『藤田家のたさい番外』
                            愛の朝食(綾香)
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  日曜日
  「・・・之」
  「・・・・ろ之!」
  「・・・浩之!!」
  何か,やかましいな・・・・・・・ん!!殺気!!
  「浩之。朝よ!!」
  ヒュン!! ドコ!!
  危機一髪。俺はかわしたが・・・・・
  「うあ!! 先週買った枕が!! ずたぼろ・・・あーやーかーーーー!!」
  「起きない浩之が悪いのよ! 何回呼んだと思ってるのよ!!」
  「あぅううう、枕よ!! お前の死は無駄にしないぞ」
  「ちょっと,聞いてる・・・んむっ!!」
  やかましいので,俺はその口をふさぐ事にした。
  恍惚とした笑みで綾香はこう言った。
  「ずるいんだあ」
  「それが俺の持ち味だからな」
  う,その顔は反則だぜ綾香。
  「あ,そう言えば皆がいないんだけど?」
  「ああ,そう言えば全員用事があるらしいからな」
  そう他の全員は何処に行ってしまったかと言うと・・・
 
  あかり・・・料理クラブのコンテスト。
  マルチ・セリオ・・・月に一度のメンテナンス
  琴音ちゃん・葵ちゃん・・・両親の所に戻っているらしい。
  芹香・・・オカルト研の仕事。
  レミィ・・・弓道部の試合。
  智子・・・塾で模試。
  理緒ちゃん・・バイト(増やしたらしい・・しなくても良かろうに・・)
 
  「ああ,そう言えば,そうだったわねえ」
  「お前・・・忘れてたな・・・・」
  ジト目で睨んでやると
  「美人は得よねー」
  あっち向いて無視しやがった。
  「ま、良いけどな,朝飯は?」
  「出てないわよ」
  「は?」
  「だから,私が作るわ。」
  それを聞くと・・俺は迷わず,ジャンバーを掴んで外に出ようとする。
  「何処に行く気かしら」
  ニッコリ笑う綾香。
  「外で食ってくる・・・・はう!!」
  ギリギリギリ
  「酷いわ,私の愛のこもった料理が食べられないと言うのね。」
  「嘆きながら首を絞めるのはやめぃ!! 分かった。食うから離してくれ」
  「良いわよ。早く,降りてきなさいよ」
  はあ,死ぬかと思った。仕方ない覚悟を決めるか・・・
 
  リビングに下りて,食卓についた瞬間俺は目を疑った。
  パン
  ベーコンエッグ
  コーンクリームスープ
  サラダ
  コーヒー
  が綺麗に盛り付けられているのだ。
  「これ,お前が作ったのか?」
  「そうよ,遠慮しないで食べてね」
  「ふむ。頂きます」
  パクパク
  「どう?」
  「・・・・・・」
  「ねえ,浩之・・・・」
  「・・・・・・・・」
  「美味しくないよね・・・御免」
  「美味い!!」
  「そう,美味いって・・・へっ?」
  「美味いじゃないか,どうしたんだ。これ」
  「・・えっと・・・・・」
  「ん?」
  俺は綾香の手に注目する。そう言えばここん所生傷が合ったよーな?
  「お前,その手はどうしたんだ?」
  「えっと,あかりやセリオに料理を習って・・今日作ってみたんだ」
  顔を真っ赤にして綾香はポツリとつぶやく。
  「浩之の為だけだからね・・・・こんな事をするのは・・・」
  「綾香・・・」
  こいつが異常に可愛いって時はこう言う時なんだよな・・・
  「綾香・・・デザートもらって言いか?」
  「えっ」
  そう言うと俺は綾香の顔を引き寄せて,唇を重ねた。
  「予想通り,甘いデザートだな」
  「えへへへ」
  心底幸せそうな綾香に俺はこう言ってやった。
  「傷・・あんまりつけるなよ・・・心配しちゃうからさ・・」
  「うん!!」
  「さて,出かけるか」
  「え,そんな予定無かったじゃない?」
  「頑張ったご褒美だ,好きなところに連れていってやるぞ。いやか?」
  「ううん!! 連れていって!!」
  そう言うと俺の手に絡みつく綾香。
  「よし,行くか」
  「うん」
  そのまま,外に出る俺達。
 
                                今日も一日平和だ。
                                               了

                             by kawamen

 どもっ!! Hiroです!!  綾香ラブラブ〜〜〜  とっても可愛いですぅ。  羨ましいぞ、藤田浩之(^ ^;;  kawamenさん、ありがとうございました\(^▽^)/                     
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