『藤田家のたさい』外伝

柏木家の幸せ〜月夜に流れる鎮魂曲(レクイエム)〜

最終章 想い、煌めく(きらめく)




「がーはっはっはっは――!!」
 ゆっくりと柳川は歩き出し、大声とともに煙の中から現れた。
 憎しみの心をエネルギーとし、最後の変身を遂げた柳川。
 その姿は今までの鬼の姿とは、まったく異なっていた。
 その背中には翼が生え、血走っていた目は瞳孔がなくなって真っ赤になってい
た。
 さらに全身は、あらゆる光を吸収しているかのように真っ黒だった。

 耕一に言われたため隠れて二人の闘いを見ていた千鶴たちは、柳川の姿に体を
震えさせていた。
「千鶴お姉ちゃん、あれなんなの?」
「わからないわ……」
「なんて邪悪な姿……」
 楓の言うとおり、柳川の姿は凶々しい(まがまがしい)ばかりだった。
「お兄ちゃん、大丈夫かな?」
「……信じましょう。私たちの、耕一さんを」
「うん」

 見る者全てが嫌悪感を持つような柳川の姿を見た耕一は、思わず一つの言葉を
つぶやいた。
「悪魔……人間の負の感情だけを集めると、人は悪魔になれるのか……」
  耕一のつぶやきを聞いた柳川は、大きく裂けた口を開いて笑い出した。
「がははは。そうだ、柏木耕一! 俺は悪魔だ。そして貴様はこの悪魔に殺され
るんだ!!」
「そうか。だが、貴様は俺の大切な人たちを傷つけた。だから……死ぬのは貴様
だ」
 耕一は身構えた。
 耕一の構えを見た柳川は、耕一に殴りかかった。
「そらっ」
 ドガッ。
「くっ」
 耕一は柳川の攻撃を受け止めたが、そのままはじき飛ばされた。
「ふん」
 はじき飛ばされた耕一は、空中で一回転するとそのまま地面を蹴って、柳川に
向かってジャンプし、彼の顔面に肘打ちをたたき込んだ。
 バキッ。
「ぐっ!」
  今度は隙をつかれた柳川がはじき飛ばされた。
「まだまだ!」
 耕一はさらに柳川に向かって跳躍し、攻撃を仕掛けようとした。
 その動きに気づいた柳川は、なんとか体制を立て直し、翼を広げて上空に飛び
上がった。
「しまった!」
 柳川は空中から急降下し、跳躍した体制から動けない耕一の背中を踏みつけた。
「ぐあああっ!」
 柳川はそのまま耕一とともに地面に降り、耕一の背中に全体重をかけた。
「ぐ、ぐおぉ……」
「がははは、痛いか? 痛いだろうな。いくら鎧を着込もうが、さっき受けた傷
が治るわけじゃない。だからな、こうやって鎧に衝撃を与えると……そら!」
「がっ……!」
 柳川が耕一の背中の上で微妙に体をずらすと、そのたびに耕一は苦しそうな声
を出した。
「傷が痛むって寸法だ。そら、そら!」
 柳川は耕一の背中をさらに踏み続けた。
 耕一はなすすべもなく柳川に踏みつけられていた。
「ぐ、かは……」
「これで最後だ!」
 柳川が一度飛び上がり、急降下して耕一を力一杯踏みつけようとしたとき、耕
一は横に転がりその場所を離れた。
  耕一は両手を地面につき、激しく肩で息をした。
 柳川は、そんな耕一をうれしそうに見ていた。
「ほう、さすがだな柏木耕一。まだ動けるとは」
 耕一はすっと立ち上がり、柳川の方を見た。
「スピード、技、パワー。それをとっても大した進歩だ。さすが自らを悪魔と言
うだけのことはある。このまま闘いが長引けば、傷の分もあって俺が不利だ。だ
が、そうはさせない。一気にかたをつけさせてもらう」
「ふふふ。そう、うまくいくかな?」
「いくさ」
 耕一はぐっと身構えた。
「大口はこれを見てから叩くんだな、柏木耕一!」
 柳川の両手の爪が伸びた。
 黒光りするそれは、明らかに今までの爪とは違った。
「貴様の奥の手か」
「そういうことだ。これがある限り俺は無敵だ。お前に、この爪が防げると思っ
ているのか?」
「やってみろ」
「そうさせてもらう!」
 柳川が耕一に飛びかかった。
 耕一は紙一重でその攻撃をかわした。
「ちっ、はずしたか!」
 柳川は耕一少し離れて地面に立った。
 柳川の直撃を避けた耕一は、柳川の方を見た。
「確かに、大した爪だな。今までの物とは質が違う」
 耕一の鎧の胸に部分に、五本の傷がついていた。
「この世に、俺の爪で切り裂けぬ物などない!」
「そうか。なら、こちらもその爪に対抗させてもらう!」
 耕一は右手を天に向けて高々と上げた。
「いでよ、『泪(なみだ)』!」
 耕一が叫ぶと、再び次郎衛門の墓の方から光が放たれ、その光は耕一の右手に
集まった。
 集まった光は徐々に棒の様な形になり、耕一が右手を振ると、その手には一本
の刀が収まっていた。
「そ、その刀は……」
「宝刀『泪』。かつて次郎衛門がこの鎧とともに、リネットから借りた武具。亡
霊から聞いたことがあるはずだ」
「そうか、それが『泪』か。ではどれほどの力か、見せてもらおう!」
 柳川は耕一に飛びかかった。
 ガン!
 次の瞬間、柳川の爪を耕一の刀が見事に受け止めていた。
「ほう……だが、まだまだいくぞ!」
 ガン、ギン、ガガガン!!
 柳川は次々に爪で耕一を斬りつけたが、それを耕一は全て刀で受け止めた。
「おのれ!」
 一瞬、柳川の心に隙が生じた。
 耕一はその隙を見逃さなかった。
「たあ――!」
 耕一の刀が柳川に向かって振り下ろされた。
 柳川はジャンプしてかろうじて刀をよけ、耕一から少し離れた場所に降り立っ
た。
「おのれ、柏木耕一……は! そ、そんな!」
 柳川が自分の爪を見ると、その爪は全て根本から切れ、地面に落ちた。
 彼の十本の爪は全て、耕一に切り落とされていたのだ。
「貴様、初めからこれが狙いで……」
「どうする、柳川?」
 耕一は刀を構えたまま柳川ににじり寄った。

「ぐう……これでどうだ!」
 柳川は切り落とされた爪を耕一の顔面に向かって投げつけた。
 パシッ。
 その爪を耕一はあっさりとつかみ投げ捨てた。
「むだだ」
「くっ……」
「もう貴様に闘う術は残っていない。覚悟を決めろ」
 耕一は刀を握りしめた。
「が……がはははは。さすがだ、柏木耕一! だが貴様とて完璧ではない。心に
隙さえあれば、俺は勝てる!」
「そんなものができると思うのか?」
「できるんだ!」
 柳川はそう叫ぶと、翼を広げ飛び上がった。
「奴らを殺せばな!」
「なんだと!」
 柳川は隠れていた千鶴たちの方へ飛んでいった。

「え!?」
 千鶴たちは自分たちの方に向かってくる柳川を見て、足がすくんだ。
 だが、たとえ足がすくんでいなくても、彼女たちの力では柳川から逃れること
は不可能だった。
 震える千鶴たちを見て、柳川は大きく拳を振り上げた。
「今から追いかけても遅いぞ、柏木耕一! 先にこの女たちを殺してやる!」
「させるか!」
 耕一は右腰にある銃を引き抜くと、柳川に向かって引き金を引いた。
「ゼータ・マグナム!」
 ドシュンッ!!
「ぐあ!」
 銃口から放たれた光が柳川の背中の翼を貫き、柳川は地面に落下した。
 柳川の翼を撃ち抜いた耕一は、柳川の方へ向かってジャンプした。
 地面に激突した柳川はよろよろと体を起こしながら、そばに着地した耕一に向
かってつぶやいた。
「ぐっ、忘れていた……『ゼータ・マグナム』……闘気をレーザーのように打ち
出す銃か……なるほど大した威力だ」
「そういうことだ。この銃がある限り、貴様がどんなに遠くへ行こうとも俺から
逃れることはできない」
「くそっ」
「さあ、そんなくだらない作戦さえも成功しなかったんだ。万策尽きたな、柳川。
今度こそ覚悟を決めろ。そして、あの世で貴様が殺めた人たちに詫びるんだな!」
 耕一は「ゼータ・マグナム」を腰のホルダーに直すと、再び刀を両手で握りし
めた。
「くそ……覚悟、など……覚悟など決められるか!!」
 柳川が叫ぶと同時に、彼の周りの空間が歪み始めた。
「くっ」
 耕一はあわてて柳川から離れた。
「これは……」
 歪みの中で柳川の体は今までよりもさらに大きくなり始めた。
 それと同時に、爪や翼にあった傷は徐々に治っていった。

「信じられん、まだ負のエネルギーを集められるなんて。あのエネルギー量、ま
かり間違えば自滅するぞ。最後の、賭けか……まずい!」
 耕一は千鶴たちに離れるように指示し、自らは刀を目の前にかざした。
「よしっ!」
 耕一のゴーグルの目にあたる部分が鈍く光った。
 その発光と合わせるかのように刀の刀身が、徐々に青白く光り輝きだした。
 光が刀身全体に広がると耕一は刀を右手で握り、忍者が背中のさやに刀を収め
るように刀を構えた。
「勝負だ、柳川!」

 一方、柳川の方も準備が完了した。
 全身は倍ほどに膨らみ、その手に生える爪も大きく、さらに鋭くなっていた。
「が――――!!」
 柳川は歪みをぶち破った。
「これで終わりだ! 死ね、柏木耕一!!」
 翼を広げた柳川は、耕一に向かって猛スピードで突っ込んだ。
 その爪は、柳川の凶々しい闘気で覆われていた。

「いくぞ!!」
 耕一も柳川に向かって走り出した。

 想いと憎しみ。
 光と闇。

 月明かりの中、二人の鬼による最後の闘いの幕が切って落とされた。

「くらえっ!」
 柳川は右手を耕一に向かって上から振り下ろした。
 ガギン!!
「くっ」
 耕一は刀を両手で握り、その爪を刀で受け止めた。
「ぐぐぐぐぐぐ……!」
「くくっ……!」
  しばらく膠着状態が続いた。
 耕一の両手の力と柳川の右手の力はまったく同じだった。
 柳川はニヤリと笑みを浮かべた。
「くくく。すばらしいぞ、この圧倒的な力。さすがは憎しみの力だ。柏木耕一、
貴様はさっき、あの女どもへの想いで自分は最強になったと言ったな。ならば、
その想いの力とやらで、この場はどう切り抜ける!」
 そう叫んだ柳川は、左手を右手にたたき落とした。
 バンッ!
「ぐっ」
 耕一は必死でその衝撃にたえたが、足が地面にめり込んだ。
「くくく。さあ、いつまでたえられるかな? 想いの力で、俺の持つ憎しみの力
に!」
 柳川はゆっくり両手に力を込めていった。
 そのため耕一の体は徐々に地面に沈んでいった。
 だがそんな状況にもかかわらず、耕一はやや余裕を持って言い放った。
「くくっ……なら、見せてやる。俺たちの、想いの力!」
「ほう」
「てい!」
 耕一は気合いを入れた瞬間、刀を少しずらした。
「うお!」
 支えをなくした柳川は勢いあまって、地面に爪を突き刺してしまった。
  その隙に耕一は地面から足を引き抜いた。
「おのれ!」
 柳川は体をひねって地面から爪を引き抜き、横から耕一に斬りつけた。
「たあっ!」
 ガギ――ン!
 耕一はその爪を下から刀ではじいた。
 腕を上に叩き上げられた柳川は、後ろに倒れかけた。
「く、くくっ」
 柳川は必死でバランスをとり、倒れるのを免れた。
「ゼータ・マグナム!」
 ドン!!
 その瞬間、耕一は柳川の胸に向かって「ゼータ・マグナム」の引き金を引いた。
「ぐあああっ!」
 「ゼータ・マグナム」を受けた柳川は後方に吹き飛ばされた。
 だが柳川は地面に倒れる寸前に翼を広げ、必死で体勢を立て直し地面に着地し
た。
「貴様……はっ!」
 顔を上げて耕一をにらんだ柳川の目に、刀を構えて自分に向かって飛びかかっ
てくる耕一の姿が映った。
 ガズッ!!
 耕一は柳川の胸に刀を突き刺した。
 その刃は柳川の心臓を的確に捉えていた。
「こ、おお……!」
 柳川はかっと目を見開き、口から血を一筋たらした。
 耕一は刀を握った手に力を込めた。
 ズブ、ズブブッ。
 刀はさらに柳川の心臓に食い込んだ。
「これが、想い――くっ、憎しみ、を上回る心の――ちから。つよ、さか――。
くっ――このこころが、お、おれにも、あ、あれ――こ、ここまで、か……」
 一瞬、柳川の目がきらりと光った。
 そのとき、柳川のその目には、確かに憎しみとは異なる感情が浮かんでいた。
 だがそれも一瞬だった。
 柳川の目に浮かぶ感情は、すぐに憎しみと狂気に戻ってしまった。
「だが俺は、一人では、死なんぞ……柏木、耕一。貴様も、死ねぇぇぇええ!!」
 ゴオォッ。
 二、三歩後ずさりした柳川は、立ち止まったあとゆっくりと右手を上に上げ、
渾身の力で耕一に振り下ろした。
 ブンッ。
 柳川の右手が耕一を捕らえる瞬間、耕一は柳川から刀を引き抜き、地面に下り
た。
 柳川の爪は耕一の残像を突き抜けただけだった。
「何……!?」
 地面に下りた耕一は柳川の頭上まで飛び上がり、刀を上段に構えた。
 刀の刀身の発光が、さらに激しくなった。
 その光を見て、柳川の表情に恐怖の色が浮かんだ。
「柳川、覚悟――――!!」
 耕一は声とともに、柳川の頭に刀を振り下ろした。
「秘剣、星くずし!!」
 ズバ――――ン!!
 巨大なエネルギー同士がぶつかった、すさまじい音がした。
「か…………!」
 柳川は恐怖の表情のまま、動きを止めた。

 地面に着地した耕一は軽くジャンプして、柳川から離れた。

 耕一が柳川から離れると同時に、柳川はがたがたとけいれんし始めた。
「…………」
 柳川は口をぱくぱくと動かし声にならない声を出した。
 そしてその表情には、自分の敗北が信じられないという感情と、言いようのな
い哀しみが浮かんでいた。
「あ……う、あ……」
 ズズ――ン。
 柳川はうめき声をあげながら、空を見上げるように倒れた。
「お、おのれ、次郎衛門――。まだだ、まだ我らは滅びぬぞ――」
 柳川が倒れた瞬間、彼の頭上にエルクゥの亡霊が現れた。
 耕一は亡霊をにらむと、冷たい声で言い放った。
「残念だったな。さっき柳川が言っていただろう、貴様にはもう生き返る力はな
いと。それに、たとえその力が残っていても、もう遅い。俺の闘気を受けた『泪』
は精神体をも断つことができる」
「なんだと――!」
 亡霊の体に縦に、まっすぐな一本の青白い線が入った。
「亡霊。貴様の悪しき野望も、これで終わりだ!」
 耕一の言葉と同時に亡霊はまっぷたつに裂け、柳川の体に落ちその体に溶け込
んでいった。
 亡霊が柳川の体に溶け込んだ瞬間、柳川の体から黒い煙がもうもうと吹きだし
た。
「あれは負のエネルギー。そうか、亡霊が滅んだために、柳川の体に押さえ込め
なくなったのか」
 黒い煙が消えたあとには、人間の姿で倒れている柳川がいた。
「あ、ぐ、ぐぐ……」
 柳川はよろよろと起きあがった。
「まだ動けるのか」
 だが、耕一のつぶやきは柳川にはすでに聞こえていないようで、柳川は膝で立
ち上がりぼうっと空を見上げていた。
「あ、ぐぐ……あ、ぁああああ!!」
 柳川はゆっくりと空へ向かって両手を伸ばし、何かを抱きしめるような仕草を
した。
「おお、おお、ようやく会え――会い――った、会――かった……」
「ん?」
 耕一には柳川が誰に話しかけているのかわからなかったが、柳川は涙を流しな
がら、確かに誰かに話しかけていた。
「お前が――いなく――からの一年、本――に辛かった。だが、これから――っ
といっしょ――だろ? そうか、うれし――。お前さえ――いて――れば、それ
で、いい――。おお、おぉ……」
 柳川は、再び両手を空中に伸ばした。
「え? そ、そうか、時間――は、はは、は、これで――やくお前、と――いっ
しょ、ずっと――いっしょ――そうか、そうか……」
 柳川の体に、すうっと縦に一本の青白い線が入った。
「星が、流れる……」
 耕一がぽつりとつぶやくと柳川の体の青白い線は、やがて全身に広がり、彼の
体は青白い光の塊となった。
 全身が光に包まれた柳川は立ち上がり、耕一の方を向いてゆっくりと口を開い
た。
「ん? なんだ、何が言いたいんだ?」
 だが柳川の言葉は耕一の耳には届かず、そのまま柳川の体は、無数の光の粒と
なってはじけ飛んだ。
 その美しいさまは、まるで流れ星のようだった。



 柳川の体が消滅したのを確認した耕一はゆっくりと千鶴たちの方へ歩いていっ
た。
「みんな、いき、いき、て、いる、か……?」
「こ、耕一お兄ちゃん。勝った、勝ったんだね……」
  初音が涙ぐんだ。
 千鶴も楓も、目が覚めたばかりの梓も涙ぐんでいた。
「ぶ、じ、だったみ、たいだな。よ、かっ――」
 ドサッ。
 そこまで言うと、耕一は前のめりに倒れた。
 それと同時に耕一の体から鎧が消えた。
「耕一さん、どうしたんですか? ……はっ!」
 耕一の体を見た千鶴は息を呑んだ。
 鬼に変身したことによって服が破れ裸になっていた耕一の体は、傷だらけだっ
た。
 特に柳川の爪の刺し傷がひどく、背中と腹からはどくどくと血が流れていた。
 耕一のけがを見て危険と判断した千鶴は、大声で梓たちに命令した。
「楓、救急車を呼んで。初音、何か耕一さんに着せる物を用意して。梓、あなた
は私といっしょに耕一さんの止血を。みんな急いで!」
「はい!」

 病院に着いた耕一は緊急手術をすることになった。
 千鶴と梓の応急処置がよかったため、手術は無事成功した。
 だが出血がひどかったため、耕一は一週間も眠り続けることになった。



『耕一、耕一』
「あんたか、次郎衛門」
 耕一は夢を見ていた。
 夢の中では、再び耕一と次郎衛門が話をしていた。
『よくやった耕一。立派に、愛する者を守ったな。本当によくやった』
「まあ、苦労したからな」
 うれしそうに言う耕一に、次郎衛門は満足そうにうなずいた。
『本当に、ありがとう。お前は、俺ができなかったことを、みんなを守ることを
やってくれた。本当に礼を言うぞ』
 その言葉に耕一はニッと笑った。
『あの刀と鎧はお前にやろう。お前なら、きっとあれを、愛する者を守るためだ
けに使ってくれると信じているぞ』
 次郎衛門の言葉を聞いた瞬間、耕一は真剣な顔をして次郎衛門をにらんだ。
「冗談じゃない、あんな物騒な物必要ない……と言いたいところなんだが、きれ
いごとばかりは言ってられないな。ありがたくもらっておくよ。そして約束する、
みんなを守るためにしか絶対あれは使わないって。でも……」
『でも?』
「あれに世話にならなきゃいけないようなこと、本当は二度と起こってほしくな
いんだけどな。いや、あんなのを振り回さなきゃいけないようなこと、正直、二
度とごめんだ。二度とみんなを、危険な目になんかあわせたくない」
『……そうだな』
「なあ、それはそうと次郎衛門。一つ、聞いていいか?」
『なんだ?』
「エルクゥの亡霊や柳川はどうなった?」
『柳川は、彼が殺した人々の魂に謝罪したあと、二人で地獄に堕ちていった』
「二人って?」
『柳川とその友人だ』
「友人ってあのマフィアに殺されたっていう?」
『そうだ。彼は、柳川の行為は自分が引き起こしたと思っているようでな、柳川
の罪を半分背負うつもりだそうだ』
「そ、そうか……」
 耕一は、柳川が死ぬ間際に話しかけていたのは、その友人の霊だったのではな
いかと思った。
「なあ、次郎衛門。柳川は、最後に何を言おうとしたんだろう」
『わからん、それは本人に聞かないとな。だが俺には、少なくとも奴が恨み言を
言ったとは思えん』
「どうして?」
『柳川が死んだとき、奴の表情には、憎しみも悲しみもなかった。奴の表情は本
当に穏やかなものだった。そんな奴が恨み言を言うと思うか?』
 ふいに耕一の脳裏に、柳川の死ぬ寸前の姿が思い出された。
 そしてその表情を思い出したとき、耕一は自然に笑みをこぼしていた。
「そう、だな」
『…………』
 次郎衛門は黙ってうなずいた。

 結局、柳川が最後に耕一に伝えようとした言葉は、耕一にはわからなかった。
 だが、あえてそれを知ろうという気持ちは、すでに耕一にはなかった。
 思い出された、柳川の最後の表情。
 それを思い出したとき、なんとなく耕一には全てがわかったような気がしたか
ら。
 そしてそれ以上知る必要はない、そう耕一は思ったから。
『それからエルクゥの亡霊は、『泪』に両断されたことにより、完全に消滅した。
これは俺も確認した、間違いない。もう、絶対に奴らが復活することはない。そ
う、多くの命を奪った者たちは、その報いを、受けたんだ』
「そうか。教えてくれてありがとう。ん? どうしたんだ、次郎衛門?」
『…………』
 次郎衛門は思い詰めた顔をして耕一をじっと見つめていた。
 その様子に気づいた耕一は次郎衛門に話しかけた。
「おい、いったいどうし――」
 次郎衛門は、突然土下座した。
『すまない、耕一! 俺を殴れ! 力の限り殴れ!!』
「お、おい、いきなりどうしたんだよ!?」
 耕一はあわてたが、次郎衛門はそれにかまわずに話し続けた。
『俺はお前たち五人に数え切れない苦痛を与えた。両親を奪い、心を傷つけ、肉
体を傷つけた。今回のことだってそうだ。いくら本当の意味での俺の心を知るた
めには必要なことだったと言っても、あのとき、一歩間違えれば、お前は愛する
者を死なせてしまうところだった。そして、それらは全て己の弱い心に負けエル
クゥを虐殺した俺の責任だ、絶対に許されることではない。だから殴れ!! 殴る
んだ!!』
「…………」
 耕一は何も言わなかった。
 次郎衛門は、頭を地面にこすり続けていた。
『頼む。こんな事で許されるとは思っていない。だが、こうでもしないと俺の気
が済まない!』
 やがて耕一は一言だけ言った。
「いやだ」
『なぜだ!』
 次郎衛門は頭を上げた。
『なぜ殴らない!』
「殴りたくないからだ」
『だからなぜ!!』
「じゃあ、俺の質問に答えろ。そうすれば俺も答えてやる。なぜ、俺があんたを
殴らなければならない」
『それは、俺が過去にやった行動が原因となり、今お前たちに災いを与えている
からだ』
「ということは、あんたは、俺があんたを恨んでいると言いたいんだな?」
『違うのか?』
 耕一は静かに首を横に振った。
『なぜだ!』
「確かにあんたが昔、自分の弱い心に負けなければ俺たちの運命は変わっていた
かもしれない。だが、あんたがエディフェルやリネットと出会い、彼女たちを愛
さなければ、俺が千鶴さんや梓や楓ちゃんや初音ちゃんという、素敵な人たちと
出会い、その人たちと結ばれることもなかった」
『それは、そうだが……だが』
「もういい!!」
 耕一の大声が響いた。
『こ、耕一……』
「本当に、もういいんだ。俺はあんたから辛いこと以上にすばらしい物をたくさ
んもらったんだ。俺が今、毎日感じている喜びは全てあんたたちという、過去の
贈り物だ。だから、もういい。頼むから、俺にみんなとの出会いまで、否定させ
ないでくれ」
 次郎衛門は両目から涙をあふれさせた。
『耕一、ありがとう……』
 次郎衛門は再び土下座した。

 やがて次郎衛門はゆっくりと立ち上がった。
『それでは、俺はもう行く。さらばだ、達者で暮らせよ、耕一』
「ああ、あんたも元気でな」
『おいおい、俺は死人だぞ』
「あ、そうか。……まあいいや」
 二人はしっかりと握手を交わした。

 そのとき、精神世界に大声が響いた。
『こら――! 次郎衛門――! 用が済んだらさっさとこっちに来――い!』
「へ? 梓?」
 耕一は聞き覚えのあるその声に不思議がったが、次郎衛門は顔を青くしていた。
『ア、アズエル! なんで!』
「アズエル?」
 耕一が声のする方を見ると、四人の女性が耕一たちの方に近づいてきていた。
『次郎衛門、耕一さんとのお話は終わったんでしょう? もう行きますよ』
『それとも、誰か女性の魂に会うご予定でもあるのかしら、次郎衛門さま?』
 それぞれ初音と千鶴に似た声の女性が、次郎衛門に近寄った。
 次郎衛門はおびえるようにぶんぶんと首を横に振った。
『ない、ない、ない、なーんにもないぞ、リネット、リズエル! そう、なんに
もない!』
『でもな、次郎衛門って結構浮気性だからな』
『アズエル、お前、なんてこと言うんだ!』
 ニヤニヤと笑いながら次郎衛門に話しかけた梓によく似た声の女性に、次郎衛
門は目に涙を溜めながら怒鳴った。
「なんか、すっごく見たことのある光景だな……」
 耕一は四人の会話を聞いていると、なぜか頭痛と寒気がした。

『どうしたんですか、耕一さん』
 一人の女性が耕一に話しかけた。
 四人の中で次郎衛門との会話に参加していなかった女性だ。
「えっと、あなたは」
『はじめまして、耕一さん。私の名はエディフェル。次郎衛門の妻です』
「あなたがエディフェルさん。楓ちゃんの前世。じゃあ、向こうにいる女性たち
は」
『はい。向こうから次女のアズエル、四女のリネット、長女のリズエル。彼女た
ちは、それぞれあなたの妻の梓、初音、千鶴の前世にあたります。それよりも』
 エディフェルは耕一を見つめた。
『本当にありがとう、耕一さん。よく楓たちを守ってくれましたね。みんなを代
表してお礼を言わせてもらいます』
「そんな、お礼を言われるようなことは……俺は自分と、みんなの幸せのために
やったんですから」
 エディフェルにほめられた耕一は照れて頭をかいた。
『それでいいんですよ。ふふ、でも私に話しかけられたぐらいで照れてどうする
んですか? 楓たちにばれたら、怖いですよ』
「え? そうか! 見たことあるわけだ!」
『どうかしましたか?』
「い、いえなんでもないですよ、はは、はははははは」
 耕一は乾いた笑いを浮かべた。
 エディフェルは、そんな耕一に優しく微笑みかけた。
『それから耕一さん。もう一つ、別のことでも私たちはあなたにお礼を言わない
といけませんね』
「はぁ。別のこと、ですか?」
『ええ。あなたが楓だけでなく、千鶴や梓、初音の想いも受け止めてくれたこと
です。そのおかげで私たち姉妹はまた、こうして会うことができたんですから』
「それは、どういうことですか?」
『耕一さん、あなたは不思議に思いませんでしたか? それぞれ別の人間の魂に
生まれ変わっているはずの私たちが、なぜ全員あなたの精神世界にいるのかを』
「あ、そういえば」
『簡単に言うと、私たちは幽体離脱をしているんです』
「幽体離脱?」
『ええ。あなた方の魂の一部である私たちは、魂のその部分を切り離すという一
種の幽体離脱をすることによって、ある程度自由に動き回れるんです。で、その
動き回れる範囲というのは、重なり合った心の中だけ。逆に言うと、重なり合っ
ていない心へ行くことはできないということにもなります』
「はあ」
 耕一は曖昧に返事を返した。
 エディフェルが何を言いたいのかよくわからなかったからだ。
『つまり、もしあなたが楓、千鶴、梓、初音の中の一人、例えば楓だけを生涯の
伴侶として選んでいたとしたら、私と次郎衛門の魂しかこうして会うことはでき
なかったということです』
「じゃあ、俺がみんなと結婚したからこそ、こうしてみなさんが再会できた、と
いうことになるんですか?」
『はい、そういうことです。本当にありがとう、耕一さん』
「そ、そんな。俺はみんなのことが同じだけ大好きで、ずっとみんなに笑顔でい
てもらいたくて、みんな、ずっと俺といっしょにいたいって言ってくれて、俺も
ずっとみんなといっしょにいたくて、だからみんなと結婚しただけで、それ以上
のことは……でも、本当によかったですね」
 耕一は再び照れて頭をかいた。
『ありがとう、耕一さん。じゃあ、お礼も言いましたし、これで私たちは失礼し
ます。耕一さん、楓と仲良くしてくださいね。さあ、みんな、行きますよ』
 エディフェルはいまだに言い合いを続けている次郎衛門たちに、呼びかけた。
『お、おお。わかったエディフェル』
 アズエルに耳を引っ張られていた次郎衛門は、うれしそうにエディフェルの呼
びかけに答えた。
 次郎衛門に近づいたエディフェルは、そっと彼に耳打ちした。
『次郎衛門、話はまだ終わってませんよ。続きは、またあとです』
『なっ……!!』
 その瞬間、次郎衛門の顔は真っ青を通り越して真っ白になった。
 ピキッ。
 さらに髪も真っ白になり、全身は石像のように硬直した。
『あ、あたしたちもお礼を言わないと』
 アズエルの言葉に反応してリネット、リズエルも耕一のそばに来た。
『初音を頼みましたよ』
『梓を助けてくれて、ありがとな』
『千鶴のこと、よろしくお願いします』
「任せてください」
 耕一は胸を叩いた。
 耕一の様子を見た三人は満足そうに微笑んだ。
『では、さようなら耕一さん』
『失礼します』
『じゃあな』
『ごきげんよう』
 エディフェルに続いてリネット、アズエル、リズエルが耕一に別れのあいさつ
をした。
「はい、みなさんも仲良くしてください」

『では、ごきげんよう』
 四人は、硬直している次郎衛門を抱えて消えていった。

 四人が消えた空間を見つめながら耕一はぽそっとつぶやいた。
「次郎衛門、柏木家の男が妻に弱いのって、全部てめーが元凶だったんだな。あ
のことも、そのことも、このことも。ち、そうとわかってりゃ……」
 耕一はぐっと右手を握りしめた。
「絶対十発は殴ってたぞ……ったく。くー、しくじったなあ。よし、今度会った
ときには……!」
 耕一はそこまで言って、ふぅっと息を吐いた。
「まあ、いっか……さっきのエディフェルさんたち、笑ってたもんな」
 耕一は先ほどエディフェルたちが消えていったときの様子を思い出した。
 全身硬直している次郎衛門を抱えたエディフェルたち四人の顔。
 そこには、心からの幸せが満ちあふれていた。
「ふふふ」
 耕一は少し微笑み、エディフェルたちの消えた空間を見つめた。
「みんな、仲良くな! さよなら!!」



 柳川との闘いから一週間後の朝、耕一はゆっくりと目を覚ました。
「う、うーん……ああ、よく寝た。あれ、ここどこだ?」
 耕一は、自分が家で寝ていないことに気づきあたりを見回した。
「耕一さん、目が覚めたんですね! よかった……さっそくみんなに知らせなく
ちゃ!」
「千鶴さん?」
 耕一の側のパイプいすに座ってうたた寝をしていた千鶴は、目に涙を浮かべて
病室から出ていった。
「どうしたんだろう、千鶴さん」
 状況がよくわかっていなかった耕一が不思議そうにしていると、千鶴が戻って
きた。
 病室に入るなり、千鶴は耕一に抱きついた。
「耕一さん。本当によかった……本当に」
 耕一は千鶴を抱きしめながら、優しく彼女の髪をなでた。
「千鶴さん。ここ、病院なの?」
「はい。柳川を倒してすぐに耕一さんは手術をしたんです。出血がひどくて」
 千鶴は耕一の胸に顔を埋めながら話を続けた。
「手術は成功したんですけど、耕一さんは極度の貧血になっていて、その影響で
ずっと眠っていたんです」
「ずっと?」
「はい。あれから、もう一週間もたってるんですよ。ですから私たちが毎日交代
で、ずっと耕一さんに付き添っていたんです」
「そうだったのか。心配かけてごめんね。それから……ありがとう」
「いいんです、もう」
 千鶴はそれ以上何も言わず、耕一の胸に顔を埋めていた。

 しばらくすると、騒がしい足音が廊下から聞こえてきた。
 バン!
「お兄ちゃん大丈夫!」
「耕一、起きたんだって!」
「耕一さん!」
 ドアが開いて梓たち三人が病室に飛び込んだ。
 耕一は笑顔で三人を迎えた。
「みんなありがとう、もう大丈夫だよ。ん? どうしたの。みんな」
「耕一さん!」
「耕一!」
「耕一お兄ちゃん!」
 三人は耕一に抱きついた。
 その勢いで今まで耕一に抱きついていた千鶴は、はじき出された。
「ちょっとあなたたち!」
 だが、千鶴の抗議は完全に無視されてしまった。
「梓、けがはもう大丈夫か? けがしたのって頭だったろ。脳とか、大丈夫なの
か?」
 耕一は梓を心配そうに見つめた。
「うん、平気。CTスキャンでも大丈夫だった。それに、耕一の愛情もあったん
だ。けがなんてすぐに治るよ」
「そうか」
 耕一は梓の髪を優しくなでた。
「耕一さん、私たちは心配してくれないんですか?」
「わたしたちだってけがしたんだから!」
 楓と初音の抗議に、耕一は苦笑いを浮かべた。
「そうだったね、ごめん。楓ちゃんのけがは大丈夫なの?」
「はい、もちろんです。だって耕一さんが治療してくれたんですから」
「そう、よかった。初音ちゃんは、けがの跡が残ったりしてない?」
「うん。お兄ちゃん、まず顔のけがをなおしてくれたもん。他のけがも大丈夫だ
よ」
「みんな、大丈夫だったんだ。本当によかった……本当に……」
 耕一は笑顔のまま、両目を潤ませた。
「ああ、だめだよお兄ちゃん。大の男が泣いたりしちゃ。早く泣きやまないと、
これからは『泣き虫お兄ちゃん』って呼んじゃうから」
「い、いいだろ、別に。みんなが生きていてくれたことが、本当に、うれしいん
だから。こんなにうれしいときに泣かないで、いつ泣けって言うの?」
 初音に注意されても、耕一はあふれる涙を拭おうとはしなかった。
「……お兄ちゃん」

「まったく、あの娘たちったら……」
 笑顔で会話している四人を見ているうち、千鶴から文句を言う気は失せていた。
「はぁ、もう仕方ないわね。あなたたちも耕一さんのこと、心配だったのよね」
 千鶴はうんうんとうなずいた。
「しょうがないわね。じゃあ、私も!」
 千鶴は再び耕一に抱きついた。
「おっとと」
「耕一さん、私のけがの具合は聞いてくれないんですか?」
「はは、わかったよ、千鶴さん。千鶴さんは、もう痛い所なんてないの?」
「ええ、耕一さんの治療のおかげです。もう、すっかり元気です」
「そっか」
 耕一は安堵の表情を浮かべたあと、千鶴たち四人を体から離しじっと見つめた。
 その目には、もう涙はなかった。
 ただ、真剣で優しい光だけがあった。
「あのさ、みんなごめん。ちょっと痛いけど、我慢してね」
 そう言うと、耕一は四人を強く、強く抱きしめた。
「あん……ちょっと、耕一さん、痛いです」
 千鶴がやんわりと抗議した。
 だがその声には、どこか甘える雰囲気があった。
「ごめん。でも俺、しばらくこうしていたいんだ。俺は一人じゃ、絶対柳川には
勝てなかった。みんながいたからこそ俺は生き残って、ここにこうしていられる。
みんなとの約束を守ることができる。だから今のこの想いを、体に感触として残
しておきたいんだ。だから、もうしばらく、こうさせていて。俺の、大好きな人
たちのぬくもりを、感じさせて」

「耕一さん……」
「じゃあ」
「私たちも」
 千鶴たちも耕一を強く抱きしめた。

 五人は互いを強く抱きしめあった。



 ――この幸せな瞬間(とき)よ、いつまでも――

 それは五人の心からの願い。



<完>


  〜あとがき〜

 読んでくださった方、ありがとうございました。

 今回の話は「幸せへの前奏曲」から直接つながる話になってまして、今回が本
当の決着です。
 「〜前奏曲」では親に助けられましたけど、今回、彼には自分自身の力で大切
な人を守ってもらいました。
 ま、たまには耕一が主役らしく活躍したって、ね。

 それからこの話のもう一人の主役、柳川裕也ですが、彼の設定は性格も含めて
わざと変えました。ゲーム本編の柳川だと、どうも今回の敵役にしっくりこなか
ったので。まあここまでやれば完全に別キャラですが。
 あと、鬼の力の制御や、その定義についても変えました。「生まれつきだから
あきらめましょう」じゃ話を盛り上げられません、私には。

 また今回の話、展開としては完璧「お約束」なものを使いました。賛否両論あ
るでしょうが、これは譲れませんでした。「がんばったら、あきらめなければ、
なんとか展望は開ける」私はお話の中だけでもそういうものを望みます。

 こんな話ですが、楽しんでいただけたらな、と。

 ご感想、ご意見、苦情などは、掲示板かこちらへいただけると幸いです。

 それでは。


 ☆ コメント ☆ セリオ:「♪ か〜な〜ら〜ず〜♪ 最後に愛は勝つぅ〜〜〜♪」(^0^) 綾香 :「……まーた、そんな古い歌を……」(^ ^; セリオ:「これくらいはレディーの嗜みです」(^^) 綾香 :「そのネタはもういいから」(^ ^; セリオ:「まあ、それはさておき。      愛する者を守ろうとする想いって凄いんですね」 綾香 :「そうね。      もしかしたら、この世で最も強い力かもしれないわ」 セリオ:「やっぱり、最後に愛は勝つんですね」(^0^) 綾香 :「もちろんよ」(^^) セリオ:「愛の力って偉大ですね」(^0^) 綾香 :「うん」(^^) セリオ:「愛……愛……。あいあい……あいあい」 綾香 :「『あいあい』?」(^ ^; セリオ:「♪ ア〜イアイ♪ ア〜イアイ♪ おさ〜るさ〜んだよ〜♪」(^0^) 綾香 :「…………」(^ ^; セリオ:「そうか。愛とは猿なんですねぇ」(−−) 綾香 :「おい」(−−;;;


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