━天使の奇跡━

約束の1週間から3年後。
「祐一さん、見てください!初めて300点以上取りましたよ!」
騒音の中、『モグラ叩き』の前で1人の少女がはしゃいでいた。
「おっ、300点か。1700円かけた甲斐があったな。」
俺は少し意地悪そうに言ってみる。
「む〜、そんなこという人嫌いです。」
予想どうりの返答が返ってきた。
「冗談だよ。まだやるのか?」
「いえ、さすがにもう疲れました・・・。」
300点=3匹のはずなのに、こんなに疲れるのか・・・?
「そっか。アイスクリームでも買ってこようか?」
「もちろん、祐一さんのオゴリですよね?」
「まぁ、あとアイス買う金くらいならあるからな。」
と言うか、それがギリギリだ。
「なら、お願いします。」
「じゃあ、行ってくる。言っとくけど、食べるのは家だぞ。冷えるからな。」


「おいしいです〜。祐一さんもどうですか?はい、あ〜ん。」
「っと、まてまて!栞、あ〜んはやめろ。」
他人が見たらあまあまなバカップルだ。
まぁ、室内なので誰も見ようがないが。
「なんでですか?恋人同士って、こういうことするんですよね?」
「どこでそんなもん覚えたんだよ。」
「お姉ちゃんが持ってきてくれた漫画です。」
香里か。
「まぁ、する奴もいるだろうけど・・・。」
さすがに恥ずかしい。
「・・・1回、やってみたかったんですけど・・・。」
シュンとした顔になる。
「うっ・・・じ、じゃあ、1回だけだぞ?」
「はい♪ あ〜ん。」
「あむっ」
栞の顔が変わる。
「ゆ、祐一さ・・・!?」
「あ〜、うまいな。」
隣で栞がぱくぱくしているのは無視する。
「〜〜〜〜〜!!!」
栞は両手で口を押さえて赤面している。
原因は、俺が口移しで頂いたからだ。
「栞が俺に恥ずかしいことやらせようとした罰だ。・・・・・・嫌だったらごめんな。」
「い、嫌じゃないですけど・・・・・・んっ・・・」
栞の唇に自分の唇を重ねる。
『起きないから奇跡って言うんですよ。』
過去にこう言っていた彼女も、今は起きた奇跡の中で生きている。
祐一は、この奇跡が永遠であることを願った。

2日後
「祐一さん!やりました!300点です!」
栞は相変わらずモグラ叩きに大金(今のところ2300円)をかけ、笑顔ではしゃいでいる。
まるで、この奇跡を両手いっぱいに受け止めるように。
「栞。」
「なんですか?祐一さん。」
「今日、誕生日だろ? プレゼントだ。」
昨日買っておいた小さな箱を、栞にわたす。
「わぁ、なんですか?」
「開けてみろ。」
栞は笑顔で箱を開けた。
途端、頬を涙が伝った。
オレは、栞を抱きしめて、
「栞、これを薬指にはめてくれるか?」
「・・・・・・はい・・・・・・!」
栞は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、オレの胸の中で泣き続けた。

半年後、祐一と栞は教会で式を挙げた。
北川は、「オレのことをお兄さんと呼ぶ日がくるかもな」といっていたが、おそらくありえないだろう。
祐一は、栞と1つの奇跡を2人で受けている。
それは、天使が起こした小さな奇跡。
「祐一さん、亭主関白は嫌ですよ。」
「大丈夫。 オレ、栞が怖いから。」
「ムー、そんなこと言う人嫌いです。」
これからはその嫌いな男と一生を共にする。
けれど、そんな栞の顔は、この上ないほどの笑顔だった。
祐一は香里の「栞を泣かせたら死んでもらうわよ。」の発言に面を食らっていた。
2人に辛い涙はないだろう。
あったとしても、それは一人ではなく、2人の悲しみだ。
『もう、1人で苦しまなくていいんだよ。』
                 〜FIN〜

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後書きとは名ばかりの駄文
栞が好きです。
どうしようもなく好きです。
美汐以上に好きです。
俗に言う萌えです。
その思いを叩き込みました。
・・・・・・どうでしょうか。良かったらご感想下さい。

                ANK-





 ☆ コメント ☆

綾香 :「1700円かけて最高得点が300点」(^^;

セリオ:「こういうゲームって一回100円ですよね、普通」(;^_^A

綾香 :「17回プレイして3回叩けたのが最高記録。さすがは栞だわ」(^^;

セリオ:「まあ、栞さんって運動系は苦手そうですし」(;^_^A

綾香 :「うん」(^^;

セリオ:「でもいいじゃないですか。
     栞さんみたいな女の子がキャイキャイ騒いでる姿って微笑ましいですよ。
     上手く叩けなくて『えぅー』ってなってる姿もきっと可愛らしいでしょうし」(^^)

綾香 :「確かに。
     それを思うと、なんか栞みたいな子って得よねぇ。
     成功したら褒めてもらえて失敗しても可愛いと言ってもらえて。
     ……良いなぁ」

セリオ:「綾香さん? 羨ましいんですか?」(・・?

綾香 :「んー、ちょっとね。
     あーあ、あたしも栞みたいにしてみようかな」

セリオ:「へ?」(−−;

綾香 :「えぅー、失敗しちゃいましたぁ♪」(^^)

セリオ:「……」(@@;

綾香 :「そんなこと言う人嫌いですぅ♪」(^^)

セリオ:「……」(@@;

綾香 :「なーんてね。どう? 結構良い感じじゃない?」(^^)

セリオ:「……そ、そうですね。う、うぷ」(^^;

綾香 :「……可笑しかったら素直に笑ったらどうなの」(ーーメ

セリオ:「で、では遠慮なく。
     違和感ありすぎですーっ。あはははははははははははははははははははははは」(^▽^)

綾香 :「……(げしっ)」凸(ーーメ

セリオ:「あいたっ! な、なにするんですかぁ?」(;;)

綾香 :「やかましひ。いくらなんでも遠慮なさすぎ」(ーーメ

セリオ:「うー」(;;)



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