了承学園外伝 「マインの日記」 (○月☆◎日) 一ヶ月の研修が終了し、正式に学園スタッフとして就任したことをきっかけに日記 をつけることにしました。実をいうとメイフィア様の勧めです。 単なる記録ではなく、文字という形でその日の出来事をまとめる事で文章構成力が 養われ、またその時には気づかなかった事を再発見することもある。何より「感受 性」を培う効果がある…ということです。そういうものなのでしょうか。ただ、人の 心理に対する理解が深くなれば、より良く人に仕えることができるだろうとは思いま す。 「メイフィア様はご自分では日記をつけられているのですか?」 「なんでアタシがそんなめんどいこと好き好んでやらなきゃいけないのよ助手A?」 …論評は差し控えたいと思います。 とにかく、正式な部署は明日辞令が降りるということで、全てはそこからというこ とになります。私とBさんは、保健室のスタッフという予定にまず変更はないかと思 われますが。 今、読み返して見て、とりあえず日記としてはこういう体裁でいいのだろうか、と いうことが少々不安です。別に誰かに読んでもらうために書くものではないのです が。 「日記ってのはねー、死後に他人の悪口を残すことを狙って書くもんなのよ」 と、メイフィア様はおっしゃいますがが、それは何か間違っているような気もしま す。 以上で今日の記載は終了。 (○月☆×日) 予定は確定ならず、とは誰の言葉だったでしょう。出典は私の手持ちのデータの中 には入っていません。 私の職務は「阿部貴之」様専属の介護役に決定いたしました。一応所属そのものは 保健室スタッフチームで管理責任者は今まで通りメイフィア様なのですが、これはほ とんど名目上だけのもので、実際には私が直接仕えさせていただく阿部様と、学園教 師である「柳川裕也」様が私の事実上の管理者ということでしょう。 今日、理事長室で秋子様からお二方を紹介して頂きました。 阿部様は年の頃は二十歳前後、割と長身でやや長めに伸ばした髪が特徴的な、おっ とりとした(メイフィア様はのほほん、と表現していますが)お方で、物腰も穏やか です。ただ、一見健康上何の問題もないように見受けられますが、後で伺った話によ ると、以前、薬物の大量摂取により一時廃人同様にされてしまい、今だその後遺症が 残っているのだとか。時々、不定期に精神的活力が異常低下し、心神喪失を起こすそ うです。 一方の柳川様は、外見は阿部様より更に長身で線の細い、やや神経質そうな二十代 後半と推測される男性で、この方が現在阿部様の保護者ということ。 挨拶をしても、阿部様は笑って挨拶を返してくれましたが、柳川様には完全に無視 されました。どうも、かなり気難しい性格の方のようです。 「で?こいつの名前は?」 その質問も、私本人ではなくメイフィア様に発せられたものでした。 「んー?名前?ああ…実はまだ決ってないのよ。とりあえずあたしは便宜上、助手 Aって呼んでるんだけど。あ、こっちは助手Bね」 「…まあ、覚えやすくていいか」 「適当に柳川センセがつけちゃってよ」 「面倒だな。ま、別に名前なんぞどうでもいい。ちゃんと貴之を看ていてくれさえす ればな」 …こうして書き留めてみると、成程、その時にはわからなかったことも見えてきま す。この時は、柳川様は本当にどうでもよさそうな感じだったのですが、今、日記の ために記録データを再生してみると、微妙な表情の変化があるように思えます。それ が具体的に何であるかは、わからないのですが。 とにかく職務と、とりあえずのユーザーが決定した以上、私は御二方のために全力 を尽くすだけです。 明日は教員寮に柳川様達と、ささやかながら私の荷物を運びこむ予定。 (○月☆△日) 柳川様は普通の人間ではありませんでした。 4階の部屋まで、冷蔵庫を抱えて跳びあがるなんて真似はロボットにも不可能な行 為です。 事前に渡された資料で、エルクゥ=鬼、という、500年程前に地球に漂着した地球 外生命体の遺伝形質を強く保有しておられるとことは知っていましたが、しかしこれ ほどのものとは、正しく把握していませんでした。反省。 とにかく柳川様のお力で、予想より荷物が少なかったということもありますが、搬 入そのものはスムーズに終わりました。が、その後の整理にやたらと時間をとられて しまいました。 「貴之、パソコンのケーブルはどこにしまったんだ?」 「あれ?一緒の箱に入ってなかった?」 「…ありません」 何故、ケーブルだけが中華鍋が入った箱と一緒なのでしょう。しかも箱には「衣 類」と書いてあります。 結局、昼から始めた作業は夕方近くまでかかってしまい、仕方なく今日の夕食は近 くのコンビニでお弁当を買って済ませてしまいました。 …反省、しなければならない。 (○月☆◇日) と、日記に書いていたのに朝食の買い物を忘れていたので、朝からインスタント ラーメンになってしまいました。 「いやー。いかにも男所帯らしくショっぱい食生活だねぇ〜」 貴之様はほがらかに笑っておられましたが、柳川様は終始無言でした。 こんなことではいけません。猛省。 余談ですが、お二人をお呼びする時、最初どちらも姓でお呼びしていたのですけれ ど、 「そんな仰々しく阿部様、なんて呼ばれるのはこそばゆいなぁ。貴之さん、くらいで いいよ」 「わかりました。…貴之様、ですね」 「どーしても様、っていっちゃうんだねお前…まあいいや、それで」 それに合わせて柳川様も「裕也様」とお呼びしたところ、露骨に顔を顰めて嫌がっ ておられたので、結局元どおり柳川様、とお呼びすることになりました。 本日はお二人とも事務上の様々な手続きがあり帰宅は20時以降になるとのこと。 昨日からの失敗を挽回するためにも、明日の朝食は必ず喜んでもらえるように準備を しなければ。 でも、私は一応介護食のレパートリーはあるけれど、普通食のデータの蓄積はあま りありません。いくら消化が良くて栄養のバランスがとれているとはいえ、おかゆと キザミ食ばかりというわけにもいきませんし。 途方にくれる、とはこういう時に使う表現なのでしょうか。 (○月☆▽日) 柳川様は肉類がお嫌いと伺っていたので、とりあえず無難に和食メニューで朝食を 準備。…目玉焼きを少々失敗してしまったけれど。 アボガドの納豆和えが意外に好評でした。 了承学園もいよいよ来月開校予定ということで、教師である柳川様、阿部様共にお 忙しいそうです。今日も帰りは遅くなるとのこと。介護役である私が付き添わなくて もよいのかと尋ねたところ、授業はまだ始まっていないので、柳川様が看るとのこ とです。でも、本当は、私を信用して下さってないような気もします。 「しっかり留守番頼むよ」 しばらくしっかり留守を守らなければならない。 (○月☆★日) 本日の朝食。 炊き込みご飯・しじみのすまし汁・アジの開き・ほうれん草のおひたし・大根とニ ンジンの酢の物。 すまし汁の味が薄すぎる、とお叱りを受ける。それと、柳川様はお魚もあまり好き ではないようで、ほとんど手をつけられなかった。 (○月○■日) 今日は洋風。 ガーリックトーストにトマトとパスタのサラダ、マッシュポテト、目玉焼き(ター ンオーバー)、オレンジジュース。 でも一番受けたのはクラッカーにチーズを乗せてオーブンで焼いたもの、というの は少し複雑です。苦し紛れの代物だったのですが。 現在、23時43分。今日も午前様だろうか? (○月○□日) 今朝、 阿部様が体調を崩されたので、今日は柳川様お一人で出勤された。 「容体が急変したらすぐに呼べ」 本当は、柳川様は側についていたいのでしょう。けれど、休みはとらずに出て行か れた。朝食を作る暇も無かったので、コーンフレークを一皿かきこんで。 多分、秋子様は休暇を申請すれば快く了承されるだろう。けれど、私という介護役 がいるのも関わらず仕事を放棄するわけにはいかない、と義理堅く考えておられるよ うだ。 正直、柳川様は見かけによらず粗暴でかなり自己中心的な方なのだが、こういった 面は律義である。ただ、起動して1ヵ月にもならない私がこのような事をいうのは大 それているが、柳川様のようなタイプの人間は、普通周囲から浮く、というか、嫌わ れるだろう、と思う。とにかく問題の多い、屈折した性格だから。 だが、この方は本当に貴之様のことを思っていらっしゃる。二時間置きに電話で確 認を入れるのはその証拠だろう。 どうして、この優しさを他の方には見せられないのだろう? 人間は、複雑だ。 (◎月□日) 「心配かけちゃったね。ごめんなさい」 それが、貴之様の第一声だった。昨日の、無気力で、無反応で、ただベッドに横た わっているだけだった状態が嘘のようだ。 今朝はレモングラスのハーブティーが好評。 昼、買い物の途中で保健室に顔を出してみた。その際、貴之様の件を相談してみ る。 「あー。時々ああなるのよねー。だから介護役がついてなきゃいけないってことで ね」 メイフィア様はそういって、昼間から般若湯を口にされました。こんなことはして 欲しくないのですけれど。 「ま、貴之に最高の治療をしてもらえる、っていうのが柳川先生がここに来る時に出 した条件だからね」 多分そんなことだろうと推測はしていましたが。そうでなければ、あの性格が捻じ 曲がった方があんなに熱心に勤務するとは思えません。とにかく貴之様に関する限 り、その行動パターンは非常に単純明快です。 久しぶりの里帰りでしたが、一つだけショックな事がありました。 舞奈さん。 私は未だに「助手A」ですが、Bさんは舞奈という名前を頂いていました。 なんだか、複雑な気分です。  就寝間際、柳川様がおっしゃいました。 「今後、貴之の介護はお前がメインでやってくれ。やはり、お前の方が上手みたい だ」  初めて柳川様に誉めていただきました。 (◎月☆日) 今日は、貴之様だけお休みを頂いたそうで二人で一日を過ごしました。考えてみる と、ここ数日はずっと一人で留守番していて、御二人とちゃんと語り合ったこともあ りません。 そこで、今日は貴之様がアルバムを引っ張り出してきて、色々なことを教えてくだ さいました。 「あの、これは誰でしょうか?」 「え?どれどれ…って、これは柳川さんじゃないか。まあ、確かに今とはちょっとイ メージが違うかもしれないけど」 そう言って貴之様は苦笑なさいましたが、実際、私にはわからなかったのです。 その写真はわずか2,3年前のもので、柳川様が隆山署に勤めていた頃のものだそ うですが、今とはまるでイメージが違います。 容姿そのものは変っていないのに、まるで別人のようです。 写真の中の柳川様は、他の同僚の方々の端で穏やかに、気弱そうな頼りない笑みを 浮かべていました。 今の、傲慢で、冷徹で、乱暴で、まるで抜き身の刃物のようにギラつく危険な感じ は微塵もありません。 人間は、これほどまでに変ってしまえるものなのでしょうか? (◎月○日) 今まで柳川様が私を呼ぶ時に使った言葉を上げてみる。 馬鹿。マヌケ。役立たず。ポンコツ。機械人形。ガラクタ。屑鉄。ジャンク。人 形。まがい物。ロボット。メカ。メイド。カス。ゴミ。 こうして羅列してみると、柳川様はつくづく、口が悪くて冷たい方だと思われる。 実際、日記には書いていないけれど小さな失敗は多々あって、その度に辛辣な口調で 罵倒される。貴之様のように、優しくはない。 でも、お前なんかいらない、帰れ、とは、言われたことはない。ひとしきりのの しった後、柳川様はいつもこうおっしゃる。 「次からはちゃんとやれ」 最近、柳川様のことばかり私は考えている。この方は複雑で、理解不能だ。 粗暴な面と繊細さと、冷たさと温かさが同居した、矛盾の塊のような方。 わからない。私には、この方がわからない。 優しくはない。けれど、決して、私を見捨てたりはしない。 非論理的だが、そんな感じがする。 (◎月◎日) 「ミートスパゲティというより、ミート焼きそば一万倍って感じだね」  貴之様の爽やかな一言が耳に痛い。  食後、珍しく柳川様から話題を振ってこられた。 「ガキの頃、テレビで刑事ドラマなんか見てると刑事って屋台でソバやうどんばっか 食ってるんだよな。…で、なんか、それが妙にうまそうに見えるんだよ」 「もしかして、それで柳川さん刑事になろうって思ったとか?」 「…実際はやっぱり特別うまいってわけじゃないけどな」  まさかとは思うが、しかし可能性は否定しきれない。 (◎月△日) 昨日は日記をつけなかった。 とにかく一昨日からの記録をつけてみることにする。 一昨日の晩、日記をつけた後に私は火の元の確認のために部屋を出た。そこでふ と、明日の朝食に何か注文があれば承っておこうと考え、柳川様の部屋を覗った。 柳川様は、夜は一人で眠る。それも寝室(ベッドと机があるだけの簡素な部屋だ) に鍵をかけて。そして、その窓には鉄格子が嵌っていて、ドアは見かけは普通だが実 は複合装甲になっている。壁にもかなり補強が入っている、特別な部屋だった。 その理由を私は初めて知った。 マスターキーで鍵を外し、重い扉を苦労して開けた。 部屋は、ナイトスタンドの照明だけで薄暗かった。 そして、フローリングの床に、柳川様は蹲っていた。 上半身は、寝衣がズタズタに引き裂かれほとんど裸だった。 そして、露出した肌には一面に、真っ赤な線条の痕が、縦横無尽に走っていた。ご 自分の爪で掻き毟ったためなのは明らかだった。 そして、そして、影になって見えない柳川様の顔に、しかし両眼に黄金色の光が 燈って、それだけが爛々と輝いていた。 がるうううう。 文字では、そうとしか表現できない、人間の声帯とは明らかに異質な唸り声を柳川 様は上げた。 身体の各所で、筋肉がまるでそこだけ別種の生き物のように蠕動していた。ヘビの ように、触手のように、盛り上がり、伸び上がり、縮み、膨張し、突出する。 必死になって人間の姿を保とうとしながら、しかし空しく、徐々にその形は崩れ始 めていて。 「柳川様…どこかお悪いのですか?」 悪いに決っている。我ながら馬鹿な質問をしたものだと思う。けれど放っておくわ けにはいかず、私は柳川様に取り縋った。 「…け」 「はい?」 「デテイケ…」 「柳川様、メイフィア様をお呼びしましょうか?何か、何か私にできることは」 「寄るナ!」 剛毛の生えた、巨大な腕が一閃し、私の身体はあっさりと壁に叩きつけられた。た だ一撃で、私の左腕部のフレームが歪み、機能を喪失した。千切れなかったのはせめ てもの僥倖だったと思う。 「逃げロ…さもなイと…壊されるぞ…!」 そして、柳川様は、言った。 「命令だ…部屋から出ていロ…」 命令とあっては、私は出て行くしかなかった。そして私が出ていった後、扉は乱暴 に閉じられ、そして中から鍵がかけられた。 私はしばらく何もできないまま、扉の前にすわりこんでしまっていた。 声が、聞こえてきた。 小さな、小さな声が聞こえていた。 「う。う。う。うううう。う。うううう。うう。うう。うううう。う…」 分厚いドア越しのその声は、小さくてよく聞き取れなかったけれど、それは、泣き 声だった。 間違いなかった。 今、こうして、日記を書きながらそのコトを思い出す度に、私の身体にかかるこの 過剰なパルスの負荷は何なのだろう。 私は、どこか壊れてしまっているのだろうか。修理してもらったばかりだというの に? 朝になるまで、私は柳川様の部屋の前に座りこんでいた。メイフィア様なり秋子様 なりに通報すべき事態であり、身体のダメージは大きいが決して深刻なものではな かったのに。  その時は、私は当然下すべき判断を、「失念」していたようだった。 そして、空が白み始めた頃、上半身を痕に覆い尽くされ、憔悴した柳川様が部屋か ら出てきて、来栖川重工了承学園内別室に連絡をつけて下さった。 まる一日かけて、修理が終わった私を、柳川様は迎えに来てくださった。 もう、その時にはいつもの柳川様だった。 そして、帰る途中で寄った公園のベンチに座って、事情を説明してくれた。 エルクゥとは生まれながらの狩猟種族だったのだそうだ。それは、破壊や殺戮と いった衝動が突出し、肥大した本能を持った、地球人とは異質な生命体であったとい う。現在、鬼の力は柏木家直系の者のみに伝えられているが、狩猟本能がより旺盛な 男子はほぼ例外無くその本能を押さえることができず、文字どおり古の伝説で語られ るそのままの、殺戮を喜びとする「鬼」になっていくのだという。 そして、柳川様もその本能を押さえることができないのだという。 「以前は、この発作は毎日続いていてな。昼間は鳴りを潜めているが、夜になると俺 の中で鬼が理性の檻を破ろうと吠えるんだ。…殺せ、殺せ、殺せ、ってな。…今は、 昨日みたいなことはたまにしか無いんだが…」 「それは、柳川様が本能を押え込みつつあるということではないのですか?」 私の言葉に、柳川様はゆっくりと首を振った。 「一度制御できなかった者は二度と成功することはない。努力や精神力に関係なく、 生まれつき、決っているんだ、これは。 …ただ、鬼はやり方を変えたのさ。一気に自分が外に出ようとするのではなく、 徐々に俺の心に浸蝕して、じわじわと成り代わろうとして、な」 無表情に、柳川様は息をついた。 「ふと気づくと、言うつもりのない事を言っている。しなくてもいいことをやってし まっている。思考法は何時の間にか乱暴な方法ばかりになっていて、それを疑問にも 思わず躊躇なくやってのけたりする。 自分が、だんだん変っていく。少しずつ壊れていくんだ…心が」 上着の胸の部分を、指がギュッと握り締める姿が、印象的だった。 「…今日、明日にまで差し迫った危険じゃない。いずれ鬼が完全に俺に成り代わると しても、それは何年も先の話だろう。だが、時々…吹き出るんだよ。昨日みたいに な。 だから…だからな。今後、夜中にみだりに俺の部屋に近づくな。そして、もし、俺 が完全に我を忘れて暴走してしまったその時は…」 一端言葉を切って、柳川様は冷静に言った。 「貴之を連れて逃げろ。貴之の身の安全を第一に考えてくれ。お前は、それだけに全 力を尽くせばいい」 この方は。 この方は、貴之様のことを常に第一に考えていらっしゃる。貴之様の幸せに心を砕 いていらっしゃる。 けれど、柳川様のヴィジョンに、貴之様の幸せはあっても、貴之様と自分が共に幸 せになる、という予測は無い。 柳川様は他人に対して隔意を持っておられる方だけれど、それより、何よりもまず ご自分自身を信用しておられない。 頼れるものが何もなくても、何ももっていなくても、力がなくても、何の準備も無 くても、それでも、前に進むとしたら、どうしたらいいのだろう? ただ一つ、私に予測できるとしたら、貴之様が完全に回復なさったら、この方は貴 之様の前から姿を消してしまうのではないだろうか。 (◎月◇日)  何もなし。  その一言で済んでしまうような、平凡な一日だった。  けれど、柳川様のことを知ってしまった以上、私は平静ではいられない。御二人と も、爆弾を抱えていらっしゃるのだから。  でも、当人達はまるでなんでもないように振舞っていらっしゃる。 「うぉりゃ――、究極神拳――!!」 「ああっ!?貴之っ、お前それはちょっとエグいんじゃないのかっ!?」  …今日の発見。柳川様は格闘ゲーム(専門用語では『格ゲー』というそうです)は あまり得意ではなさそうだ。 (◎月▽日)  数少ない料理のレパートリーが一巡してしまったので、恐縮しながら私の料理に不 満はないか、質問してみました。 「…そうだな。まあ、味としては食えないこともない、程度だが」 「どうでもいいけど、お前が作る料理ってどうしてどれもどこか形が歪なのかな?」  御二人とも、あまり文句は言わないで食べて下さっていたものの、実は結構不満は あったようです。申し訳ないです。 「でもまあ、何も作れん俺が文句をいう筋合いではないしな」  日記につけるのを忘れてましたが、ここ三日はカレーライスの甘口・中辛・辛口、 ハヤシライスの連続でした。はっきり言って、手抜きです。 「俺は、日本インド化計画の一環かと思っていたけど」  貴之様…何の計画なんでしょう、それは? (◎月★日)  今日は御二人ともお休みを取られたので、三人で今後の生活設計を立てることにし ました。 「とりあえず食生活改善推進計画発動承認ってことで」  と、いうわけで今日の夕食は三人で作ることになりました。本当は昼食の予定だっ たのですけれど、進行が遅れに遅れて結局夕食にまでずれこんでしまったのです。  …結論を申し上げますと、完成したチーズ・フォンデュは予想していたほどまずく は無かったそうです。私は味見もできませんのでよくわからないのですが。 「…面目ないが、今後、食事に関しては一切文句はつけん」  柳川様。信じてよろしいのでしょうか、そのお言葉?  とにかくメイフィア様やひかり様、秋子様にご相談して私自身のスキルを上昇させ ることに努めたいと思います。 (◎月□■日)  昨日の記述を読み返してみると、我ながらすごいことを書いていることに驚いてし まった。ご主人様のお言葉を疑ってしまうだなんて。いくら柳川様がその時々の気分 で言うことが変わる気紛れな方とはいえ。  それはともかく、今日は思い切ってひかり校長に料理を含めた家事のアドバイスに ついて教えを乞うことにしました。私がしっかりしなければ、御二方の健康を損ねて しまいかねません。こういう方面に関しては、失礼ですが御二方共に向いていないよ うですし。  ひかり様は今日は割とヒマだったのよ、と言いながら様々な知識を伝授してくださ いました。中でも「手抜きでそこそこおいしい料理」の作り方が  今気づいたが、それはちょっとダメな気がする。  ついでに、男性のご主人様に喜んで貰える方法を尋ねてみた。 「うーん…そうね。じゃあ、こんなのはどうかな?  夜、二人っきりの部屋の中で、ちょっと恥ずかしそうにチラチラと視線を逸らせな がら、そっと寄り添って…あ、ここメモとって置いたほうがいいわよ」  仰せのとおりにメモをとりました。 「そして、こう言うの。  …『私、いま、下着つけてないの』って。ま、これはもう最終兵器みたいなものだ から、みだりに使っちゃいけないけどね」  なるほど、そういうものなのですか。よく理解できませんけれど。  でも、この台詞を言う時は下着をつけていてはいけないのでしょう。やはり。  いずれ機会があったら試してみましょう。 (◎月□□日)  今日からいよいよ了承学園が開校しました。もっとも、今日は案内と担任の顔見せ だけですが、スタッフの黒子衆や私の姉妹達は準備のために大忙しのようです。見え ない所で人は動いているものだからね、とは貴之様のお言葉。  チラリと、遠目にだけれど、噂のマルチお姉様、セリオお姉さまを初めて目撃しま した。私たち量産機と違って、人と愛を育むほどに高等な感情機能をもっておられる ということですが…確かに、傍目だけでも私と同じロボットにはとても見えません。 容姿だけなら同じなのですが。  その表情や仕草、なにげない会話の端々が、とても自然で、人間らしい。  なんだか憧れてしまう。私にはわからないことを、お姉様たちは多分わかってい らっしゃるのだろう。  愛情、という言葉は私は知っているけれど、でも、知っているだけだ。  それは、定まった形も無い、漠然としすぎて、あやふやなもので、本当にそんなも のがあるのかどうかさえ、実を言うと私はわからない。  感情を持つ人間でさえ、愛などというものは発情と欲情を勘違いしているだけだ、 などと言う人もいる。(柳川様ではない。念のため。)  実際、私には無縁のものだろうけれど、人はこの言葉を最も貴いものとして扱うか らには、いくばくかの理解はしておかねばならないと考える。  いずれ、御二人には愛という感情の質問をしてみたい。おそらくは、ロボットであ る私のこの問いに答えられるのは、お姉様方だけのはずだから。  それにしても、セリオお姉様は、真面目そうな雰囲気なのに結構ボケていらっしゃ るようだ。これもまた、私たちには無い機能だ。  でも、蹴られるのは嫌です。 (◎月□☆日)  虎縞のビキニ。  柳川様。なんて格好をなさるんですか!? 「うーむ。度肝を抜く、という点ではこの上も無い成功だったが、あんなに殴ること はないのになぁ」  連日連夜、秋子理事長を始めとする教師陣は当初の授業計画を練っておられ、この 格好も非常に高度な討論と検証の積み重ねの結果だそうなのですが。  絶対、何か間違っていると思うのは、私の方が変だからなのでしょうか?  でも、私は止めていただきたいのです。 (◎月□○日)  今日は貴之様も初授業ということで、いつもより気分が高揚しているようでした。 高揚しすぎているような気もしますが。でも、今日からは私も毎日学園に同行するこ とになりました。  登校途中、柳川様が私に質問された。 「エプロンとフンドシ、どっちがいいと思う?」 「エプロンの方がまだマシです」  確かに私はそう答えましたが、「裸エプロン」だとは聞いていませんでした。学園 の方は、今日は侵入者騒ぎがあって色々大変だったとか、早くも退学者が出たとか… 前途多難なようです。  でも、私としてはとりあえず、身近な問題として柳川様にこれ以上奇天烈な格好は して欲しくないのです。  黙って立っていれば、柳川様は容姿もなかなか立派な方なのに。  鬼が噴き出しているのでしょうか? (◎月□◎日)  マイン。  マイン、マイン、マイン、マイン。  マイン。私の名前はマインです。  今日は私自身にも色々な事があったのですけれど、やはり一番はようやく私にも名 前をつけて貰えた、ということです。 「名前っていうのは、いわばその人の分身みたいなもんだからね。魔術的な要素とし ては物凄く重要なファクターなんだけどさ。  中国なんかでも、名前をつけてもらう、というのは命を分けてもらうのと同じくら い重要なことだしね」  とりあえず報告に上がった私に、メイフィア様はそうおっしゃいました。そう思う なら、元々は保健室スタッフである私に、メイフィア様が名前を下さっても良かった のに。 「…でもさ。アタシに名前貰うのと、柳川先生に名付け親になってもらうのと、どっ ちが良かった?」  回答不能。  とにかく…何というか…何と言っていいのか。嬉しい、のだろうか、私は?  「嬉しい」ことは他にもあって、相沢家のあゆ様とも御近づきになれた。最初は、 ただ話をしていただけであゆ様を不快な気分にさせてしまったようだったのだけれ ど、でも、あゆ様はとても優しい方で、褒めていただきました。  他には藤井様ともお近づきになりました。何だか気苦労が多いようで、お気の毒で す。今度逢ったらもう少し藤井様のお役に立てるよう、配慮したいと思います。  良いことばかりではありません。貴之様がまた久しぶりに体調を崩してしまわれま した。でも…貴之様、いつかきっと、完全に回復なされると思います。可能性はあり ます。きっと良くなられます。  今日の発見。柳川様の歌を初めて聞きました。私に音楽のことはわかりませんけれ ど、柳川様の歌はとても良いものだと思います。  森川由綺様の歌も初めて知りました。いつか、ご本人がお歌いになるWHITE ALBUM を聞いてみたいです。 (◎月□×日)  私は図に乗っていたのかもしれない。  前から漠然と感じていた不安。私は壊れているのではないか?  今日、それは疑惑ではなく確信に変わりました。 私は、壊れている。間違いなく何か重大な故障を起こしている。  故障でないなら、私は、欠陥品なのだ。  わかっている。柳川様は問題の多い困った性癖の持ち主で、藤井様はごくまっとう なお方で、非は、柳川様にあるのだろうということはわかっていた。  でも、怪我をされた柳川様を見て、柳川様の血の痕を拭って、指についた柳川様の 血を見ていた時、確かに私の中で、何かが壊れてしまった。  でも、それでも、自分以外の何かにつき動かされるように廊下を歩きながらも、私 はまだ自制しようとは思っていた。  だけど、藤井家の皆様が、先程の一件を話題に笑っていらっしゃるのを見て、私 は。  許せなかった。  藤井様が嫌いなわけではない。由綺様や、皆様が嫌いなわけではない。あんな素敵 な歌を唄える方たちなのだから、嫌いになどなるわけがない。  あの歌のような優しい方たちに決っている。  でも、許せなかった。わかっていても許せなかった。  私の言葉で、私が「バカ」と罵る度に、藤井様が傷ついていくのがわかった。周り の皆様の顔が青ざめていくのがわかった。  私たちメイドロボにとって、人を傷つけることを禁じる三原則第一条は、言い換え れば殺人に対する禁忌ということだ。人にも、ロボットにも、最大の禁忌だと言え る。たとえ精神的なことであっても、人を傷つけることは絶対に許されない。  なのに私は人を傷つけることができる、危険な機械になってしまった。  だけど、仮に時間をビデオテープのように巻き戻して、もう一度やり直すことがで きるとしても、私はやはり、同じことをするだろう。  断言できる。  でも、藤井様が私共の所にやってきて、謝罪された時、私は自分のやった事がどれ ほどヒドイ事なのか、わかった。  黙って藤井様を帰した柳川様は、ため息をつかれた。 「まあ、しょうがないといえばしょうがないが…。放っておくしかあるまい」 「それはどういうことなのでしょうか?」  私の問いに、柳川様は右肩を撫でながらおっしゃいました。 「今のあいつは、自分の過ちの大きさに押し潰されそうになっている。懊悩して、自 分を責め続けている」  返す言葉もありません。 「…と、言えば聞こえはいいが、要するに自分の狭い殻の中に閉じこもって、ウジウ ジウジウジ自分の感情を捻くり回しているだけってことだな。不毛だ」 「そんな言い方は無いと思います」  そう言わずにはいられなかった。私の「反論」に、柳川様は少し驚かれたようだっ たけれど、でも、静かにおっしゃいました。 「なあ、マイン。お前は自分のやった事にそう…罪悪感、ってやつかな?それを感じ ているんだろう?」 「はい。でも、私は…」 「だが、冬弥の奴にはそれが見えていない。マインは今も俺を憎んでる、って、自分 の中だけで勝手に結論づけて、勝手に自分で自分を追い詰めている。  そして、謝るだけさ。謝りながらも、こんなことじゃ許されない、ってやっぱり勝 手に自分一人で思い込んでる。マインが。今は。どんな気持ちでいるかなんて、推し 量ろうともせずにな。  まあ、直接謝罪しに来たのは良しとしても、もう少し視線を外に向けてくれたら な。…仕方ない、といえば仕方ないんだが」 「だったら、柳川様、そう藤井様におっしゃって下さい。藤井様のお力になって下さ い」 「ムダだ。というより、俺じゃダメだな。由綺達にだって、できるかどうか」  そう言って、柳川様は人気の無い職員室を見回しました。 「今のあいつは何も見えてないし、何も聞こえていない。…まあ根性のない奴なら、 適当な所で心の折り合いをつけて、安易な結論で自分を誤魔化しちまえるんだが…  今の冬弥に何を言っても、あいつはそれを慰めとしか捉えられんだろう。そしてま すます、悩むだけだ。  とにかく、誤魔化しでも何でも一応の結論を出して、周りの現実に目を向ける余裕 を取り戻させなきゃ話にならん。一度そうなれば、後から修正もきくんだが…」  私は、何の役にも立てない。つまりは、そういうことなのか。 「…大体思い上がりも甚だしいんだ。あいつ、自分を何様だと思ってるんだ?たかだ か一介の学生、未熟な青二才の分際で、全ての責任は自分にあるだなんて勝手に思い 込んで…お前がそんな大物かよ、まったく。自分の身の程を知れって」  字だけで表現すると、柳川様の言い様は冷酷だけど、決してそんなことはない。目 の動きや表情、口調、態度の端々にも人の心情は表れる。柳川様はそちらの方面でも 雄弁な方ではないけれど。 「柳川様は、結局藤井様の器量をどう計っておられるのでしょうか?」 「…器量、ときたか。…最近、しゃらくさい口をきくじゃないか、ええ?  ま、そうだな。あいつは自分を過小評価しすぎるな。だから身の程を、ちゃんとわ きまえればいいんだが」  つまりは、藤井様は自分の力で、自分の迷いを振り切るだけの強さを持っておられ ると、そう判断されているということか。今、日記を書きながら考えてみると、そう でないなら藤井様を放っておくことはしないだろう。  藤井様のことは、もうこれ以上思い煩っても結論は出ない。明日、もしくはその先 ずっと、これからどうしていくかで決る。今悩んでも仕方が無いことだ。  夜になって、体調を崩された貴之様を車椅子に乗せて、柳川様と三人で散歩に出た 時、何の前触れもなく夜空に花火が上がった。突然始まった花火大会に、貴之様はぼ んやりとだけれど、顔をほころばせていた。  私は、花火を見るのは今夜が初めてだった。花火とはどういうものか、という知識 はあっても、でも、自分のこの身体の目で見るのは初めてだった。  きれいだと思った。そんなこと、以前は考えたこともない。  これも故障のうちなら、案外、故障というのも悪くはない。  私の知らない誰かとお話をされていた柳川様が、私と貴之様の肩に手を置いて、 おっしゃった。今思えば、柳川様も感傷的な気分になっておられたようだ。 「以前、隆山でこんな風に花火を見ていたことがあった。あの時一緒にいた連中は、 今も皆ここにいる。  何故だろうな。そんな当たり前のことが、…なんだか…そう…幸せ、って思えるの は。 そして今は、あの時一緒にいなかった奴も一緒なんだな、って」 「柳川様?」  その私の呼びかけは、いつもと同じ、何の表情も浮かんでいない、平坦なものの筈 なのに。 「そんな顔するなよマイン。…らしくないのはわかってるさ。花火なんて一瞬で消え る、子供だましのチャチな残像だとか、そんなセリフの方が俺らしいってな。  だけどな、深い暗闇に閉ざされていても、自らの内に燃える炎と、幾ばくかの希望 の光があれば、人間ってのは案外楽に生きていけるものでな。  たとえその光が脆弱な心が垣間見た、幻に過ぎなくても…一瞬で鮮烈な光を放って 消えてしまうその儚さががあるから、光は美しくて、心に強く焼き残るんだろう。  俺は、それが結構…気に入っている」  本当に美しいものは、ただそこにあるだけで感動を呼ぶという。その美しさに見入 られた時、人は何もかも忘れてただ感動だけを覚えるという。それがつかの間のこと であっても。そして、感動は人の心を激しく揺すぶり、そして温かく満たしてくれ る。だから、人は感動が好きなのだと。  今、こうして書いていることは私が自分で考え出したものではなく、私の周りの人 たちから教えて貰ったことばかりだ。その意味も、完全に理解しきれているわけでも ない。  ただ、私はいずれこれらの言葉を正しく理解できるようになりたいと思うし、そし て出来うるならば私自身が他の誰かに、こんな言葉を教えて上げられるようになりた いとも思う。  今日の発見。  今日、昔の、写真の中だけでしか見たことのない、昔の柳川様にお会いした。花火 のように一瞬だけ、束の間だけの表情だったけれど、私はあの気弱で頼りなげな柳川 様にお会いすることができた。  愛とか、夢とか、希望とか、友情とか、奇跡とか、救いとか、癒しとか。 そういったものを甘っちょろい戯言と放言するくせに、本当は、心のどこかでそれを 信じたがっているヒネクレ者。  マインはついていきます。  マインはずっとついていきます。  マインは、そう思っていますよ。  ヒネクレ者さん。 【後書き】  スタイルそのものは銀英伝外伝2巻「ユリアンのイゼルローン日記」の模倣です。 以前掲示板で書いたことありますけど、私の愛読書です。  こういうのは、読み手が了承本編をある程度把握していることが大前提なんですけ ど…まあ、本編も一から始めないと楽しめないか。  とりあえず、マインに関してはとりあえずこれでお腹一杯…かな?あまり柳川やマ インばかり出てくるのは偏って良くないですし(つーかはっきり言って悪い)  しかし…なっ、長い…。いつも長いけど今回は特に長いし。毎度のことだけどいか んあぁ。…とか言って、授業が7、8日目になったら続き書こうとか企んでたり (嘘)まあマインの日記は、今後も続いていくんだろうけど。  当社比で二倍ですよ?ドヒャー。これでもエピソードやセリフをかなり削っている んだけどなー。  ちなみに最初は「柳川家の献立表」というタイトルで、内容もそのままの話だった んですけど(嘘)でも名残は残ってます。  私のスタイルというのは会話のやりとりがメインなんですけど、今回は「日記」と いう形式上、会話やセリフは極力抑えなくてはならないというのが苦労の種ですわ い。まあ、マインのセリフは普段がカタカナなので、こうでもしないと読み辛いんで すけどね。  さて…ここで告白しますが。  私、まだ(平成12年10月13日現在)AIRをやってませーーーーーん!  なんとかしろよ俺!とりあえずパッケージだけでも破れ!
 ☆ コメント ☆ (○月△日)  綾香さんに蹴られた。 (○月×日)  綾香さんに張り倒された。 (◎月◇日)  綾香さんに投げ飛ばされた。 (◎月□日)  綾香さんに卍固めを極められた。 綾香 :「……………………なにこれ?」(ーーメ セリオ:「わたしの日記です」(^^) 綾香 :「……………………ほー」(ーーメ セリオ:「ちゃんと毎日書いてるんですよ」(^0^) 綾香 :「……………………」(ーーメ セリオ:「えへへ。偉いでしょ?」(^0^) 綾香 :「今すぐ処分しなさい!!」凸(ーーメ セリオ:「えー!? なんでですかーーーっ!?      納得いかなーい。横暴ですぅ」(−−) 綾香 :「やかましひ」凸(ーーメ セリオ:「ぶーぶー」(−−)



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