題目   『 ショート ショート ショート ぱ〜とちゅう! 』



      『 題目  進路 − 来栖川芹香の場合 − 』

「なぁ先輩。 高校卒業したらどうするの?」
「・・・・。(v)」

「え? イギリス留学? 流石、来栖川のお嬢さまともなると違うなぁ・・・。」
「・・・・。」

「え? 子供の頃からの夢、だって。 夢を諦めずに叶えるなんて、先輩って偉いぜ。」
「・・・・。(ポッ)」

「え? 御一緒に如何ですか?って、そりゃムリだよ。 英語圏で生活なんて考えられないし、
第一親父達がゆるさねえ。」

「・・・・。(涙)」
「え? そうですよね、って。 悪いな、先輩。 ところで、留学の準備できてるの?」

「・・・・。(困)」
「え? 色々と問題があってまだだって? 早くしないと拙いんじゃないの?」

「・・・・。(しゅん)」
「え? 何度か入学願書は出しているけど、なかなか返事が来ない? 確かにそれは問題だな・・・。」

「・・・・。(しくしく)」
「え? 何処にあるかも、どうやって行くのかも判らない、だって? はぁ? なに、それ?」

「・・・・。(えぐえぐ)」
「え? あとは、練習用の杖や早く飛べるほうき、それに白いフクロウを買う店を知らないって・・・。
先輩、子供の頃の夢は、夢のままだってのも幸せだぜ。」

「・・・・。(うぐぅ)」


 
      『 題目  進路 − 来栖川綾香の場合 − 』

「なぁ綾香。 お前、高校卒業したらどうするんだ?」
「え? 前々から、アメリカに留学するつもりだったけど。」

「流石、来栖川のお嬢さまともなると違うなぁ。」
「何言ってるの、自分の将来の事でしょ。 自分の将来は自分で決めるの。 来栖川なんて関係ないわ。」

「ほぉ〜さすが、”綾香”って感じだな。」
「でしょ。(笑) ・・・でもね、問題は沢山あるのよ。」

「ん? 問題ってなんだ?」
「ん〜〜向こうにも友人は沢山いるから、素顔って言うのはねぇ・・・出来れぱ、マスク覆りたいじゃない。」

「・・・・・は、はい?」
「後はリングネームよね。 出来れば、キュートでプリチーでエレガントでビューティフォーなのが良いわ。
『百兆の資産を持つ孫娘キューティー・綾香』とかね。 どう? 浩之も、私のセコンドって事で・・・・。(笑)」

「・・・綾香。 それ留学じゃ無えだろ。」



      『 題目  進路 − 佐藤雅史の場合 − 』

「なぁ雅史。 お前、高校卒業したらどうするんだ?」
「・・・実は、神戸のサッカーチームに内定してるんだ。」

「おぉ! 凄ぇなぁ。 春からJリーガーか? 頑張れよ! 応援するからよ。」
「うん、ありがとう。 ・・・でも、僕なんてまだまだだよ。」

「何謙遜してや〜がんだ。 雅史だったら大丈夫だ、俺が保証するよ。」
「ありがとう、浩之。 でね・・・相談があるんだけど。」

「なんだ? 言ってみろよ。」
「・・・ボク達、友達だよね?」

「友達だよねって・・・こら、雅史! 何故に俺の手を握る?って言うか、何故そんなに寄ってくる?
ちょ、ちよっと止めろ! 止めろって・・・・・・・・・・・・嫌あ〜〜〜〜ぁ!」



      『 題目  進路 − 長岡志保の場合 − 』

「なぁ志保。 お前、高校卒業出来たらどうするんだ?」
「はぁ? 卒業出来たらって、ホントに失礼ね。 卒業くらい出来るに決まってるでしょ?」

「をいをい。 それを俺に聞かれても・・・。」
「ま、良いわそんな事。 ・・・で、ナニ? 私の将来? そんなの決まってるじゃない! 
私は世界をまたにかけたジャーナリストになるのよ。 でも、ただのジャーナリストじゃないの。 
日本人初のピューリッツア賞受賞ジャーナリストになるの。」

「ぴゅ・・・ピューリッツア賞とは・・・また大きく出たなぁ。」
「何言ってんの? 私は神に選ばれた女よ! ジャーナリストに生るべくしてこの世に生を受けた来た女よ!
だから、ジャーナリストこそ我が天職。 って言うより、私のために、ジャーナリストって言葉があるくらい
なんだから。」

「・・・ほいほい。」
「いい、ヒロ。 ジャーナリストって言うのはね、読者が最も知りたくて一番新しい情報を、必要な時に、
必要なだけ提供するものなのよ。 その崇高な目的の前には、人権やらプライバシーなんて陳腐で
些末で些細な些事よ、全く問題にもならないわ。 報道の自由&言論の自由の下、政治家から芸能人に
スポーツ選手に至るまで、追いかけ、追まわし、ま、時には火のない所から煙を立たせてでも、皆さんに
喜んで頂ける記事を書き続けるわ! ・・・って、ヒロ? ヒロ!」

「ん、あ? あぁ、頑張れよ、ピューリッツア賞。」
「まっかしてよ!」

「(・・・・・って言うか、その前に・・・捕まるなよ。)」



      『 題目  進路 − 保科智子の場合 − 』

「なぁ、いんちょ。 いんちょは、高校卒業したらどうするんだ?」
「ん、私? 私は、大学には行かんと、神戸に戻ってお父さんの会社のお手伝いをするつもりや。」

「え? どうして?」
「どうしてって・・・お父さん、今まで神戸で一人で頑張ってたから、助けて上げたい思うんが親娘とちゃうか?」

「ううっ・・・まぁ、そうなんだけどなぁ・・・そうかぁ、いんちょは神戸に帰るのかぁ・・・。」
「何や辛気臭い顔して。 寂しいんやったら藤田君もどうや、進路決まってないみたいやし、私と一緒に
神戸行くか?」

「・・・就職かぁ。」
「藤田君さえ良けれぱ、お父さんに話し通してあげても良いよ。 って、言っても、そう簡単には決められ
へんやろけどな。 ははは・・・・・。」

「良いな、それ!」
「・・・・・え?」

「就職だよ、就職。 いやさ、目的も無く大学行ったともしても、将来就職できるかどうか判かんねえだろ?
それだったら、早い所就職するってのも手かなって。」
「え! え! え! (真つ赤)」

「でも、いんちょの親父さん、ビックリするだろうな。 娘が帰ってきたと思ったら男連れでさ、挙句の果てに
一緒に働きたいだなんてな。  まるで俺が、いんちょの家に入り婿するみたいだよな。 ははは・・・。」

「・・・い、入り婿・・・藤田君が・・・お父さんに紹介・・・。(激赤)」
「あれ? 真っ赤な顔して、もしかして気悪くした? わりい、冗談だよ、冗談・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あほ。(ぼそっ)」



      『 題目  進路 − レミィの場合 − 』

「なぁレミィ。 高校卒業したらどうするんだ?」
「え? 私? そんな未来の話、ワカリマセ〜〜ン。」

「未来の話って・・・・レミィは気楽で良いよなぁ。」
「ヒロユキ! 全然、NO!ダヨ! 私、全然お気楽ごく楽じゃナイヨ! 未来の事は、ON THE RACKで、
今は、SLEEPING・・・NO! THINKING中ネ!」

「はぁ。 そうなのか?」
「ソウダヨ。 先ずは、よく考えて人生の目標を決めるネ。 その後で、目標を掴み取る努カをしま〜ス。
闇雲に目標を決める事が良い事じゃないデ〜ス!」

「ほぉ〜なるほど。」
「ソウダヨ。 LOCK ONした、WATERBIRDを、GETするのに、SHOTGUNを使うか、BOWGUNを
使うか考えてから・・・・音を立てずに、そ〜っと、そ〜っと近付いて・・・狙いを定めてから・・・・・・・・
BANG!! 人生は、HUNTINGと一緒ネ!」

「・・・・・・・スリリングな人生だなぁ。 で、狙ってた、WATERBIRDが逃げちまったらどうするんだ?」
「逃げたら? う〜ん・・・TARGETを、CHANGE・・・するだけ、ダヨ。」

「・・・はぁ?」
「・・・BANG(は〜と)」




      『 題目  進路 − 神岸あかりの場合 − 』

「なぁ、あかり。 高校卒業したらどうするんだ?」
「え? 高校卒業したらって・・・。」

「進路だよ、進路。 あかりの事だから、もう決まってるんだろ?」
「え? えっと・・・決まってるって言うか・・・まだ決められないって言うか・・・。」

「なんだ? まだ決まってねぇのか?」
「ううん。 そう言う訳じゃないんだけどね。(ちらっ)」

「ん? じゃ、決まってるんだろ?」
「え〜っと。(ちらっ) そう言う訳でも・・・。(ちらっ)」

「・・・・・。(怒)」
「・・・・・。(困)」

「・・・ったく! はっきりしろ!」
「そうだよ、はっきりしてよ!」

「「え?」」




      『 題目  進路 − 藤田浩之の場合 − 』

「進路かぁ・・・。 みんなの進路聞いて参考にしようと思ったんだけどなぁ・・・。
全然参考にならなかったぜぇ。」

「・・・はぁ。」
 溜息をつく俺の目の前には、まだ白紙の状態の”進路調査票”と書かれた紙が置いてあった。
 みんなの進路を参考にしようと思い、色々と聞いて回ったわけだが、どれ一つとしてまともな回答が
 無かった。
 
「・・・はぁ。」
 もう一度溜息をつく。
 提出期限は明日。
 この白紙の紙に、何かを書く事が出来るだろうか?
 俺は、自分の進路を決めかねていた。


 ・・・と、その時。

「・・・浩之にも困ったもんだわ。 ねぇ、姉さん。」
「・・・(コクコク)。」

「まったくよ! 私達に進路聞いてどんすんのよ! って。」
「そうやな。 私達の進路って言うか、将来を決めて欲しいくらいなのになぁ。」

「智子ダメだよ。 ヒロユキ、私達の気持なんて全然判ってナイヨ。」
「浩之ちゃん、そういう所、疎いから・・・。」

「・・・ホント、浩之にも困ったもんだよね。」


「「「「「「あんたが言うな、あんたが!」」」」」・・・(ぷんぷん)」



 ・・・なんて、女性陣(一部例外あり)の溜息を知る由もなく、まだ真っ白な”進路調査票”の前で
 一人悩んでいたのであった・・・・。



                                                       おわり




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あとがき

最後まで読んで頂きありがとうございます。
ばいぱぁと申します。

今回は、ショートショートを幾つか作ってみました。
喜んで頂ければ幸いです。

また、Hiroさま、6周年おめでとうございます。
益々の貴HPのご発展を心よりお祈り致します。





 ☆ コメント ☆

綾香 :「高校卒業後、かぁ。セリオは卒業したらどうするの?」

セリオ:「わたしですか? わたしは、高校卒業後は茨の道を進もうと思っています」

綾香 :「い、茨の道? な、なによそれ? あなた、いったい何をするつもり?」

セリオ:「それはですね……」

綾香 :「そ、それは?」

セリオ:「来栖川的秘密戦隊に入隊して、リーダーのメイドレッドを務めようかと」

綾香 :「……は?」

セリオ:「世界征服や人類抹殺を企む敵組織との闘いの日々が始まるのです」

綾香 :「…………」

セリオ:「現在、変形合体巨大ロボットも鋭意製造中。
     長瀬主任――もとい、長瀬博士もノリノリです」

綾香 :「……あ、そ。それは良かったわね。
     なんだかよく分からない――分かりたくもない――けど、とにかく頑張ってね」(投げ遣り

セリオ:「はい、頑張ります!
     綾香さんも頑張りましょうね」

綾香 :「ソウネ」(超投げ遣り

セリオ:「はい♪」

綾香 :「…………。
     ――ん? 綾香さんも? 『も』!?」

セリオ:「ええ、綾香さん『も』。これは既に確定事項です。
     司令である大旦那様の承認も得ています。
     ちなみに、拒否権はありませんのであしからず」

綾香 :「……へ? な、なんで? ちょっと待ってよ! ええっ?
     な、なんか知らないうちに巻き込まれてるっぽい?
     てか、お爺様まで一緒になって何やってるのよぉ!?
     これでいいのか、来栖川ぁ!」(泣

セリオ:「…………」(にやり





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