桜fight97 3章   The end of 桜fight97


「紅蘭、説明頼む」

 「はいな大神はん」

 つまりはこういうことだった。

 彼女のお父さんは昔、魔神器というものを使い、命を懸けて魔物を封印した。

 今また彼女が魔神器を使い命を懸けて魔物を封印する…って
、ちょっと待て!
 
 俺は彼女の元に駆け寄り、その手から魔神器とやらを奪いとる。

 「ちょう待ちやぁ、こののぼせ者めぇ、おまぁ早まりすぎやねんっ!」

 いったいどこの方言だ?
 
 「やつは武蔵を汚すという間違いを犯したから」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 「みんなが来てくれたよ、彼らこそは俺の乗っていた艦の」

 まほろば!

 超時空戦艦まほろば!

 
 その姿を見た米田中将は、三笠を呼ぶのを急遽取りやめたりして。

  
 

 俺たちは戦艦で武蔵に突入を掛けた。

 そして俺の周りにいるのは、五行衆。
   
 華組の皆を巻き込むわけにはいかないから、何故かそう思えるから。

 新皇に乗った京極と対峙した時に、俺は唐突に思い出した。

 彼は京極。

 俺は大神。

 
 そして。

 
 「ひさしぶりだな、ガディム」

 そう、俺は、藤田浩之。


 俺たちはそれぞれの人間に体を返し、最後の決着をつけるために足を進めた。


 戦っている大神と五行衆達。

 
 戦っているおれとガディム。
 
 
 「ははっ!楽しいなガディム、これが最後の戦いなんてちょっと残念だぜ」


 どかっ!どかかっ!ばきっ!腕と腕がぶつかり合う。

 あの時、隆山で付かなかった決着が。


 びしゅっ!どかっ!ガディムの巨大な力の渦が俺を狙う。
 
 もうすぐ付きそうだ。

 
 あの時、時間の流れに巻き込まれた俺達。


 それぞれこの時代の人間に取り込まれ。
 
  
 悪の限りを尽くし。

 俺は正義をしめし。
 
 「これだ決まりだ、主役の意地!」

 「ぐわー、卑怯くさい〜」

 やかまし。
  
 やがてガディムが地面に吸い込まれるように倒れ。

 俺の前に、光の道ができる。

 目の前には、先輩、エリアなどの懐かしい姿があり、俺を手招いていた。

 
   
 「…で、ここ一年のことを殆ど忘れちまった、ってえ訳だな、大神よ」

 「はぁ、どうもそういうことみたいです」

 俺は困った顔をしている。

 目の前の男の人も困った顔をしている。

 
 俺の前には10人の女の子、3人の若い男性、2人のお爺さんが座っていた。

  
 華組の6人と米田中将、加山の事は判るんだけど、後の人たちは誰だろう?

 頭を抱えつつ、この後多分襲い掛かるであろうトラブルの数々が何故か予想できてしまい、ちょっぴり泣きそうになる大神であった。


説明

まほろば 御大の書かれた銀河鉄道シリーズの一つ。

大和の兄弟艦にあたり、武蔵には彼らの同胞の屍が眠っている
という設定。
  
みんな知ってるよね?(こら)

主役の意地 リーフファイト97で浩之たちが使う必殺技、

なんといきなり相手のHPが1になってしまう、確かに卑怯くさい(w)





 ☆ コメント ☆

セリオ:「卑怯なんかじゃありません! 全く問題ありません」

綾香 :「そう、かなぁ?」

セリオ:「そうですとも。
     だって主役ですよ。しかも、その意地ですよ。
     それを考えたら相手のHPが1になるくらいどうってことありませんよ」

綾香 :「うーん。納得できるような、何かが激しく間違ってるような……」

セリオ:「寧ろ、HPを1も残してくれるんですよ。優しすぎるくらいです。超良心的です」

綾香 :「それはどうよ? 使われる側からしたら『いっそ一思いに殺してくれ』って感じじゃないの?
     真綿で首を絞められるみたいで余計にきついと思うんだけど」

セリオ:「じわじわと追い詰めていく感覚って素敵ですよね♪ ネズミを狩る猫の気持ちです」

綾香 :「怖いことを満面の笑顔で言わないように。
     まったく。それのどこが優しいのよ」

セリオ:「まあ、それはさておき。大神さんの記憶が大復活です」

綾香 :「(スルーかい)
     凄い展開よね。まさか、ああなるとは予想もしてなかったわ」

セリオ:「ホントびっくりです。
     こう来るとは、わたしの灰色の脳細胞でも考え付きませんでした」

綾香 :「無いでしょ、脳細胞。つーか、あんたはどこのポワロよ」

セリオ:「あっ、個人的にはホームズの方が好きなんですけど」

綾香 :「んなことは聞いてない!」

セリオ:「なにはともあれ、これでこのお話もハッピーエンドを迎えられて『めでたしめでたし』なわけですね。
     大団円ですよ、大団円」

綾香 :「……あなたって相変わらずマイペースよね。
     でもまあ、ハッピーエンドなのは間違いないかな。尤も、これからもいろいろと問題が起こりそうな気配だけど」

セリオ:「いいじゃないですか。確かにまだまだ騒動が起こりそうですけど、そういうドタバタもまた楽しいものですよ。
     平和なときのトラブルは笑顔の元でもありますから」

綾香 :「そうね。それもそうかも」

セリオ:「それに昔から言うじゃないですか。対岸の火事、他人の不幸は蜜の味って」

綾香 :「だからそういう黒い事を輝かんばかりの笑顔で言うなぁ!」






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