WHITE ALBUMたさい
 「こころに沁みる、空のブルー」


 空は遠く、そしてどこまでも広く、蒼く、澄みわたっていた。
 花の蕾は大きくふくらんで、まもなくやってくる春の匂いを運んでいた。
 藤井冬弥はそんな穏やかな陽の光の下、草原にゴロリと寝ころんだ。
 はるか高みに広がる蒼穹は、磨き上げられた水晶のように透明で、見渡す限りに続いて
いき、山々の稜線を越えてもなお続いていく。
 冬に比べてはるかに暖かみを帯びた風が、肌を撫でて通り過ぎた。
 背の低い草むらに寝ころんだ背中が少し冷たかった。そして、それとは対照的な暖かさ
で、藤井冬弥の身体は抱きしめられるように包まれた。
 人肌の、ぬくもり。
 それは、大切な女性の暖かみ。
 自分の胸の上に頬をのせて、こころから安心しきり安らいでいる表情を見せていた。彼
女の名前は、由綺。芸能界では、森川由綺という名を持つ人気のシンガーである。
 冬弥は、由綺の腰まで届く長い黒髪を、そっと指に絡めてその絹糸のように細くなめら
かな感触を楽しんだ。
「んっ、ん…」
 由綺は、口の中で言葉にならない呟きを発した。冬弥は由綺のほんのりと赤らんだ頬に
手を添えた。指に、淡雪のような柔らかさが伝わってくる。
「こうやって、のんびり出来るのも久しぶりだね」
「そうだね」
 冬弥の胸に顔を埋めたまま、由綺が返事する。
「あったかい…」
 呟いた由綺の顔には、幸せな表情が広がっていた。その端正な顔のどこを探してみても、
一片の寂しさの翳りも存在していなかった。
 冬弥は、弾力のある由綺の唇に触れた。
 由綺は一瞬悶えるように体をびくりと震わせ、そして、顔を上げて冬弥の顔を見つめた。
二人、しばし見つめ合って、そうしてからゆっくりとした動作で互いの顔が近づいていき、
唇が触れ合った。
 静かなキスだった。
 熱さも、激しさも、狂おしさも、情熱も、そこには存在しない。
 代わりにあるのは、お互いを純粋に想うこころ。愛情を確かめ合い、こころをつなげる、
二人の静粛で神聖な口づけだった。
 春草の匂いに包まれて、薄い雲の流れる蒼穹の下に二人は抱き合って、瑞々しい口づけ
をいつまでも交わしていた。
 数度、顔を離して、互いの瞳を見つめ合うと、言葉も交わさずに、否、言葉は必要では
なく、代わりにキスをすることで二人は互いを分かり合っていた。
 気が付いたら、視界が曇っていた。それはいつの間にか涙がにじんでいるせいだ。冬弥
は、自分の涙を拭った。
「泣いてるの、冬弥くん?」
「そんなこと、無いよ」
「でも、涙が……」
「風が……ちょっと強いから……」
 言ってから、目をゴシゴシとこすった。
「あ、ダメ……。目、赤くなっちゃうよ……」
「うん……」
 冬弥は、言いながら全く別のことを考えていた。
 幸せ。
 生きている幸せ。
 ここに、こうしていられる幸せ。
 由綺を抱いている幸せ。
 “あの”森川由綺が、“藤井由綺”として、側にいてくれる幸せ。
 その為に、払った代償。
 決して小さくはないけれど、それでも、まだ、由綺達が自分には残っていてくれる。
 そうだ―――まだ―――






































「くらぁ、イチャイチャしているんじゃないわよ!!!!!」
 突然の、大音声だった。
 冬弥と由綺、二人ビックリして大慌てに立ち上がっていた。あたふたとしたせいで、転
びそうになった。冬弥はよろけるのをこらえて、声の主を見やった。
 自分の胸くらいまでしか届かない身長の、小柄な女性。いや、外見からするとまだ少女
と言っても差し支えなかっただろう、髪の毛はポニーテールを二つ、左右に垂らしている。
ただ、その少女の年齢が、もはや少女とは呼べないものであることを冬弥は知っている。
 観月マナ、それがこの女の子の名前。だが、観月という姓はもう今では過去のものとな
っていた。
「お、驚かさないでよマナちゃん」
「驚かせてなんてないわよ!冬弥さん達が勝手に驚いたんじゃない!」
 マナは、耳のつんざくような甲高い大声を張り上げていた。
「いつの間にか二人きりでこんなところで抱き合って……うぅ……うらやま……じゃなく
て、こそこそしてるのよ!」
「ご、ごめんなさいマナちゃん……」
 由綺は肩を落として謝っていた。謝られたマナは少し焦って、
「お、お姉ちゃんは悪くないんだから!そうよ、何も悪くないんだから。悪いのはみんな
冬弥さんなんだから!」
「どうして俺!?」
 冬弥は目を見開いて狼狽えた。そんな冬弥をマナはじろりと見やって、ハッキリと言い
きった。
「“なんとなく”よ!」
「無茶苦茶だよ!」
「うるさい!うるさい!うるさいんだってばぁ!!」
 バタバタと両腕を振り回すマナの姿は、幼稚園児の姿に似ていた。
「理不尽だなぁ……」
 冬弥は諦めたように、ため息と共に呟いた。
「何か言った?」
「いえなんにも」
 冬弥は肩をすくめた。
「まぁ、謝るからさ。そんなつもりじゃなかったんだよ、ごめんなマナちゃん」
 自分でも何が“そんなつもり”なんだか理解していなかったが、冬弥はマナの瞳を真っ
直ぐに見据えて、真剣な表情と声で謝っていた。
「……だから」
 マナの発した呟きは、小さすぎて聞き取れなかった。
「え?」
「……なんだから」
「声が小さくて聞こえないよ」
 冬弥がそう言うと、マナの声はやっと判別可能なくらいの音量になった。
「……わたしにも……してくれないと許さないんだから……」
「…………」
 冬弥は、マナの言いたいことを察していた。
(……なんだか素直じゃ無いなぁ)
 胸中でそう思ったが、それはいつものことであり、うつむき加減に赤くなって恥ずかし
そうにしているマナを見てしまうと、“愛しい”と言う感情が湧いてくることを抑えられ
なかった。
「じゃあ、キスしてあげるから」
 言うと、マナは頬を上気させて、こくりと頷き目を閉じた。
 冬弥は由綺に目配せをした。由綺の表情には“いいよ”という、肯定の色が浮かんでい
た。それを確認してから、そっと顔を寄せた。
 顎を引き寄せて、上を向かせ、そして、キスする。
 マナのおでこの真ん中にチュッと口づけた。
「はい、おしまい」
 冬弥が離れると、マナは目に怒りを浮かべて冬弥をにらんでいた。
「なんで……わたしはひたいなのよ!?」
 ワナワナと肩を震わせるマナに向かって、冬弥は事も無げに言う。
「広くてやりやすかった」
 ピクリ。
 マナの額の血管が動く音が確かに聞こえた。
 マナは無造作に歩いて冬弥の前に立った。
「死んじゃえ馬鹿!」
 げしぃっ!
 派手な音を立ててローキックが冬弥のすね、いわゆる弁慶の泣き所に命中していた。
「……ぉぉぉぉ……ぁぁぁぁ……」
 冬弥の口から、悲鳴とも悶絶とも付かない音が漏れた。
 当然、立ってはいられずそこら中をのたうち回っている。
「と、冬弥くん大丈夫!?」
 心配して由綺が駆け寄っていくのを、マナは腕を組んで半眼に眺めていた。
「ふん、神の天罰が下されたのよ」
「か、神様のおでこが広すぎるのが悪いのに……」
 悶えながら、言わなくても良いことを言う。
「まだ言うか」
 今度は、思いっきり踏みつけた。
 ぐええっと蛙の潰れたような声で、冬弥は一声鳴いたのだった。






































 ―――蒼かった。
 空は、絵の具で塗り潰したように、どこまでも曇りのないブルーだった。
 こころの一番奥底に沁みこんでいくブルーの大空。
 なにもかも、全て包み込んでしまいそうな、蒼穹。
 穏やかな日射しが、柔らかく降り注いでいる。
 冬弥達は、ポカポカと暖かい日溜まりの中を過ごしている。
 どうしようもないくらい蒼い空の下、草の萌ゆる匂いが立ちこめる草原に、冬弥を囲む
ようにして6人の女性達が座っている。
 のどかで、この場所には彼ら以外の何者もいない。
 森川由綺。
 観月マナ。
 河島はるか。
 澤倉美咲。
 緒方理奈。
 篠塚弥生。
 彼女たちは、家族である。
 多夫多妻制によって生まれた家族である。今では、姓も“藤井”となっている。
 困難を乗り越え、全ては壊れてしまいそうになっても、あきらめずに生きた結果、幸せ
な生活を手に入れた。
 藤井冬弥を中心として結びついている。
 冬弥が、全員を愛して、この集団は成立した。



「ところで、冬弥さん」
「うん?」
 全員で寄り添いながら、昼下がりをまどろんでいた。そんな最中に、マナの声がした。
「思い出したんだけど……」
「なにを?」
「去年のクリスマスのこと」
「それがどうかしたの?」
 と言いながらも、冬弥は何となく嫌な感じがしていた。急に背筋が薄ら寒くなった感じ
である。マナの表情が、妙な感じでにこやかなのも気になっていた。
「お姉ちゃんと二人きりで、さぞかし良い感じだったんでしょうね」
「ぶっ!」
 冬弥は思わずむせるように吐き出した。
「あ、あれは不可抗力で……」
「みんなで一緒に過ごそうって言った約束は?」
 マナに迫力でジリジリと詰め寄られた。
 由綺達も、その雰囲気で目を覚まして、様子をうかがいだした。
「どうしたの?」
 聞いたのは理奈だった。
「いや、実は……」
 冬弥は理由を話し出した。

「だって、マナちゃん。論文の締め切りがとってもやばいって言っていたから」
 言われてマナは、ウッと声を詰まらせた。
「こんなの無理よぉ!ってマナちゃん、泣きが入っていたじゃないか。理奈ちゃんは、コ
ンサートが忙しくてクリスマスどころじゃなかったし。美咲さんも原稿の締め切りで修羅
場みたいだったし、弥生さんも仕事だったし……」
 そこでセリフをいったん区切って、冬弥は自分の幼なじみで今は妻となっているはるか
の顔を見た。
「……お前は自転車でどこかに行ってしまって行方不明だったな」
 冬弥は半眼になっていた。
「秋田」
「?」
「行ってた」
「…………」
「きりたんぽが美味しかった」
「……うるさい。そんなこと聞いてない」
「冬弥、怒ってる?」
 はるかはぼーっとした顔に、それに相応しい抑揚のない声で言った。
「書き置き一枚残したきりで、そんなとこまで自転車で行くやつがいるか普通!?」
 はるかはちょっと考え込んで、
「わたし」
 自分を指さした。
「もういい」
「冬弥、お土産を買ってこなかったから怒ってる?」
「そんなわけがあると思うか?」
「思わない」
「なら言うな!」
「むぅ、冬弥が怒った」
「まぁ、そんなことはともかく、お前はクリスマスのことなんか完全に忘れていたんだな」
「…………………………………………………………………………………忘れてなかったよ」
 はるかの視線はあさってを向いていた。
「……今の間はなんだ?」
「あははは」
「笑ってごまかされてもなぁ」
 仕方なく、冬弥も苦笑しているしかなかった。
 そして、辺りを見回し、鹿爪らしい顔になって言った。
「そういうわけで、しょうがないから、去年のクリスマスパーティーは無くなってしまっ
たんだ。俺も残念だったよ」
 冬弥は肩をすくめた。
「仕方、ないわよ」
 それまで黙っていた美咲は、控えめにそっと慰めるような優しい口調で発言した。表情
は、慈母と言えそうなくらい穏やかで、愛情に満ちていた。
「みんな、忙しいもの」
「そうです」
 弥生も賛成の意を示すと、マナは自らの家族達を眺めて、ため息一つ付いてから、口を
開いた。
「分かったけど…でもやっぱりお姉ちゃんだけ冬弥さんを独り占めできたなんて……」
「ごめんね、マナちゃん。そんなつもりはなかったんだけど…」
「もう、いいけど……そ、の、か、わ、り」
 マナは目を光らせた。その眼光は射抜くような視線となり、冬弥を貫いた。
「冬弥さんにはこれから数日間頑張ってもらいます。これ、決定事項」
「え?」
 冬弥は、目を白黒させた。
「賛成です。“こんなこともあろうかと”わたしも思いまして、栄養ドリンクを段ボール
一箱分を購入しておきました」
「や、弥生さんも!?」
「冬弥くんも大変ねぇ」
 理奈はしみじみとしながら、しかし、他人事のような顔をしていた。
「夜が待ち遠しいです」
「冬弥くん、頑張ってね」
 理奈はウィンクを一つ、冬弥に投げかけた。
「ちょっと待ってみんな……」
 言おうとする冬弥の声は、虚しくかき消された。
 結局、女性陣達は程度の差こそあれ、各々がいずれやってくる夜のことを思いやって期
待していたのだった。



 数日後、休日は終わった。
 冬弥の精根は、尽きかける直前だったという事を記しておこう。



 ほんの短い期間だったが、家族全員で過ごすことが出来た。
これからしばらくは、また、自分たちのなすべき仕事をやるために、それぞれがバラバラ
になって生活する。
「これでしばらく、みんなが一緒に集まることはないだろう」
 別荘前に、全員が集まって、冬弥は彼女たちに向けて言っていた。
 由綺は、アイドル森川由綺を演じ。
 理奈も、そのトップアイドルの座を誰にも明け渡さず、歌い続ける。
 弥生は、マネージャーとしてその影となり、二人を支えるのだろう。
 マナは、大学で勉強を続けて、いずれは大学院に進むつもりらしい。
 美咲は、大学を卒業して、劇作家として、童話作家として、忙しい毎日を送っている。
あまりの忙しさに、缶詰めになることすら有るのだ。
 はるかは、……なんだろうか?
「はるか、お前は大学を卒業したら何かしたいことあるのか?」
「なに、いきなり?」
「いや、訊きたいだけ、だけど……ちょっと……気になってね……」
 冬弥は、弁解のような口調と照れくさそうな表情で、―――かつて自分の幼なじみだっ
たはるかを―――今では妻となったはるかを眺めていた。
 それに応えるかのように、はるかは何一つ含みのない純粋な瞳を向けていた。その口元
には柔らかい微笑みを浮かばせている。そして細い首を、わずかに傾げて言う。
「……そうだね……なにもしない、かな?」
「……それでいいのか?」
「うーん、冬弥とエッチしながら気持ちよくぼーっとする」
「それでも、いいけどさ」
「そんなのもいいかな、って……」
「……そうか」
「でも……嘘、だけどね」
「こら」
 軽くはるかの頭をこづいた。
「痛い」
 はるかはこづかれた部分をさすった。
 そんなはるかが、どこか楽しそうだった。
「ホントはね……決めてることがあったんだ……」
 ためらう素振りを一瞬見せて、けれどいつもの調子で、ポツリと言った。小さな声、け
れどもよく通る声だった。
「……保母さんに、なろうかなって」
 抑揚のないその呟き、けれども冬弥は、その中にはるかの決意を感じ取っていた。
「……そっか……」
 冬弥は、はるかの髪の毛にそっと手を伸ばした。短い髪の毛を、指を絡めて梳くように
撫でている。そして、まだ少年のように幼さを残したはるかの身体を、抱きしめていた。
 これまで犯してきた過ち、誤解も、後悔も、悲しみも、絶望も、苦しみも、痛みも、み
んな全てうち捨てて、代わりに、あふれる愛おしさ、希望と、夢と、安らぎと、喜びと、
それらを両腕に込める。
「良かったな」
 素っ気ない一言。
 他にもっと気の利いたセリフがいくらでもあったのだろうが、しかし、冬弥が言ったの
はたったのその一言だけだった。
 長い年月を共に過ごした二人に、無駄なセリフは必要としていなかった。たとえ百万言
を費やしたところで、二人抱き合い、そのことに依って得る以上のものは、存在しない。
 だから、
「がんばれよ」
「うん」
 それは他人から見れば、あまりにも無感動の応酬に見えただろう。
 だが、この場にいる家族。
 由綺、理奈、マナ、弥生、美咲、彼女たちには、二人の間に深い意志の通じ合いがあっ
たことを理解していた。
 それだけで、十分だった、彼らには。
 こうして、ぬくもりを感じていられるだけで、幸せだった。



 無限に広がる空。
 その下で、藤井冬弥達は家族として生きている。
 一人一人が忙しい毎日を過ごしている。
 だからみんなでいつも一緒というのは、当然、とても無理なことだ。それどころか、共
に過ごすことの出来る時間の方が、はるかに少なかったりもする。
 だけど、そんなことでは、彼らに寂しさの陰を落とすことなど出来なかった。
 たとえ、どれだけ離れていようとも。
 たとえ、どれだけ会わなくても。
 お互いのこころは通じ合っていると、そう信じられるから。
 家族の絆は、決して切れないことを知っているから。
 みんなで築いた、信頼という綱で、繋がっていることを知っているから。
 だから、寂しくなどない。



“俺は、ここにいる。ここで、みんなを待っている。ここは、みんなの帰る場所だから”



 藤井冬弥は、空を見上げた。
 空のブルーが、こころに沁みた。
 いつも変わらない日常。
 それが、夢のように続いていく。
 大好きな人と、生きていける、幸せ。

 藤井冬弥は、また忙しい日常に戻っていく妻達を見送ってから、そして、一緒に同じ家
に帰るはるかと美咲を見やる。
「帰ろうか、俺達の家に」
 間を置かずに返事があって、3人並んで歩いていく。
「ね、冬弥……くん」
 美咲が、歩きながら言った。
「なに?」
「子ども、欲しかったりする?」
「そうだね……」
「わたしは欲しいな、冬弥くんの子どもが」
(子どもか……)
 そうしたら、きっと今よりはるかに賑やかになるのだろう。
 それを思いやると、何か楽しくなって笑顔が浮かんだ。
「それも良いかも、ね」
「わたしも、冬弥の子ども欲しい」
 のんきな声ではるかが言うのを、冬弥は聞きながら、思いは未来に馳せていた。

 いつか、家族は増えて、そして、ブルーの空の下ではしゃぎまわっている未来図。
 由綺達の笑顔であふれた日常。

「……じゃあ、頑張ってみようかな」
 一人ごちた呟きは、空の蒼さに溶けていった。
 吹いた春風が強くて、目を閉じた。
 過去と現在と未来。
 色々なことがあって、辛いこともあって、そうして、こうやって幸せな毎日を送ること
が出来ている。
 自分は、そうなることが出来た全てに感謝すべきなのだろう。
 緒方英二さん……。
 七瀬彰……。
 ありがとう。

 空は、やっぱり、蒼く澄んでいた。
 冬弥の目に涙が浮かんだ。
 しかし、拭わずに、流れるままである。



 ありがとう、みんな。
 ほんとうにありがとう。
 願わくば、この幸せが永遠に続いてくれますように……。






―――(終わり)―――




 あとがき
 本当は、このお話はHiroさんの40万ヒット時に送ろうと思っていたモノですが、
当たり前のように間に合いませんでした。(殴)
 にしても、内容のないお話ですみません。
 このお話は、冬弥達が家族になってからのお話です。
家族になるまでの経過は、本当に色々なことがあったのですが、それは語りません。

 それでは。


 ☆ コメント ☆ 綾香 :「やっぱり、仕事を持ってると、『好きな人といつも一緒』というわけにはいかないわよね」 セリオ:「そうですね」 綾香 :「特に、由綺さんや理奈さんの様な仕事をしてると」 セリオ:「はい。まったくです」 綾香 :「アイドルって本当に大変そうだからねぇ」(^ ^; セリオ:「そんな他人事みたいに。綾香さんだって似たようなもんじゃないですか。      明日は我が身ですよ」(;^_^A 綾香 :「あう」(−−; セリオ:「でもまあ、大丈夫ですよ」(^^) 綾香 :「は? 何が?」(−−; セリオ:「綾香さんが忙しくなって浩之さんに会えなくなる分は、      わたしがしっかりと甘えておきますから」(*^^*) 綾香 :「……まてこら」凸(ーーメ セリオ:「だ・か・ら、綾香さんは安心して激務に励んで下さいね」(^0^) 綾香 :「そ、そう。それはどうも。      でも、そんな無駄な気遣いはしなくていいわよ」(^^メ セリオ:「無駄、ですか? それはどういうことです?」 綾香 :「だって、あたしは仕事よりも浩之を優先させるから。絶対に」(^0^)v セリオ:「…………」(;^_^A



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