雫 『アストラルバスターズ』 とりあえず導入編






細いシャーペンの芯をカチカチと伸ばし、意味もなくノートの上に走らせる。
やがて芯はポキンと折れて、僕の頬をちくりと刺激した。
空いた窓から流れ込むゆるやかな風が、ゆらゆらと麻色のカーテンを揺らし、色のない無声映画のような
授業風景をいっそう別世界のように感じさせている。
隙間から漏れる陽射しの中を、白いチョークの粉が音もなくチラチラと舞っている。
感情を無くしたような教師が聞き取れない外国語を読み上げ、よどんだ目をした生徒達は、カリカリとノ
ートにペンを走らせ続けている。
いつもと変わらぬ風景。
繰り返される退屈な日常。
止まったような時間が静かに流れていた。
僕はシャープペンを持った手で頬杖を突き、揺れ動くカーテンを、ただ、ぼんやりと眺めていた。
うららかな午後の陽気を引き連れた風が、そよそよと僕の前髪をなでて行く。
そんな時、なんの前触れもなく、突然――。

き〜ん こぉ〜ん かぁ〜ん こぉ〜ん

チャイムが鳴り響いた。
それと同時に、教室の凍った時が動き始めた。
「…え〜。それじゃあ今日はここまで」
面倒くさそうに言うと、教師はとっとと教室から出ていった。
そして、にわかに活気づくクラスメイト達。
「おっしゃ、部活だ部活〜」
「ゲーセンでも行くか?」
「それじゃあ、先に校門で待ってるね〜」
静寂とか、そんなものとはまさに対極の雰囲気。
ほんと、授業中とはえらい違いだ。
そんなようなことを思いながら、僕は鞄に荷物をまとめる。
「おお〜い。長瀬ぇ」
「ん?」
僕が声の方に振り向くと、そこには最近よくいっしょに話すクラスメート達がいた。
山下と樋川だ。
「今日、俺達ゲーセン行くんだけど、長瀬も一緒にどうだ?」
「そうそう、一緒に行こうぜ!今日こそは、スト3で長瀬に勝つからな!」
…どうやら、先日の格ゲーで僕があっさり勝った事を山下が根に持ってるみたいだ。
悪くは無いけど………。
「ごめん、今日はちょっとだめなんだ」
ぱちん、と目の前で手を合わせて謝る。
「んだよ〜。なんか最近付き合い悪いぞ〜」
山下はそう言って、僕にヘッドロックを掛けてくる。
……力は余りかかってないけど、痛いものは痛い。
「ま、なんか用事あるみたいだし、仕方ないだろ?」
僕達の馴れ合いを見て、樋川が笑いながら言う。
「そりゃそうだけどよ……」
そう言って、山下は力を緩める。
「もしかして………女か?」
山下がぽつりと僕の耳元で言う。
「う゛」
僕が一瞬ひるむ、が、それを見過ごす三人ではない。
「ほほぉ〜お。長瀬、お前友情より女を選ぶか………」
山下が意地の悪い笑みを浮かべて再び僕の首に力が加わる。
ちなみに、目は全然笑ってない。。
「まぁまぁイイジャンか。それにしても…長瀬にもとうとう春がきたか」
そう言って、バンバン僕の方を叩く樋川。
「ほれ、山下もいつまでも長瀬を引き止めてないでとっとと放せ。
長瀬が待ち合わせに遅れるじゃんか」
樋口がニヤニヤしながら言う。
「………お前の物好きな女に免じて離してやろう。ただし、借りプラス1な」
そういうと、山下はしぶしぶといった感じで僕から離れた。
「…んじゃ、また明日」
引きつった笑みを浮かべて、僕は教室を後にした…………。



「そう言うんじゃないんだけどなぁ………」
校内の、目的地までの道すがら、僕は独り言を呟いていた。
「ま、確かに女の子がらみといえばそうなんだけど、
あの二人はすぐそういう方向に話をもっていきたがるからなぁ……」
とは言っても、僕は笑っている。
しかしこれからの事を考えると…………笑えないなぁ。
もともと、僕は女の子を相手にするのは苦手なのだ。
さて、どうするか……やっぱり、昨日徹夜で考えた通りに………。
と、そこまで考えて、僕は足を止めた。
目的地に着いたのだ。


『生徒会室』
部室棟にある、ひときわ大きな部屋だ。
今までは比較的縁の無かった部屋だが、これからはよく通う事になるであろう部屋。
僕は深呼吸すると、その部屋の、ドアのノブに手を掛ける。
〜大丈夫、昨日考えた通りに〜
自分にそう言い聞かせ、ドアを空け、すぐ中に入る。
部屋の視線が僕に集まるのを全身で感じながら、ドアを後ろ手に閉める。
僕は若干緊張しながら、肺から息を吐き出した!

    「本日付でアストラルバスターズ隊長に着きます、長瀬祐介といいます!!」







                                   〜ひきます〜




〜あとがき、というか独白〜
どうも、キヅキです。………えらい短いですね〜(自爆)。
とりあえず導入編ですので、意識して短くしてみたのですが…どうだったでしょうか?
しっかし、とりあえず書き終えて、自分で読みなおして一言

            「女の子でとらんやん」

オリキャラの樋川と山下、それに祐介……野郎ばっか(爆)
これでイイのか、私!
あう〜。すみませんすみません。次回からはきっちりと女の子も出していきますから〜。
まぁ、それに祐介が若干明る過ぎるという話もあるのですが、それもどうかご了承下さい。
こんなSSですが、次回も付き合ってくれれば幸いです。
それでは。

追記:次は状況補足、世界観及び人間関係にページを割く予定。
   私が最も書きたい事は……まだまだ先になりそうです(汗)



 ☆ コメント ☆ 綾香 :「以上、導入部でした。コメント終わり」(^0^)/ セリオ:「え? 終わっちゃうんですかぁ?」(;^_^A 綾香 :「なによぉ。だって、他に言う事なんて無いじゃない」(−o−) セリオ:「そうかもしれませんけど」(;^_^A 綾香 :「まだ、な〜んにも起こってないのよぉ。      なのに、どうコメントしろって言うのよぉ〜〜〜」(−o−) セリオ:「あうあう。た、確かに」(;^_^A 綾香 :「てなわけだから、コメント終わり」(−o−) セリオ:「い、いいのかなぁ」(;^_^A 綾香 :「いいの! それじゃ、仕事も終えたことだし……。      セリオ、ゲーセン行くわよ。ゲーセン」(^0^) セリオ:「ゲーセン……ですか?」(−−) 綾香 :「そうよ。      そして、今日こそ、『スト3』でセリオに勝つわよ!!」(^0^) セリオ:「ふっ。いいでしょう。胸を貸してあげます」(^〜^) 綾香 :「言ったわねぇ。その言葉、後悔させてあげるわ。      それじゃー、れっつごー!!」(^0^)/ セリオ:「ごー!!」(^0^)/  ・  ・  ・  ・  ・ 浩之 :「……ちゃんと仕事しろよな、お前ら」(−−; あかり:「あ、あはは」(^ ^;



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