私立了承学園五日目放課後(V)HtHサイド 「まだあきらめてはなりません!!」 朗々とした声が当たり響く、その先には、 「長瀬さん!!」 「健太郎君、お久しぶりです」 え?長瀬さん??このおじいさんが???ていうか誰???? 「説明は後です今は魔法続行です」 長瀬さんが手に印を結び呪文を唱える。 「Krie……Mei…Antural………」 消えかけていた魔方陣が再び形を取り戻す。 「あと・・・少し・・・」 「はい・・・」 スフィー達も最後の力を振り絞る。 「Eet…Kaf…Noom!!」 シュバッ 一際大きな輝きがあたりを包んだ。 そして、 ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン 機械は動きを止めた。それと同時に、 ドサッ 四人は力尽き地面に倒れこんだ。 「エリア!」 「スフィー、リアン、なつみ!」 誠と健太郎が四人に駆け寄る。 「大丈夫かエリア」 「誠さん・・・大丈夫ですよ」 「大丈夫か?」 「大丈夫だよ」 「なんとか」 「結構きつかったけど・・・」 「そうか、良かった。・・・そう言えば源之助さんどうしてここに」 健太郎さんがそう尋ねると源之助さんが答えた。 「秋子さんに呼ばれたんですよ」 「秋子さんに?」 「ええ、人数は多い方が良いと思って。なんとか間に合いましたね」 「そうだったんですか・・・ありがとうございます。秋子さん、長瀬さん」 「さて・・・あとはどうなったかですね」 「ああ、やれることはやった・・・後は結果を待つばかりさ」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 大きな音が鳴りプラントが開く。 中にはぬいぐるみ達がそのままいた。動く気配はない。 「だめだったの・・・?」 「そ、そんな・・・あんなにがんばったのに」 「う、うわあああああああああああああああああああ」 エリアはぬいぐるみに駆け寄ると抱きしめ力いっぱい泣いた。 すると・・・ 「どわーー、のー、ぎぶ、ぎぶ!」 ぱんぱんと何かがエリアの肩を叩いた。 「へっ?」 「・・・なーんちって。伊達にお前らに抱きしめられてないぜ」 エリアの腕の中でまーくんぬいぐるみはにやりと笑った。 「成る程ね・・・しかしお前さん達もまあよくこんな面倒なこと考えたね」 健太郎さんたちが帰った後、まーくんぬいぐるみの一つが言った。 「おい、その言い方は」 「まあ感謝はするよ。本当に動けるようになるとは思ってなかったからね」 「おい、お前達一つ言いたいことがあるんだが」 「ほう、それは奇遇だな。俺達もお前に言いたいことがあったんだ」 「なんだ?言ってみろよ」 「んー、もうちょい頭下げてくれ」 「ん?こうか」 「もうちょいもうちょい」 まーくんぬいぐるみは手を上下に振り頭を下げるように指示する。 「これくらいか?」 「そうそう・・・てりゃーーーーーー」 ドサーーーーーーー 誠が頭を下げたのを見計らってぬいぐるみ達は誠にのしかかってきた。 「な、何しやがる」 「うりゃーーーーーーー」 こちょ こちょ こちょ 「どわ、は、やめろ・・・うひゃひゃひゃひゃひゃ」 「おらーおもいしれーーーー、この鈍感キングーー」 1500を超えるまーくんぬいぐるみにくすぐられる誠。 こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ 「ぎゃははははははっははははは、や、止めろ苦しい」 「お前がもっとしっかりしてたら俺達が動く必要無かったんだぞー」 こちょこちょこちょこちょこちょここちょこちょこちょこちょこちょ 「・・・・・・・・・・・・・・(もう声が出ない)」 「しかもわざわざおれたち蘇らせやがってー、このおせっかいー」 「なんかまーくんと同じこと言ってますね」 「まあまーくんぬいぐるみだし」 「あははははははそうですね ・・・まーくんぬいぐるみのこちょこちょは五分ほど続いた。 「さてこれくらいで気が晴れたのでこれで許してやろう」 まーくんぬいぐるみ達は誠から離れた。まことはちょっとぴくぴくしている。 「みなさん!!」 「ん?どったの?エリア」 「私、私、皆さんにお礼が言いたくて・・・」 「あらあら、生真面目だね」 「でもあの時皆さんがいなかったら・・・」 「何言ってんだよ、俺達は俺達の意思でやったんだエリアのが気にすることじゃないよ」 「でも」 「でももくそもない!これで決定、返事は!」 「は、はい」 「よろしい」 まーくんぬいぐるみは飛びあがるとエリアの頭をなでなでした。 「・・・さてせっかく蘇らせてくれたんだ。ここは一つ面白いものを見せてやろう」 「面白いもの?」 「全員集合!!」 一体の人形が声をかけると散らばっていたぬいぐるみが一瞬で一箇所に集まった。 「うー、腹痛え」 「あっ、まーくん大丈夫ですか」 「ああなんとか・・・で、何が始まるんだ?」 まーくんぬいぐるみ何列かになるんでいる。 「変身!」 リーダー格の一体が声をかけるとぬいぐるみたちはくるりと1回転した。 「わあ、服が変わったよ〜☆」 「ペンギンみたいですね」 見るとまーくんぬいぐるみ達はみなタキシード姿に変わっていた。 しかも手にはトランペットやらバイオリンを持っている奴もいる。 てこてこてこ その前にさっきのリーダーらしきものが現れ誠達の方に小さくお辞儀した。 「えー、今回は『まーくんぬいぐるみフィルハーモニー管弦楽団』のコンサートに 来ていただいてありがとうございます」 「まーくん・・・なんだって?」 誠の言葉を無視しぬいぐるみは続けた。 「今日は私達の演奏と合唱をこころゆくまでお楽しみ下さい。 題名は『心を持ったぬいぐるみ』、曲は『大きなのっぽの古時計』より。 では」 前の一体が後ろを向きバッと指揮棒をあげる。とたんに場は静かになった。 そしてゆっくりと指揮棒を振る。 【たくさんのにんーぎょう まーくん人形 さくらーたちのーにんぎょうー】 「わあ☆なんか凄いよ」 「確かに・・・なかなか迫力あるな」 【千体 こえても 作りつづけた ご自慢の人形さー 誠の奴にー恋した時から 作っている人形さー 本当は 動く ことはない このにーんーぎょーう】 「あれ・・・なんかまぶたが重いような・・・」 「うん。どうして急に・・・」 【真夜中こっそり テクテク テクテク だれにも 知られる ことのない このひーみーつー】 「くーーーーーーー」 「ぐう」 「むにゃむにゃ」 「くーー」 曲が終わるころ四人はまどろみの中にいた。 「えっ?自分達の記憶を消して欲しい?」 誠達が眠ったあと(唱にそんな効果があったらしい)、ぬいぐるみたちは 長瀬さんにそんなことを頼んだ。 「うん、頼むよ」 「でも・・・何故?」 「おれたちはおもちゃだ」 まーくんぬいぐるみは源之助の方を見ていった。 「俺達はぬいぐるみ、それ以上でも以下でもない。明日からいきなり態度変わられる のも困るしそれに話したりする気もない。おもちゃは遊ばれて、楽しまれて なんぼだからな」 「そうなんですか・・・」 「それに俺達には『肩車して月に行く』と言う計画があるのだ。だからもっと仲間 を作ってもらわなきゃいけないし」 「えらく大きい夢ですね」 「ああ、それくらい大きい夢持たなきゃたのしくないからな。んじゃま、俺達は 部屋に戻るからあとよろしくお願いするぜ」 「わかりました。では・・・おやすみなさい」 「俺達はこれからが遊びの時間だけど・・・まあいいや、お休み」 まーくんぬいぐるみたちは自分の部屋へ帰った、『まーくんの間』に。 そして源之助の力で誠家、宮田家の記憶は消され、彼らの存在は 夢の中の出来事となった。 ここはまーくんの間 不思議な不思議なぬいぐるみがいる場所 ガラガラガラ おや誰かが部屋に入っていきました。 どうやら新しい『仲間』が増えたようです。 その少女が出ていった後、ぬいぐるみ達は声を合わせて言いました。 「「「「「「「ようこそ、我らが楽園へ!」」」」」」 了 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 あとがき どうもまおんです。 なんとか書き上げました。結構きつかったです。 結局まーくんぬいぐるみのことはみんなの記憶から消させてもらいました。 彼らは夢の存在であるべきだと思いましたから。 ・・・もうすこしプラントがらみのこと書きたかったけど、まあこれで完成です。 しかしあの歌・・・つけるべきじゃなかったかなあ・・・元曲知っていてくれると幸いです。 それでは。
 ☆ コメント ☆ セリオ:「……………………」(−−) 綾香 :「ま、まだ不機嫌みたいね」 セリオ:「……まあ、少しだけ」(−−) 綾香 :「なにがそんなに気に入らないわけ?      ぬいぐるみ達も復活して『めでたしめでたし』じゃない」 セリオ:「そうかもしれませんけどね。      ただ……」(−−) 綾香 :「ただ?」 セリオ:「『命』『魂』という物が、軽々しく扱われているように感じられまして……」(−−) 綾香 :「そう? 考えすぎじゃない?」 セリオ:「それならいいんですけど……。      でも、神奈さんの例もありますし」(−−) 綾香 :「……………………あう」(−−; セリオ:「『命』……『自らの存在』……『魂』……。      もしかしたら、人間の方たちよりも、むしろ、わたしたちメイドロボや      ぬいぐるみさん達の方が、その『大切さ』『価値』を理解しているかもしれません」(−−) 綾香 :「……………………」(−−; セリオ:「そんなことを……強く感じました」(−−) 綾香 :「……………………」(−−; セリオ:「今回のコメントはシリアスでした。      オチが無くてごめんなさい」(−−) 綾香 :「……………………」(−−;



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