『綾香の受難』


 妙だ。
 なぜかみんな、私を避けている。
「おはよー、葵」
「……」
 普通だったら、ここで「あ、おはようございます!」って、元気良く爽やかな返事が返ってくるのだが、今日ばかりは違ってた。
 なぜか葵は、恥ずかしそうな、そして恨めしそうな顔をして私を睨み、そのまま去っていったのだ。
「?」
 その時、私はそれほど変とは思わなかった。きっと、何か葵を怒らせるようなことを、知らない間にやっちゃったんだろうとか、その程度に考えていた。
「あ、おはよー、琴音ちゃん」
「……綾香さん、最低です」
 またも、葵と同じような顔をされ、琴音ちゃんからも避けられてしまった。
「な、なによ。一体……」
 彼女にまで、嫌われることしてたっけ。まあ、昨日浩之といちゃいちゃしてた時の事をからかったけど、「最低」って言われるほどの事はしてないわよ。
「あ、智子。おは……」
「…私、あんたの事をちょっとは尊敬してたけど、間違うとったわ。あんなえげつないなんて、ほんま、見損なったで」
「レミィ、おは……」
「OH! アヤカ、あんな事しちゃ、イケナイヨ! いくらなんでも、やりすぎネ!」
「理緒、おは……」
 言葉をかける前に、逃げられてしまった。
 ちなみに、あかりも同じく。
 一体、何なのよ。私が何したって言うの?

 とある週末。学校も休みで、うららかな天気。
 浩之は、珍しく留守している。ご両親が帰ってきて、親孝行とばかりに家族水入らずで旅行中だ。だから、私たちの夫争奪戦は、しばらく休戦中だったりする。
 ま、帰ってくるのが楽しみであり、不安だったりもするけど。
 だからここ数日は、私たちだけで過ごしている。ま、浩之がいなくてちょっと寂しいってのは事実だけどね。
 けどどういうわけか、今日に限ってみんな私と朝ごはんを食べようとしない。食卓についたら、みんな席を立ってしまった。
「ちょ……ちょっと! いい加減にしてよ! 一体私が、なにしたってのよ!」
 いい加減、ここまでくると腹が立ってくる。みんなでからかってるのかとも思ったけど、どうやら本気で私に怒ってるみたい。
 けど、こっちは本当に覚えが無い。そりゃ、私は聖人君主な善人ってわけではないわよ。ちょっとワルノリすることだってあるし、ふざけたり、みんなをからかったりする事だってしょっちゅうあるわ。
 けど、自分から誰かを傷つけようとしたり、いじめたりなんかは絶対にしないし、した事も無い。人として間違ったり、自分から悪いことをしようなんて、自分のプライドが許さないわ。これでも、自分なりの正義ってのは持ってるんだから。
 けど、今の皆にそれを言ったところで、信用してはもらえなさそうだ。
 みんながみんな、聞く耳を持たないし、なにより怒っている……私に対して。
「知らんわ、自分の胸に聞いてみい」
「アヤカ、いくらクィーンって言っても、あんな事しちゃダメダヨ?」
「そうです! 格闘技の天才かもしれないけど……それであんな事するなんて、見損ないました!」
「わ、わたしも……あんなことする綾香さんは、ちょっと……」
 智子とレミィ、琴音ちゃんから立て続けに非難の言葉が投げかけられる。最後のあかりの言葉に、私はひっかかった。あんなこと? 本当に憶えないわよ!?
「ねえ、一体なんなのよ? 私、本当に知らないわ。葵、私が何したっての?」
「……知りません!」
 葵は、涙目になっている。ちょっと、どういうことよ。
「綾香はん。葵ちゃんは、あんたに憧れて努力してたんやろ? それが、あないな事するなんて……」
「そうですよ、葵ちゃんが……かわいそうです!」
 智子と琴音ちゃんが、立て続けに言った。
 な、何よ? 私、知らない間に、葵にそんな酷い事してたっての? 
 私にとって、葵はライバルであり、後輩であり、そしてかわいい妹みたいなもの。
 かわいがるならともかく、いじめるような事は何一つしてないわよ? そりゃ、練習や試合で本気になって殴りあったりはしたけど、それは格闘家としての礼儀だし、葵自身もそれは十分に理解してるはず。
 けど、口ぶりからしてそんな理由ではなさそうだ。
「ちょっと待って! 私本当に何も知らないわよ。一体私が、葵に何したって言うの?」
 その言葉に、智子は隣の部屋に行き……戻ってきた。手には、何やら薄っぺらい本のようなものが抱えられている。
「こんだけの事しといて、まだシラを切るんか?」
 忌々しさを爆発させるかのように、智子はテーブルの上にそれを置いた。
 こんだけの事? この本がどうかしたっての?
「なにこれ、マンガ?」
 にしては、ちょっとページが少ない。きれいに製本してあるものも多いけど、中にはコピーとホチキスで簡単に作ったものも混ざっている。
「ああ、これって同人誌ってやつね。和樹さんたちが作ってる……」
 しかしその時、私はある事に気づいた。
 全てに、私やみんなが描かれているのだ。が、その絵柄はちょっと…いや、かなりエッチだ。
 そして、表紙に「18禁」と描かれてるのを見て、嫌な予感がした。
 ひとつ、手にとってページを開く。
 ………

「どや? 自分のした事、ようやくわかったようやな」
 智子の言葉が私に届くのに、若干の時間を要した。
 なぜかって? そのマンガには、自分が出ていたからだ。
 しかもそれは、いわゆる成人向けマンガというものだった。えっち…というより、いやらしい描写が満載で、中には目をそむけたくなるものも少なからず存在している。
 が、それはまだいい。問題は登場人物だ。
 なんで私が出てるのよ。しかも、ざっと見たところ、全部のマンガに私が載っていた。
 最悪なのは、私の扱い。なんと、みんなをいじめてる役で出ている。
 格闘技で葵をギタギタにした後、好恵と一緒に無理やり裸にして、浩之の目の前で……私の口には出来ない事を強要してる私。
 来栖川の財力を使って、智子の弱みを握り、気晴らしに彼女を陵辱している私。
 葵から琴音ちゃんを引き離そうと、彼女に恥ずかしい嫌がらせをしてる私。
 あかりとマルチを裸にして、ロープで縛り上げて、口では言えない恥ずかしい事をしてる私(その理由が、「浩之を私のものにするため」だって!)。
 マンガの内容ほとんどが、私が自分の格闘技の技と来栖川の財力を用い、皆の弱みを握ったり、脅したりして、他のみんなを隷属するというものだった。
 特に葵に対しては、徹底的に苛め抜き、自分専用の奴隷兼ペットにするというものが多かった。で、口にする事もはばかられるような、それは恥ずかしく、非道な事をさせている。
 あ、どんな事かは想像してね。おそらく、その想像と全く同じようなもんだから。大体、口にしたくもないわ。
 ともかくこんなこと、私はしてもいないし覚えもない。
 とても見ていられなくなり、私は本を閉じ、赤面しつつ叫んだ。
「誰よ! こんなもん持ってきたのは!」
 それを聞こうと思ったけど……みんな、私から離れていってしまった。食堂に、私は一人ぽつねんと取り残された。

 本気よ。
 本気と書いて、マジって読むくらいにね。
 おそらく、この原因は姉さんだ。姉さんの魔法か呪文。それが原因に違いない。
 あれからすぐに、私は和樹さんところに電話した。で、電話に出た南さんに簡単に事の次第を説明したんだけど、南さん含め、和樹さんとこの皆は『知らない』との事だった。
 そして、「もしもそんな本を和樹さんが描くなら、和樹さんただじゃあすみませんよ」とも言ってた。
 そりゃそうよね。瑞希さんや由宇、南さんの事だから、こんなことしたら和樹さん殺されるだろうし。
 じゃあ、妄想ばかりしてる長瀬くんか? そう思ってこちらの家にも電話したけど、電話口に出たさおりんいわく
「祐くんは最近、みずぴーのデッサンばっかりしてるよ。マンガ? そういうのはあんまり興味ないって」
 残った可能性として、志保かとも思ったけど。
「あ、綾香? あろは〜。今? 雅史のサッカーの練習を取材してんだけど? いやー、圭子ちゃんとラブラブっつーかなんつーか、ヒロと違ってほほえましいわよ〜。え? 綾香が主役のマンガ? 知らないわよ、それがどうかしたの?」
 どうやら、知らないらしい。私はそのまま、ごまかして電話を切った(当然よね。こんな事教えたら、自体が更にややこしくなるし)。
 となると、残るは姉さんだ。
 そもそも、藤田家でなにかわけの分からない事が起きるのは、姉さんの魔法が原因と相場が決まっているんだから。
 だから私は、本気で姉さんに怒っていた。分からないけど、姉さんのせいで私がこんなに嫌われてしまったんだ。セバスチャンがなんと言おうと、浩之が止めようと、姉さんにびしっと言ってやるんだから!
 廊下を進むと、マルチとセリオが掃除をしていた。
「マルチ! セリオ! 姉さんは!?」
「あ、おは……あ、綾香様!? はうう〜〜!」
「綾香様……おはようございます」
 二人とも、距離をとっている。マルチは、他の子たちと同じく私を怖がっていた。セリオもまた、私の事を警戒している。マルチをかばい、私から離れようとしていた。
 姉さん。一体どこまで私の評判落とせば気がすむのよ!
「あ、綾香様。わたしにも、あんな事、するんですか?」
「……しないわよ。それよりマルチ、姉さんはどこにいるか知らない?」
「そ、それは……ごにょごにょ」
 真っ赤になって、うつむいてしまった。
「…綾香様、芹香様はお部屋です」
 マルチに代わり、セリオが私の問いに答えてくれた。
 が、その瞳にはあからさまに、私に対しての警戒心があった。
 セリオ、あなたもなの〜?

「姉さん!」
 私は、姉さんの私室の扉を開けた。
 あれからマルチは、ショートしてしまった。まあ、純真無垢なマルチの事。誰かをひどい目にあわせるなんて聞いたら、気を失うほどのショックを受けてもおかしくない。
 けど、こんなおかしな状況を作ったのは、十中八九姉さんの仕業に違いない。本気で怒ってるんだから! 今回ばかりは本気で、姉さんを許さないわよ! 
「……綾香ちゃん?」
 意外なことに、姉さんは机に向かっていた。いつもみたいに魔方陣を床に描いていないし、魔法薬やアイテムも片付けられている。
 けど、そんなことはどうでもいい。姉さんにびしっと言ってやらなきゃ。
「姉さん! 一体私の名前使って何したのよ!」
「……何のことですか?」
「とぼけないでよ! 私が皆の事を、その……ごにょごにょ……な事してる本を出したでしょ!」
「……いえ、そんな事はしてません」
「じゃあ、この本は何なのよ! 私、まったく覚えないわよ!」
 怒りとともに、私は姉さんの前に持ってきた同人誌をぶちまけた。
「……?」
 姉さんは、かわいらしく小首をかしげた。かわいいポーズだけど、今の私にはすっごく頭にくる。
「ふざけないでよ! 姉さんの魔法以外に、こんなものが出てくるわけ無いでしょ! 一体、何をしたのよ!」
「………わかりました、あれですね」
 ぽんっと手を打ち、姉さんは納得したような口調になった。
「……綾香ちゃん。昨日、セバスチャンが機械を運び込んでいるのを見ましたよね?」
「ええ、あれがどうかしたの?」
 それなら私も見た。昨日姉さんの部屋に、セバスチャンが台車を押していったところを。
 台車には布が被せられ、何が運ばれたのかは分からなかった。
「……あれは、千鶴さんからお借りしたものです」
「千鶴さん? って、どうして千鶴さんが姉さんにそんな機械を?」
「実は……」
 姉さんの話を要約すると、こういう事だ。
 かつてエルクゥが地球にやってくる時に乗ってた宇宙船・ヨークが、千鶴さんの家の近くで発見された。で、本格的に調査を始め、中からは様々なオーバーテクノロジーの装置が発見された。しかし、それらがどういうものか。見当が付かないのが実情であった。
 この話を聞いて興味を示した姉さんは、そのうちのいくつかを魔法を用いて調べると千鶴さんに提案した。
 千鶴さんはそれに同意し、いくつかの装置を貸し出した。で、昨日家に届き、今まで調べていたと。
 ちなみに後でわかったことだけど、千鶴さんは姉さんに、「バストサイズが大きくなる魔法薬」と引き換えにこの話を承諾したらしい。
「で、それとこのマンガと、どういう関係があるのよ」
「…私の呪文で調べた結果、これは空間を湾曲させ、あらゆる物理現象を捻じ曲げ、無限に広がる並行世界へ続くゲートを開く装置と判明しました」
「………ええと、どういう事?」
「……簡単に言うと、異世界への扉を開く装置、です」
「ああ、なるほど。……で、その装置とマンガと、どういう関係があるのよ」
「……これを作動させ、適当な異世界と繋げてのぞいてみたら、綾香ちゃんの名前を発見しました」
「え? 私?」
「…はい。『来栖川綾香オンリーイベント』と書かれた、同人誌即売会が行われていたのです」
「あ、そ、そう。……ちょっと待って、ひょっとして、これはそのイベントで買ってきたものなわけ?」
 こくん。姉さんはうなずいた。
「って、なんでそんなもん買うのよ! っていうか、どうしてそんなもの皆に見せたわけ! おかげで、私の評判がた落ちよ!」
「……綾香ちゃんの名前を見たから、どういうものか興味が湧いたのです。そこで、内容確認は後で行おうと思って、一通り買ってみたわけです。でも、一通り見た後、皆さんに見られないよう、捨てるようにしておいたはずですが?」
「はずですが?…って、現に見られちゃってるじゃない。どう責任とってくれるのよ、姉さん。ほんとに、無責任に変な事ばかりするんだから」
 その言葉に、姉さんはカチンとした表情を浮かべた。
「……綾香ちゃん。私たち、この間家事をお当番で分担するって決めましたよね?」
「? ええ、それが何の関係あるってのよ」
「で、綾香ちゃん。今朝のゴミ当番、綾香ちゃんがお当番のはずでしたよね」
「ええ。それがどうかした?」
「……お当番、さぼりましたね?」
「え?……な、何言ってるのよ。ただちょっと…」
「さぼりましたね?」
「い、いやその…寝坊しちゃったっていうか、昨日は疲れたからっていうか……」
「さぼりましたね?」
「……はい」

 つまり、こういう事。
 姉さんは、今日の朝のゴミだし当番が私だと知っていた。で、ゴミの中に同人誌をまぜ、そのまま他の皆に知られることなく、捨てさせようと考えていた。
 ところが、自慢じゃないけど私は家事は苦手だ。とくに朝のゴミ出しが。
 というか、当番の時にはなぜか寝過ごして、ゴミ出しを結果的にサボっちゃうという事が結構……いや、毎回のようにあったりする。
 で、他のみんながそれをフォローしてくれてたりする。
 今回のフォローは、理緒だった。彼女は良い言い方したら倹約家、悪く言えば貧乏性なため、ゴミを中々ゴミとして出したがらない。
 本の類は古本屋やちり紙交換に出すし、生ゴミは家庭菜園の肥料に使うし、燃えないゴミも徹底して出したがらない。割れた陶器ですら、接着剤で張り合わせて使おうとしたくらいだ。
 で、今回私がサボった代わりに、理緒がゴミ出ししてくれた。で、ゴミをチェックしたら中から同人誌を見つけ、そこからみんなの目に留まった……と、こういうわけだ。
「じゃ、じゃあ……私がちゃんとお当番をしてたら、こういう事態にはならなかったってわけ?」
「そういうわけです。おさぼりばかりしてる綾香ちゃん、罰があたりましたね」
「罰って……な、何言ってるのよ! そもそも姉さんがこんな本買わなければ……」
「……綾香ちゃん、綾香ちゃんは、浩之さんや、セリオさんや私、マルチさんや皆の事、好きですよね? 家族として、愛してますよね?」
「そんなの、当然じゃない」
「じゃあ、異次元でみんなの名前が記された書物を目にしたら、つい手にとって調べたくなりますよね?みんなの名前が出ている本を見たら、興味がわきませんか?」
「そ、そりゃ確かにそうだけど……」
「それに、わたしも綾香ちゃんがこんな事してる本、保存したいとも思いません。ですから、ゴミに出したんですよ。『綾香ちゃんが』ゴミ出しすれば、そのまま捨てられて、何事も起こらなかったのに」
「で、でも……」
「…皆さんには、私から説明します。そのかわり、これからしばらくの間、ゴミ当番は綾香ちゃんが行うという事で、いいですね?」
「ええっ! 何で私が!?」
「いいですね?」
「い、いや、でもさ、ほら……」
「いいですね?」
「……はい」

 結局、姉さんが説明してくれたおかげで、皆はなんとか納得してくれたみたいだ。
 もっとも、皆がみんな、「芹香さんの言葉なら、綾香のより信用おける」と口をそろえて言ってたのには無性に納得いかないけど。疑うことを知らないマルチですら、「芹香様がそうおっしゃるなら……」とか言ってたし。
 さらに納得いかないのは、「綾香ちゃんがこれからしばらく、ゴミ出し当番をやってくれます」って姉さんが言った事。反論しようとしたけど、反論できなかった自分が悲しすぎる…とほほ。
 まあ、みんなまだ疑心暗鬼だけど、これでコトがすむならいいか。はー、私としたことが……。

 なんて思ってたのは、甘かった。

「よっ、綾香。ただいまー。なあ、ゴミ捨て場に、お前が出てるHマンガが捨てられてたぜー? お前、こういう事するのが好みなのか? ったく、しょーがねえなあ」

 浩之が帰ってきた時、その同人誌を拾ってきちゃったのだ。なんで回収されてないのよ! ちゃんと燃えるゴミのゴミ置き場に出したのに!
「ひっ、浩之! これ…どうしたのよ!」
「ああ。燃えるゴミと違い、新聞紙などの資源ごみの日に出しとけって張り紙してあったぜ。って、おいおい、怖い顔すんなよ。たかがマンガだろ?」
「…だれにも、見られなかったわよね? お願い、誰にも見られなかったって言って!」
「…いや、帰りに一緒になった、坂下と…志保が」
 ……その後、鼻血を出しつつ怒り心頭になって殴りこんでくる好恵をおちつかせた事と、近隣に広まった私の噂を止めた件に関しては、コメントを差し控えさせてもらうわ。

…嫌いよ、同人誌なんて(涙)。


あとがき

初めまして、東京在住の未確認ナマモノ物体、塩田多弾砲と申します。

調子に乗って自分も、こういうものを書いてみました。綾香様、災難♪
…ってのはともかく、コミケなどで売られてる18禁同人誌、やっぱり本人達が見たらこういう反応するもんじゃあないでしょうか。
ってわけで、えっちな同人誌はほどほどに。捨てるくらいならどっかに売り飛ばしましょう(あれ?)


ではでは、ミナサマ。今後ともよろしくお願いします。





 ☆ コメント ☆

セリオ:「うわぁ。綾香さんってばこんな事まで。さすがは鬼畜女王ですねぇ」

綾香 :「人聞きの悪い事を言わない!
     てか、いい加減に捨ててよ、その同人誌の山」

セリオ:「えー」

綾香 :「えー、じゃなくて!」

セリオ:「勿体ないじゃないですか」

綾香 :「勿体なくない!
     これ以上誰かに見られる前にさっさと処分するのよ。
     じゃないと、あたしのイメージがどんどん悪く……」

セリオ:「誰かに見られる前に……ですか」

綾香 :「な、なによ? その『御愁傷様です』みたいな顔は?」

セリオ:「い、いえ。ただ……」

綾香 :「ただ?」

セリオ:「既に手遅れっぽいかなぁ、なーんて事を思ったりなんかしちゃったりしまして」

綾香 :「へ? 手遅れ? ど、どういうことよ!?」

セリオ:「先ほど、ひかりお義母さんがお見えになっていたのですが……」

綾香 :「……ま、まさか」(汗

セリオ:「非常に嬉々としてお読みになっていました。はい」

綾香 :「うううっ」(泣

セリオ:「大変お気に召したご様子でしたので、おみやげとして数冊包ませていただきました」

綾香 :「余計な事するなぁ!」

セリオ:「なにを言ってるのですか。義母に対してポイントを稼ぐのは至極当然の行為ですよ」

綾香 :「それはそうかもしれないけど、でも、代わりにあたしのポイントが下がってる気がするんだけど?」

セリオ:「大丈夫ですよ。
     同人誌を読んでいる時のひかりお義母さん、『あらあら、綾香ちゃんってば鬼畜さんねぇ♪』と、
     それはそれは楽しそうにしてましたし。
     ですから、きっと、綾香さんのポイントもある意味ググーッと上昇してますよ。ええ、そりゃーもう」

綾香 :「……そんなポイントの上がり方……イヤ」(泣





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