誠の脇の下に手を入れて上体を持ち上げた。 「はぅ〜……何か、犯罪者になった気分だよ」 瑞佳もタメ息をつきつつも、誠の足を持ち上げる。 そして、眠る誠を抱えて、えっちらおっちらと中庭へ向かった。 程なくして、中庭に猫が集まり始める。 「ねこー、ねこー、ねこさんだよぉぉぉぉぉーーーーー♪」 「きゃ〜〜〜〜っ☆ いっばい寄ってくるよ〜〜〜〜〜♪」 「ねこー、ねこー、ねこー、ねこー、ねこー、ねこー♪」 「はぁ〜……可愛いよぉ〜♪ 幸せだよぉ〜♪」 二人は猫に囲まれて幸せに浸っていた。 そこへ美緒が走ってくる。 「ていっ」 ついでに誠に飛びげりをかます。 がす。 当然それは誠にヒットした。 が、もともと大して威力もない上にクロロホルムの効果がまだ続いているので、 誠が起きる気配はない。 「わぁ、こっちにもねこさんがいるよー♪」 美緒に気付いた名雪が抱きつく。 もっとも、美緒は今は耳も尻尾も隠している。 にもかかわらず名雪が正体を見破るのはさすがといえよう。 「うー、ねこじゃないのだ」 不満そうな声を美緒があげる。 「陣内。何しとるか」 先ほどのけりのシーンを見ていた薫が、美緒を追いかけてやってきた。 「人様に迷惑をかけるようなこと、するんじゃなか。ほら、ちゃんと謝らんか」 「うー、でもこいつ起きてないよ」 「そういう問題じゃなか。人としての礼儀よ」 「うー、悪かったのだ」 「ところで陣内、何でここに来たの?」 「なんとなくこっちに来たくなったのだ」 「?よくわからんけど、帰るよ」 「らじゃった」 「うにゅー、帰っちゃうの?」 「じゃーねー」 「うん、じゃーねー」 しばらく時間がたつと、あかねがやってきて誠の隣りにねっころがった。 「まーくんとお昼寝〜♪」 それはとても幸せそうな顔だった。 またしばらくして、今度は浩平と祐一がやってくる。 「ち、まさか誠を使うとはな。やられたぜ」 「ホント、裏をかかれたな」 「ほら、名雪。戻るぞ」 「ねこさ〜ん、ねこさ〜ん」 無理やり引っ張っていく祐一。 「う〜、祐一嫌い〜」 「何言ってんだ、こんなに涙流してるじゃないか。猫アレルギーなんだから無理するんじゃない」 「ねこさ〜ん」 「なぁ、名雪。おまえに何かあったら俺は耐えられないんだ」 「祐一・・・」 「俺は絶対におまえを危ない目に会わせたくない。 だからといって束縛もしたくはないんだが、どうしてもそういう面も出てしまう」 「・・・」 「おまえの猫好きはよく知ってる。 でも俺のいないところでおまえに何かあったら耐えられない。 だから、猫とじゃれるのも俺のいるところでしてほしいんだ」 「じゃあ、祐一いつも一緒にいてくれる?」 「ああ。約束したろ?ずっとそばにいるって」 「うん・・・」 「とは言っても、限界はあるけどな。出来るだけそばにいるよ」 「うん♪」 そしてラブラブな雰囲気を発生させて二人は去っていった。 「・・・なんだかなぁ・・・」 何だか圧倒されて、浩平は絶句していた。 「ほら、もう相沢も水瀬も帰ったぞ。俺達も行くぞ」 「浩平ー、この子かわいいよ。ほら、見て」 「だぁー、いくぞ」 「餌とか誰があげてるのかなー?あげに来てもいいのかなー?」 「別にいいだろ。行くぞ」 こうして浩平と瑞佳も去っていった。 ん・・・ここは・・・。 俺が目を覚ましたところは中庭だった。周りには大量の猫、そして隣りにはあかねがいる。 (あれ・・・俺中庭になんて来たかな?) 寝ぼけているせいかよく思い出せない。 キーンコーンカーンコーン・・・。 チャイムが鳴った。 「っといけね。ほら、あかね。起きろ」 ゆっくり寝顔を見ていたい気もするがそうも言っていられない。 「んにゅ、まーくん・・・おはよー」 「おい、もうチャイムなったぞ」 「え、ホント!?いそがなきゃ」 俺達はあわただしく教室に向かっていった。 それにしても、俺中庭になんて来てたかな・・・? 「ほら、まーくん。行こう」 「ん、おう」 ま、いっか。んなことは。 まだ眠い目をこすりつつ、俺達は家族の元へ向かっていった。 了 --------------------------------------------------------------------------------   あとがき お久しぶりです。DILMです。 もう二ヶ月以上も投稿してなかったんですね(A^_^; ネタがなかったわけじゃないんですが、時間とか諸々の都合で全然書いてなかったです。 まぁ、久しぶりということで穴埋めを。 HtH初挑戦です。でもHtHのキャラが全然目立ってないです(^^; 薫のしゃべり方とかもおかしいですし(^^; まだ忙しいんで、次までも時間が空きそうです。時間がほしい・・・。 それでは。
 ☆ コメント ☆ セリオ:「あらら。誠さんってば、すっかりアイテム扱いですねぇ」(;^_^A 綾香 :「……………………中庭」(−−) セリオ:「え? ど、どうしたんです?」 綾香 :「なんでか分からないけど、中庭に行かなければいけないような気がするのよ」(−−) セリオ:「は?」 綾香 :「誰かに呼ばれてるような気がするの」(−−) セリオ:「へ?」 綾香 :「そういうわけだから、あたし、行って来るわね」(−−) セリオ:「え? え? え?      ちょっと、綾香さん!? 中庭に行ってどうするんですか!?      ……って、中庭?      ……………………ま、まさか」(−−;  ・  ・  ・  ・  ・ 名雪 :「ねこーねこー」(*^^*) 瑞佳 :「わー、猫さんがいっぱいだよー」(*^^*)  誠 :「すぴょすぴょすぴょ」(−−)



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