「Shall we play the GUITAR?」


「ねぇ、浩之ってギター出来るの?」
唐突に綾香がそう聞いてきた。そう、綾香は今、俺の部屋でまるで自分の部屋の如く
くつろいでいる。そんな時、綾香が俺の部屋に置いてあったギターに目をつけたので
ある。
「あ?まぁ昔少しかじった程度だけどな」
と、俺は照れながら言う。実は、俺は昔バンドをやっていた知り合いからギターを教
えてもらった。もちろん、理由はギターをやって、女の子にもてたかったからであ
る。しかし、今はそんな事は気にせずとも、ここに可愛い彼女がいるので、全然問題
ナッシングなのだが…
「へ〜…ねぇ、聞かせてよ」
「嫌だ!」
俺は綾香の問いに即答した。
「何でよ」
「人に聞かせるほどのようなものじゃない」
と、俺はきっぱりと否定した。第一、全然練習なぞしていないのに、いきなりそんな
事を言われても、弾けるはずがない。そう思って俺は否定したのだが、
「別に良いじゃない。きかせなさいよ〜」
と綾香は俺にしがみつく。
うっ、や、やばい。綾香よ、そんな目で俺を見ないでくれ。こいつ、俺がその目に弱
い事を知っていて、やっているな?
「い、いや、しかしだなぁ…」
「何よ〜、あたしがこんなに頼んでるのに」
綾香はさらに、俺にしがみついてきた。
ぐはっ、綾香よ、そんなにしがみつかないでくれ。む、胸が…胸の感触が、腕
にぃぃぃっ!
「あ〜、分かったよ。弾くよ」
と、俺は理性がブチ切れる前にそう言った。
「そう?それじゃ聞かせて」
「ん、あ、ああ」
と、俺はギターに手を伸ばし、チューニングを合わせた。そして、大体チューニング
が終わると、
「んじゃ、行くぞ」
とだけ言った。
そして、俺は唯一覚えている曲を綾香に聞かせる。Dirty Thrash Roadというバンド
で「Empty Room」という曲だ。何気に静かなメロディーが気に入っている。しばら
く、前奏を弾いていると、綾香が聞き入ってしまっているので、調子に乗って俺は、
歌い出してしまった。

「Empty Room」
The morning visits me, my night all alone
No destination in my mind
Got on the train to throw away this drone
Searchin’ for you at the end of the line

The silent snow falls, veilin’ our memories
Still knockin’ at the door of your heart
The desert craves the rain,
I’m on my knees, oh please
I’m at the window since we’ve been apart

EYE TO EYE, OUR FAREWELL PASSED US BY
LOST AND CONFUSED, ALL ALONE IN THE CROWD
WALK THE BUSY STREETS LOOKIN’ FOR A FAMILIAR FACE
I FOUND MYSELF IN OUR ROOM, OOH
EMPTY ROOM

と、俺はそこまで歌い、後は情けない話だが、歌詞を忘れてしまったので、そこでや
めた。綾香は聞き入っていたのか、ぼーっとしていた。
「おい、綾香?」
「……」
「もしもし?」
「……」
心ここにあらずといった感じだ。
「ったく、しょうがねーなー」
と俺はつぶやき、大声を出してみた。
「うお〜〜〜〜〜〜い、あ・や・か・さ・ん・?」
「ひゃっ…びっくりした…」
「どうした?」
「浩之がこんなに上手かったなんて…」
「あ?買いかぶりすぎだ」
「ねぇ、なんでバンドやらなかったの?」
「面倒くさいから」
「へ?それだけ?」
と、綾香は意外そうな声を出す。
「なんでよ〜、もったいないわよ」
と綾香は俺にバンド活動を進めてくる。う〜ん、そんなに上手かったのか?
「よし、浩之。あんた私とバンド組みましょ?」
「はえ?」
俺は思わず間抜けな声を出してしまった。
「そして、私達で日本の頂点に立つのよ!」
「なじぇ?」
と俺は綾香に聞くが、当の本人は
「そうして、私と浩之で…きゃっ、いけないわ、浩之」
などと、見事にトリップしてしまっている。
はぁ〜、こいつこんなに妄想激しいやつだったっけ?
「そうと決まれば、浩之行くわよ?」
「何処へ?」
「決まってるじゃない。音楽会社よ。オーディション受ける為に」
し、しまった。もうそこまで決定してしまっていたのか!
「ちょっと、待て綾香」
「何よ」
「俺はまだバンドを組むと決めたわけじゃない」
「え?」
綾香は今にも泣きそうな顔をしている。『何故よ、浩之。私と一緒なんて嫌なの?』
と目が訴えていた。
「俺は、バンドを組みたくないのは、バンドの練習に夢中になってダチを失いたく無
いからなんだ」
「でも、あんなに上手いのにもったいないよ」
「そんなに買いかぶるなよ」
「ううん、嘘じゃない。だってギター弾いてる時の浩之ってかっこよかった」
「じゃぁ、お前だけの為に弾いてやるよ」
「え?」
…………
し、しまったぁぁぁぁぁ。なんて恥ずい事を…
なんて、俺がパニクっている所を、
「ねぇ、浩之。それ本当?本当に私だけの為に弾いてくれるの?」
「あ、ああ」
「また私だけの為にギター弾いて歌ってくれる?」
「ああ」
しばしの沈黙の後
「嬉しい」
と言って、綾香が俺に飛びついてきた。俺はそれを拒まずにずっと綾香の華奢な体を
抱き締めていた。
しばらく、あま〜い時を過ごしていると、
「あ、もうこんな時間だ。帰らないと」
と綾香が言った。気がつけば、もう9時である。
「そうか。送って行くよ」
「ううん、いいよ。一人で帰れる。それよりもまた聞かせてね」
とだけ言って、綾香は去って行った。

綾香が帰った後、俺は何かに取り付かれた様に一つの詩を書いていた。俺の最愛の人
に捧げる、綾香に捧げる為の俺の気持ちを書いた。いつかこの詩にメロディーをのせ
て、綾香に聞かせる為に。


「Good-bye, my lonely days」
ずっと一人だった俺
友達はいたけど、何処か心に穴があいていた
満たされる事の無い日々が続いていた

気の合う友達や優しい親
それでも何かを探し求めていた
一人分からず今日も眠れない

そんな時に天使の声が聞こえた
今までの生活から決別できるような
貴方の愛らしい声が耳元から聞こえた
「君の事が好きだよ」って

Good-bye my lonely days
Good-bye 心の冬
貴方と一緒なら
どんなに辛いさえも乗り越える事が出来るはず

今、僕達の頭上に桜吹雪が舞っている
貴方と一緒に歩いているこの道
それはまるで僕達の未来を予想させるもので
これからの僕達を祝福する様に
桜の木々がささやかな歓迎をしてくれた

Good-bye my lonely days
そしてHello, my bright future days



了





―後書き―
なんじゃいな、これは。まぁ初めて書く二次創作だからしょうがないか。ちなみに最
後の詩は俺がバンドやっていた頃に作ったラブソングです。まぁ、楽しんでいただけ
たら幸いです。それから、Dirty Thrash Roadの「Empty Room」は実際に存在しま
す。ロック系に興味のある方はインディーズ専門店にGO!

えっとぉ、HIROさん、どうでしたか?もちろん送り返してくださってもかまいませ
ん。

それでは、また会える機会がありましたら会いましょう。



っていうか、もうすぐ受験やん!どうしよう…あはは(現実逃避)。寝よう。



 ☆ コメント ☆ セリオ:「ぶー。綾香さんばっかりぃ。ずるーい」(−o−) 綾香 :「えへへ〜」(*^^*) セリオ:「ぶーぶー」(−o−) 綾香 :「えへへへへへ〜〜〜」(*^^*) セリオ:「ぶーぶーぶー」(−o−) 綾香 :「あたしの為だけにギター弾いてくれて……」(*^^*) セリオ:「ぶーぶーぶーぶー」(−o−) 綾香 :「あたしの為だけに歌ってくれて……」(*^^*) セリオ:「ぶーぶーぶーぶーぶー」(−o−) 綾香 :「あ〜ん。嬉しいぃ〜〜〜」(*^^*) セリオ:「…………………………。      わたしのこと眼中にないんですね。しくしく」(;;)



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