「私立了承学園番外編」
それゆけ あきこちゃん

Write by 聖悠紀


第三話 あきこちゃんハリケーン上陸




「と言うわけなんだ」

学校から非常召集をかけ、寮に集まった名雪達にそう言ったが

「・・・・・・・・」

反応が無い・・・
しかも、みんな頭の上に「?」マークを浮かべて、
訳が解らないと言った表情をしている。

「どうした、わからなかったか?」
「いきなりリビングに集められて、
 『と言うわけなんだ』って言われても、誰もわからないよ。」
「あはは、佐祐理もちょっと解りません」
「・・・・・解らない」
「祐一さん、わかりませんよ」
「ちゃんと説明しなさいよ」
「うぐぅ、説明してくれないと、わからないよ。」

どうやら、本当に解らなかったらしい、
いかんなぁ・・・こういう時は適当に話を合わせれば大丈夫なのに

「あのなぁ・・・ちょっとみんな来い」

しょうがない、こういう時の話の進め方を伝授してやるか

「いいか、こういう時は、適当に話をあわせればちゃんと理解できる物なんだよ」(ひそひそ)
「そんな、理解できるわけないよ」(ひそひそ)
「大丈夫だ、ちゃんと理解できる。俺が保障する」(ひそひそ)
「祐一に保障されても、信頼性無いわね。」(ひそひそ)
「だ〜〜、いいから適当に話し合わせてくれ。いいな」(ひそひそ)
「「「「「「「「は〜〜い」」」」」」」」(ひそひそ)

これでよし。でわ、改めて

「・・・と言うわけなんだ」
「え〜〜〜〜〜、秋子さんが記憶喪失!?」
「そうらしい」
「じゃあ、お母さんは私たちの事忘れちゃったの?」
「おそらく・・・な」
「でも、元に戻る方法探しているのが、メイフィア先生とガディム教頭ってのが不安ね・・・」
「それは俺も同意見だが、他に頼れる人もしないし仕方ないだろう」
「でも、どうして幼児退行まで一緒に起こしているんですか?」
「メイフィア先生の話だと、記憶喪失の副作用らしい・・・困った副作用だ」
「・・・まったくね。」

ふむ、どうやら全員どうのような状況か理解できたみたいだな、
名雪たちも、ビックリといった表情で、お互いの顔を見合している。

「凄いね、祐一の言ったとおり、理解できちゃったよ」(ひそひそ)
「だから言ったろ」(ひそひそ)
「しかし便利な物ねぇ・・・」(ひそひそ)
「まあな、どんな時にもできるってわけじゃないけど」(ひそひそ)
「でもさ、祐一くん・・・事情は理解できたけど・・・」(ひそひそ)
「なんで、お母さんが祐一の膝の上に座っているの?」(ひそひそ)

そう、名雪の言うとおり、あきこちゃんは俺の膝の上に横座りで座っていた。
しかも、ここに着いてから、いや、着く前から俺にべったりくっついて、
少しも離れようとしない・・・

「あ〜〜〜これはだな、え〜〜と」
「これはなに?」
「あはは、返答しだいでは、いくら祐一さんでも許しませんよ」
「・・・祐一、どう言うこと」
「お・俺は何もしていないぞ、ただ、保健室でのドタバタでなんか懐かれちゃって・・・」

うわぁ・・・なんか、嫉妬のオーラを背負って名雪たち迫ってくる
こ、これは、一時的にも、あきこちゃんを俺から離さないと、
命の保障・・・と財布の保障が無い

「ね・ねぇ、あきこちゃん、ちょっと離れてくれるかな?」
「やぁ、おにいちゃんと、もっといっしょにいるの」

ぐわっ、少し離れさせようとしたのに、逆にくっついてきた。
し、しかも、あきこちゃんの胸が、俺の胸に当って、
このなんとも言えない柔らかい感触が・・・役得役得

「えへへへへへ・・・・・はっ」
「「「「「「「「祐一(くん・さん)」」」」」」」」

し、しまった、名雪たちの前だと言うのに
つい、この柔らかい感触に浸ってしまったっ〜〜〜

恐る恐る、名雪たちのほうに視線を移すが
・・・・・・見ない方がよかった。

ふっ・・・これで今日は晩飯抜き、
そして一週間全員に好物を奢らなきゃいけないんだろうなぁ
悲しい・・・(泣)

「おにいちゃん、どうしたの? げんきないよ」

落ち込んでいる俺に、あきこちゃんが優しく声をかけてくれる。

うぅ、あきこちゃんはいい子だよ、あとでなでなでしてあげるね。

「大丈夫、何でもないよ」
「ホントに?」
「あぁ、ホントホント」
「うにゅ・・・じゃあ、おにいちゃん、このおばさんたち、なんで、おっているの?」
「「「「「「「「!! おばさん?」」」」」」」」

 ――ピシッ

乾いた音と共に、名雪たちが顔を引きつらせて石化してしまった。
う〜〜ん、あきこちゃんの『おばさん』口撃は、誰にでも効果は絶大みたい。
俺がそんな事言ったら、相手によっては即死ものだからな。

 ・
 ・
 ・

「ちょ・ちょと誰がおばさんよ」

五分後、ようやく石化が解けた香里がもの凄い形相で俺に迫ってきた・・・
って、何で俺なんだ〜〜〜!!
しかもその表情、俺が今まで見た中でも、一番怖い顔だぞ

「ま、まて、香里そんな表情で俺に迫っても、意味無いだろう、少し落ち着け」
「え、あぁ・・・そうね」

何とか冷静さを取り戻したようだが、納得のいかない顔をしている。
しかも、周りの空気がぴりぴりして、なんか怖いんだけど・・・

「でも誰がおばさんなのかな?」

さらりと、恐ろしいことを言うあゆだが、そんなこと聞かないほうがいいぞ
聞くと後悔・・・いや、血の雨が降るぞ

「この中で一番年上なのは佐祐理たちですけど・・・」
「ねえ、お母さん、誰がおばさんなの?」
「おかあさん? あきこ、おねえちゃんのおかあさんじゃないもん」
「あ、え〜〜と、じゃあ、あ・あきこちゃん? 誰がおばさんなのか教えてくれるかな?」
「うん、え〜〜と、この人とこの人」

あきこちゃんは、香里と美汐を指差した。

「そ・そんな〜〜〜」
「そんな酷いことは無いでしょう・・・」

かなりショックだったのか、二人は何か重たいものをバックに背負って落ち込んでいる。
・・・まぁ、自分より年上の人に『おばさん』と呼ばれたらショックだよな。
これはある意味、ひかりさんよりショック大きいかも

「どうして、あの二人がおばさんなの?」

自分が対象でなかったことが嬉しかったのか、さらに過激なことを聞き出す名雪だが
名雪って、結構酷い所あるんだな・・・

「え〜〜と、かみのながいひとは、じんせいけいけんほうふそうで、おばさんぽいし、
 こっちの、かみのみじかいひとは、ものごしがじょうひんで、おばさんぽいんだもん」
「人生経験豊富って、私そんなふうに見えるの・・・」
「・・・それって褒めているのでしょうか?」

うわ、今まで見たことないぐらい二人とも落ち込んじゃったよ。
別に、二人がおばさんぽくても、俺は全然かまわないのだが・・・
よし、ここは夫として、慰めてやらなくちゃな

「二人ともそんなに落ち込むなよ、二人とも魅力的で、綺麗だぜ」
「あ・ありがとう、祐一」
「祐一さん・・・」

ふふ、この二人普段はクールだからな、
たまに、こうやって照れる所見ると、とても可愛いよな

「ぶ〜〜〜、おにいちゃん、あきこは、あきこはきれい?」

おっと、二人を慰めていたら、あきこちゃんがむくれちゃった。
ははっ、頬をぷ〜っと膨らまして、可愛らしいねぇ。
でも、外見はそのままなのに、そんな表情が似合うなんて・・・
秋子さんって一体・・・(汗)

「ねぇ、おにいちゃん、おにいちゃんてば〜〜〜 あきこはきれい?」

ありゃりゃ、ちょっと考え後としていたら、
あきこちゃん、かなりご立腹の様子だな。
ちゃんとご機嫌とっておかないと、あとが大変だ。

「あぁ、あきこちゃんもとっても綺麗で可愛いよ」
「ホント、じゃあ、あきこ、おにいちゃんのおよめさんにしてくれる?」
「えっ!?」
「だめなの・・・」
「「「「「「「「それはだめです!!」」」」」」」」
「ふにゃ〜〜」
「いくら、お母さんでも、それだけは許されないよ」
「そうです。いくら秋子さんでも祐一さんは譲れません」

お・お前たち、子供の言うことに、そんなに過激に反応するなよ。
ほら、あきこちゃんがビックリして怖がっているじゃないか

「あのなぁ・・・お前たち、今のあきこちゃんは子供と一緒なんだから、
 そんなにムキになるなよ」
「・・・でも」
「でもじゃない、ほらみろ、こんなに怖がっているじゃないか」
「あぅ・・・」
「うぐぅ・・・」
「すみません」

余程怖かったのか、あきこちゃんは俺にしがみついて泣いている。

「あきこちゃん、大丈夫だよ」
「ひっく、おねえちゃんたち、おってない?」
「あぁ、もう誰も怒っていないよ」
「えっく、えっく、こわかったよ〜〜〜」

可愛そうに、こんなに怖がっちゃって・・・
名雪たちも、今のあきこちゃん状態を理解しているんだろうけど、
まだ、納得し切れていないみたいだからなぁ・・・
怒るのはしょうがないか、
ふぅ、あとでフォローが大変だ。

でも、今はあきこちゃんの方を何とかしないとな

「よしよし、もう大丈夫だからね。」
「うぅ〜〜〜、おにいちゃ〜〜〜〜ん」
「ほら、泣き止んであきこちゃん、
 俺は泣いているあきこちゃんより、笑っているあきこちゃんが好きだな」
「うっく、わらっていたら、あきこ、およめさんにしてくれる?」
「あぁ、してあげるよ」
「わぁ〜〜〜、おにいちゃんだ〜〜〜いすき」(んちゅ)
「「「「「「「「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」」」」」」」」

なんだ、キスならあとでいくらでもしてやるから、
そんなことぐらいで、いちいち騒ぐ・・・


 ――にゅる


「「「「「「「「っっっっっっ!!!!!!!」」」」」」」」

へ? この、感触は・・・
唇を合わせているだけかと思ったけど、
これって、あきこちゃんの舌?
ひょっとして、俺の口の中に入ってきたのか?

「んっ・・・んっんっ・・・ぅふん♪ うっ、うふん・・・はぅ・・・ううん・・・♪」
「うぐっ・・・ぐ、ぐ・・・ぅく・・・うっ、くふ・・・はぁ・・・うくく・・・」

あきこちゃんが、俺の舌絡め、行ったり来たりさせる。
そのたびに、くちゅくちゅといやらしく音鳴り、
あきこちゃんがさらに激しく舌を絡ませてくる・・・

 ・
 ・
 ・

「はふぅ・・・あきこなんだかポ〜〜っとしてきちゃった」

数分後、やっと解放してくれたあきこちゃんが、俺にすりすりしながらそう言った。

俺のほうも、あきこちゃんのテクニックの前に、頭がぼ〜としちゃって・・・
ん? あそこで固まっているのは・・・名雪たちか?
名雪たち・・・なゆきたち・・・な・ゆ・き・・・って

やば〜〜〜、名雪たちの前であきこちゃんと、ディ・ディープキスをしちゃったよ
どうしよう、どうしよう・・・とりあえず、話し合いをして、
いやその前に、あきこちゃんを離れさせないと・・・え〜〜と、え〜〜と・・・

「「「「「「「「祐一(くん・さん)」」」」」」」」
「は、はいっ!!」
「祐一って、ロリコンさんだったんだね・・・」
「知らなかったわ、祐一が幼女趣味だなんて・・・」
「あははは、ちょっとビックリです」
「・・・ビックリ」
「うぐぅ、そんなに子供っぽいのが好きなら」
「あう、祐一のためなら」
「私達も・・・」
「子供っぽくなります」
「い・いや、そうじゃなくてな・・・」

さっきまで、嫉妬の炎を背負っていた名雪たちだが、急に甘い空気が流れ出してきた。
しかも、心なしか周りの景色がピンク掛かって・・・
こ・これは、もしかして全員一辺って事じゃ・・・
やばい、俺は浩之や和樹さんじゃないんだから、一辺に全員相手にできないぞ。

「「「「「「「「祐一おにいちゃん、今日は朝までいっしょだよ」」」」」」」」
「ちょっとまて、俺は、一辺に全員を相手にはできないって〜〜〜〜」






「はふぅ・・・ おにぃ〜ちゃん うふふふふふ










<つづく>


<あとがき>
あきこちゃんついに相沢家上陸(笑)
早速騒ぎを起こしてくれました(^^;;;
今回の騒動の原因は、ディープキス
記憶を無くした秋子さんが、何故、祐一をも落とすテクニックを覚えていたか・・・
それは、本能が身体が覚えていたから(笑)
秋子さんのスーパーテクは、記憶喪失ぐらいじゃ忘れたりしないって事ですね(^^;;;

それでは次回もあきこちゃんパワー全開でいきますので、楽しみにしていてください。



 ☆ コメント ☆ 綾香 :「つまり、そういう事なのよ」(^0^) セリオ:「なるほど。そうなんですね」(^0^) 浩之 :「…………」(−−; 綾香 :「うんうん。でさ、これはこういう訳なのよねぇ」(^^) セリオ:「もちろんですとも」(^^) 浩之 :「…………」(−−; 綾香 :「そんでそんで、あれはあーいう訳だったりするのよねぇ」(^〜^) セリオ:「ええっ!? そ、そうなんですか!?」(@@; 綾香 :「そうよ。知らなかったの?」(^〜^) セリオ:「は、はい。一つ賢くなってしまいました」(@@; 浩之 :「…………た、頼む。もう少し外野にも分かるように話してくれ」(−−; 綾香 :「なーに? 浩之ってば分からないの?      でもまあ大丈夫よ。慣れれば理解できるようになるから」(^0^) セリオ:「はいです」(^0^) 浩之 :「無理だって」(−−;



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