「大切だから」



どん!!!

「ぐはぁ!」

浩之の体が崩れ落ちる。

「勝者、綾香お嬢様」

セリオの声が響く。

「ちょ、ちょっと大丈夫、浩之?モロに入ったけど・・・」

「あ、あぁ、なんとかな・・・さすがに立てないけど・・・」

「大丈夫ですか?浩之さん」

セリオが冷たいおしぼりを当てる。

「やっぱり綾香はすげーな・・・一発もらっただけでこんなんだからな・・・」

「う、うん・・・」



数分後



「よっと、なんとか立てるようになったな・・・」

「だ、大丈夫?」

「俺は頑丈だからな一応大丈夫だ」

「でも辛そうよ・・・」

綾香の表情が曇る。

「一晩寝たら治るって」

「あ、私、もう帰るね・・・」

「へ?今日はワンポイントレッスンはなしか?」

「じゃあね」

セリオを置いて走っていく綾香

「お、おい」

「綾香お嬢様!」

「セリオ、追いかけてやれ」

「すみません浩之さん、失礼します」

走って追いかけるセリオ

「さて、俺も帰るか」







次の日

「今日も綾香に挑戦するか」

近くの公衆電話から綾香の番号をプッシュする。

「お客様のおかけになった番号は電源が切られているか電波のとど・・・・・」

「あれ?おかしいな?綾香のやつ電源切ったままか?」

続いてセリオの携帯番号をプッシュする。

サテライトサービスがあるセリオには携帯など必要ないのだが長瀬主任曰く、

「携帯を持ってなかったら女子高生とは言えないじゃないか!!!」

らしい

プルルル・・・ガチャ、

「もしもし、セリオ、俺だ」

「あ、浩之さん」

「綾香のやつ、電源切ったままらしくてさ、綾香と替わってくれないか?」

「あの、それが・・・」

「?、どうした?」

「綾香お嬢様が授業が終わるなり、ものすごいスピードで走ってどこかへ行ってしまったみたいで・・・」

「えぇ?まじかよ?」

「クラスの方もどこに行かれたかわからないようで・・・」

「セリオの力でなんとかならないのか?」

「サテライトサービスで探してはいるんですが・・・電源を切っているため見つけることができないんです」

「もしかしたらさきに河原に行ってるかもしれないな」

「では浩之さんは河原の周辺を探してみてください、私は別のところを探してみます」

「わかった」

とりあえず河原に向かう。

「しかし綾香のやつ俺との勝負を忘れてなにしてやがるんだ・・・」





いつもの場所に着いたが綾香の姿はなかった。

「ちくしょう、どこにいやがるんだ?」

と、そのとき、土手の上をものすごいスピードで走り去る人物がいた。

「あの制服、まちがいない!綾香だ!」

しかし、その人物からキラリと光るものが落ちた。

「あれ?あいつ、泣いて・・・ってそんな場合じゃない!早く追いかけないと!」







「はぁはぁ、あいつ早すぎだよ・・・」

結局、綾香には追いつけなかった。

「いつのまにかこんなとこまで来ちまったじゃねえか・・・」

そこは家の近くの公園の前だった。

「どこに行きやがったんだ?」

「う、う、ぐすっ」

公園のほうからすすり泣きが聞こえる。

「?」

声のほうに行ってみるとそこには綾香がいた。

「綾香!」

「!、来ないで!」

「どうしたんだよ、綾香?」

「いいから来ないで!」

見ると、綾香の顔は涙でクシャクシャだった。

「綾香!」

綾香の肩を掴む。

「!」

「いったいどうしたんだよ?」

「もう、私に関わらないで・・・」

「お、おい、なに言って・・・」

「もうこれ以上人を傷つけたくないの!!!」

綾香の言葉に言葉を失う。

「私がいると周りの人が不幸になるの!!!。あの人だって、あなただって!」

「おい・・・」

「私は!いてはならないのよ!!!」

「ばかやろう!!!!!」

綾香の体がビクッっと震える。

「ばかやろう!!いてはいけない人間なんてこの世にいないんだよ!!!いつ俺が不幸になった?いつまでも過去を引きずってんじゃねぇよ!!!!」

「うっ、ぐすっ」

「お前のことは俺がすべて受け止めてやるよ・・・だからもうそんな事言うんじゃねぇよ・・・」

「浩之、私、私・・・」

綾香が浩之に抱きつく。

浩之がやさしく抱き返す。

「すまん、怒鳴ったりして・・・」

「私のほうこそごめんなさい・・・」

「ほれ、もう泣くな、せっかくの美人が台無しだぜ」

「うん・・・」

「気持ちが落ち着いたら帰るか、特訓は明日また始めようぜ」

「浩之・・・」

「ん?どうした?」

「私、浩之のことが好き・・・」

「・・・」

「好きだからよけいに傷つけたくなかった。だから私・・・」

「ばかやろう・・・」

「え?」

「先に言われちまったじゃねえか」

「え、え?」

「俺も、綾香が好きだ。でもこの事は勝負に勝ってから正式に言おうと思った。でもずるいぜ・・・勝負の決着もついてないのに・・・」

「浩之・・・浩之!!!」

綾香が浩之にキスをする。

浩之が綾香を優しく包み込む。

「嫌な過去なんか忘れちまえ・・・これから二人の思い出を作っていけばいい・・・」

「浩之・・・」









「う〜〜〜ん、お二人ともラブラブですね。一時はどうなるかと思いましたが・・・とりあえず一件落着ですね。しかし、これで綾香お嬢様をからかうネタが一つ増えましたね、ふっふっふ・・・」

セリオの手には来栖川製の最新式ビデオカメラが握られていた。



あとがき

この作品は自分が変な方向に突っ走らないための気分転換っていうかワクチンみたいな作品です(笑)

ToHeartではどうしても変な方向に突っ走ってしまうので他のシリーズでワクチンを作りたかったんですが、実は、ToHeart以外はやったこと無いのです!(殴

なので突っ走りたいのを抑えて書き上げました。

うまくシリアスにしたつもりなんですが文章力が無いせいか、とても変なものが出来上がりました。

一応ワクチンは効きましたがそんなにもたないと思います(笑)







 ☆ コメント ☆

コリン:「ありゃりゃ。綾香でも悩んだりするのねぇ」

ユンナ:「そりゃそうでしょ。あなたみたいな『お気楽単細胞娘』とは違うんだから」

コリン:「なっ!? だ、だーれが、お気楽極楽ぱーぷりん単細胞のーたりん娘ですってぇ!?」

ユンナ:「増えてる増えてる。
     いや、別に否定はしないけど」

コリン:「しろよ」

ユンナ:「それはそうと。
     過去の辛い記憶、かぁ。こういうのって、やっぱり簡単には吹っ切れないものよね」

コリン:「そうなの?」

ユンナ:「そうなの。って、あんたは違うの?」

コリン:「あたし? あたしは都合の悪い事はすぐに忘れるから。
     一晩も寝ればスッカリと」

ユンナ:「……便利な頭をしてるわよね、ホントに」

コリン:「いやぁ、それほどでも♪」

ユンナ:「(ほめてないほめてない)
     まあ、コリンはともかくとして、普通はそう簡単には忘れたりできないのよ。
     辛い記憶であればあるほどね」

コリン:「ふーん、そうなんだ。
     じゃあ、綾香はいつまでも、嫌な過去ってのを覚えてたりするのかな?」

ユンナ:「多分ね。忘れたくても無理でしょ。
     尤も、今回の事で吹っ切る事は出来たんじゃないかなとは思うけど」

コリン:「なら、もう問題なし?」

ユンナ:「後は浩之くん次第でしょうね。彼がシッカリと支えてくれれば、ね」

コリン:「なら大丈夫っしょ」

ユンナ:「そうだといいわね」

コリン:「大丈夫だって、心配いらないいらない。
     寧ろ、心配しなきゃいけないのは綾香の方ね」

ユンナ:「は? なんでよ?」

コリン:「だーってさぁ。
     きっと、この後、文字通り身も心も慰められる展開になると思うのよ。
     明日の朝までジックリシッカリネットリと」

ユンナ:「…………」(汗

コリン:「綾香、明日はちゃーんと起きられるかしらねぇ、いっひっひ」

ユンナ:「いやらしい笑い方しないの。
     そんなだから『お気楽極楽ぱーぷりん単細胞のーたりん娘』って言われるのよ」

コリン:「なっ!? だ、だーれが、
     お気楽極楽すーぱーでんじゃらす珍妙奇天烈摩訶不思議奇々怪々
     ぱーぷりんお間抜け単細胞無知蒙昧無味無臭有害のーたりん娘
     ですってぇ!?」

ユンナ:「増えてる増えてる」

 



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