こどもの時間+To heart
浩之が先生だったらなでなでとしょうがねーなーだけで問題
の半分は解決しそうだ。
そう思ったらこのSSが出来ました。
そして、かなりのネタばれです、見たくない人はトップへ。
悲しみに囚われている少女、宇佐 美々。
彼女の元に今日も友達からのメールが届く。
差出人 九重りん。
それを開いた少女の後頭部に。
大汗が浮かんだ。
Subject wせdrftgyふじこ
それでも「え、衛生兵…」とか、ちゃんと突っ込んであげるあたり、彼女の性格が伺えて微笑ましい。
「ゴ、ゴメン、わかんないよね、あの馬鹿の代わりに新しく来た先生!
あの人 藤田浩之先生っていうの、とても驚いたんだよ〜。
あの先生の初めての授業、っていうか自己紹介と出席!
私達、何時もみたいにワイワイ騒いでいたの。
彼女の脳裏に一瞬、クラスの情景が浮かぶ。
普通の大人だったら怒るよね。
でも、藤田先生は違った。
笑ってた。
しょうがねえなあって顔で、優しく、笑ってた。
ねえ、そんな大人初めてでしょう?
だから私たちビックリして、先生の顔を見ながら黙り込んじゃったの。
そうしたら先生はね、わははっ!て感じかな?
にっこり笑ったの。
そのときの笑顔はね、なんだか、上手く言えないけど。
とっても、真っ直ぐ笑ってた。
普通の大人じゃ出来ないくらいに、真っ直ぐな笑いで。
だから、みんな、あの先生に引き込まれちゃったの。
私思ったよ、あの大人ならひょっとしたら………ひょっとしたらだけど、信じられるかもしれないって」
やがて読み終わった少女は、そっと携帯を閉じて呟く。
その呟きは、子供が発するべきではない、子供に言わせてはいけない言葉だった。
「いつもありがとう、でも…まだ私、いやなの、まだ、怖いの…」
今日もまた、友達からのメールが届く。
今の少女にとって、外界との唯一の接触。
subject 先生のお話っ!
先生の、が、私の上で動くの。
前に、後ろに、ぐりぐりって動くんだよ。
私、先生のが気持ちよくって、気持ちよくって、思わず声が出ちゃったの。
思わず想像して顔を赤らめる美々。
(り、りんちゃぁ〜ん、いったいどうしちゃったの?)
あはは、一体どういう想像したのかな?美々ちゃん?
動いたのは先生の手、私の上って言うのは頭、つまり、なでなでされちゃったって事。
そう、先生に褒められちゃった。
私、悪い事したのにね、自分でも本当は分かってる、でも、それでも先生は、褒めてくれたのよ。
りんの回想〜〜〜〜〜〜教室にて。
私の便箋を見た時、先生の目の色が変わった。
「九重?」
…あっ?
ばれた?
あれだけで、分かっちゃうの?
私は先生の顔を見ないで答えた。
見るのが怖いから。
何で見るのが怖いの?藤田先生が怒っているから?
ううん。
先生の。
あの先生の笑顔が、消えているのを見たくないから。
ああ。
何でこんなに悲しいんだろう?
出会ってから、こんなに少ない時間で。
好き。
離れたくない。
笑顔を見ていたい。
悲しむ顔を見たくない。
何で?
私は、まくし立てた。
「私ただ中村先生と同じ事しただけだもん!」
そして次々に出てくる言葉。
先生が美々ちゃんをいじめたから、あの子は学校に来なくなった!
だから私、美々ちゃんの復讐しただけだもん!
先生の手が、上がった気配がする。
ぴくん!
私の肩が震える。
ぶたれる?
次の瞬間私は、藤田先生に抱き上げられて、ひざの上に居た。
なでなで、なでなで、なでなでなでなで。
ええっ?
先生、いいの?
怒んないの?
「たとえば校長に怒られたって、たとえば九重の保護者が怒ったって」
「俺だけは、九重を褒めてやるよ、確かに色々間違っているけど」
「それでも、胸を張って俺に褒められて良いんだ」
『九重、友達のためによくやったな』
う、ううっ、うわ〜〜〜んっ。
大好きっ!先生大好きっ!
私を認めてくれた!私の黒さを知って許してくれた!
先生は私が泣き疲れるまでずっと抱きしめてくれていた。
やがて泣き疲れて眠ってしまった私は先生におんぶされて、家に帰っていった。
有難う先生、大好きだよ先生。
その後藤田先生は美々ちゃんを、学校につれてきてくれたり。
身を持って私を助けてくれたり。
そして私は今日もまた、先生がもっと好きになるの。
こどもの時間+To heart
おしまい