「リアン、ミュージーさん準備はいい」 「はい終わりました姉さん」 「これでなつみに会えるんですねスフィー様」 「そうよ、じゃあいくわよ」 「健太郎さんと結花さんたちにまたあえるんですね姉さん」 「そうよ、でもねリアン…」 「何ですか姉さん」 「けんたろは譲らないわよ」 「姉さん…負けませんよ」  ばちばちと火花が飛んでいるように見える 「私は娘の応援をさせてもらいますね」  しかし彼女たちは知らなかった。  もう彼女たちがあらそう必要はないことを たさいシリーズまじかるアンテーク編 Make  スフィーたちがグエンディーナに帰ってからもうすぐ半年。  この半年の間にこっちで起きたことの内もっとも大きなものを一つあげるとしたらそれはやはり一夫多妻法案の成立だろう。  何でも少子高齢化対策らしいのだが、思い切ったことをしたものだ。  まあ、そのおかげで俺も… 「健太郎さん、ごはんできたって。」 「分かった、すぐ行く」  こんな生活を送っているんだが。  一夫多妻法案の成立した翌日、五月雨堂の朝はまあいつもと同じだった。  いつもと同じく俺が朝ご飯を作っていると、  ピンポーン 「健太郎、起きてる」  結花だ、 「…おい、結花こんな朝から何のようだ」 「あら、いい匂いじゃない」 「今から朝飯を作るところだったからな」 「そうなんだ…手伝ってあげようか」  それは助かる、なんと言っても結花の腕は一流だ…が 「何かたくらんでないか、おまえ」 「何をたくらむって言うの」 「そりゃあ、いい豊胸器具を見つけたとか、っと」  結花のハイキックがくる  しかし甘い、俺は読んでいた  すかさずしゃがんでかわす  なっ…結花の足が止まった  ということは…  次の瞬間結花のかかとが俺の脳天にヒットした  そして俺は気を失ってしまった。 「ほらほら、とっとと起きなさいよ健太郎」  … 「起きないとまた蹴るわよ」  がばっ  俺は跳ね起きた 「やっぱり起きてたのね」 「また蹴られてはたまらないからな」 「ハイ、ハイ、朝ご飯作っといたわよ。」  そう言えば美味そうな匂いがする。 「よし、食うか」 「なあ、結花、一つ聞きたいんだが」 「なあに、健太郎」 「何で、おまえも食ってるんだ」 「いいじゃないそれに材料も二人分出てたし」 「あれは…スフィーがいつ帰って来てもいいようにと用意しておいたんだ」  少しの沈黙 「やっぱり健太郎はスフィーちゃんが好きなの」 「まあな、やっぱりあいつがいないとどうも寂しいんだよ」 「そう…ならあたしはどう」 「どうって、そりゃあ、嫌いなやつと20年もつきあわないだろ」  俺がこういうと結花は 「あたしは健太郎が好き」 「ずっと前から健太郎が好きだった」 「スフィーちゃんもリアンも好きだけれど」 「あなたが一番好き」 「今までスフィーちゃんやリアンが帰ってきてから言おうと思ってた。」 「お、おい結花」 「けれどこんな事になったから」 「健太郎と健太郎が大好きなみんなで一緒に暮らせるようになったから」 「だからみんなの代表として言わせてもらうわ」 「健太郎、みんなで一緒に暮らさない」  ……俺が、みんなと…… 「返事は今でなくてもいいから」 「健太郎なりにじっくり考えてから、答えて」 「分かった、考えてみる」 「そう、じゃあさめないうちに食べちゃいましょう」 「おう、そうするか」  この後なつみちゃんとみどりさんも来て、それぞれの俺に対する思いを言っていった。  そしてその三日後  五月雨堂にみんなを呼ぶと俺は言った。 「結花、なつみちゃん、みどりさん」 「俺はこの3日間ずっと考えた」 「みんなが、本当に俺なんかで良いのなら」 「俺もみんなが好きだから」 「ここにいないスフィーとリアンも含んだみんなが世界で一番好きだから」 「みんなで家族になりましょう」  俺の返事は簡単だった。  俺がみんなを好きで、みんなが俺を好きだったから  当然の返事だった。 「健太郎さん、大好き」  とそう言ってなつみちゃんが飛び込んできた。 「ずるいですよ、なつみさん」  と言っているみどりさんも笑顔だった。 「これで問題はスフィーとリアンだな」 「あの二人もここにいたら賛成してくれるわよ」  まあ、それもそうか 「それに私たちが説得しますから」 「まあ、とりあえずあいつらが帰ってくるまで婚約と言うことで」 「それで良いわよ」 「良いと思いますよ」 「良いと思う」 「みんな、よろしく」 「「よろしく(お願いします)、健太郎(さん)」  晩御飯を食べて少し休むと星が見たくなったので俺はみんなを誘って屋根裏に行った。  屋根裏から見る星は相変わらずきれいだった。 「うん、いいながめだな」 「確かにそうですね、健太郎さん」 「ホントにきれいね」 「あっ、流れ星…残念、消えちゃった」 「流れ星か…なつみちゃん、今度見つけたらみんなで願い事しないか」 「うん、それ良いね健太郎さん」 「良いわねそれ、じゃああたしはこっちを探すわ」 「それでは、私はこちら側を探しますから健太郎さんはむこうをお願いしますね」  何を願うかは決まっている。  おれたちの願う事なんて今は一つしかない 「健太郎、みんな、流れ星見つけたわよ」  結花のさした方を見たあとで急いで願い事を言う。 「スフィーとリアンが早く帰って来ますように」 「スフィーちゃんとリアンが早く帰って来るように」 「スフィーもリアンも早く帰って来るように」 「スフィーさんもリアンさんも早く帰って来られますように」  …おやっ、あの流れ星… 「ねえ健太郎、あの流れ星…なんだか、大きくなってきてない」 「そう言えばそうですね、なんだかこっちに向かってきているみたいです」  …向かってくる流れ星…まさか 「魔力確認、健太郎さん、どうやら間違いなさそうだよ」  なつみちゃんもうれしそうである。 「えっ、健太郎…まさか」  こくん  俺は無言でうなずく。 「スフィーさんとリアンさんですか」  俺がうなずいている間にもどんどん大きくなる流れ星  …何かいやな予感がする…何故だ、あいつらが帰ってくるのに 「ねえ、健太郎さん。スフィー達まっすぐこっちに向かってくるよ」 「まあ、当然だろ…待てよ」  ふと見るともう人間だと識別できる距離だった…  まっすぐに五月雨堂に向かってくるスフィー達… 「なつみちゃん骨董品は任せた」 「分かった、…」  なつみちゃんが呪文を唱える  スフィー達はもう肉眼でスフィー達だと確認できるくらいのサイズになっている  リアンとあと一人があわてているのが分かる…  そう、このままでは… 「まあ、あいつらしいと言えるのかな」  俺のつぶやきもものともせずに『まっすぐ』こっちに向かってくるスフィー達 「けんたろー」 「ね、姉さんこのままじゃ」 「スフィー様、このままでは激突してしまいます」  できるだけ、被害の少なくなりそうなはじっこに寄っておく  3、2、 1  タイミングを見てよける  どーん 「「健太郎(さん)大丈夫(ですか)」」 「まあ何とか、スフィー達はどうなったんだ」 「うりゅう…けんたろー。避けるなんて酷いよ」 「健太郎さんは大丈夫ですか」  どうやら無事らしい 「なつみちゃん、骨董品は」 「全部無事だよ」 「せっかくの感動の再会だったのに」  おまえは今度も俺を殺す気か 「見ろスフィー、感動の再会とはああいうものだぞ」  と俺が指さした先には 「なつみ…」 「お母さん…」  なつみちゃんとミュージーさんが再会を果たしていた  数分後 「おいしいよー、結花、おかわり」 「うふふ、ありがとね、スフィーちゃん」 「おいしいですね、結花さん」 「なつみちゃんのお母さんでしたっけ、ありがとうございます」 「やっと、本来の五月雨堂に戻った感じですね」 「本当にそうだよね」  うんうん、二人の言うとおりだ。 「あの、健太郎さん…何で、みなさん五月雨堂に集まっていたんですか」  そう言えば、説明はまだだったか 「ああ、それはだな」  うーん、何から説明すればいいか 「私たちが健太郎さんの婚約者だからですよ」  み、みどりさんそんなストレートな 「ええー、ど、どういうことなの健太郎」 「どういうことですか、健太郎さん」 「うーん、あとはスフィーちゃんとリアン次第って所かしらね」 「どうしたのなつみ」 「うん実はね…」  スフィーとリアンにみんなで説明する。  すると、二人は… 「ふーん、そんなことになってたんだ」 「そんなことになっていたんですか」  と、おおむね納得してくれた。 「と言うわけで、私たちはスフィーちゃん達が帰ってくるのを待っていたのよ」 「と言うわけだ、スフィー、リアン、おまえ達はどうする」  緊張の一瞬のあと二人は 「ねえ、けんたろ」 「どうしてそんなこと聞く必要があるんですか」  と逆に聞いてきた。 「どうしてって、そりゃあ」 「あたし達が反対すると思った」 「反対するわけないじゃないですか、こんなすてきな話」 「だって、みんな仲良く暮らせるんでしょ」 「そうですよね」 「だったら大賛成に決まっているでしょ」 「その通りですよ」  と、いうことは… 「これからもよろしく、けんたろ」 「よろしくお願いしますね健太郎さん」 「ふふふっ、だからいったでしょ心配することないって」  ほっとした俺に結花がいって来る 「まったくだな」 「それじゃあ、パーティーは明日まとめてやるとして」 「そうですね」  コップにビールがつがれる 「それじゃあ、みんなの健康と幸福を祈って」 「「「乾杯」」」  五月雨堂は今日もにぎやかだった。 終 後書き  やっと完成しました。  多妻シリーズマジカルアンティーク編  …長かったなあ、先に了承に出ちゃったし(笑)  しかも、みなさんに聞いておきながら、レベル変化アイテム出せなかったし。  でも自分としてはかなり頑張りました。  感想一行でもよろしくお願いします。 あとこれは了承学園とは関係ないと思ってください。                  Make



戻る