「・・・寒いぞ。」
 
まぁ、冬真っ盛りに公園のベンチに座って動かずにいたら当たり前か。
 
何で、俺が寒いのを我慢して、こうしているかいうと、
 
「あ、動かないで下さい。祐一さん。」
 
そう、栞の絵のモデルをやっているからである。
 
 
 


        約束
一時は、もうだめかと思われていた栞だったが奇跡的に回復して 今では、入院していた時間を取り戻すかのように元気に生活している。 そして、今日も栞に呼び出されてモデルをやってるって訳だ。 「問答無用で寒いぞ、栞。」 「もうちょっとですから、我慢してください。」 「さっきもそう言ってから2時間経つぞ。」 さすがに3時間もこの寒さの中にいたら我慢できんぞ。 「しょうがないですね。」 栞もそれが分かったのだろう、道具を片付け始める。 片付け終わるのを見計らって、声をかける。 「こっちこいよ、栞。」 「はい。」 ぎゅ 近づいてきた栞を抱きしめる。 「キャ、祐一さん。何を?」 突然の俺の行動に驚くが、しばらくするとおとなしくなる。 「俺も寒いし、栞も寒いだろ。だから、こうやってればお互い温いだろ。」 有無、我ながらすばらしいアイデァだ。 「クスクス、祐一さん。耳まで真っ赤ですよ。」 「寒いからだな、きっと。」 「フフ、そういうことにしておきますね。」 しばらくの間、静かにお互いの体温を感じあう二人 こうやって、真近で見ると思うんだが、栞の肌は白い。 入院時に比べるとマシにはなっているが、それでも健康な人間に比べると白い。 俺は、その肌の白さに儚げで今にも栞が遠くに行ってしまうかのような感じを覚えてしまう。 「祐一さん?」 そんな事を考えてたせいか、手に力がこもったんだろう。 栞が心配そうな顔でこちらを見ている。 「いや、何でもない。」 栞の不安を消すために、俺は笑みを浮かべて答える。 栞は、俺の顔を見て少し黙っていたが、しばらくすると話し始めた。 「祐一さん。私は自分の体が嫌いでした。この体のせいで学校に行けなくて友達もできませんでした。  それに香里お姉ちゃんにもいっぱい迷惑をかけちゃいました。」 「栞!!」 自分を卑下する栞の言葉に強い口調で咎める俺 そんな俺を見つめ、首を振る栞 「でも、今はこの体が好きです。だって、祐一さんの声が聞けて、祐一さんと話せて、  祐一さんの絵を描けて、そしてこうやって祐一さんを感じる事ができるんですから。」 そして、まっすぐに俺を見つめ、 「だから、そんな顔しないで下さい。私は、どこにも行きません。約束します。  だって、私の居るところは、ここ、貴方のところなんですから。」 栞の言葉を聞き、俺は思った。 栞は、始め、助からないと言われていた。 でも、奇跡が起きて、たすかった。 なら、たとえ、栞がいなくなったとしてもまた奇跡が起こるかもしれない。いや、 俺が起こしてやる、何度でも、何度でも。 だから、俺も栞に約束する。 「俺も約束するよ、栞。俺は、お前の傍にいる。たとえ何があっても、絶対にお前を離さないと。」 俺は栞をさっきよりも強くだきしめる。離さないように、離れないように。 そして俺は、栞にキスをした。そのキスが約束の証のように。 いつまで抱き合っていたんだろうか。ふと栞が笑みを浮かべる。 「わたしは、どこにも行きませんよ。だって、まだ祐一さんと約束した大きな雪だるまを 作ってませんから。」 「ふふ、そうか、そうだな。」 「はい!!それに、今日描いてた祐一さんの絵もちゃんと描き終えていませんし。」 「ちゃんと描けるのか?」 栞の描いたある意味芸術的な俺の絵を想像し、思わず笑ってしまう。 「う、そんなこという人、きらいです。」 拗ねる栞。もちろん、冗談である。その証拠に二人とも笑顔である。 「悪かったって、栞。な、機嫌直せって。」 「それなら、おわびとして、いっしょにアイス食べてください。」 「こんな寒いのにか。」 「はい。寒い時に食べるからおいしいんですよ」 「・・・・・わかった。んじゃ、行くか。」 「はい!!」 俺達は公園から出る為に歩き始めた。 きっと離れる事の無いだろうお互いの手をつなぎながら
どーも、SUUです。 今回のSSどうだったでしょうか? 今までに書いたのがギャグ系だったんで、シリアス(?)にチャレンジとか思ったんですが 書いてて自分の未熟さを再確認してしまいました。 「これの何処がシリアスじゃあ」、「お前がシリアス書くなんざ100万年早いわ。」等、 その他、もろもろの感想お待ちしています。
 ☆ コメント ☆ 綾香 :「セリオぉ〜。もう、動いていいでしょぉ〜?」(−−; セリオ:「ダメです。ジッとしていて下さい」(−−) 綾香 :「えぇ〜っ!?」(−−; セリオ:「『えぇ〜っ!?』じゃないです。まだ、絵が完成していないのですから」(−−) 綾香 :「そんなぁ〜」(;;) セリオ:「芸術の為です。我慢して下さい」 綾香 :「でもでもぉ。あたし、もう限界。これ以上は無理よぉ〜」(;;) セリオ:「……ふぅ。仕方ないですね。      分かりました。今日はもう終わりにしましょう」(−−; 綾香 :「やりぃ!      あ〜、死ぬかと思ったわ」(^ ^; セリオ:「やれやれ」(−−; 綾香 :「ごめんね、セリオ。あたしって、本当にジッとしてるのが苦手なのよぉ」(^ ^; セリオ:「落ち着きがないですもんねぇ」(−−; 綾香 :「……う゛っ」(^ ^;;; セリオ:「でもまあ、今日は保った方でしたけどね」 綾香 :「そうなの? どれくらい?」 セリオ:「…………約5分です」(−−; 綾香 :「ホントに!? 5分もジッとしてたの!?      凄いわ、あたし!!」(^-^)v セリオ:「…………いや、あの……そんなに喜ぶほどの時間では……」(−−;;; 綾香 :「ふふん。あたしだって、やれば出来るじゃない」(^0^) セリオ:「……………………はぁ〜〜〜〜〜〜」(−−;;;;;



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